Ethereum財団のサマープログラム
Ethereum財団の中には、PSE(Privacy and Scaling Explorations)というチームがありますが、そのPSEが、「アジアの学生を対象とした8週間の ZK Summer Contribution Program」を主催するそうです。
ZK技術を学んでオープンソースの貢献者になることを目指すカリキュラムになっていて、メンターのワークショップ + プロジェクトという2段構成になっています。
詳細はこちらです。学生の方はぜひ応募してみてください。
■ Last Week in Crypto
ポッドキャスト(1月3日号)では話していたプロジェクト Kakarot が、プレシードで資金調達をしました。StarkwareとLambdaClassが支援していますが、Vitalikが支援しているのも珍しいです。
Kakarotは、StarkNet上でEVM環境(zkEVM)を開発するプロジェクトです。
最初のフェーズでは、StarkNet L2 にEVM互換をもたせるように機能し、開発者は、SolidityコントラクトをStarkNet上に直接デプロイすることができます。エンドユーザーはEthereumと同じように使うことができ、Metamaskなども利用できます。
その次のフェーズでは、StarkNetのL3としてzkEVMが展開されます。 Madaraというシークエンサーを作るプロジェクトと共同で開発し、Madaraのシークエンサーが Ethereum以外のDAレイヤー(Celestia や EigenLayerなど)を使えるようになることで更にガス代が削減される予定です。
ちなみにMadaraはStarkNetエコシステムのオープンソース貢献者たちが作っている「シェアード・シークエンサー」ですが、StarkNetにはこういったオープンソース貢献者が多くいることが強みになっています。
画像: Madaraドキュメント
そしてその次のフェーズとしては、EVMと等価性を持つ「タイプ1」のzkEVMも作ることができるとしています。
この「タイプ1」とは、EVMとの互換性の度合いを表すもので、Vitalikがブログにまとめていますが、それによると以下のようにカテゴリ分けされます。
タイプ1: Taiko, PSEが開発しているもの
タイプ2: Scroll, Polygon zkEVM
タイプ3: Scroll, Polygon zkEVMの今のバージョン
タイプ4: zkSync, StarkNet
画像: Vitalikブログ
タイプ1に近づくほど、EVMとの互換性が高くなり、タイプ1ではほぼ同等に扱うことができます。
そのため、Kakarot zkEVMがタイプ1になると、「Madara×Kakarotのフルノード内でEthereumのコンセンサスルールをCairoで記述する」といったことが可能になると説明されています。
2.Announcing Magic’s $52M Strategic Funding Round led by PayPal Ventures
Magic は、$52Mドルを調達しました。
PayPal Venturesがリードで、Cherubic、Synchrony、KX、Northzone、Volt Capitalも参加しています。
企業がMagicを利用すると、そのエンドユーザは「メールやソーシャルメディアのアカウント」を使って、アプリ内ウォレットを作ることができます。
すでにけっこう使われているので、見たことがある人もいるかもしれませんが、音楽、ファッション、ゲームなど色々な分野のアプリで、これまでに2,000万以上のウォレットが作られているそうです。
3.Demox Labs raises $4.5M, readies private crypto wallet
Aleoのウォレットである Leo Wallet(開発元はDemox Labs)が、$4.5Mドルを調達しました。HackVCがリードになり、Coinbase VenturesやOpenSeaなどが参加しています。
Aleoはゼロ知識証明を使った、プライバシーのあるL1チェーンです。このLeo Walletもプライバシーファーストのウォレットになっています。
現在はテストネットで送金を試すことができますが、証明の生成に時間がかかっているのかトランザクションが完了するまでにかなり時間がかかります。Aleo自体は今年にはメインネットローンチする予定になっています。
4.The end game for liquid staking tokens
Prismaが資金を調達しました。金額はあきらかになっていませんが、Curveの創設者、Convexの創設者、OKX Ventures、DeFiDad、MrBlock、Impossible Finance、0xMaki、GBVなど多数の投資家が参加しています。
Prismaでは、リキッドステーキングETH(stETHなど)を担保にしたステーブルコインacUSDをミントすることができます。そしてEthereumのステーキング報酬に加えて、CurveとConvex Financeでのインセンティブがあり、CRV、CVX、PRISMAを受け取ることができます。
Liquityのコードがベースになっていて、Prisma DAOがパラメータやトークンの排出量、プロトコル手数料を決めていく予定になっています。最初は以下のトークンをサポート予定です。
stETH (Lido)
cbETH (Coinbase)
rETH (Rocket Pool)
sfrxETH (Frax Ether)
bETH (Binance)
そして今後数週間のうちに、ローンチ方法やトークンモデルが明らかになる予定です。
5.Spinamp raises $1.2M to build Music NFT Player
音楽NFTのアグリゲーターと音楽プレーヤーを開発する Spinamp が、$1.25Mドルを調達しました。
Palm Tree Crew がリードで、Coop Records、Archetype、NoiseDAO、Fire Eyes DAO、1kxなどが参加しています。
Spinampは、音楽NFTのアグリゲーターで、Sound、Catalog、Zora、Arpeggi、Songcampなど30以上のプラットフォームやコントラクトから音楽NFTを集約してインデックス化します。
また音楽プレイヤーとしても機能し、ユーザは音楽を聴きながら、NFTを集めることができます。そのため「Spotify + OpenSea」のようなものと説明されています。
キュレーター報酬
またSpinampのプロフィールは、色々なプラットフォームの音楽を1つのプロフィールにまとめて、カタログを1か所で簡単に見ることができます。
音楽キュレーターには、「Spinamp Rewards」という報酬があり、Spinampのプレイリストを通じて誰かが曲のNFTを集めたときには、ミントの一部を受け取ることができます。
さらにSpinampは、音楽NFTのデータを蓄積し、APIやSDKで利用できるようにするインフラを開発していて、それを使うことで音楽NFTを使ったアプリケーションを簡単に開発することができます。
ゼロ知識証明を使ったIDオラクル zkMe は、$2Mドルを調達しました。
Circle Venture、Spartan Group、CMS Holdings、Fenbushi Capital、NGC Ventures、Arkstream Capitalが参加しています。
zkMeはIDのプロジェクトで、ユーザはzkMeのモバイルアプリを使って、自分のデータを匿名化し、プライバシーを損なうことなくそれを共有することができます。
具体的なユースケースとしては、エアドロップの複数アカウントの防止や、GameFiのための匿名ウェブデータ認証、DeFiのためのプライベートKYCコンプライアンスなどが挙げられています。
流れとしては、ZK証明がMPCノードのネットワークによって検証されたあと、SBTがユーザーのウォレットにミントされます。そしてDApps側は、SBTをもとにzkMeネットワークから「ユーザーが18歳以上であるかどうか」など質問に Yes か No の回答をとってきます。こうして機密データにアクセスせずにユーザーが基準を満たしているかどうか確認できるようです。
7.DeGame launches proof-of-contribution platform after raising $6.5M
GameFi / NFTのデータアグリゲーターDeGameは、$6.5Mドルを調達しました。
Folius Ventures、Kenetic Capital、A&T Capitalがリードし、NGC Ventures、Hack VC、Hashkey Capital、Avalanche、Sfermion、Bixin Ventures、Ranger Protocolなどが参加しています。
DeGameは、ユーザーの行動やアクションを記録・検証して、アルゴリズムによって「貢献の度合い」を算出します。
利用するプロジェクト側は、「貢献の度合い」をもとに、ホワイトリストを与えたり、プロジェクトのNFTやトークンをわたすことができます。
Fusionistが$6.6Mドルを調達しました。Binance Labsとゲーム大手のFunPlusが共同でリードしています。
FusionistはSFゲームで、2800年代の地球が舞台となって、住める惑星を見つけて人類を銀河に送り出すというゲームシリーズです。すでに3つのNFTシリーズの出していて、コミュニティもできています。
9.Introducing the Levitation Protocol: SKALE's Solution for Decentralized Zero Knowledge Proofs
以前からあるプロジェクトのEthereumサイドチェーンSkaleが、新しいzkロールアップ「Levitation Protocol」をリリースしました。
Levitation Protocolのために、SKALE Gという専用のL1チェーンも立ち上げる予定だそうです。
10.The Anoma Foundation Announces the 3rd Fundraise for Anoma
Anoma が$25Mドルを調達しました。
CMCC Globalがリードし、Electric Capital、Delphi Digital、Dialectic、KR1、Spartan、NGC、MH Ventures、Bixin Ventures、No Limit、WAGMI、Plassa、Perridon Ventures、Anagram、Factorなどが参加しています。
分散型アプリを開発するときに使えるプラットフォームAnomaと、プライベートなトランザクションができるレイヤー1のブロックチェーンNamadaを開発しています。
Anomaのユースケースとしては、DEXやDeFiアプリ、分散型シークエンサーなどを開発することに利用できる、としています。
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