Sepoliaテストネットのマージ
Ethereumマージが近づいていますが、先週はSepoliaというテストネットでのマージが実行されました。この後は、Goerliテストネットでマージされる予定になっていて、これがうまくいけばいよいよメインネットのマージになります。
メインネットのマージの前は準備期間を長めにとるとは思いますが、今年中というのは現実的になってきています。
■ Last Week in Crypto
1.Web3 network WeatherXM raises $5 million in seed funding
トークンをインセンティブにして予測の精度を高める気象ネットワーク「Weather XM」が$5Mを調達しました。Placeholder VCがリードで、Metaplanet、ConsenSys Mesh、Protocol Labs、Border Capitalなどが参加しています。
ユーザがWeatherXMの装置を買って、自宅などに取り付けると、この装置が気象データを集めてWeatherXMに送り、その見返りとしてWXMトークンの報酬を得ることができます。
こうすることで、気象インフラのないような地域においてもデータを集めて、気象予報の精度を高めることが期待されます。
現在この装置は、$400ドルほどで出荷されています。そして次世代版はHeliumのネットワークにも接続できるようになり、すでに4000個ほどの事前注文があるそうです。
トークン報酬はまだPolygonテストネット上ですが、メインネットのローンチが準備されています。
実際にどのように報酬が与えられているかは、エクスプローラー上で見ることができます。
IoT系やデバイス設置にインセンティブを与えるHeliumのようなプロジェクトは今後さらに増えていきそうです。
2.AltLayer raises $7.2M from Polychain Capital, Breyer Capital and Jump Crypto
AltLayerが、$7.2Mドルのシードラウンドを完了したことを発表しました。
Polychain Capital、Breyer Capital、Jump Cryptoがリードになっています。エンジェルでは、Balaji氏やGavin Wood氏、またCircle共同創業者、Messari創業者、Syntheix共同創業者、元Polychain GPのTekin Salimi氏 (現DAO5) などが参加しています。
AltLayerとは
AltLayerはスケーリングのためのネットワークですが、普通のL2と違った新しい構造になっています。「rollup-as-a-service」とも言えますが、これについて説明していきます。
Ethereumなど汎用型チェーンは、NFTミントなどの一時的なイベント需要で「チェーン全体」が混雑し、ガス代が高くなってしまうのが課題です。
これはL2においても同様で、2週間前もArbitrumのOdessayというイベントで、ネットワークが混雑したことが話題になりました。ブロックスペースをみんなで共有するモデルなので、需要がありすぎると全体に影響してしまうのです。
そこでAltLayerを利用すると、アプリ専用L2チェーンを必要なときだけすぐに立ち上げられるようになります。このアプリ専用チェーンは、Optimistic Rollupのような実行環境で、「フラッシュレイヤー」と名付けられています。
そして需要の高いイベントが終わったら、フラッシュレイヤーを終わらせて、アプリはL1またはL2で通常使いができるようになります。
ちなみにフラッシュレイヤーは、WASMとEVMをネイティブにサポートする予定で、セキュリティレベルはEthereum L1やL2(OptimismやArbitrum)と同じレベルになります。
使い捨ての実行レイヤー
つまりAltLayerのポイントは、「使い捨ての実行レイヤー」です。まとめると流れは以下のようになります。
(1) L1のセキュリティを借りたロールアップを素早く立ち上げることができる
(2) 必要な期間だけロールアップを使って、L1での混雑を防ぐ
(3) L1で利用完了のトランザクションを実行して、ロールアップを廃棄する
そのためAltLayerは、Elastic(弾力性がある)やDisposable(使い捨て可能)などと説明されていますが、この特徴によってチェーン全体のリソースの無駄遣いを防ぐことができます。
今後の予定
2022年3Qには、EVMをサポートしたテストネットが予定されています。また今年の後半にシリーズA調達を計画しています。
将来的にはAltLayerを構成するシーケンサー(トランザクションを実行するノード)をより分散化する予定になっているので、おそらくそこでネイティブトークンが導入されるのだと思います。
最近dYdXがイーサリアムから独自のチェーンに移行しましたし、Yuga Labsも土地NFT(Otherdeed)のセール終了後に独自チェーンを作ることも検討するとしていましたが、これらはAltLayerには追い風かもしれません。
3.Buy a Bored Ape Now and Pay Later With New Service for Ethereum NFTs
「NFTをいま買って、後で支払う」ということができる機能を、Teller Financeが開始しました。
「Ape now pay later」と名付けられていて、それ専用のアプリApeNowも公開されています。
現時点ではBAYC、Moonbirds、Doodles、Cool Catsなど一部のNFTのみがサポートされていますが、購入者は、NFTの「頭金」を支払うことでNFTを所有でき、残りの費用は、利子をつけて後で支払うことができます。
仕組み
例えばBAYCを買いたいとします。そのBAYCがOpenSeaにリストされている場合、Tellerのプラットフォームを使って、注文をすることができます。このときユーザーは、25-50%程の頭金だけを支払い、その後Tellerが貸し手とのマッチングを試みます。
マッチングが成功し、貸し手が条件を受け入れたら、「頭金+貸し手から資金」を使ってBAYCがOpenSeaから購入されます。そして返済期間の間、購入したBAYCはエスクローのウォレットに置かれます。
利子を含めた残りの支払いが期限内に完了したら、このBAYCをエスクローウォレットから受け取ることができます。
このようなDeFi + NFT のユースケースは、今年もっと発掘されていくと思います。
4.DeFi staking protocol Tenderize raises $3 million in seed funding
Liquid StakingのプロトコルTenderizeは、$3Mドルを調達しました。Eden Blockがリードで、Figmentなどが参加しています。
Liquid Staking自体は、ステーキングしたポジションを持ちながら交換を可能にする仕組みで、プロトコルの代表例としては Lido があります。Lidoの場合はETHやSOLなどがサポートされていますが、これをどのトークンでもできるようにし「パーミッションレスのLiquid Staking」を最終的に目指すのが、Tenderizeです。
現在は、LPT、GRT、AUDIO、MATICトークンのLiquid Stakingをすることができます。
5.DeFi protocol Aave proposes creation of stablecoin called GHO
DeFiプロトコルのAaveを開発するAave Companiesが、GHOという新しいステーブルコインを作ると提案しました。
Aaveにデポジットしたトークンを担保に、ステーブルコインGHOを発行できるようになります。将来的にはAave以外においても、担保やクレジットスコアを元に発行できるようにしたいようです。
そしてAave DAOとしては、ステーブルコインの発行者(借りた人)から利子を受けとり、DAOの利益を得ることができます。
まだこの提案はフォーラムで議論中で、実行にはガバナンス投票を通過する必要がありますが、すでに開発は完了していて、7月11日に監査が予定されています。
6.Soba raises $13.5M for no-code game tools for creators
Sobaが、$13.5Mを調達しました。Lightspeed Venture がリードし、FTX Venturesやクリエイターなどが投資に参加しています。
Sobaはゲームを作るためのプラットフォームで、プログラミング言語を知らなくても、クリエイターが独自のゲームを作ることができます。
他人が作った要素を追加したり、設定したり、ロジックを視覚的にいじることができ、色々な種類のゲームを作ることができることを目指しています。
またゲーム内におけるNFT所有者のための体験も、ノーコードで設計できるようにすることも計画しています。
7.Web3 gaming firm Planetarium Labs raises $32 million in Series A funding
Web3ゲーム企業 Planetarium Labs は、$32Mを調達しました。
Animoca Brandsがリードで、Samsung Next、韓国のカカオの投資部門であるKrust Universe、韓国のビデオゲーム開発会社であるWeMadeなどが参加しています。
分散型ゲームを構築するためのサービスを提供していて、Web3ゲームスタジオへのインキュベーション、技術サポート、出版サポートなどがあります。
8.Japan’s gaming blockchain builder Oasys raises $20M in private token sale
日本とシンガポールを拠点に、ゲーム開発者向けのブロックチェーンを構築しているOasysが、$20Mドル調達を発表しました。
Republic Capitalがリードし、Jump Crypto、Crypto.com、Huobi、Kucoin、Gate.io、Bitbank、Mirana Venturesなどが参加しています。
Oasysチェーンの初期バリデータには、バンダイナムコリサーチ、セガ、Yield Guild Gamesが含まれているそうです。最終的にはDAOに移行する予定としています。
9.Bitmark Raises $5.6M, Launches Interoperable NFT Wallet
Bitmarkは、$5.6Mドルを調達しました。Galaxy InteractiveとNorth Island Venturesがリードになっています。
BitmarkのNFT専用ウォレットは、NFTコレクションを表示することに注力していて、仮想展示会を作成することができます。現在はEthereumとTezosに対応していて、今後サポートするチェーンをさらに増やしていく予定になっています。
10.DeepNFTValue raises $4 million to expand beyond pricing CryptoPunks
機械学習技術を使用してNFTの価値を推定する DeepNFTValue が、$4Mドルを調達しました。
Rockaway Blockchain Fundがリードで、1ConfirmationやCygni Capitalなどが参加しています。
現在は、属性と取引履歴をつかって、CryptoPunksのバリュエーションを推定していますが、今後はBAYC、CloneX、Azuki、ArtBlocksなど主要なNFTをカバーする予定になっています。
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