クリプトスタートアップのアイデアTop10
Coinbaseの創業者Brian Armstrong氏が、「いま作りたいクリプトスタートアップのアイデア Top10」を共有しました。詳しくは動画でも説明されています。
ここではその10個を簡単にまとめていきます。
1.フラットコイン
ステーブルコインは、フィアットと同じようにインフレの影響を受けたり、差し押さえされる可能性がある。よりよいのは非中央集権的(検閲に強い)で、かつ消費者物価(例えば米国のCPI)に連動するものが候補。
2.オンチェーン・レピュテーション
オンチェーンデータのグラフに基づいて、各アドレスやENS名にレピュテーションスコアを割り当てる分散型プロトコル。レンディングや、レビュー、詐欺防止(危険なアドレスに送る前にウォレットが警告してくれる)、VIPへのエアドロップなどに使える。
3.オンチェーン広告
Web 2では、「広告のインプレッションごとの支払い」から「広告をクリックした場合のみ支払い」に移行したのが大きなイノベーションだった。Web3では、「誰かが購入するか、オンチェーンでアクションを起こした時だけ支払う」に移行できるかもしれない。
4.オンチェーン資金調達
ICOの合法かつ信頼できるバージョン。Web3のStripe AtlasとAngelListを組み合わせたようなもので、会社やチーム、アイデアの登録から、資金調達もサポートしてくれるもの。
5.タスクのマーケットプレイス
暗号通貨で支払われる仕事やタスクを掲載できるようにし、従業員や請負業者がそれらを見つけられるようにすることで、よりグローバルで自由な労働市場を作る。
6.レイヤー2のプライバシー
L2のソリューションにプライバシーをもたらす正しい方法や、その上のビジネス。
7.完全にOnchainなP2P取引所
P2P取引所は中央集権的な組織によって運営されており、閉鎖を迫られる可能性がある。そこで完全にオンチェーンで運営される分散型P2P取引所を模索するのはどうか。
8.オンチェーンゲーム
プレイヤーがゲーム内で使うアイテムを実際に所有する。これらのアイテムが永続的な世界で生き続けて、複雑な相互作用や経済圏を作る。
9.現実世界の資産のトークン化
多くの形の資産を、トークン化して、プログラマビリティ、コンポーザビリティ、24時間365日のグローバルな流動性、どこかに頼る必要がない決済、という性質をもたせる。
(すでに債券・債務、国庫短期証券、コモディティ、高級品などトークン化され始めている)
10. Network States を開始・管理するソフトウェア
Balajiの提唱したThe Network Stateは、新興都市やネットワーク国家が作られるのに役立っているが、投票、ガバナンス、資金調達、市民権、徴税、サービス提供などを管理するツールが必要とされる。
となります。
■ Last Week in Crypto
1.Stroom Network raises $3.5 million to launch Bitcoin 'liquid staking' on Lightning
ビットコインのライトニングのための(Liquid Stakingっぽい)プロトコルStroom Networkは、シードで、$3.5Mドルを調達しました。
Greenfieldがリードし、Lemniscap、No Limit Holdings、Cogitent Venturesなどが参加しています。
Stroomは、ライトニングとEthereumの両方で、ビットコインを活用できるようにします。
まずユーザはビットコインをLightningに預けることで、ネットワーク上での支払いからルーティング手数料を得ることができます。
そして同時に、Ethereum上で、ビットコインと1:1にペグされたトークン『lnBTC』が発行され、EthereumのDeFiで追加の利回りをねらうことができます。
画像: whitepaper
2.Announcing DeForm’s $4.6M Seed Round
Web3マーケティング企業のDeFormは、$4.6Mドルをシードで調達しました。
Kindred Venturesがリードし、Elad Gil、Next Web Capital、Scalar Capital、A.Capital、Alchemy Venturesなどが参加しています。
DeFormはブロックチェーンベースのマーケティングツールを提供します。
これをつかうことで、ウォレットの取引履歴やトークンの所有に基づいて、ユーザーに合ったマーケティング施策を提供することができます。
例えばBaseチームは、Baseメインネット初期の開発者にたいして感謝を示すために「Genesis Builder NFT」を作っていますが、DeFormと協力して必要な情報の収集と検証をしています。
3.FirstMate raises $3.75 million in Dragonfly-led round
FirstMateが、$3.75Mドルを調達しました。Dragonfly Capitalがリードし、Coinbase VenturesとNextViewが参加しています。
今回の調達と合わせて、NFTクリエーターがマーケットプレイスを作ることのできるツール「ウェブサイトビルダー」をローンチを発表しました。
作品がどこで作られたかに関係なく、アーティストがすべての作品を1つのプラットフォームにプールできるようにし、そしてロイヤリティをコントロールできるようになります。
4.Binance Labs Announces Investment in Fixed-Yield Protocol Pendle Finance
Binanceのベンチャー投資部門Binance Labsは、利回りをトークン化するDeFiアプリPendle Financeへの投資を発表しました。
Pendleの固定利回りは、LidoのstETHのような利回りを持つトークンを2つに分割します。そしてユーザーは、元本トークン部分を割引価格で購入し、満期がきたらそれを償還して利回りを得ることができるという仕組みです。
現在、Pendle FinanceはTetherのUSDTで2.93%、stETHで5.37%の年間固定利回りを提供している。
5.Explore a fork of the Solana codebase for NewChain
MakerDAOの共同設立者が、MakerDAOの最終ゴール「NewChain」という計画の詳細について投稿し、いろいろと議論が起きています。
内容はMakerのシステムをより効率化するため、また8年間の技術的負債に対処するために、独自ブロックチェーンを作り、そこにMakerプロトコル全体を再実装しなおす、というものです。
もともとNewChainの構想は5月頃にフォーラムに上がっていましたが、今回チェーンの方向性が書かれていて、「Solanaのコードベースが一番良いだろう」と書かれています。理由としては以下の3つが挙げられています。
効率的な設計
開発コミュニティ
Solanaのコードベースをフォークしてappchainとして昨日している実績がある(pythなど)
そして、ユーザー向けの製品やシステムはそのままで、EthereumやL2に残り、Makerプロトコルによって安全性を保たれたブリッジを使ってNewChainに接続される予定とのことです。
そしてこのアップグレード後はそれ以上の大きな変更は不可能となり、分散化し、持続可能かつ不変な状態を永遠に維持する、ということのようです。
ちなみにSolana以外ではCosmosのチェーンが候補とのことです。以下、翻訳
Solana以外では、Cosmosが唯一の選択肢のようだ。Cosmosには大きなメリットもある。主に、大規模で質の高い人材プールと利用可能な開発企業の幅広さ、そしてもちろん、Cosmosスタックを使用してアプリチェーンを成功させた膨大な既存事例がある。
CosmosとSolanaの最大の違いは、CosmosはSolanaのように効率性を核に構築されていないことだ。また、CosmosにはSolanaのような強力な中央基盤組織がない(これは良いことでも悪いことでもある)。
Solanaの他にも、Aptos、Sui、その他のブロックチェーンについて簡単に調べたが、SolanaやCosmosと比べると、私たちのユースケースには全く適していないようだ。
フォーラムやTwitterでは、EVMベースではないことや独自チェーンを作ることへのセキュリティ面の懸念など、賛否両論がとびかっています。
Vitalikは反対しているようで、この投稿の翌日、Makerトークンを売ったそうです(570,000ドル分)。さらに分散型ステーブルコインRAIのDiscordに登場して、分散ステーブルコインのガバナンスについてコメントしています。
これ(MakerDAOの計画の投稿)によって、私はあるチェーンについて考えを改めた: RAIコミュニティが、以前考えていたよりもいくらか積極的なガバナンスを持つことは、以前よりも大丈夫だと思います。
Staked ETHをサポートするためにより積極的なガバナンスを行うこと、そして理想的にはStaked ETHの支配的でないもののみを意図的に受け入れること(つまりLido以外のもの)。
この考えの背景は、以前書いたようにステーブルコインは3つの分類で構成されていると考えていたからです:
MakerDAOは、最初のニッチでは圧倒的に主要なプロジェクトであり、RAIが最小限のニッチを担当することは戦略的に理にかなっている(RAI自身の観点からも、Ethereumのエコシステムの「RAIが何をすることが最も価値があるか」という観点からも)。
しかし、MakerDAOが奇妙な方向へ舵を切っているのであれば、RAIが(表の中の)中間のカテゴリーに多少近づくことは自然な流れだと思う。とはいっても個人的には完全にそのカテゴリーにならないほうが良いとは思う。「ETHが担保である」というある種の規範を維持することには価値があるからだ。
最後のところからしても、MakerDAOの方向にやや不信感を持っているのが分かります。
もしMakerにセキュリティ懸念がある場合には、RAIにある程度DAIのポジションやシェアをカバーしてもらいつつ、それでもETHだけが担保というのは変えないようにすることがエコシステムためと考えているようです(スケールさせつつも思想を変えすぎないように、理想はrETHなどを担保できるようにし、stETHは担保できないままにしておく、というもの)。
6.Introducing Polygon Chain Development Kit: Launch ZK L2s On Demand to Unlock Unified Liquidity
Polygonは、チェーン開発キット(CDK)というツールをリリースしました。これを使うと、開発者が ZKをつかったL2チェーンを作ることができます。そしてこのL2は、共有されたZKブリッジに接続されて、相互運用が可能になります。
これは前にPolygon2.0で書いた設計のままです。
7.IronMill Raises $2.6M Funding Led by gumi Cryptos Capital
IronMillが $2.6Mドルを調達しました。
gumi Cryptos Capital がリードし、Blockchain Builders Fund、Superscrypt、LongHash、Kestrel 0x1、SevenXなどが参加しています。
IronMillは、アカデミアの人たちが始めたプロジェクトで、ZK回路を選ぶのに使えるツールなどを提供したり、ZK技術を新しいアプリに統合できるようにします。
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#297 Bspeak! 2023年8月28日号 タイプ0のzkEVM
#296 Bspeak! 2023年8月21日号 友だちトークンを売り買いする「friend.tech」
#295 Bspeak! 2023年8月14日号 リステーキング付きのリキッドステーキング『Puffer』
#294 Bspeak! 2023年8月7日号 ウォレットのない人に送金できるウォレット「Beam」
#293 Bspeak! 2023年7月31日号 ストレージのためのL2 「EthStorage」
#292 Bspeak! 2023年7月24日号 ゼロ知識証明ネットワーク『Bonsai』
#291 Bspeak! 2023年7月17日号 AIを利用するスマートコントラクト
#290 Bspeak! 2023年7月10日号 Polygonのリステーキング
#289 Bspeak! 2023年7月3日号 アプリ特化チェーンは増えていくのか?
#288 Bspeak! 2023年6月26日号 Polygon 2.0 / 流動性の集中が自動化されたAMM 等
#287 Bspeak! 2023年6月19日号 a16zが投資する「AI計算のためのブロックチェーン」
#286 Bspeak! 2023年6月12日号 オンチェーンゲーム特化のロールアップ
#285 Bspeak! 2023年6月5日号 StarkNet上のzkEVM「カカロット」
#284 Bspeak! 2023年5月29日号 バリデーターが報酬を得られるオークションシステム
#283 Bspeak! 2023年5月22日号 ZKビッグデータ
#282 Bspeak! 2023年5月15日号 プライベートなブリッジを可能にする『webb』
#281 Bspeak! 2023年5月8日号 すべてを兼ね備えるAztecの新ロールアップ
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Web 3キャッチアップ。
Memo to myself: https://share.glasp.co/PMLibrary/?p=29vwqHh8V4kLGpWE1ZsV