Alliance DAOの17プロジェクト
先週Alliance DAOのアクセラレータでDemo Dayがあり、953の応募の中から選ばれた17個のプロジェクトが最終発表をしました。以下に17つを簡単に書いていきます。
Spexigon(ドローン画像のweb3ネットワーク)
ドローン画像のためのプラットフォームで、ドローン所有者が、地球上の画像を撮影してクリプトの報酬を得ることができます。(Fly To Earn)また今週号でこのあと書いていますが、Alliance DAO、Dapper Labsなどから$5.5Mドルを調達しています。
0xPass(ログインのためのDapps用ツール)
アカウントの抽象化(Account Abstraction)を利用して、ウォレットの種類にとらわれないログインフローを設定することができるようになります。Aliance DAO や Balaji氏などから調達しています。
Raleon(Web3マーケティング分析)
web3のためのマーケティングツールを作っています。チェーン上のデータとSNSのデータを組み合わせてユーザアイデンティティを作り、それをもとにプロジェクトがターゲットにできるようにします。
Persona(DAOグループチャット)
詳細はわかりませんが、グループチャットで簡単なDAOを作れるというツールで、数分で資金をプールし管理できるようになるようです。Alliance DAO、CYGNI Capital、Protagonistなどから$4.5Mドルを調達しています。
Niural(クリプト給与計算ツール)
法定通貨とクリプトの両方の給与計算ができるPolygon上のプロトコルと、税金なども処理できる人事プラットフォームを開発しています。
Tensor(SolanaのNFTアグリゲーター)
9個のマーケットプレイスで同時に取引を実行でき、Blurと同じようにプロトレーダー向けにしていくようです。
Ora(Web3検索エンジン)
まずSolana上のデータをインデックスし検索できるようにしていて、今後は他のチェーンにも展開予定になっています。
Mensari(Web3会計ツール)
スワップ、NFT、流動性提供などの運用の会計システムを開発しています。EthereumとPolygon上で稼働しています。
Ethos(Suiのウォレット)
Chromeブラウザウォレットで、メールによるサインインなどWeb2的な機能があります。Sui上のNFTも作ることができます。FTX、Tribe Capital、Mysten Labsから$2.4Mドルを調達しています。
Legends of Venari(Web3ポケモンGo的なゲーム)
FractalなどのNFTコミュニティと提携しています。Lattice Capitalがリードで$5.4Mドルを調達しています。
SlashAuth(Web3認証ツール)
開発者が、認証・ログインのための機能を簡単につくることができるツールです。Alliance DAOや Y Combinator などから$3Mドルを調達しています。
Sort(Web3開発者ツールキット)
開発者が dApps を簡単に構築できるように、ツールキットとテンプレコードを提供しています。
Ostium(現実世界資産のトークン化)
エネルギー系商品や貴金属などのコモディティをトークン化するプラットフォームです。Pythのようなオラクルを使って、オフチェーン資産をオンチェーンでミラーリングし、トークンでトレードできるようにします。
Slise(Web3広告プラットフォーム)
オンチェーン活動を分析して、テーラーメイドの広告を出せるようにすることが目標です。
Space and Time(分散型データインフラ)
以前にBspeak!でも触れていますが、MicrosoftのM12がリードで$20Mドルを調達しています。
Stride(CosmosのLiquid Staking)
以前にBspeak!でも触れていますが、Cosmos のためのLiquidステーキングプラットフォームです。Pantera、Distributed Global、1confirmationなどから$6.7Mドルを調達しています。
Chain ML(分散型の機械学習)
こちらもBspeak!で以前に触れていますが、機械学習プラットフォームで、スマートコントラクトやdAppsが機械学習を活用できるようにします。IOSGなどから$4Mドルを調達しています。
■ Last Week in Crypto
1.We’ve Secured $5.5 million USD to Democratize Geospatial Data
上でも書いたドローン画像のネットワークSpexiが、$5.5Mドルのシード資金を調達したことを発表しました。
Blockchange Venturesがリードし、Protocol Labs、InDro Robotics、Alliance DAO、FJ Labs、Dapper Labsなどが参加しています。
もともとSpexiは、ドローンを使った地球上の画像とその分析を提供するSaaSとして始まり、過去1年で$1.5Mドル以上の収益を上げているようです。
Fly-to-Earn
今回シードラウンドの機に、SaasからWeb3プラットフォームに移行するとしています。いわく「Fly-to-Earn」のモデルで、ドローンをもっている人が、空から地球の画像をとって共有することで、SPEXIトークンとドルを獲得することができるようになります。
そしてその集まった地球の画像は、誰でも購入して使えるようになり、独自のドローンを持ったり操縦士を雇う必要がなくなります。
アプリ
アプリには「Spexigon」という六角形のゾーンが重なった地図が表示される予定で、ドローン操縦者は身近なエリアを選んで画像収集をして報酬を得ることができます。
2023年の春にローンチする予定になっています。
2.Decarbonizing Energy with Web3
エネルギーネットワークのReact Networkが、シードラウンドで$4.2Mドルを調達しました。
Lerer HippeauとLattice Capitalが共同でリードし、VaynerFund、CoinShares、Digital Currency Groupが参加しています。
個人や企業が、蓄電池を提供すると、トークン収入が得られるネットワークを作っています。将来的には家庭用の「電気自動車充電器」も接続できるようにしたいようです。
このように自分の持っているリソースを共有して報酬を得ることができるネットワークは、FilecoinやHeliumなどでも試されています。
しかしFilecoinやHeliumのように独自のチェーンを構築する予定はなく、既存のネットワークに展開する予定になっています。現在はサイトにてウェイトリストに応募することができます。
3.Day 1
Nikeが独自のweb3プラットフォーム「.Swoosh」を発表し、バーチャルシューズやアイテムを推進していく計画を明らかにしました。
まずは、バーチャルシューズ、ジャージ、アクセサリーをNFTとして集められるプラットフォームとしてスタートする予定です。その後ゲームやVR上で着ることができるようになります。
そしてゆくゆくは、ユーザ自身でNFTアイテムをデザインしたり、共同制作したり、それを取引するためのプラットフォームになる予定になっています。
また「チャレンジ」という課題が出るようで、それを勝ち抜いた一部のクリエイターは、Nikeと共同制作したバーチャルプロダクトからロイヤリティを得ることができるそうです。
他にもNFTを使って、現実のイベントやバーチャルイベントで、Nikeのアスリートやデザイナーなどと交流もできるようにするそうです。
パートナー企業
Polygonブロックチェーンを利用しますが、Polygonを選んだ理由としては、環境への影響をあげていて、「2022年にカーボンニュートラルなチェーンになるというPolygonの公約を考慮してPolygonを選択しました」と書かれています。これが最近大手で採用がふえているPolygonの強さの1つなのかもしれません。
またBitGoとも連携し、ユーザにはBitGoが作成・管理するウォレットが提供されます。
予定
今後の予定としては、12月にチャレンジが発表され、1月にはNFTコレクションの第一弾が発表される予定になっています。
4.Buildspace raises $10M led by a16z to build Hogwarts for builders and dreamers.
Buildspaceが、$10Mドルの調達を発表しました。
a16z、Y Combinator、OrangeDAO、Protocol Labs、OpenSea Ventures、Solana Venturesなど多くのVCが参加しています。
Buildspaceはweb3に限らずAIや機械学習、バイオ研究や創作活動などをするクリエーター、開発者のためのコミュニティ、もしくは学校のようなものを作っています。
ブートキャンプや大学とは違って、ユーザは基本無料で利用でき、かつグローバルにアクセスできるようにし、Buildspace自体はスポンサーシップで利益を得ています。
3月にはサンフランシスコに場所を用意する予定で、ネット上だけでなく、リアルでも交流したり学べるようにするようです。
5.Ping wants to simplify global payments while helping Latin Americans embrace crypto
フリーランサーに特化したネオバンクPingは、シードラウンドで$15Mドルを調達しました。
Y Combinator、Race Capital、BlockTower、Danhua Capital、Signum Capital、Goat Capitalなどの投資家が参加しています。
Pingのアプリは、国際的に働くデジタルノマドやフリーランサーをターゲットにしています。ユーザは米ドルの銀行口座を作って、雇用主に請求して、銀行振込で現地通貨や暗号通貨を受け取ることができます。
今はラテンアメリカに注力していて、ドルで報酬を受けながら、南米の現地通貨に交換する必要があるフリーランサーなどが使っているようです。今回の調達の資金で、他の地域にも拡大していくとしています。
6.Heds Raises $2.5M to Foster Collaborative Curation.
Hedsが、シードラウンドで$2.5Mドルを調達しました。
True Venturesをリードに、Palm Tree Crew、Coop Records、NoiseDAO、WoodstockDAO、Chainforest Capitalなどが参加しています。
Hedsは、共同キュレーションとアーティスト発掘のためのプラットフォームで、以下のような流れの音楽NFTイベントを開催しています。
サンプル提供
まず、アーティストが曲サンプルを提供し、サイト上でダウンロードできるようになります。アーティストはサンプルのパーツ(Stemファイル)をダウンロードすることができます。
応募
そしてアーティストはサンプルを使ってリミックスし、提出します。
投票
コミュニティが、提出された音楽のうち気に入ったものに投票をします。(投票権はNFT所有数で決まります。)
キュレーション
最も多くの票を集めた20点の応募作品の中から、「サンプルキュレーター」という役割が、最終的な10点を選びます。
NFTミント
上で選ばれた10個がまとめられて「Tape」というNFTが発行されます。ここに入ったアーティストは、最初のミントの75%を受け取り、残りの25%はトレジャリーに納められます。
過去1年で、すでに9回行われていて Tape 09 まで発行されています。これを配信しているころには Tape 10 の応募が締め切り、キュレーションのプロセスが行われていると思います。
Peazeというプロジェクトが、$2.1Mドルを調達しました。
Version One、Outlander VC、Haven Venturesや、Opynの創業者などがエンジェルとして参加しています。
Peazeは、開発者がクリプトの知識を必要とせずに、良いユーザー体験を作れるようにするためのツールです。
開発者としては、Peaze SDKを数行のコードで統合することができて、アプリのUIにマッチするようにカスタマイズすることができます。
そしてユーザとしては、クリプトを意識しないUXで利用することができ、例えばメールでログインできたり、クレジットカードでウォレット作成や暗号通貨の購入などができます。
また鍵の管理、ネットワークの切り替え、トークンの交換、ブリッジなども、ユーザは意識せずに良くなります。
今後伸びていくゲーム分野などは、このようなクリプトを意識させないUXがユーザ獲得に大きく貢献するんだろうと思います。この前すこし書いたCastawaysのゲームもこのあたりの改善を目指していて、デザイン領域というかUX領域はまだまだ開拓の余地があります。
8.Brevan Howard Digital co-leads $4.8 million round for NFT fraud detection startup Yakoa
偽物NFTの検出スタートアップYakoaは、$4.8Mドルを調達しました。
Brevan Howard Digital、Volt Capital、Collab+Currencyが共同リードし、Uniswap Labs Ventures、Alliance DAO、Orange DAOなどが参加しています。
Yakoaは、SaaSビジネスモデルで、NFTコンテンツのコピーがどこにあるかをAIがマッピングします。メインの顧客はNFTマーケットプレイス、メタバースのプラットフォーム、NFTコレクションになっています。
9.Shima Capital backs PlayEmber's $2.3 million raise
Web3ゲーム収益化プラットフォームPlayEmberが、$2.3Mドルを調達しました。
Shima Capitalがリードで、Big Brain Holdings、Hyperithm、Huobi Venturesなどが参加しています。NEAR上に開発されていて、NEAR Foundationからも支援をうけています。
詳細はわかりませんが、どうやらPlayEmberを使って作られたゲームを、プレイヤーがプレイすると、ギフトカードなどの報酬が得られるようになるようです。
広告を出したいブランドやクリエーターとしては、PlayEmberの広告フォーマットをつかって、自分のNFTや商品を、モバイルゲーマーに配信することができるようです。
10.Binance Labs Invests $4 Million in Ultimate Champions to Support Innovation in Web3 Gaming
Binance Labsが、Web3スポーツゲーム Ultimate Champions に$4Mドルを投資しました。
Ultimate Championsは、当初サッカーに注力していて、アーセナルFCなど欧州の9リーグのサッカークラブと提携しています。
現実世界のスポーツイベントと同期していて、選手のパフォーマンスがスコアに変換されるようになっています。
またヨーロッパのプロバスケットボールマネジメント会社EuroLeagueとも提携をし、来年にはバスケットボールのゲームに進出する予定です。
11.Heroic Story raises $6M to build tabletop RPG platform for Web3
Web3ゲームスタジオのHeroic Storyが、$6Mドルを調達しました。
Upfront Venturesがリードになっていますが、前回のラウンドでは、Multicoin CapitalとPolygon も参加しています。またa16zのJonathan Lai氏もエンジェル投資家として参加しています。
誰でも簡単にプレイすることができる「テーブルトップRPGゲーム」を開発しています。
12.Announcing $200 Million in New Funding to Accelerate the zkSync Mission
zkSync開発元のMatterLabsが、$200Mドルを調達しました。Blockchain CapitalとDragonfly Capitalがリードになっています。
zkSyncのトークンがまもなくローンチすると言われていますが、先週StarkNetのトークンもEthereum上にデプロイされていて、zkRollupの競争がもうすぐ激化していきそうです。
13.FTX and Avalanche co-led $5M round for Joepegs NFT marketplace
Avalanche上のNFTマーケットプレイスであるJoepegsが、$5Mドルを調達したと発表しました。事件の前FTX VenturesとAvalanche財団がリードとなっています。
Avalanche上のAMMであるTraderJoeと同じチームで、NFTに関して短期的には自社コンテンツを進め続けていく予定です。近いうちに新しいコレクションが登場するようです。
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