a16zと英国
a16zがイギリスにオフィスを作り、初めて米国外の拠点をつくることを発表しました。
イギリス政府(とくにRishi首相)がクリプトに前向きだ、という話は、前にポッドキャストで話しましたが、この観点からイギリスに拠点をつくることにしたようです。
ガイドラインが明確化されないアメリカとは対照的に、イギリス規制当局は以下のように打ち出しています。
業界と協力して、分散型・集中型サービスのリスク性質がどのようなものか特定する
ブロックチェーン技術の将来のための基礎をつくる
(一時的に規制から免除する)サンドボックスの制度をつくる
結果ベースのアプローチに集中する
同時に「消費者保護」を規制の中心にする
というもので、web3企業を惹きつけたいことがわかります。
またa16z のアクセラレターである「Crypto Startup School」は、次回ロンドンで開催することも発表しています。
イギリス以外の話で言えば、ヨーロッパでもMiCA という規制ガイドラインが承認され、来年から有効になります。
また海外からは日本もポジティブに見えているようで、例えばa16zを辞めてHaunVenturesをたちあげたKatie Haun氏が日本に来て、政治家と話をし、ポジティブなコメントをツイートしています。
そして「アメリカの政策立案者も、日本を見習ってほしい」というメッセージを発信しています。
EigenLayerのローンチ
ニュースレターやポッドキャストで何度も触れてきたEigenLayerが、先週メインネットでローンチされました。
まずは stETH や rETH のようなステーキングETHの保有者が、リステーキングできるようになっています。
リステーキングをすると、スラッシュのリスクは高くなりますが、追加の利回りを得ることができるようになります。
まずは合計9600ETHという上限つきでローンチされましたが、1日も経たずに上限に達してしまいました。この制限は、数週間から数ヶ月で徐々に引き上げられる予定になっています。
■ Last Week in Crypto
a16zがロンドンに拡大する発表と合わせて、ロンドン拠点のプロジェクトであるGensynのシリーズAをリードしたことも発表しました。
$43Mドルの調達で、他にCoinFund、Canonical Crypto、Protocol Labs、Eden Block、Maven 11なども参加しています。
Gensynは、AIや機械学習のために、計算力の買い手と売り手を繋ぐマーケットプレイスとなるブロックチェーンです。
AIには大きな計算能力が必要ですが、Gensyn経由で、開発者は世界中のハードウェアの計算力を使うことができ、その都度オンデマンドで支払うことできます。
そして一般ユーザとしては、例えばMacBookやiPhoneを充電している時や、ゲームPCが使われてないときに、ネットワークに計算力を提供し、報酬を得ることができます。
現在はアーリーアクセスに応募することができます。
計算力を提供する側: https://www.gensyn.ai/form-supply-compute
計算力を使う側: https://www.gensyn.ai/access-compute
ちなみにライトペーパーによると、Polkadot上のブロックチェーンとしてローンチされるようです。
a16zがPolkadotエコシステムのプロジェクトに投資するのは初めてかもしれません。
2.ResearchHub Raises $5m To Help Scientists Monetize Their Research
CoinbaseのCEOである Brian Armstrongが去年つくった会社「ResearchHub」が、$5Mドル調達しました。
Boost VC、RedHatのBob Young氏、VercelのGuillermo Rauch氏、Y CombinatorのGarry Tan氏などが支援しています。
ResearchHubは、DeSci(Decentralized Science)領域のプロジェクトで、「アカデミックなコンテンツを共有する科学者に報酬を与えるソーシャルネットワーク」です。
ResearchHubで良いコンテンツを公開した人は、報酬としてResearchCoin(RSC)というトークンを獲得することができます。
うけとったRSCを使って、研究タスクをする他の科学者に報酬を与えるバウンティを作ることができます。
現在のところ獲得したRSCは、論文の査読、質問への回答、フィードバックなどの報酬として使われています。
3.Decentralized Identity Startup Intuition Raises $4M in Funding Round
データプロトコルのIntuitionは、$4Mドルを調達しました。
Superscryptがリードし、Shima Capital、Avon Ventures、WW Ventures、Matrixport Ventures、Polygon Ventures、ConsenSysなどが参加しています。
Intuitionは、事実にかんする「証言」にインセンティブを与えるシステムです。
この証言とは「attestation」と呼ばれるもので、「この人は、このプロジェクトの創業者だ」のような人やモノに関する情報を、ユーザーが提供して、報酬を得ることが出来ます。
そして蓄積されたデータ(attestationや関係図)は、開発者が参照することができ、自分のアプリで活用することができます。
前に書いたことのある「web3ウィキペディア」に近いかもしれません。
まずは「ナレッジグラフ・エクスプローラー」が作られて、人気のあるウォレット内のアドレスに関するデータを、人間が読める形で表示する予定です。
4.BoomFi raises $3.8M Seed to lead the charge in crypto payments for the utility era
BoomFiが$3.8Mドルを調達しました。こちらもロンドンの企業です。
White Star Capital、Kraken Ventures、GSRなどや、Mantle Network、Moonpay、Layer Zeroの創業者などが参加しています。
BoomFiは、決済処理プラットフォームで、一括払い、定期払い、請求書などの支払いを可能にします。
利用する企業としては、ノーコードで色々なチェーンのトークンを受けつけることができます。
またマネーロンダリング防止(AML)とテロ資金対策(CTF)のために、トランザクションは自動でチェックされるので、コンプライアンスを維持しながら利用することができます。
5.Salesforce Ventures leads $6 million fundraise for NFT data platform Mnemonic
Mnemonicが、$6Mドルを調達しました。
Salesforce Venturesリードし、Polygon Ventures、Orange DAO、FIN Capital、FJ Labsが参加しています。
Mnemonicは、APIを通じてNFTやウォレットなどのデータを提供するプラットフォームです。
現在はEthereum、Polygon、Optimism、CoinbaseのBaseをサポートしています。
6.Ironforge raised $2.6 million in pre-seed funding
Solanaチェーンの統合を簡単にするIronforgeが、$2.6Mドルを調達しました。
Reciprocal Venturesがリードし、Hash3、6th Man Ventures、Alchemy、Monoceros Ventures、Portage Venturesが参加しています。
IronforgeはSolanaを利用する開発者むけツールで、アカウントデータを安く検索するなどよく使われる機能を提供し、Solanaチェーンの統合を簡単にすることができます。
7.Interoperability startup Connext raises $7.5 million
インターオペラビリティのプロジェクトConnextが、$7.5Mドルを調達しました。バリュエーションは$250Mドルとなっています。
投資家には、Polychain、Coinbase Ventures、NGC Ventures、Ethereal Ventures、Polygon Ventures、IOSG Ventures、Fenbushi Capital、KXVC、a_capital、No Limit Holdings、1kx、Hashed、Factor、Scalar Capital、Dokia Capitalが参加しています。
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