Optimismのバグ発見と修正
Ethereum L2として利用が進んでいるOptimismですが、致命的なバグが見つかり修正したことを公表しました。バグを報告したJay Freeman氏は、$2Mのバウンティを受け取ったそうです。
先週のwormholeのように悪用されて大金が抜かれる可能性もあったので、大きなネットワークでもまだまだ過渡期ということを再認識しておきましょう。
■ Last Week in Crypto
Aaveの開発チームからソーシャルグラフのプロトコル『Lens Protocol』が発表されました。Aaveの創業者Stani Kulechov氏がLisconで予告していたものです。
機能を書いていきますが、クリプト時代のソーシャルメディアという感じで面白いです。
Lens Protocol の概要
Polygon上の分散型ソーシャルグラフで、これを使うことでWeb3ソーシャルプラットフォームを開発することができます。
フォロー・フォロワーなどの関係性(ソーシャルグラフ)をユーザーが所有します。コンポーザビリティを持つため、色々なアプリが簡単に参照したり新しい機能を追加することができます。
web3のソーシャルグラフの良いところは、CyberConnectのときも書きましたが、「プラットフォーマーのアルゴリズムやポリシーの変更によって、クリエーターがコンテンツや購読者や収入を突然失ってしまうリスク」が軽減される点だと言えます。
主な機能
・プロフィールNFT
プロフィールがNFTになり、ユーザが作成した全ての投稿、コメント、ミラー(後述)、コンテンツの履歴が含まれます。マルチシグウォレットを使ってDAOのプロフィールNFTを持つこともできます。
・フォローNFT
誰かをフォローすると、フォローNFTを受け取ります。これは面白く、例えば「先週の時点までにあるDAOをフォローしているアドレスは、ガバナンス投票に参加できる」、とか、「エアドロップを受け取れる」などの使い方もできると思います。またそういう権利が出ると、希少性がでて市場で取引もされるはずです。
・パブリケーション
IPFSに対応していて、写真、音楽、動画など様々なフォーマットを投稿し、共有することができます。
・コレクト
フォローしている人のパブリケーションを集めることができます。ユーザが価格を設定して、それらのコンテンツを誰でも買ったりすることができるようです。
・ミラー
リツイートのような機能ですが、パブリケーションを再共有できます。レベニューシェアのような機能で、宣伝したコンテンツが売れたらその一部を受け取れるようです。
Lens Protocolはオープンソースで誰でも使うことができますが、例を示すためにLens protocolチーム自身もソーシャルアプリを開発しているらしく、2022年第1四半期にリリースされる予定になっています。
2.GIP-29: Spin-off safeDAO and Launch SAFE Token
Gnosisプロトコルが、Gnosis Safeをスピンアウトさせると発表し、投票が行われています。
このGnosis Safeとは、「マルチシグを利用できるコントラクト・ウォレット」で、あまり知られていないかもしれませんが、ほとんどのDAOで利用されています。
Curve、Aave、ChainlinkなどのDeFiのトレジャリーも利用していますが、DAO管理ツールでもだいたいはGnosis Safeを統合しているため、とても大きな金額がGnosis Safeによって管理されています。
Duneで見てみると、現状で $100 billion ほどがGnosis Safeを使って保管されています。
SAFEトークン
2月16日までの投票で可決されると、Gnosis Safeは、Gnosisからスピンオフし、SafeDAOというスイスの財団として運営されていきます。
同時にSAFEトークンというガバナンストークンが発行され、以下のような割当がされる予定になっています。Cowswapのトークン発行と配布と同じように、ある程度がGnosisDAOに割り当てられています。
ユーザのエアドロップもありますが、エアドロップの資格を得るためには2月15日までにGNOトークンをロックするようにGnosisの共同設立者は言っています。
なお、2月15日までにトークンをロックしたGNOホルダーは、CowSwapのエアドロップの対象にもなります。
3.Creator of Vine and Loot raises $12 million for NFT-powered sci-fi project
SFプロジェクト「Blitmap」を開発するSup社が、$12Mドルのシード資金を調達しました。Paradigmがリードになっています。
Blitmapについては、3ヶ月ほど前に書いたので、ぜひ読んでほしいですが、Ethereumに全データが格納されたNFTで、それらが使えるSF世界(+ゲーム等)を作っています。「ゲーム内の敵キャラクターのデザイン」などをコミュニティで決めていっています。(参照:Bspeak! 2021年12月13日号 Blitmapにみる未来のエンターテインメント)
また今回の調達についてコミュニティ・コールを聞いていたのですが、Sup社は今 Dom hofmann と Bigpapa の2名の会社だそうです。そしてスケールさせるために今回の調達をし、Blitmapや他のプロジェクトを拡大させるとのことでした。
具体的には、スターウォーズやハリーポッターのような『メディア・フランチャイズ』をコミュニティ主導で作ることが目標のようです。
つまり仮想の世界をつくり、そこから映画や本やゲームやグッズなどの派生作品を持たせていくモデルですが、「すべてをCC0にして著作権を放棄し、インセンティブを追加し、コミュニティ主導で決めていく」という点が新しいのです。
4.MetaStreet Raises $14 Million in Seed & Initial Liquidity Capital to Help NFT Debt Scale
NFT担保のレンディングに流動性を提供するMetaStreetが、$14Mドルを調達しました。NFTレンディングの流動性に$11Mドル+チームの運営に$3Mドルという内訳になっています。
投資家は、Dragonfly Capitalがリードとなり、Ethereal Ventures、Sfermion、Nascent Capital、Delphi INFINFT、Alliance、Animoca Brands、など多く参加しています。
MetaStreetは、NFTfi.com上の最大の資金提供者です。固定金利のNFT担保ローンの引受・実行プロセスを自動化することで、NFT担保レンディングの大事な要素をサポートしています。
5.SO-COL RAISES $1.75M IN SEED FUNDING TO EMPOWER CREATORS AND THEIR COMMUNITIES
Discord、Snapshot、OnlyFansに代わる分散型サービスであるSO-COL(Social Collectables)が $1.75Mドルを調達しました。
DeFiance CapitalとAnimoca Brandsが共同でリードし、Three Arrows Capital、Mechanism Capital、Global Founders Capital、Double Peak Group、Antifund、Genblock Capital、Kronos Researchが参加しています。
SO-COLは、クリエーターがNFTを使ってコミュニティを管理し、交流できるようにするプラットフォームです。StarkWareのStarkExを使って、ユーザーのオンボーディングや支払いなどを、安く速くするそうです。また独自の分散型ID(DID)プロトコルも構築しているとのことです。
ちなみにSO-COLの共同創業者は Irene Zhao氏というインフルエンサーで、最近は「IreneDAO」で有名になっています。
6.RareRound closes $1M Seed Round — Bet NFTs, Play Games, Win others’ NFTs
RareRoundは $1M のシード資金を調達しました。Mechanism Capitalや、dcfgodなどが参加しています。
RareRoundは、NFTを賭け金とするオンラインゲームのプラットフォームを開発しています。カジノにあるようなゲームをプレイしながら、好きなNFTをかけることができ、他のNFT保有者と対戦して買った側がNFTを受け取るというものになるようです。
最初のゲームは「Dice」で、1対1、3対1、4対1、5対1のサイコロゲームを行うことができます。その後、チェスやブラックジャックなどを追加予定になっています。
また長期的には、ゲームプラットフォームだけでなく、GameFiでのミドルウェアプロトコルになることを目指しています。
初日からコミュニティのDAOによって運営され、ゲーム、新機能、料金、デザインなどをコミュニティが決定していくそうで、まずは2022年第2四半期にプラットフォームをローンチ予定になっています。
7.Privacy-focused blockchain project Aleo raises $200 million from SoftBank, Tiger, and others
ゼロ知識証明技術を使ったプライバシー重視のブロックチェーンAleoは、$200Mを調達しました。ソフトバンク・ビジョン・ファンドとKora Managementが共同で参加し、Tiger Global、a16z、Samsung Next、Slow Ventures、Sea Capitalも参加しています。
4月の回でも少し書きましたが、「Zcashの匿名性をもち、Ethereumのプログラマビリティをもつ L1」を開発しています。
Zexe(Zero-knowledge execution)という、ゼロ知識証明(ZKP)を利用したAleoのスマートコントラクトを使うことで、トランザクションをオフチェーンで処理し、その証明のみをオンチェーンで検証します。
そうすることで、L1では処理する情報量を減らせるため、スケールし、かつプライバシーを持つことができます。
またEthereum開発者のプログラミング言語であるSolidityの代わりに、Leoと呼ばれる新しいプログラミング言語が採用されています。
8.DAO Liquidity Provider Raises $18M in Round Led by Pantera Capital
DAOのトークンに対して、流動性提供をするRift Financeは、$18Mを調達しました。
Pantera Capitalがリードし、Coinbase Ventures、Two Sigma Ventures、Spartan Group、Defiance Capital、Hashed、Jump Capital、Vessel Capital、Morningstar Venturesが参加しています。
エンジェル投資家には、TerraのDo Kwon氏、AaveのStani Kulechov氏、PolygonのSandeep Nailwal氏などがいます。
最近は流動性マイニングの代替ソリューションとして、FeiやTokemak, OlympusなどのLaas(liquidity as a service)が増えてきていますが、Riftもその1つと言えます。
まだ詳細の情報は見つからないのですが、Riftを利用するDAOのガバナンストークンと流動性プロバイダーからのETHをペアにし、(調整して)DEXに流動性を提供するようです。
流動性の提供者としては、二重の報酬を得ることで、かつILのリスクを軽減することができ、DAO側からすれば、所有権を放棄せずに、トークンの流動性を高めることができます。
またRiftは、Riftエコシステム上のDAOへのデポジットする早期アクセスのウェイトリストも公開しました。今後の予定は、Terra、Avalanche、Fantomなどの追加のL1で流動性インフラをローンチ予定です。
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☕ バックナンバー:
#216 Bspeak! 2022年2月7日号 Squeethの『カニ戦略』
#215 Bspeak! 2022年1月31日号 Web3ソーシャルメディア『Solcial』インタビュー
#214 Bspeak! 2022年1月24日号 動いて稼ぐ『Move to Earn』
#213 Bspeak! 2022年1月17日号 ve(3,3) の『Fantomエコシステム配布』
#212 Bspeak! 2022年1月10日号 NFTとDAOとスポーツ
#211 Bspeak! 2022年1月3日号 Arbitrum上のステーブルコインSperax
#210 Bspeak! 2021年12月27日号 Ethereum2.0前の最終テストネット『Kintsugi』
#209 Bspeak! 2021年12月20日号 音楽NFT『Sound』の仕組み
#208 Bspeak! 2021年12月13日号 Blitmapにみる未来のエンターテインメント
#207 Bspeak! 2021年12月06日号 NFTコミュニティ向けツール『Islands』
#206 Bspeak! 2021年11月29日号 メタバース土地NFTの取引
#205 Bspeak! 2021年11月22日号 Siloインタビュー / 分散型ソーシャルグラフCyberConnect
#204 Bspeak! 2021年11月15日号 Tempusインタビュー
#203 Bspeak! 2021年11月8日号 Aave v3でレンディングはどう変わるか?
#202 Bspeak! 2021年11月1日号 Facebookメタバース内のNFTとは?
#201 Bspeak! 2021年10月25日号 目をスキャンして受け取る『Worldcoin』
#200 Bspeak! 2021年10月18日号 NFTの共同投資を簡単にする『Koop』とは
#199 Bspeak! 2021年10月11日号 レンディング・プール『Fuse』でできること
#198 Bspeak! 2021年10月4日号 マイアミ市がうけとった『MiamiCoin』とは何か?
#197 Bspeak! 2021年9月27日号 ソーシャル投資プラットフォームのPrysm
#196 Bspeak! 2021年9月20日号 オラクルを利用したブリッジ『LayerZero』
#195 Bspeak! 2021年9月13日号 NFTの分割&売買プラットフォーム『SZNS』
#194 Bspeak! 2021年9月6日号 Lootの熱狂と起きていること
#193 Bspeak! 2021年8月30日号 音楽投資プラットフォーム『Royal』とは
以降もSubstackのアーカイブからご覧ください。