Polygon2.0
先々週にPolygon2.0について少し書きましたが、そのアーキテクチャが公開されました。
たくさんのチェーンが利用する「共有ブリッジ」があり、そこでEthereumへブリッジすることができます。図では「Interop Layer」と書かれているこのレイヤーによって、Polygon 2.0のエコシステム全体が、単一のチェーンを使用しているように感じられるようになるそうです。これはzkSyncのハイパーチェーンが目指しているものと、ほぼ同じと考えていいと思います。
またその下のレイヤーには、Polygonのネイティブトークンをステーキングする「ステーキングレイヤー」があります。ここにはリステーキングも内蔵されていて、ユーザが複数のプロジェクトに同じトークンをステークして、追加の報酬(トランザクション手数料など)を得ることもできます。
PolygonのネイティブトークンというのがMaticのことなのか、新しいトークンができるのかはまだ明らかになっていません。
ビットコインがAIに選ばれる日
BitMEX創業者のArthur Hayesが、ブログ記事を投稿しました。「クリプトとAIの交差点」を探る3つの記事を投稿する予定になっていて、今回はその第一弾です。
以下がその3つの記事の内容です。
ビットコインはAIの通貨になる(今回の記事)
DAOとDEX。AIは企業の意味をどう変えるか
AIのデータ欲望から最も恩恵をうけるshitコイン
詳しくは、ポッドキャストで話していこうと思っていますが、今回の記事はタイトルの通り「AIが将来選ぶ通貨としてビットコインがふさわしい理由」が説明されています。
その理由をまとめてみると、
AIが必要とするのは、透明性の高い通貨
24時間うごき続ける必要がある(銀行システムは月曜日から金曜日までしか営業してないし、地域や銀行ごとに分断されている)。
AIは長生きするので、長生きする通貨が選ばれる
もちろん供給量が限られている点もプラス(金は宇宙でみつかるかもしれないし、物理的に動かしにくい。金をデジタルに扱ったとしても、政府なり金融機関を信用しないといけない)
ビットコインは電気によってのみ生成される
などです。
最後の点は、AIは電気を必要とし続けるので、AIが受け付けるお金は「AIが電気を買うのに利用できるお金でないといけない」という主張です。つまりビットコインであれば、長期間にわたって安く電気を買う購買力をAIが維持できる、としています。
そして「ビットコイン + AI」が盛り上がるかもしれないと市場が感じれば、2025年-2026年あたりに過度な熱狂が起こり、ビットコイン価格を押し上げるかもしれないとしています。(ちなみに強気シナリオでは BTC = $760,000ドル となっています笑)
おもしろい記事なので、原文を読むと良いと思います。
■ Last Week in Crypto
1.Aspecta Secured Strategic Funding Round By Spartan Group to Accelerate Ecosystem Development
デジタルIDを開発する Aspecta が Spartan から投資をうけたことを発表しました。4ヶ月前には ZhenFund、HashKey Capital、Foresight Ventures、SNZ Holdingなどから$3.5Mを調達しています。
Aspectaは「Aspecta ID」というデジタルIDを開発していますが、自分を紹介したい開発者むけに、AIを使ってプロフィールを作成する機能がついています。
LLMを使って、開発者が関わるプロジェクトのコードの品質をレビューしたり、他の専門家から指示されているかどうかを確認します。
ユーザーがGitHubのアカウントで登録すると、技術的な実績がトロフィーなどで表示されるIDページが自動生成されます。他にもStackoverflow、MetaMask、Twitterなどがデータソースとして含まれます。
将来は開発者だけでなく、コンテンツクリエイター向けにも拡張していくとしています。
2.WazirX founder's Shardeum completes $5.4 million strategic funding round
レイヤー1ブロックチェーンのShardeumが、$5.4Mドルを新たに調達しました。Amber Group、Galxe、J17 Capital、TRGC、Jsquare、Bware Labs、Tané Labs、Hyperithm Group、Luganodesが参加しています。
Shardeumは、インドの大手取引所WazirXをつくったNischal Shetty氏が共同設立したプロジェクトです。
EVMベースのL1ですが、シャーディングの技術にアレンジを加えて、ノードが増えるほど(ノードの数に比例して)スケールするというL1です。
今年の年末までにメインネットをローンチ予定です。
画像: Litepaper
3.Generative AI for Crypto Startup SuperSight Raises $1M Pre-seed to Build Crypto-Specific LLMs
ロンドン拠点のAIプロジェクト「SuperSight」が、$1Mドルを調達しました。
Blockchain Founders Fund、Animoca Brands、Druid Ventures、Emurgo、Next Gen Web 3、Vayner Fundなどが参加しています。
SuperSightは、クリプトデータに特化した大規模言語モデル(LLM)を作っています。Discord、Telegram、Twitter、Mirror、Podcast Transcripts、Newsなど、オンチェーン、オフチェーン両方の情報を、かんたんに検索できるようにします。
上の例は「この30日間で $PEPEホルダーは他に何を購入しましたか?」と質問し、回答が表示される様子です。
またリアルタイムのアラート、将来のトレンド予測、取引機能などの機能もつけています。またノーコードで、パフォーマンスの良いトレーダーを見つけたり、トークンの値動きを評価したりすることができます。
以前とりあげた Kaito.ai と競合になるプロダクトと思います。
4.Binance Labs Participates in $4M Investment in Web3Go’s New Journey
Web3Goが、シードラウンドで$4Mドルを調達しました。
Binance Labs、Hashkey Capital、NGC、Shima Capital、IVC、LIF、Big Brain Holdings、Archerman Capitalが参加しています。(Binance Labsの投資は、Binanceのアクセラレーター経由)
AIを使ったツールとデータインフラを提供しています。オンチェーンデータだけでなく、オフチェーンデータも整理し、このデータの収集や整理にインセンティブがつく予定になっています。
5.Privacy startup Ola raises $3 million in seed funding
プライバシーに特化したL2 の Ola が $3Mドルを調達しました。
Web3.com VenturesとForesight Venturesがリードし、LD Capitalなどが参加しています。
プライバシーをもつzkVMのロールアップを開発しています。2023年末までにテストネットをリリースする予定です。
6.Bitpanda Pro Rebrands, Raises $33M in Peter Thiel-Led Round
オーストリアを拠点とする One Trading が、€30Mユーロを調達しました。
ピーター・ティールが共同設立したValar Venturesがリードし、MiddleGame Ventures、Speedinvest、Keyrock、Wintermute Venturesが参加しています。
One Tradingは、高速で(250マイクロ秒以下で)注文とキャンセルができる取引所です。機関投資家と一般ユーザの両方に、デリバティブやスポット取引などを提供しています。
機関投資家のマーケットメイカー向けには、取引手数料ではなく、会員制・サブスクのビジネスモデルにするようです。
今後はヨーロッパに拡大する予定です。
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☕ バックナンバー:
#289 Bspeak! 2023年7月3日号 アプリ特化チェーンは増えていくのか?
#288 Bspeak! 2023年6月26日号 Polygon 2.0 / 流動性の集中が自動化されたAMM 等
#287 Bspeak! 2023年6月19日号 a16zが投資する「AI計算のためのブロックチェーン」
#286 Bspeak! 2023年6月12日号 オンチェーンゲーム特化のロールアップ
#285 Bspeak! 2023年6月5日号 StarkNet上のzkEVM「カカロット」
#284 Bspeak! 2023年5月29日号 バリデーターが報酬を得られるオークションシステム
#283 Bspeak! 2023年5月22日号 ZKビッグデータ
#282 Bspeak! 2023年5月15日号 プライベートなブリッジを可能にする『webb』
#281 Bspeak! 2023年5月8日号 すべてを兼ね備えるAztecの新ロールアップ
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