CoinbaseのL2
Coinbaseが、Ethereum L2「Base」を発表しました。テストネットがローンチされ、ブリッジを試すことができます。
Optimismの技術を使ったL2になっていて、Optimismチームと協働で開発をしていくそうです。そのためBaseのトランザクション手数料の一部は、OptimismのDAO(Optimism Collective)に還元されるそうです。
また以下がローンチパートナーになっています。Coinbase Venturesで多く投資をしていますし、シリコンバレーの繋がりも強いため、一気に大きなエコシステムになってしまうのがすごいところです。
Base上で開発をするプロジェクトに投資する「エコシステムファンド」も同時に発表していて、こちらのフォームで応募できます。
またBase自体は、Coinbaseでインキュベートして、時間をかけて徐々にチェーンを分散化することを計画しているとありますが、「トークンを発行する予定はありません」と明記しています。個人的には、将来スピンオフして別エンティティでトークンを発行する可能性は十分にあると思っています。
大きな企業で、これからL2やロールアップを作るという発表は、ほかにも出てくるかもしれません。
■ Last Week in Crypto
1.INTRODUCING TOWNS: A better way to build hometowns on the internet
コミュニティのためのグループチャット「Towns」が、$25.5Mドルを調達しました。a16z cryptoがリードし、BenchmarkとFrameworkが参加しています。
Discordのオンチェーン版のようなイメージで、プロトコルとアプリの両方を開発しています。
Townsでは、Discordでいうところのロールなどの管理を、スマートコントラクトで実施します。またプロトコルなので誰でもその上に新しいAPIなどを作ることもでき、モデレーションやマネタイズのための独自のルールを書くこともできます。
例えばコミュニティのオーナーが、
特定のチャンネルへのアクセスキーを販売する
貢献したメンバーに報酬を与える
ユーザーがチャットで直接NFTを取引できるようにする
などのチャットアプリを作ることができます。
また以下の画像は、インターフェースの例で、Discordのような見た目になっていますが、誰でもニーズに合わせてインターフェースを作ることができます。
このプロトコル自体は、PoSのネットワークで運用されていく予定になっていて、最初はHNT Labsがガバナンスをしますが、最終的にはTowns DAOにガバナンス権利を移行する計画になっています。現在は、Alpha版の募集をしているので、応募してみると良いかもしれません。
クリプトネイティブのコミュニティツールで良いのが出てくれば、Bspeak!もコミュニティの場を作ってみるのも良さそうだな、と思っています。
2.Bain Capital Crypto backs gaming firm creating on-chain diplomats
Curioが、$2.9Mドルを調達しました。Bain Capital Cryptoがリードし、TCG Crypto、Formless Capital、Smrti Lab、Robot Venturesや、様々なエンジェルが参加しています。
前にPodcastで少し触れたことがある「オンチェーンゲーム」のプロジェクトです。
オンチェーンゲームは、スマートコントラクトによって制御されて、参加者がコードとデータを貢献することができる点が特徴です。
Treaty
Curioの最初のゲーム「Treaty」は、ユーザーがスマートコントラクトを書き、展開することができるオンチェーン戦略ゲームです。
Treatyは「条約」という意味ですが、ユーザがゲーム内の他のプレイヤーとの条約を作成して交渉しながら、陣地を拡大していきます。
たとえば、
NATOのような協定をつくって、支払って加盟したら、他のメンバー攻撃することが禁じられる
USDC担保のトークンを発行し、取引相手がマーケットプレイスをつかう際には、そのトークンを使うよう強制する
ギルドの中で、メンバーが資源(ERC20トークン)を収穫するたびに、課税が発生して、リーダーにわたる + 同時にメンバーに武器を発行する、という利益を分配する条約
条約の加盟国しか使えないマーケットプレイス、もしくは条約加盟国が使うとボーナスがあるマーケットプレイス
などで、ユーザーが好きなツール、インフラ、アプリケーションを自由に構築することができます。
条約などのユーザーが作成したコンテンツは、コアなゲーム体験として扱われるため、他の人がやったことをマネして改良する「リミックス」を前提としたゲームになっています。
3.Renegade Raises $3.4M from Dragonfly
新しいDEXである Renegade が、Dragonfly CapitalとNaval Ravikant氏がリードで$3.4Mドルを調達しました。他にBalaji Srinivasan氏、Robot VenturesのTarun Chitra氏などが参加しています。
Renegadeは、マルチパーティ計算(MPC)とゼロ知識証明(ZKP)を活用して、金融市場でいう「ダークプール」のオンチェーン版を開発しています。
ダークプールとは、「売り買いのオーダーを、市場からは見えないところで処理する仕組み」のことで、機関投資家からの大きなサイズの注文を売買することができます。
RenegadeはこれのDeFi版で、フロントランニング、サンドウィッチ攻撃などを防いで、大きな金額のスワップを(損失なしに)できるようにすることを目的としています。
ちなみに2018年あたりにダークプールのDEXを作ろうとしていたのが、Ren(当時の Republic Protocol )です。
Renは結局ダークプールをつくれませんでしたが、最近はMPCもZKPも研究が進んでいることもあり、Renegadeでは実用化できるかもしれません。
Renegadeのテストネットは2023年のQ2に予定されています。
4.AI-powered crypto search engine Kaito raises $5.3M to improve browsing with AI, ChatGPT
AIを使ったクリプトの検索エンジン Kaito は、$5.3Mドルを調達しました。
Dragonfly Capitalがリードで、Sequoia Capital China、Jane Street、Mirana Ventures、Folius Ventures、Alpha Lab Capitalなどが参加しています。また次の調達ラウンドではOpenAI、Binanceなどと話を進めているそうです。
現在ちゃんとしたクリプトの情報は、Google検索では見つかりにくいですが、Kaitoでは情報が集約されて検索可能になる予定です。
具体的には、Twitter、Discord、フォーラム、Mirror、Medium、Podcast、研究論文などを通じて、全体を検索できる製品になる予定です。
2Qに稼働する計画で、個人は無料で利用でき、機関投資家向けはサブスクリプションモデルになる予定です。
5.Former Coinbase engineers launch NFT lending platform with Coinbase funding
Coinbaseの元社員4人が、Coinbase Venturesから$3Mドルの投資をうけ、PaprMemeというNFTレンディングプラットフォームをたちあげました。
従来の借り手と貸し手をマッチングするタイプではなく、ネイティブトークンを利用した構造になっているため、他のレンディングよりも幅広いNFTが利用可能になっています。
仕組み
プロトコル全体に共通するトークン「Papr」を利用します。
Paprは、Perpetual APR の略で、このトークンの価値はローン需要がどれだけあるかによって増減します。そしてこの値が変化することで、ローンに支払われる実質的な利息になります。
NFTを預けて、お金を借りるとき
例えば、NFTを預けると、そのNFTのフロア価格の50%までお金を借りることができるようになります。その際、その金額分のpaprトークンがミントされ、paprトークンで引き出すか、ETHにスワップされて引き出すことができます。
後日、返済するときは同額のpaprトークンを返す必要がありますが、価格が変動した場合は、買い戻すために金額が変わるので、事実上の変動金利になります。
お金を貸しだすとき
一方で、貸し出したい人は、ETHなどをpaprトークンに交換するだけで貸し出したことになります。この場合もトークンの価格変動によって価値が増減する可能性があります。
6.Web3 database developer Polybase raises $2 million in pre-seed funding
プライバシーに特化した分散型データベース Polybase は、$2Mドルを調達しました。
6th Man Venturesがリードし、Protocol Labs、Orange DAO、Alumni Ventures、NGC Ventures、CMT Digitalなどが参加しています。
PolybaseはZKPを用いた分散型データベースを開発していて、アプリがユーザ情報や取引履歴のデータを保存することができます。
ユースケースとしては、「Web3ゲーム開発者が、プレイヤーのプライバシーとセキュリティを守りながら、プレイヤー情報・ゲーム設定・ゲーム内アセットなどのデータを分散型データベースで保存する」という使い方です。
メインネットは今後数週間でローンチされる予定です。
7.Lightspeed leads $6.4 million seed round into web3 observability platform
Web3観測プラットフォームSentioが$6.4Mドルを調達しました。
Lightspeed がリードで、Hashkey Capital、 Canonical Crypto、Essence VC、GSR Ventures も参加しています。
SentioのSDKをつかうと、Ethereum、Aptos、Polygon、Avalancheなどのスマートコントラクトのイベント、トランザクションなどをもとにした指標やイベントログを集めることができます。
この情報はインデックス作成 + 処理されて、ユーザー側ではデータを視覚化するダッシュボードを自分で作ることができます。
これを使うと、ブロックチェーン上での問題を監視したり、特定の活動に対するアラートを受け取ったりすることができます。
例えば、
あるユーザーが送金した金額の合計が100ドルを超えたらアラートを出す
あるユーザからの送金が1日あたり100ドルを超えたらアラートを出す
などができます。
無料版と、月額50ドル - 2000ドルの有料版があり、すでにGoldfinch、PancakeSwap、Wormholeなどが利用しているそうです。
TipLinkが、$6Mドルを調達しました。
Sequoia CapitalとMulticoin Capitalがリードで、Big Brain Ventures、Circle Ventures、Karatage、Monke Ventures、Paxos、Solana Venturesなどが参加しています。
TipLinkは、ユーザーがリンクを貼るだけでクリプトやNFTを送ることができるサービスです。
APIも用意され、開発者が無料でTipLinksを作成し、好きなトークンを追加することができます。そのため開発者は自分のアプリに「リンクを自動で作ってトークンを送信する機能」を組み込むことができます。
9.ConstitutionDAO members raise $2.8 million for multi-signature wallet Den
マルチシグのウォレットの利用を簡単にするアプリDenが、$2.8Mドルを調達しました。IDEO colabがリードで、Lemniscap、Not boring capital、Balaji氏などが参加しています。
Gnosis SAFEを利用したマルチシグウォレットで、トランザクションの作成や署名を簡単に速くすることができるアプリです。定期通知などの自動化をする機能が追加されています。
もともとはConstitutionDAOで活動していた人たちが、マルチシグの運用が大変すぎて、Denを作り始めたそうです。すでにPleasrDAOやOlympusDAOなど、200以上のチームと協働しています。
10.Binance Labs and Polychain co-lead ZK startup Polyhedra Network's $10 million raise
Polyhedra Networkが、$10Mドルを調達しました。Binance LabsとPolychain Capitalがリードで、Animoca BrandsとDao5も参加しています。
Polyhedraは、ゼロ知識証明(ZKP)をつかったインフラ製品を開発しています。
web2とweb3のシステム間で資産を送るブリッジ、分散型ID、zkロールアップ向けの証明生成ネットワーク「ParaPlonk」などがあります。
今後は開発者向けにAPIやSDKツールで拡充していく予定になっています。
11.Pantera Invests $10M in Metaverse Game Worldwide Webb
ピクセルアートベースのメタバースゲーム「Worldwide Webb」が、Pantera Capitalから$10Mドルを調達しました。
Worldwide Webbは、自分のNFTをアバターとして使用できるMMORPG(多人数参加型オンライン・ロールプレイングゲーム)をつくっています。
今後数週間のうちに、ブラウザベースのプレイヤー対プレイヤーゲーム「Blockbusterz」を開始する予定で、たくさん戦いに勝ったプレイヤーは、高いレベルのNFTをミントできるという内容になっています。
今後は、NFTをアバターとして統合するだけでなく、クエスト、ボス戦、アイテムなどのもっと意味のあるゲーム内機能として取り入れていく予定です。
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