NFT流動性とプロ向けプラットフォーム
先週Twitterのスペースで、「NFTプロ向けのプラットフォームがあれば、NFTの流動性もあがるだろう」という話をしました。
すると先週ちょうど、NFTプロ向けのマーケットプレイス Blur がローンチしました。
Bspeak!で4月に最初に取り上げていましたが、Paradigmから出資され、NFT界隈で有名なdomや6529、Zenecaといった人たちが支援しています。
実際に使ってみると、
複数のNFTを同時にトレード、リストしやすい
他のNFTマーケットプレイスにも同時にリストするのが簡単
リスティングの更新が速い、ペンディングの感知が速い
など、確かに慣れると使いやすいです。
プロトレードが増えるとNFTの流動性はあがります。流動性があがると DeFi + NFT のユースケースが増えたときに、NFTの価格オラクルとしても参照されることも見込めるので、とても良いポジショニングに思えます。
ちなみにBlurは同時に、BLURトークンの入った箱のエアドロップを発表していて、過去6ヶ月の弱気市場でNFTをトレードしてた人が対象となっています。
また11月には、2回目のエアドロップを予定していて、NFTをリストするほどより多く得られるようです。
またBlurでは、NFT所有者がロイヤリティ(NFTが交換されたときに発行者が受け取る金額)を設定することができますが、より高いロイヤリティを設定したユーザが、良いエアドロップを得ることができると発表しています。
これには、Sudoswapがロイヤリティを0%にしたことが背景にあり、Blurとしては「ロイヤリティを守りたい」というスタンスのため、このようなインセンティブをつけています。
これは「クリエイターはロイヤリティ収入を増やしたい、コレクターはクリエイターをサポートしたい」と考えているからと理由を表明していますが、最近はこのロイヤリティをどうするかの議論が白熱しています。
Free to Own
上のTwitterスペースでは、「Free to Own」の話もしました。NFTを売るではなく、無料で配る、というモデルです。
DigidaigakuとCastawaysのゲームが、このモデルで勢いを増していて、見ている感じではとてもうまくコミュニティを惹きつけています。
この2つのプロジェクトは最近パートナーシップを発表していて、関連するNFTをもっていると、Digidaigakuのキャラクターで、Castawaysのゲームをすることができます。
Castawaysは、ゲームは無料でプレイすることができ、アクティブなユーザがNFTを受け取ることができたり、NFTを持っていると別のNFTがエアドロップされたり、となっています。将来的には、ゲーム内での収益を、ロイヤリティとしてNFTホルダーに共有される、としたいそうです。
2017年から2021年の進化を考えてみると、トークン配布方法がICOからDeFiに進化しましたが、それは有料から無料になったとも見ることができます。
お金を出してトークンを買っていたのが、イールドファーミングでうけとるようになったからです。
次はNFTの配布方法も似たように、有料のNFTドロップから無料モデルに移ることで、何か進化を遂げるのかもしれません。
■ Last Week in Crypto
Web3におけるトラフィック測定インフラspindlが$7Mドルを調達しました。
DragonflyとChapter Oneがリードし、Coinbase Ventures、Multicoin Capital、Polygon Ventures、Solana Ventures、Tribe Capitalが参加し、エンジェル投資家はBalaji Srinivasan、Dan Romero、Ryan Selkisなどが参加しています。
Spindl が作っているのは、アトリビューションのためのインフラで、アトリビューションとは、売上やコンバージョンにつながる行動を特定する方法です。
web3では現状トラフィック分析のインフラが整っていません。
例えば、どのアドレスがNFTを買ったかはわかりますが、この買い手がどのようにOpenSeaにたどり着いたかはわかりません。
また例えば、OptimismのNFTやトークンのエアドロップに実際に効果があったのか、コミュニティへの参加を促進させたのか、などを測るのは複雑で難しいのが現状です。
そこで、spindl はそれらを測定するために、Discordの投稿、フォーラム、広告インプレッションなどを測定し、このデータとチェーン上の行動を組み合わせて、トラフィックがどこから来たのかを把握するため仕組みをつくります。
その結果、トークンドロップの保持率やウォレットのコンバージョン率などがダッシュボードで見れるようになる予定です。
さらに利用も簡単になる予定で、オンチェーンイベントを指定してライブラリを呼び出すだけで、そのイベントがどのように発生したかを測定することができるようです。
一部はGoogleアナリティクスのweb3版のような側面があると思いますが、また一部は広告のためのインフラという側面もあるかもしれません。もし測定方法があれば、web3ソーシャルメディアにもっと違うユースケースやエコノミクスが加わるかもしれません。
画像:spindlブログ
Spindlはまずは集権的なサービスからはじめて、徐々に分散化されたプロトコルになっていくととしているので、トークンの発行を予定しているのかもしれません。
2.Web3 Builders raises $7 million in effort to make web3 safer for all
セキュリティ企業 Web3 Builders Inc.は、$7Mドルを調達し、最初の製品「TrustCheck」を発表しました。
Road Capitalがリードし、OpenSea Ventures、Sparkle Ventures、Global Founders Capitalなどが参加しています。
TrustCheckは、フィッシングや悪意のある署名要求などの詐欺からユーザを守るためのプロダクトです。
Chromeブラウザ拡張になっていて、入れておくとバックグラウンドで詐欺を検知したらユーザーに通知し、怪しい署名をキャンセルできるようになっています。
裏では機械学習とオンチェーン/オフチェーンのいろいろなソースを参照して、怪しいウォレットやサイトを検索して解析し、検知します。
今後TrustCheckだけでなく、他にも複数の製品をだしていくとしていて、トークン権付きの株式で調達したとのことなので、将来的にトークンをローンチする可能性があります。
3.Messaging App Telegram to Auction Usernames on TON Blockchain
個人的にTelegramの通知があって気がついたのですが、まもなくThe Open Network(TON)ブロックチェーンを使って、Telegramのユーザ名が売買できるようになるそうです。
数週間前に、Telegramの創設者Pavel Durovの公式チャネルでアナウンスされています。
それによると、「所有権のためにNFTに似たスマートコントラクト」を開発していて、まずはユーザネームが取引できるようになり、その後チャンネル、ステッカー、絵文字などの要素もマーケットプレイスに加わる可能性があるとしています。
TONブロックチェーンは、TelegramがSECから訴訟されて頓挫しましたが、その後エコシステムの開発者がTON財団を設立し、TONブロックチェーンとToncoinを開発しています。
4.Ottr Finance, a Solana-based Crypto App, Raises $3.1 Million Pre-Seed Funding
暗号通貨の保有や送金を簡単にするモバイルアプリOttrは、$3.1Mドルを調達しました。
Race Capitalがリードし、Circle、Slow Ventures、Kamal Ravikant氏(Naval氏の兄弟)が参加しています。
Ottrは、携帯電話を持っていれば簡単にUSドルを送受信できる、クリプトのVenmoになることを目標にしています。
Solana上に開発されていて、ウォレット設定やシードフレーズ保管など面倒なことをせず、ガスも気にすることなく、USDCを無料で送信することができます。
今後の予定として、利回り製品を提供する予定です。また11月には、ユーザーがウォレットプロファイルとして表示できる限定NFTをリリースする予定です。
5.WazirX founder’s blockchain project Shardeum raises $18 million
新しいL1チェーンのShardeumが、$18.2Mドルを調達しました。
Spartan Group、Big Brain Holdings、Jane Street、Foresight Venturesなどが参加しています。
Shardeumはインドの取引所WazirXの創業者Nischal Shetty氏が設立したプロジェクトで、スケーラブルなL1を目指しています。来年の1Qにローンチする予定で、パブリックセールも予定しています。
6.Fab.com founder Jason Goldberg launches Polygon-backed web3 project
Web3 APIプラットフォームを提供するAirstackが、プレシードラウンドで$3Mドルを調達しました。投資家には、Animal Ventures、Polygon、Fenbushi、Resolute Venturesが参加しています。
Dappsが共通のフォーマットでAirstackにデータを提供することで、個人がAPIで簡単にデータを利用できるようになります。
短期的には高速なシステムを提供し、時間をかけて分散化する予定になっています。
このAirstack APIを利用したアプリも用意されていて、OpenSea、ENS、Uniswapなどのプロジェクトの最近のトランザクションがフィードとして表示されます。
7.Celestia Labs hits unicorn status in latest bet on modular blockchains
モジュラー型のアプローチで効率的なチェーンを作れるようにするプロトコル Celestia が $55Mドルを調達しました。
Bain Capital Crypto、Polychainがリードで、Placeholder、Galaxy Digital、Delphi Digital、Blockchain Capital、NFX、Protocol Labs、Figment、Maven 11、Spartan Group、FTX Ventures、Jump Cryptoが参加し、Balaji Srinivasan、Eric Wall、Jutta Steinerなどのエンジェル投資家も加わりました。
以前にも何度か少し触れたことがありますが、モジュラー型のアプローチには注目をしていて、特にCelestiaは、Data Availablitiyコストというボトルネックを解消するための部品として期待をしています。
8.Solana-based gaming platform Arcade2Earn raises $3.2 million: Exclusive
Solanaブロックチェーン上のゲームプラットフォームArcade2Earnは、Crypto.com Capitalがリードで$3.2Mドルを調達しました。
その他に、Solana Ventures、Shima Capital、KuCoin Labs、GSRが参加しています。SAFTによる調達になっていてトークンが発行される予定になっています。
Arcadeは、「ミッションプール」というコンセプトによって、NFTを所有することなくゲーマーがお金を稼ぐことができる点が特徴です。
ミッションプールには、「オペレーター」と「コントリビューター」という2つの役割がいます。
「オペレーター」はArcadeプラットフォームで承認される必要がありますが、貸し出されたNFTを使ってゲームして報酬を得ることができるようになります。
「コントリビューター」は、ミッションプールにxarcadeトークンを預けることで、どのオペレーターやゲーム内のアクティビティをサポートするかを決めます。ミッションが完了すると、貸し出したxarcadeトークンの比率に応じて報酬をうけとります。
画像:ライトペーパー
9.Multicoin backs college sports fan platform Mercury’s $7.5 million raise
大学スポーツのファン体験プラットフォームMercuryは、$7.5Mを調達しました。
Multicoin Capital がリードで、North Island Ventures、Crosslink Capital、Brevan Howard Digitalが参加しています。
Mercuryは、大学のスポーツクラブとファンを結びつけるプラットフォームで、Flowブロックチェーン上で開発されています。
現在はセントラルフロリダ大学の運動部、クレムソン大学の運動部と提携していて、機能としては、選手やコーチとのインタビューへのアクセスや、限定的なNFTドロップなどをファン向けに提供する予定です。
10.Metaintro Raises $5.6M to Build On-Chain Resumes Automating PoW and Accelerating time-to-hire
web3の履歴書ウォレットであるMetaintroは、$5.6Mドルを調達しました。
Druid Ventures、Republic、Untapped Ventures、Ziba Capitalからの出資、またNEARとAaveからグラントをうけています。
履歴書ウォレットを開発する予定で、スキル、学歴、雇用歴の証明を保管し、PDFの履歴書に代わるものを目指しているそうです。
そのウォレットを使ってWeb3の求人アプリケーションとやり取りすることができるようになります。
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