アップグレード後のEthereum L2のガス代
先週Dencunのアップグレードが完了しました。blobといわれる「データを一定期間 保存する場所」が導入され、L2がこのblobを使うことでL2のガス代が劇的に下がりました。
以下のグラフをみると、このblobに対応することで各L2のガス代が下がったことが一目でわかります。
例えばArbitrum上でUniswapのスワップをするときのガス代の中央値は、$0.05にまで下がっています。
今後blobを利用したL2チェーンが増えるにつれて、blobスペースの競争が激しくなり、ガス代は今よりも若干高くなることが予想されますが、それでも以前と比べるとかなり安くなります。
■ This Week in Crypto
1.Crypto wallet Zerion is building a Layer 2 network that aims to offer zero fees
スマートウォレットZerionが、ZEROネットワークというL2に取り組んでいるそうです。特徴としては、ユーザがガスを払わずに無料で利用できるL2になる予定です。
そうすることで新しいユーザーを取り込むことができ、そのユーザーがアプリ上でスワップしたり、プレミアムサービスのために手数料を支払う可能性があり、それによってガス代補助のコストを上回る可能性があると考えているようです。
(手数料の肩代わりの弱点としては、スパム攻撃されることですが、いろいろな要素をチェックして、スパムと判断したときは手数料は補助せず、ユーザーが自分で支払うことはできるようにする、という対策になるそうです。)
またDapps開発者と協力して、トランザクションの補助コストを分担する計画になっています。
個人的にこの戦略には納得で、Blob導入でL2ガス手数料が下がった今、プロジェクト側がガス代をサポートするというのが増えていくように思えます。
特にアプリ特化のロールアップにおいては、ロールアップをサーバとして考えるとガス代補助は自然に思えてきます。web2アプリで「サーバ費用をエンドユーザではなく事業者が支払い、アプリやサービスでマネタイズしてサーバ費用をまかなう」というのと同じ構造です。
2.Berachain reportedly raises $69 million in latest funding round
Berachainが、$69Mドルを調達しているとの報道です。(昨年$42Mドルを調達しています)今回は、Brevan Howard Digitalと Framework Ventures がリードとなっているそうです。
Berachainは前にも触れたことがありますが、CosmosベースのEVMチェーンです。
ガスとして使うBera、ステーブルコインHoney、譲渡できないガバナンストークンBGT、という3つのトークンで構成されていて、ユーザーはBeraをステークしてBGTを受取り、ガバナンス参加するとHoneyで報酬を受け取ることができます。
またBerachainのネットワークは「Proof of Liquidity」というコンセンサスメカニズムを利用しています。チェーンに組み込まれたDeFiに流動性を提供することで、チェーンのセキュリティを高めることになります。
現在はテストネットが動いていて、今年のQ2にメインネットを予定しています。
3.Arbitrum eyes $400 million crypto gaming fund with proposal to DAO
Arbitrum財団は、Arbitrum上のブロックチェーンゲームを増やしていくため「Gaming Catalyst Program」の計画を発表しました。
今後2年間で、2億ARB(約$400Mドル)をArbitrum DAOに承認してもらい、Arbitrum上でゲームを作る開発者へのインセンティブにするという提案です。
内訳は、
1.6億 ARB -> ゲーム開発者へのインセンティブ
0.4億 ARB -> Arbitrumがゲームをサポートするために必要なツールやインフラ開発
となります。
4.Monad Labs eyes $200 million raise, led by Paradigm
Monadが、Paradigmがリードとなって、$200Mドル以上の調達を試みているそうです。
Monadは前にニュースレターでも触れたことがありますが、新しいL1を開発しています。並列処理ができるEVMということで、高い性能になることが期待されているので、最近はよく話題になっています。
Ethereum L2 である TENが $9Mドルを調達しました。
R3がリードし、Republic Crypto、KuCoin Labs、Big Brain Holdingsなどが参加しています。
もともとR3であるCordaをつくっていた人たちが創業して開発が進められています。
AztecやFhenixのようなプライバシーL2はZKPやFHEなどの技術をつかっていますが、TENではSecure Enclaveを利用します。
10月にメインネットをローンチする予定ですが、それまでに意思決定をできるだけ分散化するために、トークンは6月にローンチする予定になっています。
🎙 ポッドキャスト
Spotify | Apple | Substack (毎週火曜日に更新)
ポッドキャストで扱ってほしいトピックや、ゲスト名など、募集中です!
ぜひ今週分をシェアお願いします🎉
☕ Twitter: @CoffeeTimesTW
☕ バックナンバー: Substackのアーカイブからご覧ください。