POLトークン
ちょうど先週、Polygon2.0について、「PolygonのネイティブトークンというのがMaticのことなのか、新しいトークンができるのかはまだ明らかになっていません」と書きましたが、それについての答えが発表されました。
POLというトークンが新しく作られ、MATICトークンから移行する(1:1で交換する)そうです。
ちなみにzk ValidiumのDAは、このPOLがステークされたバリデータによって守られることになるので、crypto economicセキュリティは、Ethereum L2といってもETHの時価総額ではなく、POLの時価総額に依存すると言えます。
CeloのEthereum L2移行
比較的大きいレイヤー1ブロックチェーンであるCeloが、Ethereum L2に移行する提案をしました。提案といっても開発元であるcLabsからの発表なので、ほぼこの通り実施されると思います。
このタイミングでL2に移行する理由としては、「EigenLayerによってコストの低いDAレイヤーが可能になったこと」また「OP StackによってL2を作りやすくなったこと」をあげています。
そのためアーキテクチャーとしては、OP Stackを使いつつカスタマイズを加え、(すでに3年間実環境で使われてテストされた)CeloのpBFTコンセンサスを使い、DAにはEigenDAを使う予定になっています。
また将来的には、zkのフレームワークが成熟してきたら、zkEVMベースの Validiumに移行する可能性があることが触れられています。
以前ポッドキャストで、「多くのL1は長い期間にわたってバリデータにインセンティブ付けしてセキュリティを保ち続けるのは難しい」という話をしましたが、そういった理由からも長期的にL2に移行するところが出てくると予想しています。
■ Last Week in Crypto
1.A.I. and crypto hybrid Giza raises $3 million to bring machine learning to the blockchain
Gizaがプレシードで$3Mドルを調達しました。
CoinFundがリードで、StarkWare、TA Ventures、TechCrunch創業者のベンチャーキャピタルであるArrington Capitalが参加しています。
Gizaは、機械学習モデルをオンチェーンで利用できるようにするプラットフォームで、スマートコントラクトがAIを利用し、一般化や分類わけなどをできるようになります。
例えば、アドレスがbotかどうか(本当に人間かどうか)の判断もスマートコントラクトで自動で判断できるようになるかもしれませんし、DeFiのリスク評価してパラメーターを調整するという使い方もあるかもしれません。
2023年末までにプラットフォームをローンチさせる予定です。
Klerosとのパートナーシップ
ちなみに分散型の裁判をするKlerosプロトコルというのがあります。ランダムに選ばれたトークン保有者が陪審員となり、ルールと証拠に基づいて特定のケースについて投票します。crypto economic的なインセンティブによって正しく投票する、というのが前提になっていますが、DeFi保険請求の仲裁や、DAOガバナンスなど、いくつかのユースケースがあります。
最近Gizaは、このKlerosと連携し、機械学習をつかうことで、人間のバイアスを軽減する試みをしています。これもAI×スマートコントラクトのユースケースと言えます。
2.Narval raises $4 million for platform that helps firms organize web3 assets
Narvalがシードで$4Mドルを調達しました。
BlockTower VCリードで、Fabric Ventures、First Capital、a16z(Crypto Startup School経由)などが参加しています。
Web3ウォレットの管理ツールを開発していて、「ウォレットのガバナンスレイヤー」とも説明されています。企業やプロジェクトがNarvalをつかうと、ウォレットのルールを簡単に設定することができます。
例えば「チーム内のAさんは、10ETH まで送金できる」「Bさんは アドレス0x1111…になら送金できる」のようなルールです。
3.Alluvial Drives Global Adoption of Liquid Staking with $12M Series A Raise
機関投資家むけのリキッド・ステーキング・プロトコル Liquid Collective を開発するAlluvialが、シリーズAで$12Mドルを調達しました。
Ethereal VenturesとVariantが共同でリードし、Brevan Howard Digital、Avon Ventures、Nascent Capital、a_capital、Robot Ventures、Fenbushi、IOSG、Blockdaemonなどが参加しています。
Liquid Collective は、コンプライアンスを重視する企業や機関投資家のためのプロトコルで、ETHをステークすると LsETH を受け取ります(LidoでいうstETHに相当します)。
どういう点が機関投資家むけかというと、まず機関投資家は誰と取引しているか把握する必要があるので、KYCした機関だけが参加できる許可制エコシステムになっています。
また Coinbase Cloud、Staked、Figment などの機関投資家向けプロバイダーのみを使用して、スラッシングリスクを軽減しています。またNexus Mutual が組み込まれ、スラッシングの際のリスクヘッジもついています。
このプロトコルに参加者が増えると、ステイカーとアンステイカーは内部的にマッチングされて、LsETHを売却することなく即時アンステークも可能になります。
4.Olympix raises $4.3 million to build crypto cybersecurity stack with an A.I.-powered tool
Olympixはシードで、$4.3Mドルを調達しました。
Boldstart Venturesがリードで、Robot Ventures、Shrug Capital、BlockdaemonのKonstantin Richter、Gauntlet NetworksのTarun Chitraが参加しています。
Olympixは、独自の大規模言語モデル(LLM)をつかって脆弱性をみつけることができるツールを開発しています。
5.Ambient Finance Raises Seed Round Funding
Ambient Finance(旧CrocSwap)が、シードで$6.5Mドルを調達しました。
Blocktower、Jane Street、Circle、Tensai Capital、Naval Ravikant、Yunt Capital、Susa Ventures、Quantstamp、Hypotenuse Labsなどが参加しています。
Ambient Financeは、DEXを開発していますが、CEXと同じくらい速く簡単につかえることを目指しています。
DEX全体を単一のスマートコントラクト内で実行し、個々のAMMプールは個別のスマートコントラクトではなく、軽量のデータ構造となっているため、ガス代が削減されます。
また同じプール内で、
Uniswap v3のスタイル(集中流動性)
Uniswap v2のスタイル
ノックアウト流動性(指値注文のように動作)
を1つの流動性曲線上に組み合わせているため、効率の良いスワップや指値注文ができます。ちょうどメインネットでもローンチされています。
6.Announcing Ion Protocol’s $2M Pre-Seed Round
Ion Protocolが、プレシードで$2Mドルを調達しました。
BanklessVC、HASHCIB、Foresight Ventures、Smrti Labs、Maelstrom Fund、Breed VC、Everstake Pool、Punk Ventures DAO、Builder VC、Picks and Shovels VCなどが参加しています。
Ionプロトコルは、レンディングのプロトコルで、MakerDAOのようなCDP(Collateralized Debt Position)を通じて、ステーブルコインである allETH を借り入れることができます。
その担保になるのは、リキッドステーキングのトークン(stETHなど)やリステーキングのポジションなどです。
画像:ブログ記事
7.NFT Lender Gondi Goes Live, Raises $5.3M Round Led by Hack.vc
NFTレンディングのプロトコル Gondi が、シードで$5.35Mドルを調達しました。
Hack.vc と Foundation Capitalが共同リードで、Dragonfly Capital、Pantera Capital、6th Man Venturesなどが参加しています。
Gondiでは、貸し手は固定金利でNFTを貸し出し、借り手は借りたNFTを担保にしたり、NFTベースのDeFiに利用することができます。
また借り手は、借りた後でも、良いの条件のオファーに借り換えができます。
8.Crypto-focused VC leads seed round in AI customer support startup
AwesomeQAが、シードで$2.8Mドルを調達しました。
North Island Venturesがリードで、Coinbase VenturesやUniswap Labs Venturesが参加しています。
AwesomeQAは、AIを使って、DiscordやTelegramでのユーザー質問への回答を自動化することができます。すでにAAVE、Dune、Scrollなどカスタマーサポートに利用されています。
今後は、コミュニティを作ったり成長させるためのプラットフォームを予定しています。
9.a16z crypto, Snoop Dogg join $20 million Series A funding round for web3 music firm Sound
音楽プラットフォームSoundが、シリーズAで$20Mドルを調達しました。
a16z cryptoがリードし、Palm Tree Crew、A Capital、Sound Ventures、Collab + Currency、Scalar Capital、Snoop Dogg、Ryan Tedder、Tay Keithが参加しています。
Sound は以前にも書いたことがありますが、音楽をNFTにして販売できるプラットフォームで、ユーザーはETHかクレジットカードで音楽(音楽NFT)を買うことができます。
10.Artela raises $6M in seed round to enable boundless extensibility for blockchain world
レイヤー1のArtelaがシードで$6Mドルを調達しました。
Shima Capitalがリードで、A&T Capital、Big Brain Holdings、SevenX Ventures、Dispersion Capital、Amino Capitalなどが参加しています。
ArtelaはEVM互換のあるブロックチェーンですが、拡張が可能で、開発者がモジュール式にdAppsをカスタマイズできると説明されています。今年後半にArtelaブロックチェーンのテストネットを予定しています。
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