CoinDesk と The Block
クリプトのメディアとしてしばらくリードしてきたCoinDeskとThe Blockですが、両者とも最近になって経営体制がかわりました。
The Blockについては、アジアのVCであるForesight Venturesが約80%の株式を取得して買収しました。評価額は$70Mドルと言われています。
CoinDeskのほうは、先週Bullishという企業が買収しました。このBullishはどんな企業かというと、Block Oneという企業がローンチした取引所で、$10Bドルという桁違いの投資をうけています。このうちほとんどはBlock One自身がBTCで出資しています。(164,000BTC)
なぜBlock Oneがそこまでの資金があったかというと、2017年にEOSのトークンセールで$4Bドルという額を調達したためです。(ペトロというベネズエラの懐かしいコインがありましたが、それを入れなければ、EOSが史上最高の調達額になっています。)
その調達した金額の多くをBTCに換えて持っていたため、Microstrategy以上のBTCを持つ組織になったのです。
個人的にTheBlockとCoinDeskのメディアはよく読んでいたので、経営体制が変わって記事の内容が変わるかなどの変化が感じ取れるかもしれません。
DocuTracker
先週Tech Bureauの知り合いと話す機会があって、新しいサービスの話を伺ったのでその紹介になります。DocuTrackerというサービスで、書類などのデジタルアーカイブを証明できるものです。
DropboxやGoogle Driveなどのクラウドに保存したファイルについて、ハッシュとタイムスタンプをブロックチェーンにも保存して、ファイルの変更、削除、更新などの履歴を証明できるというものです。
個人事業主、中小企業、税理士事務所などを対象として、データやりとりの紛争防止のためにも使えるかもしれないとのことです。現在はプライベートチェーンに対応していますが、将来はEthereum等のパブリックチェーンも対応することを検討しているそうです。
■ This Week in Crypto
1.Blur founder's Ethereum Layer 2 Blast goes live in early access after $20 million raise
BlastというL2プロジェクトが、ParadigmやStandard Cryptoなどから$20Mドル調達したことを発表しました。
新規の企業というよりは、NFTマーケットプレイスBlurの創設者であるTieshun氏(別名パックマン)が中心となっているプロジェクトで、Blurと同じチームかと思います。
ちなみに2020年に自分がHandshakeドメインを使ったアプリに取り組んでいたときに、このTieshunも当時Hanshakeドメインを使ったプロジェクト(Namebase)をしていたので、どんな人か少し覚えています。ピーター・ティールのティールフェローに選ばれてMITを中退し、スタートアップを立ち上げてExit実績がある24歳の若い起業家です。
利回りのあるL2
Blastについて書くと、Optimisticベースのロールアップですが、「ネイティブ利回りのあるL2」を目指しています。これはどういうことかというと、BlastにETHやステーブルコインをブリッジすると、自動的に利回りを稼いで、残高が 1 ETH -> 1.02 ETH -> 1.04 ETH というふうに時間とともに増えていくようになります。
仕組みとしては、ブリッジしたETHが Lido経由でEthereum L1にステーキングされて、stETHの報酬がリベースされて残高に反映されます。(なので、懸念されているLidoの一極集中がさらに進んでていて、心配する声も一部ではあります)。
またUSDCやDAIなどのステーブルコインをブリッジした場合は、MakerDAOを使って利回りを稼ぎ、ユーザ残高に反映されます。(Blast上では、どのステーブルコインもUSDBというトークンにまとめられて、残高が徐々に増えていくようになるそうです)。
現在は、招待コードがある人は、ETHをブリッジできるようになっていますが、引き出しは2月までできません。またブリッジは、3 of 5 のマルチシグウォレットになっている点も注意が必要です。
エアドロップ
またBlastのトークンが、Blastにブリッジした人やBLURホルダーにエアドロップされる予定になっています。この手法について賛否両論はありますが、よく考えられていて商売が上手だと関心させられます。招待コードはいろいろなところで得られますが、自分の招待コードもおいておきます。
※上でも書きましたが、ブリッジのリスクやスラッシュのリスクなどは踏まえておいたほうがよいです。
2.Announcing Privy’s $18M Series A led by Paradigm
ウォレット管理のPrivyが、シリーズAで$18Mドルを調達しました。
Paradigmがリードし、Sequoia Capital、Blue Yard、Archetypeが参加しています。
前にも触れましたが、簡単にユーザオンボーディングするためのアプリ向けツールを作っていて、電話番号だけでウォレットをセットアップすることができます。
すでにFriendtechやBlackbirdなどで使われていて、簡単にアプリ内ウォレットを作ることができます。今後はIDプラットフォームなどを開発していくそうです。
3.Saga Announces Seed Extension Raise of $5M for Accelerated Growth
L1プロトコルのSagaが、戦略ラウンドで$5Mドルを調達しました。
Placeholderがリードで、Longhash Venturesなどが参加しています。
前にも少し触れたことはありますが、Cosmosエコシステムのプロジェクトで、アプリ特化チェーンを立ち上げられるようにするプロトコルです。
このアプリ特化のチェーンは「チェーンレット」と名付けられていて、開発者のニーズに合わせてカスタマイズできます。そしてチェーンレット間を高速でブリッジすることもできます。
4.Panoptic raises $7 million to build perpetual options platform for DeFi
Panopticが$7Mドルを調達しました。
Greenfield Capitalがリードし、HashKey、gumi Cryptos Capital、L1D、Heartcore Capital、Comma3、Zee Prime Capitalなどが参加しています。前回のラウンドでは、 Uniswap Labs Ventures、Coinbase Ventures、Jane Streetなども支援していました。
Panopticは、Uniswapの流動性を使って「パーペチュアルのオプションを取引できるプラットフォーム」を開発しています。
ユーザーは好きな2つのトークンで、パーペチュアル(満期のない)オプションをトレードすることができます。
5.Game Studio Behind Matr1x Fire Raises $10 Million for NFT Mobile Shooter
シンガポールのNFTゲーム会社Matr1xが、モバイルゲームのために$10Mドルを調達しました。
Folius VenturesとSevenXがリードし、ABCDE Capital、Jambo、Initiate Capitalなどが参加しています。
主力プロダクト『Matr1x Fire』は、ファーストパーソン・シューティングゲームです。またすでに2つのNFTコレクションをリリースしています。
今後はガバナンス権とレベニューシェア権になる3つ目のNFTも予定しています。
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