Foundation
マーケットプレイスを開発するFoundation(https://withfoundation.com/)と会話する機会がありました。Foundationは、クリエイターが自分の創作物やプロジェクトをトークン化することができ、それを売買または商品やサービスと交換できるマーケットプレイスです。
a16zのパートナーが組成した新しいVCである「Variant」の記事でも新しいユーザ所有型のプラットフォームとして触れられていました。
クラウドファンディングのプラットフォーム大手「Kickstarter」 をより柔軟にしたようなイメージで、「culture’s stock exchange」(カルチャーの証券取引所)を目指しています。トークンの所有権を使うことで、買い手やクリエイターが二次市場を利用できたり、収益を先に得る機会を作れる、というわけです。日本からのクリエイターも受け付けたいそうなので、何かを創りたい人がいれば応募してみるといいと思います。https://withfoundation.com/creator/onboarding
このような「パーソナル・トークン」の分野も、企業と投資資金が増えてきています。ステーキングや、AMM(常に流動性がある自動マーケットメイカー)、ERC20でNFTの分割所有をする、などを色々な方法を駆使して、サービスが生まれています。
■Last Week in Crypto(先週のニュース)
1.Borrowing and Lending the “Yield Dollar” on UMA | by Clayton Roche | UMA Project
UMAプロトコルが、Yieldプロトコルをつかったステーブルコイン Yield Dollar(yUSD)をリリースしました。このyUSDは9月1日が満期で、固定金利というのが特徴です。
UMAのEMPツールを使用し、WETHで担保をロックすることで、誰でも生成することができます。この生成には、125%以上の担保が必要で(オーバーコラテラルと呼ばれます)、有効期限になると、yUSDあたり 1ドルで決済されます。
他のステーブルコインと違うのは、金利がyUSDを生成するタイミングで決まり、ポジション決済するまで固定の金利となります。
具体的に見ていきましょう。発行時のyUSDの価格は、取引されている市場によって決まり、1ドルよりも少し高い or 低い価格になります。その価格で yUSDを作成し、満期の時点ですべてのポジションが1ドルで決済されます。
例えば1yUSDが$0.95のときに、1yUSDを発行したとすると、そのポジションは満期の9月1日に$1.00で決済されます。
逆に発行時に1yUSDが$1.05だったならば、満期まで持っていれば、1yUSDあたり0.05USDを得ることができる計算になります。このようにして固定の金利が生成時に決まります。
## CompoundやDAIなどとの金利の違い
上記のようなyUSDの金利が決定される仕組みは、MakerDAOやCompoundの仕組みとは構造的に異なります。
簡単にかくと、
Compoundは利用率に基づいて金利を決定するアルゴリズムを使用しています。
MakerDAOは、1DAI = 1ドルのペッグを維持ために、借り入れる手数料(stability fee)と保有に対するリターン率(Dai Savings Rate)を、ガバナンスの投票によって調整します。
つまりこの両方のプロトコルの金利は、ポジションを持っている間に変動します。
一方で、今回のyUSDの場合は、上にも書いた通り、yUSDの取引によって市場で自由に金利が変動しますが、「一度ポジションをもってしまえばその時点で金利が固定される」という点が異なります。
## UMAの流動性マイニング
2020年5月のメルマガで今後UMAトークンの配布方法の議論について触れましたが、その結果、流動性マイニングを導入する予定になっています。詳細はまだ明らかになっていませんが、Balancer上でこのyUSDに流動性を与えた人に対して、報酬が与えられるという内容のようです。
UMAは、初期のホワイトペーパーの提案のみ時代から、UMAのオラクルの仕組みに感銘をうけブログを書くほどには期待をしているのですが、この流動性マイニングの発表と、yUSDのリリースで、ここ最近でUMAトークンの価格が3倍近くに高騰しました。長期的にDeFiの大切なパーツなので、一気に盛り上がりすぎて廃れるということがないことを願います。
2.Avalanche (AVAX) Token Sale: July 15, 2020 10AM ET Update | by Ava Labs | Ava Labs
2週間前にBspeak!で様子を書いたAvalanche(AVAXトークン)のセールですが、開始から4.5時間で完了し、$42 millionドル(約45億円)を調達しました。
セールの参加には、以下の選択肢がありました:
A1 ・・・ロック期間が1年で、単価 0.50ドル
A2 ・・・ロック期間が1.5年で、単価0.50ドル
B ・・・ ロック期間なしで、単価0.85ドル
この中で、A1とBの選択肢が最初に売り切れたようです。
メインネットは8月後半にローンチされる予定で、Avalancheが利用するのコンセンサスのルールによって、他のスマコンプラットフォームと比べて速く処理ができると言われています。
PolkadotやNearなど、Ethereumを補完する(場合によっては競合となる)スマコンプラットフォームが今年はほとんど出揃います。スマホアプリが動作するOSにiOSとAndroidがあるように、スマコンもEthereum含めて2,3つが主流のプラットフォーム(レイヤー1)になるでしょう。
3.Polkadot Launch: Phases 3 & 4. Polkadot just moved into Phase 3
Polkadot上のオンチェーンガバナンスのはじめての投票が行われました。それにより予定通り、Web3 Foundationがもっていた「スーパーユーザー」特権(Sudo権限)を削除が完了しました。この管理機能が削除されたことで、Polkadotは公式のメインネットへと移行したと言えます。次は、トークン転送のロックが近々解除される予定で、取引所の現物のリスティングも始まっていきます。
DeFiなどのプロトコルがのってきた際に、Ethereumのように「ユーザは高いリスクを許容して使いまくるのか、そうでないのか」を注目して見る必要があります。
EthereumのPoSのインセンティブモデルをレビューした論文が公開されました。著者たちは色々なシナリオで、ETHステーキングの利回りへの影響をモデル化し、レビューしています。
参考になる点をピックアップします:
ETHの13.8%がステークされている場合、Ethereum 2.0のセキュリティレベルは、過去の価格を考慮すると、Eth1(PoW)のセキュリティレベルと一致する
ETH供給量の77.7%は、32ETH以上の残高がある非取引所のウォレットで保有されている
Ethereum 2.0のPoSは、現在のPoWと比較して非常に複雑である
Ethereum 2.0におけるネットワークのセキュリティは、3つの重要な変数に依存している(ステークされたETH量、ETHの価格、ETHのボラティリティ)
Ethereum 2.0への攻撃はEth1よりも規模を拡大しやすい
デリバティブを使ってETHを空売りして稼ぐような「デリバティブ攻撃」が一般的になる可能性がある
米国のレギュレーターである通貨監督庁(OCC)は、「米国の国立銀行が暗号通貨の保管サービスを提供することを事実上認める」レターを発表しました。
クリプト界隈にとっては良いニュースで、米国が業界での立ち位置を取り戻す勢いにもなります。おそらく長期的には米国の銀行がカストディアン企業を買収していきます。AncourageやBitGoなどカストディ企業には、取引所やクリプトVCが投資しているため、既存金融側から資金がクリプト側に流れることになります。
6.KR1 PLC sells tokens from blockchain insurance firm Nexus Mutual
投資ファンドKR1 は、保険プロトコルNexus Mutualのトークン NXM を売却したと発表しました。
シードラウンドにおいて、平均価格 $2.24 でトークンを取得し、今回平均価格 $14.03 で売却しています(ボリュームは 35,128 NXM)。DeFiが盛り上がれば、保険には需要が出てくるので、保険銘柄への投資はDeFiのインデックス投資のように考えることもできます。1kxというファンドもNXMに投資をしていることが最近公開されていました。
7.Binance Completes 12th Quarterly BNB Burn
Binanceは、BNBトークンの第2四半期のバーンが $60 million ドルに達し、過去最高を上回ったことを発表しました。スポット取引の出来高は横ばいですが、先物の出来高が倍増しています。確かに先物の対象トークンもここ最近で一気に増やしていますし、今後もよりデリバティブ側を増やしていくのは間違いありません。Binanceは創業から3年にもかかわらず、クリプト以外の業界を含めてみても莫大な利益をあげている企業の1つです。
今月ニュースレター「Bspeak!」は、Matcha にサポート頂きました!🍵
以下の『Subscribe 』を押すと毎週月曜6:30に届きます。ご登録ください☕
是非シェアお願いします🎉
☕バックナンバー
#135 Bspeak! Republic上の利益シェアトークン/ CoinList Seedの開始
#134 Bspeak! Coinbaseはトークンを発行するのか/ Anchorによる安定金利の貯蓄DeFi
#133 Bspeak! 2020年 7月6日号 Matchaのローンチ / EIP1559がETHの価値を高める
#132 Bspeak! 2020年6月29日号 Avalancheのトークンセール/ Handshakeドメインを名前解決するブラウザ
#131 Bspeak! 2020年6月22日号 Coinbaseロゼッタ発表のねらい / WBTC Cafeのローンチ
#130 Bspeak! 2020年6月15日号 UMAの合成トークンETHBTCと初の清算
#129 Bspeak! 2020年6月8日号 TokenSetのソーシャルトレーダー/DeversiFi2.0のローンチ
#128 Bspeak! 2020年6月1日号 Libraのマネタイズ/プライムブローカーの競争激化
#127 Bspeak! 2020年5月25日号 BlockFiへの攻撃/Bakktのアップデート
#126 Bspeak! 2020年5月18日号 ETH2.0テストネットSchlesi / PoSの自主規制ガイドライン
#125 Bspeak! 2020年5月11日号 Ethereumキラーの競争/Bittrexの取引所トークン
#124 Bspeak! 2020年5月4日号 ETHステーキングでKEEP報酬/UMAのInitial Uniswap Offereingの結果
#123 Bspeak! 2020年4月27日号 スマートコントラクトで10倍レバレッジのデリバティブを実現するdYdX / Coinbaseが提供するオラクル
#122 Bspeak! 2020年4月20日号 Opynプットオプションの使い方/ Binanceスマートチェーン発表/ Microsponsorsをつかった商取引(Part2)
#121 Bspeak! 2020年4月13日号 Microsponsorsを使った商取引(Part1) / シカゴDeFiアライアンス
#120 Bspeak! 2020年4月6日号 Makerの分散化に向けた最終ステップ
#119 Bspeak! 2020年3月30日号 Uniswapのマネタイズと持続可能性
#118 Bspeak! 2020年3月23日号 FireblocksのCompound統合で、大口がDeFiに流れるか?
#117 Bspeak! 2020年3月16日号 ブラックサースデー、MakerDAO 4億円損失/ 取引所INXのSTO
#116 Bspeak! 2020年3月9日号 DeFi攻撃と、フラッシュローンを簡単にするKollateral
#115 Bspeak! 2020年3月2日号 CompoundのガバナンストークンはDeFiシステムの標準を目指す
#114 Bspeak! 2020年2月24日号 Binanceクラウドは主な収益源になるのか?
#113 Bspeak! 2020年2月17日 SKALEがActivate上でローンチ発表 / MetaCoinとDAIの違い/DeFiのオプション市場
#112 Bspeak! 2020年2月10日 Handshakeのオークション開始
#111 Bspeak! 2020年2月3日 0xAPIで何ができるか/スイスでブロックチェーンIPO
#110 Bspeak! 2020年1月27日 Tetherが金トークンを開始/ArweaveによるDAOの開始
#109 Bspeak! 2020年1月20日 クリプトアイテムの交換はより簡単になる/アプリ成功の3ステップ/ 等
#108 Bspeak! 2020年1月13日 NBA契約のトークン化がローンチ予定
#107 Bspeak! 2020年1月6日 EthereumのMuir Glacierハードフォーク
#106 Bspeak! 2019年12月30日号 ETH 1.x は ETH2.0の一部となるのか/ Bakktは2020年何を目指すか
#105 Bspeak! 2019年12月23日号ノード・インフラビジネスの激化/適格投資家の定義の変更
#104 Bspeak! 2019年12月16日号 Voiceの収益方法/Filecoinの仕組み
#103 Bspeak! 2019年12月9日号 PoSはオンチェーンのレンディングによって壊れるのか
#102 Bspeak! 2019年12月2日号 StakeDAOによってステーキングはどうなるか/Paxfulが出来高増えている理由
以降もSubstackページからご覧ください。