■ Last Week in Crypto
1.INTRODUCING WORLD ENGINE BY ARGUS
ゲームインフラのプロジェクトArgusが、$10Mドルを調達しました。
a16zでGPをやっていたKatie Haun氏が立ち上げたファンド Haun Ventures がリードとなり、Robot VenturesやBalaji氏などが参加しています。
Argusは最初のプロダクトとして、オンチェーンゲームのためゲームエンジン「World Engine」を発表しています。
ゲーム特化のL2を立ち上げることのできるSDKで、ゲーム開発者が独自のゲーム世界を開発することができます。そしてそのL2同士は相互運用性をもちます。
背景
共同創業しているのは、Ethereum初のフルオンチェーンMMORTSゲーム「Dark Forest」を共同で開発した人です。
Dark Forestをつくった経験から、「フルオンチェーンゲームを開発するのは多くのゲーム開発者にとって難しい」と感じたようです。
ブロックチェーンの制限によって、多くのゲーム開発者はゲーム内アイテムをNFTとしてオンチェーンに置くだけで完結してしまい、フルオンチェーンのゲーム開発者でも、シンプルな戦略ゲームやターン制のゲームを開発しているのが現状です。
そこで、オンチェーンゲーム特化のL2を簡単に立ち上げられるSDKを作ることにしたそうです。
Argusのアーキテクチャー
Argus を使って作られるゲーム用L2は、それぞれが水平方向に繋がり、相互運用性を持ちます。
またArgusでは「ゲームの実行」と「スマートコントラクトの実行」が切り離されていて、ゲームの実行は「ゲームシャード」、スマートコントラクトの実行は「EVMシャード」で行われます。
このおかげで、ゲーム用の特化したVM設計ができ、ブロックチェーンの相互運用性を維持しながら、ゲームサーバーに必要な性能を得ることができます。
具体的には、
高いサーバーの更新頻度(Tick Rate)
Solidityを学ぶ必要がなく、Goなどでゲームロジックが書ける
レイテンシーのあるインデクサーに依存しないで良い
などの利点を得ることができます。
またUnityやUnrealなどの既存のゲームエンジンと統合できるため、複雑なブロックチェーン統合をする必要がありません。
EVMシャード
スマートコントラクトを実行するEVMシャードのほうは、EVM互換をもつので、Ethereumの開発者ツールやウォレットを使うことができます。
またBerachainが開発したEVMフレームワーク「Polaris」を使っているおかげで、「ユーザーのガス代を補助する」「コントラクトデプロイをゲーム化する」などの柔軟なカスタマイズができるようになっています。
個人的にオンチェーンゲームは、ゲームというより「もうひとつの世界」として見ています。最近では「Autonomous World」(AW)という呼び方をする人も増えてきました。Argus登場によって、オンチェーンゲーム特化のロールアップが簡単につくれるようになることで、AWのトレンドも加速していくかもしれません。
2.Sam Altman joins investors in $19 million round for crypto life insurance startup
BTC建ての生命保険をつくるmeanwhileは、2つの投資ラウンドで合計$19Mドルの資金調達を発表しました。
最初のラウンドは、OpenAI CEOでWorldcoin創業者のSam Altmanと、Stripeの元発行責任者のLachy Groomがリードし、2つ前のラウンドはGoogleのAIファンドであるGradient Venturesがリードし、6 mans venturesなどが参加しています。
meanwhileの最初の商品は、「AIを活用したビットコイン建ての生命保険」を開発するようです。
BTCをたくさんもっている人むけの商品になっていて、保険料の支払いも、払い出しも、すべてBTC建てになります。
保険料は状況によりますが、目安として、「35歳の健康な男性が、10ビットコインの保険料で、25ビットコインの死亡保障を購入できる」という例が書かれています。
3. HyperPlay Announces $12M Series A Investment
Web3ゲームランチャーであるHyperPlayは、$12Mドルを調達しました。
ConsenSysと、Griffin Gaming Partners、BITKRAFT Venturesが共同リードとなり、Delphi、Game7、Mirana Ventures、Monoceros Venturesなどの投資家が参加しています。
HyperPlayはツールを開発していて、MetaMaskウォレットをどのweb3ゲームにも使えるようにし、ゲーム開発者側はMetaMaskを使った新しいゲーム体験を提供できるようになります。
またHyperPlayはゲームストアのアグリゲーターも展開しています。
HyperPlayがゲーム内に手数料を課すことはなく、ビジネスモデルとしては、オンランプやスワップなどのオプション機能で収益化する予定です。
ちなみにゲーム重視のL2であるMantle(BitDAOで開発中のL2)では、特別な機能をのせると発表しています。
4.Informal Systems raises $5.3 million in first funding round
Informal Systems が $5.3Mドルを調達しました。CMCC Globalがリードで、Nascent、Maven11などが参加しています。またCelestiaやEigenLayerなどからエンジェル投資家も参加しています。
Informal Systemsは、Cosmosエコシステムのコア開発チームです。
CosmosエコシステムのチェーンがCosmos Hubのセキュリティを借りられるInterchain Securityの開発など、Cosmosエコシステムのいろいろなプロダクトをしてきています。
またCollaborative Finance(CoFi)という「企業向けに流動性システムを提供する」プロジェクトもあり、近々ホワイトペーパーが発表される予定です。
5.Aave’s Lens Protocol raises $15M to build the decentralized social web
分散型ソーシャルのプロトコル Lens Protocol が$15Mドルを調達しました。
IDEO CoLab Venturesがリードし、General Catalyst、Variant、Blockchain Capital、Flamingo DAO、DAOJones、Punk DAO、DAO5、Global Coin Researchなどが参加しています。
Lensの概要については1年半ほど前に書いていますので、こちらもご覧ください。
開発しているのはAaveのチームで、Lensとしては初めての調達になりますが、今後どのようなことを予定しているかは明らかにされていません。エコシステムも出来てきているようなので、Lensを使ったアプリを増やすために資金をつかっていくのだと思います。
6.Taiko Labs raises $22 million in funding to build an Ethereum-equivalent (Type 1) ZK-EVM
zkEVMを開発する Taiko が$22Mドルを調達しました。
Sequoia ChinaとGenerative Venturesがリードし、BAI Capital、GGV Capital、GSR Markets、IOSG Ventures、Kucoin Ventures、Mirana Ventures、OKX Ventures、Skyland Ventures、Token Bay Capital、Yunqi Partnersなどが参加しています。
TaikoはzkEVMを開発していますが、先週かいた分類でいうところの「タイプ1」のzkEVMを開発しています。
また前にこのメルマガで触れていますが、Taikoの共同創設者は、2017年にアプリ特化型zkロールアップ(Loopring)を最初に作った人たちです。
Noriというプロジェクトが、$6.25Mドルを調達しました。M13、トヨタ・ベンチャーズ、Placeholder、Cargillなどが参加しています。
Noriは二酸化炭素の排出を削減するために、ブロックチェーン上で炭素クレジットのやり取りを行うマーケットプレイスです。
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☕ バックナンバー:
#285 Bspeak! 2023年6月5日号 StarkNet上のzkEVM「カカロット」
#284 Bspeak! 2023年5月29日号 バリデーターが報酬を得られるオークションシステム
#283 Bspeak! 2023年5月22日号 ZKビッグデータ
#282 Bspeak! 2023年5月15日号 プライベートなブリッジを可能にする『webb』
#281 Bspeak! 2023年5月8日号 すべてを兼ね備えるAztecの新ロールアップ
#280 Bspeak! 2023年5月1日号 ロールアップ間のやりとりをするレイヤー「Omni」
#279 Bspeak! 2023年4月24日号 DeFi特化のL1チェーン「Berachain」
#278 Bspeak! 2023年4月17日号 Web3動画ミーティング「Huddle01」
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