クリプト業界の採用
最近は市場全体が落ちこみ、ベアマーケット(弱気市場)に突入している雰囲気も感じられます。ただプロジェクト側は積極的に人材を募集しています。
GoogleやFacebookなどの水準に負けない条件のところも多く、例えばSiloはフルリモートで「年収 $300,000 + トークンオプション $450,000」で募集しています。
投資家側も最近になって増えてきていて、大きな規模のファンドが組成され、開発をサポートしています。
Paradigm: $2.5B
a16z: $2.2B
FTX Ventures: $2B
Pantera: $1B
KRH: $900M
Sequoia: $600M
Dragonfly: $500M
■ Last Week in Crypto
1.$9 million Series A led by Multicoin Capital
Fluenceが $9Mドルを調達しました。Multicoin Capitalがリードしています。
その他にも、Alameda Ventures、Angel DAO、Arweave、Hard Yaka、LayerX、OP Crypto、Peer VC、Polymorphic Capital、Protocol Labs、Signum Capital、Stakely、StreamingFast、Tiger Global、UOB Venture Management、Zerionなどが参加しています。
ちなみに過去のシード投資家には、1kx、Blockchange Ventures、Dekrypt、Distributed Global、Inblockchainなどがいます。
概要
Fluenceは、P2Pのアプリを開発したり、ホスティングしたり、実行するための分散型コンピューティングのネットワークです。
ユーザー関連のデータやAPIに、クラウド上の中央サーバを利用しないで済むため、単一障害点をなくしたり、検閲に耐性を持つことができます。また「ブロックチェーンに直接載せるには重すぎるが、計算の出力はパブリックに保存する必要がある」ような場合にもFluenceのネットワークを利用できます。
そしてDeFi、NFT、ブリッジ、オラクルなどが集権的なインフラへの依存をなくすことが期待されます。
仕組み
Fluenceは、「Aqua」という独自のプログラミング言語で動作する分散ネットワークになっています。すべてのノードが全データを複製するブロックチェーン型の構成とは違って、Fluenceのノードは「希望するアプリと関連するデータ」を選んでホストします。
そしてアプリ開発者自身が、データの複製、計算の検証、負荷分散などP2Pのアルゴリズムを、Fluenceを使って柔軟に設計することができます。
マーケットプレイスと今後の展開
Fluenceは今年、ホスティングやコードのための「オンチェーンマーケットプレイス」をローンチ予定です。オープンソースのコードの作者は、自分のコードの使用状況に応じて、ホスティング収益を共有することができる仕組みが備えられる予定です。
つまり、他の人が使える高品質なオープンソースコードを書くことで報酬を得ることができます。これはオープンソース開発者の新しい収益源になりえますし、コードが増えいけば、オープンソース・アプリをホスティングするための主流の選択肢になるかもしれません。
画像:Fluence Phase 1 Launch Event
Fluence Labsは今後数ヶ月の間に、資金とプロダクトを『Fluence DAO』に引き渡し、DAOが今後の開発を管理し、コミュニティの参加を促進する予定になっています。
2.Ren Labs Raises $7.5M for ‘Catalog’ Cross-Chain Exchange
クロスチェーンブリッジを開発するチームRen Labsは、クロスチェーンのAMM『Catalog』を開発するため、$7.5Mドルを調達しました。
Amber Group、Multicoin Capital、BlockTower Capital、Cumberland DRW、GBV Capital、Chiron、Fisher8 Capital、LedgerPrime、Bixin、PetRock Capitalが出資しています。
Catalog について
Renチームは現在、Renブロックチェーンという相互運用性を重視した独自チェーンを開発しています。そしてその上で開発されているAMMが、Catalogです。
クロスチェーンにAMMを簡素化することが目標で、スマートコントラクト機能を持たないチェーンもサポートし、例えばAVAXからZcashにスワップしたりすることができるようになるようです。
最終的にはRenチェーンを通じて、DeFiを持っていないブロックチェーンにDeFiを提供することが目標になっています。
機能
ローンチ時には新しい機能が搭載される予定です。
例えば、ユーザーがAMMに流動性提供をするときに、ペアにする必要がなく「片面ステーキング」ができ、それをマーケットメーカーが管理することで、インパーマネントロスを軽減することを試みるそうです。また、インパーマネントロスから保護のための保険プールも組み込まれる予定です。
さらに銀行口座をリンクする機能など、法定通貨のオンランプ・オフランプも計画しているようですが、どのようにしてこれを実現するのか、詳細は明らかにされていません。
またユーザー名を入力するだけで、他のユーザーの資産を送ることができる機能もあるそうです。
今後
早期アクセスのウェイティングリストが開始されました。今後はCatalogを4月にローンチし、Renチェーンの本格的なローンチは今年の3Qか4Qを目標としています。この後、AMM以外のDeFi製品への拡大を目指しています。
3.marginfi’s $3M Seed & Race to Devnet
marginfiが$3Mのシード資金を調達しました。Multicoin、Pantera、Sino Global Capital、Solana Ventures から調達しています。
marginfiは、Solana上で使い回せるクロスマージンのエンジンを開発していて、ユーザがSolana上のDeFiのポジションを統一管理することができることを目指しています。
例えば1つのmarginfiアカウントで、Drift上のパーペチュアルでロングポジション、Zeta上のオプションでショートポジション、Hxro Network上の先物ポジションを管理できます。こうすることで単一のインターフェースで取引を実施しながら、資本効率を最大化することができます。
最初の取り組みである「Fedaykin」というプロダクトは、クロスチェーンのトレードをするユーザ用に作られていて、現在参加者の募集を開始しています。
最近は Solanaのエコシステムに、DeFiデリバティブ と コンポーザブルなDeFiが増えてきています。
4.Squads Raises $5 million in a strategic round and goes live on Solana mainnet
Squadsが $5Mドルを調達しました。
Multicoin Capitalが主導し、Jump Capital, Delphi Digital, Collab + Currency, Volt Capital, Chaotic Capital, Reciprocal Ventures, Blockwall Digital, Seed Club Ventures, Davinci DAO, Reverieなどが参加しています。
同時にSquadsのメインネットローンチも発表されました。
Squadsプロトコル
Squadsは、DAOがオンチェーンで意思決定を行い、資金を管理することを支援するプロトコルです。
メンバーをコードで管理したり、「Vaults」というマルチシグのウォレットの作成したり、トークンの必要ないオンチェーン投票などを簡単に行うことができます。
専用のDAOトークンを発行するのではなく、投票権をカスタマイズしてSquadの異なるメンバーに割り当てることができ、効率的な方法でオンチェーンでの意思決定を行う方法を設定できます。
今後
DAO内のある分野に特化したサブグループを作れるようにする予定です。またRaydiumのスワップの統合していますが、今後数ヶ月の間にステーキングなどのトレジャリー管理を充実させていく予定です。そして来週には、コードをオープンソース化するようです。
5.Luna Foundation Guard raises $1 billion to form bitcoin reserve for UST stablecoin
Terraの開発元のLuna Foundation Guard(LFG)が、ネイティブトークンであるLUNAと引き換えに、$1Bを調達しました。
投資家はJump CryptoとThree Arrows Capitalがリードし、Republic Capital、GSR、Tribe Capital、DeFiance Capitalなどが出資しています。LUNAはすでに流通していますが、10%のディスカウントで4年間ロックという条件になっています。
リザーブへの利用
Luna Foundationは、調達した$1Bを、TerraのステーブルコインUSTのためのリザーブ(準備金)に利用します。このリザーブは、ビットコインとして保管される予定です。
USTは、市場のインセンティブに頼ることでペグを維持しますが、市場の暴落などでアービトラージのインセンティブが失われそうになったときのために、準備金が導入されるということのようです。
ビットコインをリザーブにするのは、Terraエコシステムに相関が少ない通貨だからだそうですが、他の通貨もリザーブに追加していく予定になっています。
6.Jambo secures $7.5 million in seed funding to build Africa's web3 'superapp'
アフリカのweb3スタートアップであるJamboは、$7.5Mドルを調達しました。
Delphi Ventures、Coinbase Ventures、Three Arrows Capital、Alameda Researchなどから出資をうけています。他にもAlliance DAO、Tiger Global、DeFiance Capital、Hashed、Polygon Studios、UOB、Signum Capital、BH Digital、Yield Guild Gamesなどが参加しています。
アフリカは仕事をもたない人も多いため、Play to Earn、送金、DeFi を広げていき、金融インフラを促進していくことがJamboの目標となっています。
具体的にはソーシャルメディア + Web3サービスを集約したアプリを、アフリカ全体に提供することを計画しています。今年末に公開される予定になっています。
すでにJamboAcademyという教育プログラムで、P2EとDeFiのコースを提供しています。
7.Fast Break Labs Raises $$6M in Seed Funding Round
メタ(旧Facebook)の元社員が設立した「Fast Break Labs」がPantera CapitalやSolana Venturesなどから$6Mドルを調達しました。
Virtual Basketball Associationというファンタジースポーツのリーグを運営しています。このリーグでは、ゲーマーが自分のバスケットボール・チームを管理し、他のバーチャル・チームと対戦して賞金を獲得することができます。
Solana上に作られていて、Play to Earnのゲームに似ています。プレイするためには、チームの選手に使用されるNFTパックを購入する必要があります。
NFTの最初のパックは、3月下旬に先着2,000人のプレイヤーに発売される予定になっています。
8.Solana-based programmable cash stream protocol Zebec raises $15 million
Zebecは、$15Mドルを調達しました。
Solana VenturesとDistributed Globalがリードとなって、Alameda Research、Circle、Coinbase Ventures、Lightspeed Venture Partners、DST Globalなどが参加しています。
Zebecは、Solana上のマネーストリームプロトコルで、EthereumでいうSuperfluidという認識です。
Superfluidについては以前かいたので、そちらもご覧ください。(Bspeak! 2021年7月19日号 Superfluidがお金の流れの性質を変える)
Zebecの場合は、企業やDAOでの給与の支払い(リアルタイムで継続的な支払い)がメインのユースケースになっています。
9.Solana Wallet Slope Finance Raises $8M
Solanaのウォレットを開発している Slope Finance は、$8Mドルを調達しました。
Solana VenturesとJump Cryptoが共同でリードして、Sequoia China, Genesis Trading, CMS Holdings, Spark Digital, Circle Ventures, Huobiが参加しています。
モバイルに特化したウォレットで、交換機能なども開発しているようですが、詳細は近日中に発表されるそうです。
SolanaのウォレットといえばPhantomが有名で、Solana上の90%のシェアを占めるそうです。
パートナーシップも上手で、パスワード管理のアプリとして人気の1Passwordと提携しました。Phantomウォレットのユーザーは、「Save in 1Password」ボタンをクリックするだけで、自分のウォレットの秘密鍵、公開鍵、パスワードを1Password vaultに保存することができます。
今のところ、Phantomのみ対応ですが、さらなる統合の可能性も示唆されていて、そのうちEthereumウォレットも対応するだろうと思います。
10.Crypto exchange FTX US is launching a new gaming business
FTX.USが、新しいゲーム事業を発表しました。FTX Gamingと名付けられ、ゲーム提供側がトークンをローンチしたり、NFTへのサポートを提供できるようになるとのことです。
また、FTXは11月にSolana VenturesとLightspeed Venture Partnersとともに$100Mドル規模のブロックチェーンゲーム・ファンドを立ち上げ、ゲームスタートアップ企業に投資しています。
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☕ バックナンバー:
#218 Bspeak! 2022年2月21日号 デジタルIDのプロジェクト『Verite』
#217 Bspeak! 2022年2月14日号 Web3ソーシャルグラフ『Lens Protocol』
#216 Bspeak! 2022年2月7日号 Squeethの『カニ戦略』
#215 Bspeak! 2022年1月31日号 Web3ソーシャルメディア『Solcial』インタビュー
#214 Bspeak! 2022年1月24日号 動いて稼ぐ『Move to Earn』
#213 Bspeak! 2022年1月17日号 ve(3,3) の『Fantomエコシステム配布』
#212 Bspeak! 2022年1月10日号 NFTとDAOとスポーツ
#211 Bspeak! 2022年1月3日号 Arbitrum上のステーブルコインSperax
#210 Bspeak! 2021年12月27日号 Ethereum2.0前の最終テストネット『Kintsugi』
#209 Bspeak! 2021年12月20日号 音楽NFT『Sound』の仕組み
#208 Bspeak! 2021年12月13日号 Blitmapにみる未来のエンターテインメント
#207 Bspeak! 2021年12月06日号 NFTコミュニティ向けツール『Islands』
#206 Bspeak! 2021年11月29日号 メタバース土地NFTの取引
#205 Bspeak! 2021年11月22日号 Siloインタビュー / 分散型ソーシャルグラフCyberConnect
以降もSubstackのアーカイブからご覧ください。