Appchainの利点
ここ半年くらいは、モジュラーやappchainインフラについてよく書いてきましたが、それらを使ったappchainが少しずつ増えてきました。
先週ZoraというNFTマーケットプレイスが、「Zora Network」という独自チェーンをローンチしています。EthereumのL2として、OP Stackを使って作られています。
また Loot エコシステムのトークンAGLD(アドベンチャー・ゴールド)も、独自チェーン「Loot Chain」を立ち上げました。AGLDがガストークンとなります。こちらもEthereumのL2としてOP Stackを使っていますが、ロールアップを簡単に作れるサービス 「Caldera」を使って作られています。
今後は、より大きめのアプリ(例えばMirror.xyzやSound.xyzなど)も appchain を作る可能性があると考えています。
ではなぜ、汎用的なL2上のアプリではなく、appchainなのでしょうか?その利点について少し考えたいとおもいます。
appchainの利点として、スケールするなどの性能面もありますが、やはり一番はカスタマイズ性です。例えば、独自トークンをガスとして設定することもできるし、「ユーザ登録から3回まではトランザクション手数料が無料」のようなルールを作ることもできます。さらに、トランザクション手数料からマネタイズすることも可能です。トークンを出さずともマネタイズしやすいとなれば、appchainはもっと増えていくだろうと思います。
また「アプリ1つにつきappchain1つ」とする必要もないので、複数のアプリが共同で一緒にappchainを立ち上げる、という例も出てくるかもしれません。自分のappchain上に他のアプリをデプロイしてもらうようにデザインして、マネタイズをするプロジェクトも出てくるかもしれません。
ではどのアプリも全部 appchain を選ぶべきかというと、そうではなく、これまでのように汎用L1やL2の上にアプリを作ることにも利点があります。一番は他のスマートコントラクトや流動性の利用が簡単な点で、「コンポーザビリティの度合いが高い」と言えばわかりやすいかもしれません。ユーザとしても、わざわざブリッジをする必要なく色々なものを利用することができます。
そのため、どちらの方法をとるかは「どんなアプリをつくるか」によりますが、今後はシェアード・シークエンサーも出てきて、ロールアップ間のやりとりはよりスムーズになっていくので、今後appchainの数は増えていくだろうと思っています。
ZK Stack
上の話とも関連するのですが、zkSyncのチームが「ZK Stack」というフレームワークを発表しました。これを使うと、zkSync Eraのコードをベースに、カスタマイズ可能な L2 または L3を作ることができます。
それぞれのチェーンが独自性を保ちながらも、流動性はシェアできるとのことで、上で書いたappchainの課題を改善するアーキテクチャとなっています。
Optimismの「OP Stack」や、Arbitrumの「Arbitrum Orbit」に相当するものと言えます。
■ Last Week in Crypto
Compoundの創設者が、新しいプロジェクトを発表しました。あわせて$4Mドルを調達したことも明らかにしています。投資家にはParaFi、1kx、Cumberland Ventures、Coinfund、Distributed Global などが参加しています。
Superstate という企業で、既存金融とクリプトの橋渡しとなる金融商品をつくる予定です。
最初の商品は、ウォレットで保有できる短期国債ファンドです(すでにSECにこの商品の目論見書ドラフトを提出しています)。
今後も機関投資家むけの商品を、ブロックチェーン上で管理できるようにしていくようです。
2.Announcing Hook's $3m Raise and Treasure Hunt
Hookが $3Mドルを調達しました。
Collab + Currency と Lattice がリードで、Slow、Sfermion、Maven11、Flamingo DAO、The LAOなどが参加しています。
Hookは、NFTのためのオプション取引プロトコルを開発しています。NFT保有者が、新しく利回りを得たり、NFTの価値下落からヘッジできるようになります。
現在は早期ユーザーに報酬を与えるプログラム「Hook Treasure Hunt」を実施しています。
3.AlloyX launches real-world DeFi asset vault after $2 million pre-seed round
DeFiプロトコルのAlloyXが $2Mドルを調達しました。
Hack VCがリードで、Circle Ventures、DCG、Stratos、Lecca Ventures、MH Ventures、very early Ventures、Archblock、dao5、Credix Financeが参加しています。
Real World Asset(現実世界の資産)をトークン化するDeFiプロジェクトのアグリゲーターと言えます。
つまりReal World Asset版のYearnのようなもので、Vaultと言われるスマートコントラクトに資金を入れると、トークン化された米国債などで自動運用されます。
現在はGoldFinchに対応していますが、今後DeFiプロトコルも統合し、新しいVaultがローンチ予定になっています。
4.PWN Raises $2M to Revolutionize Digital Asset Mortgage Financing
PWNというDeFiプロトコルが、$2Mドルを調達しました。Starkware、Nethermind、Safeなどが支援しています。
どのようなトークンでも担保にできるP2Pレンディングのプロトコルを開発していて、NFTも担保にすることができます。
5.Mind Network raises $2.5 million in seed funding from Binance Labs and other prominent VCs
Mind Networkが$2.5Mドルを調達しました。
Binance Labs、Comma3 Ventures、SevenX Ventures、HashKey Capital、Big Brain Holdings、Arweave SCP Ventures、Mandala Capitalなどが参加しています。
セキュリティやプライバシーをアプリに対して提供するネットワークのようです。
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