Devconnect
今週はアムステルダムに来ていて、Devconnectのイベントに参加しています。街のいたるところで、カンファレンスや立食が開催されていて、いろいろな人と出会うことができます。
ほとんどのチケットは無料で、プレゼンやパネルを聞くだけでなく、ランチやディナーをしながら意見交換をしたり人と知り合うことができるので、イベントにたまに参加することは良いことだと思います。
いろいろのぞいてみての体感ですが、zkに関心を持つ人が増えているのを感じました。zkEVMも進んでいて、来年には複数のzkEVMがメインネットで利用可能になりそうです。またStarkNetに興味をもつ開発者も増えてきていて、特にPlay to EarnだけではないオンチェーンゲームがStarkNet上に増えそうです。
気になっていたL2イベントについては満員のためチケットがとれませんでしたが、以下から録画をみることができます。
https://streameth.tv/event/l2-amsterdam
研究に関していえば、話題はMEVに移っていってる印象で、クロスチェーンのMEV、L2のMEVなどの話がされています。
またCelestiaやFuelなどのモジュラー型を志向するプロジェクトも存在感を高めています。領域に特化している分、変更や改善を素早くできるので、進化がますます進みそうです。すると将来は、アプリ固有のロールアップが、アプリの数だけ生まれる未来があります。ロールアップでなくても、DA(Data Availability)のためにオフチェーンなり別チェーンを利用する構造(validium)も増えるかもしれません。呼び方はどうあれ、要はたくさんの「実行レイヤー」が、Ethereumの上に並列して存在し、スケールするという未来です。
ちなみにMatterLabs(zkSyncの開発元)、0x、Optimismなどが主催していたハッピーアワーに参加したのですが、zkSyncの開発チームは学生が多かったです(ロシア・ウクライナの大学から、競技プログラミングの繋がりで入ってきているそうです)。英語ネイティブでなくても、また若いうちからでも、第一線で活躍できる業界だと改めて感じました。
どこも採用をすすめていて、圧倒的に開発者が足りていない状況もよくわかりました。web2の開発者よりも足りていないため、「年俸200,000USD + トークンやエクイティのオプション」のような条件も少なくありません。
■ Last Week in Crypto
1.Ethereum scaling project Scroll raises $30 million from Bain Capital and others
zk-rollupを開発する「Scroll」が$30Mを調達しました。
Polychain Capitalがリードで、Bain Capital Crypto、Robot Ventures、Geometry DAOなどが参加したそうです。またEthereum財団から複数のエンジェル投資家やAnthony Sassano氏なども参加しています。
Scrollは、「zkEVM」の研究開発をEthereum財団と一緒にやっていたので、今回の資金調達が初めてだと思っていたのですが、過去に$3Mをエンジェル投資家から調達していたようです。テストネットは今年後半に立ち上げる予定になっています。
zkEVM
Ethereum上で動いているツールやコードをそのまま使えるzk-rollup、通称「zkEVM」が最終的なスケーリングの形だ、という意見もあり、期待がされている分野です。現在zkEVMを開発しているのは、zkSync、Polygon Hermez、そしてScrollです。
それぞれでアプローチが少し異なっていて、zkSyncはSolidityが実行できるようにするコンパイラを使うアプローチです。一方でPolygon HermezとScrollは、より深いレベル(Opcode)でEVMをサポートして、高いEVM互換性を目指しています。
個人的にはScrollに期待をしているのですが、ローンチはもっとも後になりそうです。
この画像はアムステルダムでのイベントで使われていたスライドですが、EVM互換をもたせるためのそれぞれのアプローチを表しています。
ちなみに左側にStarkwareのStarkNetがありますが、StarkNetはEVM互換にあまり注力しておらず、Cairoという独自のプログラミング言語を使ったコミュニティを築いています。これも大きくなりつつあって、アムステルダムでもStarkNetやCairoの注目度の高さを感じ取ることができました。
2.Announcing a16z crypto research
a16zが、「a16z Crypto Research」という研究チームを発足させました。コロンビア大学のTim Roughgarden教授がリードになるようで、アカデミアの世界でとても有名な方なので注目が集まっています。
ちなみにTim Roughgarden教授の有名なブロックチェーンレクチャーの動画はこちらです。
そしてこの方だけでなく、a16z Crypto Researchのメンバーには、
スタンフォード大学のコンピュータサイエンス教授で、スタンフォードブロックチェーン研究センターをリードしているDan Boneh氏
ソーシャルネットワークのプライバシーと暗号プロトコルが専門の研究者Joseph Bonneau氏
スタンフォード大学の博士課程でNFT設計の専門家Benedikt Bünz氏
Diemプロジェクトで暗号学者をしていたValeria Nikolaenko氏
ハーバードMBAで経済学の准教授であるScott Duke Kominers 氏
が初期チームとして参加しています。ベル研究所や、Googleの人工知能研究機関であるDeepMindのように、大学的な組織にしていくそうです。
ParadigmやBain Capitalは強い研究チームをもつVCですが、a16zも今回の人選で一気に世界トップの研究チームを持つVCとなりました。
3.Decentralized identity startup Spruce raises $34 million in funding round led by a16z
分散型IDのツールキットを開発するSpruceは、$34Mドルを調達しました。a16zがリードし、Robot Ventures、Okta Ventures、OrangeDAO、SCB 10Xなどが参加しています。
Spruceのプロダクトは、『SpruceID』と『Kepler』の2つです。
SpruceID
オンチェーンの分散型IDで、オフチェーンのサービスにアクセスするために署名したり、認証情報を発行したりすることができます。
Kepler
ウォレットを使って、自身でデータを管理したり、他の人と共有することができます。「パブリックなプロフィールはENS上において、プライベートなデータ保管はKepler上でおこなう」といった使い方ができます。
またSpruceは、『Sign-In with Ethereum 』(Ethereumを使ったサインイン)の開発をリードしています。
オフチェーンのアプリやサービスごとに、メールアドレスとパスワードで登録/ログインするのではなく、Ethereum上の署名だけで簡単にサービスにログインができるようになると簡単でいいなと思います。そうなると、鍵紛失時に対応できるような「ソーシャルリカバリー」のニーズも増えていくと思います。
4.Decent Labs Launches DAO With Crypto Investing Giants at $56M Valuation
Decent DAOが、$10Mを調達しました。BlockTower CapitalとGSR、Cumberland DRW、Digital Currency Group、1kxなどが参加しています。
Decent DAOは、ベンチャーファンドや開発者などが集まってプロトコルを作る集団です。DAOでは、年に2回、提案されたプロジェクトに投票し、何を作るかを決めていくそうです。
そしてそれぞれの新しいプロジェクトに、開発、デザイン、マーケティングなどの中心となる貢献者を決めて進めていきます。最初のプロジェクトは、Fractalというプロジェクトだそうです。
将来的にはアクセラレータやVCファンドの機能が、サブDAOとして立ち上げられる可能性もあります。
5.Solana DeFi Protocol Delta One Raises $9.1M to Offer Crypto Yield Farming
Solana上のDeFiプロトコルである『Delta One』が、$9.1Mを調達しました。
Alameda Researchがリードとなり、Solana Ventures、Solanaの共同創業者Raj Gokal、投資会社Electric CapitalとAlleyCorp、Race Capitalの共同創業者Chris McCannとAlfred Chuangが参加しました。
Delta Oneでは、デルタニュートラルの戦略を使って、低リスクで利回りを得ることができます。またステーブルコインも検討していて、Solana Payに統合されることを目指しているそうです。
6.LimeWire raises $10 million in private token sale to grow music-linked NFT platform
LimeWireが$10Mを調達しました。Kraken Ventures、Arrington Capital、GSRがリード投資家になっています。
LimeWireはもともとクリプト系の企業ではありませんでしたが、音楽に特化したNFTプラットフォームを構築するべく今回資金を調達しています。
そしてLMWRトークンのセールを年内に予定しています。トークン保有者は、手数料の割引をうけれたり、限定コミュニティ特典やLimeWireイベントに参加できるようになる予定です。
7.Blockchain interoperability protocol Connext unveils token, plans airdrop
ブリッジなど、異なるチェーン間でやり取りするためのプロトコルConnextは、NEXTというトークンを発表しました。
Connextのネットワーク上のノード(ルーターと呼ばれています)が、NEXTトークンをステークして、その見返りとして手数料を得ることができる、というモデルになります。今後1,2カ月でこのトークンをローンチ予定になっています。
エアドロップもする予定になっていて、これまでのユーザーとルーターに遡及的に配布するそうです(すでにスナップショットはとられているようです)。
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