ギブアウェイの結果
Cypherockのハードウェアウォレットのプレゼント企画をしましたが、その結果の発表です。こちらのシートに質問とCypherockからの回答が載っていて、winnerも選ばれています。
多くの応募があったので、すべてに回答はできなかったようですが、良いフィードバックとなったそうです。ご応募ありがとうございました!
また割引コードを作ってくれたので、興味のある人はこのリンクから買うと$25ドル引きになります。クリプトでの支払いもできます。
■ Last Week in Crypto
Sovereign が、$7.4Mドルを調達しました。Haun Venturesがリードで、1kx、Robot Ventures、Maven 11などが参加しています。
SovereignのSDKを使うと、簡単にzkロールアップを作ることができます。
特徴
Sovereignで作られるzkロールアップの、証明を集約させること(proof aggregation)によって、ロールアップ同士の「相互運用」が可能になります。つまり流動性プロバイダーに手数料を支払ったり、待ったりすることなく、ネイティブにブリッジできるようになります。
おそらくSDKはすべてオープンで無料にし、「proof aggregation」のところをオープンプロトコルとして、トークンをだすのだと思います。
現状はDA(Data Availability)にCelestiaを使っています。VM部分はRisc Zeroを使うため、開発者はRustでアプリを開発することができます。
またどのブロックチェーンの上でも、ロールアップをセットアップすることができます。
2.Ethereum restaking protocol EigenLayer is raising $50 million
Ethereumの「restakingプロトコル」であるEigenLayerが、現在$50Mドルを調達している途中という記事です。
このラウンドは、株式が$250Mドルの評価額(post money)で、トークンは$500Mドルの評価額(完全希釈化後の価値)になって実施されているようです。つまり 1:2の転換率で、株主へトークンレターをつけて調達しているように読み取れます。
EigenLayerは最近よく見かけるようになったので、カンファレンスの動画や、Podcastのインタビューを数本みました。ワシントン大学の助教授Sreeram Kannan氏が、設立しているプロジェクトで、すでに評判も良いです。
EigenLayerとは?
EigenLayerによって、ユーザは、「EthereumにステーキングされたETHを、選択式で、他のプロトコルに再度ステーキング(re-staking)し、セキュリティに貢献する」ことができます。
つまりユーザとしては、ETHステーキングに、追加のAPYが得られるようになります。
(もちろんバリデータがちゃんと動作しなかった場合にステーキングされたETHが一部没収されるリスク、いわゆるスラッシュのリスクも高まります。)
「他のプロトコルにステーキングできる」と書きましたが、これは、EigenLayerを使うロールアップやブリッジ、オラクルなどです。ではなぜブリッジやオラクルなどが、EigenLayerを使うかというと、自分たちでバリデータのセットを用意しなくても、Ethereumのバリデータを借りてくることができ、高いセキュリティを得られるからです。
ユーザとしては、最初は stETH などのトークンを、EigenLayerにロックすることでrestakingができる予定で、将来はネイティブETHもrestakingできるように対応していく予定になっています。
Celestiaとの違い
EigenLayerはまず、EigenDAというDAレイヤー(Data Availabilityを提供するレイヤー)を提供していく予定になっています。DAレイヤーとしては、Celestiaというプロジェクトがあります。
違いとしては、Celestiaは独自のブロックチェーンですが、EigenLayerはEthereum上のスマートコントラクト群であり、ブロックチェーンではありません。利用する側の視点でいうと、Celestiaのバリデータを借りるか、Ethereumのバリデータを借りるか、の違いとも言えます。
Celestiaもまだトークンをローンチしていませんが、Ethereumのほうが時価総額が高いはずなので、EigenLayerのほうが攻撃コストが高い(=セキュリティが高い)傾向にある、と言えます。
(もちろん、EigenLayerが新しいセキュリティ前提を導入したら場合は、上のようにはいきません。例えば、re-stakingのスラッシュは、自動ではなく、一旦猶予期間があって、DAOが一応チェックする形になるようです。)
ちなみにBitDAOからの生まれたL2 「Mantle Network」が、最初にEigenLayerをDAに使ってローンチする予定だそうです。手数料にBITトークンを利用するL2です。
zk界隈で評判の高いYi Sun氏などが、Axiomというプロジェクトを発表しました。zk技術を使って、スマートコントラクトがオンチェーンのステートを参照できるツールです。
一般的にほとんどのオンチェーンデータは、スマートコントラクトが直接呼び出すことができず、計算をする必要があります。
そこでAxiomを使えば、クエリを送って過去のオンチェーンデータにアクセスし、検証された計算(verified compute)を実行することができ、スマートコントラクトでそれを利用することができます。情報すべてを検証する必要がありません。(ZK回路が正しいことのみを検証すれば良い、となります)
同時にデモも公開されていて、自分のウォレットの年齢の証明したり、Uniswap v2 のある時の価格を証明することができます。
Axiomのユースケース
ユースケースとしては、過去のオンチェーンデータを使って、多くの計算が必要となるプロトコルやアプリです。具体例としては以下のようなものが挙げられています。
(a) 動的なDeFi
あるレンディングプロトコルが、Axiomを使って、他プロトコルの金利や担保比率を参照し、それに基づいてリスクパラメータを更新する、ということができます。
または「市場価格のボラティリティの推定値」をAxiomから参照してきて、AMMがそれに基づいて動的に、手数料を調整する、なども考えられます。
(b)トラストレスなオンチェーンのオラクル
Axiomを使って検証可能なzkオラクルを作ることで、オラクル運用者への依存を軽減できます。すでにUniswapからグラントをもらって、Uniswap zkオラクルを開発しています。https://hackmd.io/@yisun/H1e6U42Ps
(c) トラストレスなアカウンティング
分散型の検証(例: Lido、Obol)、資産管理(例: Set)、DAレイヤー(例: EigenLayer)などのプロトコルでは、ノードの履歴データを集めて、複雑な計算が必要になります。例えば Liquid Staking の場合であれば、Axiomを使って、過去のバリデータ署名を参照し、検証することによってトラックレコードを計算することができます。
(d) トラストレスなオフチェーンのガバナンス
Axiomを使って、投票のパラメーターのインポートや、投票の有効性のチェックなどのプロセスを、ZKPでオンチェーン検証することができるため、オフチェーンガバナンスが、コストをかけずにオンチェーンガバナンスと同じ保証を得ることができます。
4.VitaDAO Closes $4.1M Funding Round With Pfizer Ventures for Longevity Research
人間の寿命を延ばす研究に、資金を提供するDAO『VitaDAO』が、$4.1Mドルを調達しました。
製薬大手企業のファイザーや、元Coinbase CTOのBalaji氏などが参加しています。確か最初のコミュニティラウンドで、Vitalikも支援(寄付)していたと思います。
今では9,000人が参加する、研究者や貢献者のコミュニティになっていて、すでに老化を防ぐ研究をするプロジェクトや、体の損傷の修復を研究するプロジェクトに、合計$3.5Mドル以上を提供しています。
今回の投資ラウンドで、ファイザーもDAOの提案に投票し、VitaDAOのプロジェクトのインキュベーションと商業化に参加することになります。
このDAOは、前にも書いたことのある「DeSci」(分散型の科学研究)という分野のDAOで、VITAトークンによってガバナンスされています。トークンホルダーはどのプロジェクトを支援するかについて投票することができ、「スチュワード」という役割の人たちが提案の推進する構造になっています。
5.Oh Baby Games comes out of stealth, announcing $6 million funding round
クリプトゲームのプラットフォーム Oh Baby Games が、$6Mドルを調達しました。
eGirl CapitalとSynergis Capitalがリードし、gmjp、Merit Circle DAO、Twitchの共同創設者であるKevin Lin氏などが参加しています。Oh Baby Gamesのチームは、Call of Dutyフランチャイズ、League of Legends、Magic The Gatheringといったゲームに携わってきた経験があります。
最初にリリースされるゲームは「What The Kart」というレーシングカートゲームです。カートをカスタマイズして自慢できたり、バウンティ(賞金)をユーザが設定したり、という要素が入る予定です。
そのあと、Rugpull Guys (ラグプル・ガイズ)という格闘ゲームがリリースされる予定です。
読んでいる感じでは、これらゲームをまたいで利用できるコレクティブルNFTも導入されるようです。
6.Squid raises $3.5 million to build next-generation cross-chain swaps powered by Axelar
Squidが$3.5Mドルを調達しました。North Island Venturesがリードで、Distributed Global、Fabric Ventures、Galileo、Chapter One、Node Capital、またAxelarもこのラウンドに参加しています。
Squidは、Axelarをつかってチェーン間のDEX流動性をまとめて、ユーザーはAxelarがサポートするチェーン上であればどのトークンでもブリッジすることができます。今は25チェーンに対応していますが、Axelarが対応するにつれ、この数が増えていきます。
また開発者は、ウィジェットスタジオを使って、フロントエンドをカスタマイズして、自分のアプリにウィジェットを埋め込むことができます(Reactのコードが生成されます)。
7.Viola Ventures and Fabric Ventures back Addressable’s $7.5 million raise
クリプトユーザーへのマーケティングを手助けするツール Addressable は、$7.5Mドルを調達しました。
Viola VenturesとFabric Venturesがリードし、North Island VenturesやMensch Capitalなどが参加しています。
Addressable は、ソーシャルメディアのアカウントと、ウォレットのデータを収集し、情報を整理し、マーケティングのキャンペーンをしやすくするツールです。
現在はTwitterのデータを使ってサービスを提供しています。
8.DeFi protocol Archimedes raises $4.9 million in seed funding
レバレッジをかけられるレンディングプロトコルArchimedesは、シードラウンドで$4.9Mドルを調達しました。Hack VCがリードし、Uncorrelated Ventures、Truffle Ventures、Haven VCなどが参加しています。
Curveを使って開発されているプロトコルで、今月ローンチする計画になっています。lvUSDというステーブルコインと、ARCHというトークンが出る予定です。
概要を簡単にまとめると、
(1) 借り手は、レバレッジをかけて、oUSDのような利回り重視のステーブルコインの利回りの最大10倍を得ることができる
(2) 貸し手(流動性供給者)は、借り手からの手数料や、ARCHトークンの報酬で、高めのAPYを得ることができる
となります。
借り手のレバレッジをかけた各ポジションはNFTとなるので、ポジションを閉じることなくNFTで取引することもできます。
9.Blockchain security firm Sec3 raises $10 million in seed funding
コントラクト監査などをするセキュリティ企業Sec3が、$10Mドルを調達しました。
Multicoin Capitalがリードし、ParaFiのSantiago氏や、Solanaの共同創業者Anatoly氏などが参加しています。
(調達は4月に完了していたそうなので、MulticoinがFTXの影響を受ける前に投資をしています)
Sec3は、Solana上のプロジェクトのローンチ前後のセキュリティサービスを提供していて、すでにHelium Network、Metaplex、Tulipなどが利用しています。
現状は以下の4つの製品があります。
Launch Audits: スマートコントラクトをメインネットでローンチする準備ができているか検証する
X-Ray: スマートコントラクトを継続的に分析し、将来の脆弱性を見つける
WatchTower: オンチェーンのトランザクションをモニターして、悪意のある活動を監視する
CircuitBreaker: リアルタイムで疑わしい活動を検知して防ぐ
今後はAptos、Sui、Ethereum、Polygonなど他のブロックチェーンもサポートする予定になっています。また独自のトークンで、分散化することも目指しているそうです。
10.Crypto security startup Hypernative raises $9M to help prevent web3 cyber attacks
セキュリティのスタートアップ Hypernative は、$9Mドルのシード資金を調達しました。
boldstart venturesとIBI tech fundがリードし、Blockdaemon、Alchemy、Borderless、CMT Digital、Nexoなどが参加しています。
最初の製品であるPre-Cogは、オンチェーン・オフチェーンのデータを監視し、セキュリティの脅威を予測するプラットフォームです。メインの顧客は資産運用会社、ヘッジファンド、トレーダー、マーケットメーカーなどになっています。
今はモニターして事前に警告を知らせるものですが、将来的にはリスクを自動で軽減するシステムを提供していくとしています。
11.Rysk Finance raises $1.4M to spearhead on-chain market making for DeFi derivatives
オプション取引のAMMを開発するRyskが$1.4Mドルを調達しました。
Lemniscapがリードし、Encode Club, Ascensive Assets, Starbloom, Yunt Capital, Manifold Tradingなどが参加しています。
Rysk Beyondは、オプションのAMMです。複数の満期と権利行使価格のオプションを売買でき、高い資本効率を高める工夫がされています。
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#266 Bspeak! 2023年1月23日号 AIとweb3のゲームプラットフォーム
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