Polygon の zkEVM
先週からコロンビアおこなわれているカンファレンスDevconの中で、Polygonチームが zkEVMのテストネットを発表しました。
まだアプリはありませんが、ブリッジして試すことができます。
今回のPolygon zkEVMはまだテストネットなわけですが、zkSyncのzkEVMはすでにテストネットを8ヶ月ほど稼働させていて、今月末にはメインネットが出る予定になっています。
zkSyncが先に出て、PolygonとScrollは早くても来年中、となりそうです。
どのzkEVMにしても、多くの人の予想よりも早く開発が進んでいて、Vitalik氏もzkEVMがこんなに早く出るようになるとは思っていなかったとポッドキャストでコメントしていました。
■ Last Week in Crypto
Ryeプロトコルというプロジェクトが$14Mドルを調達しました。a16z crypto がリードで、Solana Venturesなどが参加しています。
Ryeは、クリエーターが数分でEコーマスのストアを作れるショッピングプラットフォームを開発しています。
作られたストアで買い物をするユーザは、異なるサイトの商品を1つのカートで、まとめて買い物することができます。またUSDCのキャッシュバック報酬、NFTドロップやクーポン、早期ショッピング報酬など、クリプトの機能が搭載される予定です。
またトークンを導入することで、ShopifyやEstyなどのEコマースプラットフォームよりも手数料を低くすることができるようです。
まだデモ段階ですが、Store builderを使うと、Rye APIを使ったストアを数分で作ることができ、AmazonやShopifyの商品リンクを貼るだけで商品を並べることができます。
実際に以下のようなストアを簡単に作ることができました。
アカウントを作ると、それに紐づくウォレット(Solanaアドレス)に 50 RYEトークンが配られていることがわかります。
最終的に Rye API はSolanaブロックチェーン上に構築され、関係者がRyeトークンを受け取ることができるようにし、ガバナンスを分散化していくことを計画しています。
Forbesの記事によると、最終的なトークンの割当は、インサイダー(チーム+投資家)が50%くらいになるだろうとのことです。
2.Gomu raises $5M to power NFT liquidity incentives and commerce
NFTのインフラ企業 Gomu は、$5Mドルを調達しました。Coinbase Ventures、DeFiance Capital、Saison Capitalなどが参加しています。
Gomuは、NFT Hub と Collection.xyz という2つのプロダクトを発表しています。
NFT Hubのほうは、ブロックチェーンでの開発経験がなくても、数分でマーケットプレイスやトークンゲートコミュニティを作成することができるツールです。これを使ってMutant Ape Yacht Club(MAYC)のコミュニティMutant Cartelと提携し、コミュニティハブを立ち上げる予定になっています。
もう1つのプロダクト Collection.xyz のほうは最近発表されたもので、NFTの流動性インセンティブプロトコルです。NFTホルダーがSudoswapで流動性を提供して、報酬をうけとることができるものです。
流れとしては、NFTコレクションやププロジェクト側が、Collection.xyz上でインセンティブを与える設定をします。
そしてNFTホルダーは、同じくCollection.xyz上からSudoswapプールにNFTとETHを流動性提供することができ、NFTプロジェクト側が設定した報酬を得ることができます。
まだ出たばかりなので、今はNFTプロジェクト側からではなく、Collection.xyz自身が報酬を出していて、LootなどいくつかのNFTに割当られています。
3.Introducing Moon Mortgage: Materializing your digital wealth
Moon Mortgageが、$3.5Mドルを調達しました。CoinFund、Cadenzaが参加しています。
Moon Mortgageは、暗号通貨担保の住宅ローン「Crypto Mortgage」を開発しています。
暗号通貨を担保にし(カストディサービスのAnchorageに保管し)、持ち家や投資用不動産のためにお金を借り入れることができます。
利用者としては、クリプト相場が盛り上がるときのアップサイドを失ったり、クリプトを売って税金を払ったりせずに、不動産を借り入れることできたり、現金を借り入れることができる、という利点があります。
15分で申し込みができ、最短で2週間で審査が完了する予定だそうです。
テキサス、フロリダ、コロラドの住宅購入者向けにもうすぐ開始され、米国内のほとんどの州の投資物件を開放する予定としています。
4.nxyz Raises $40M Series A, Led by Paradigm, to Enable Faster Blockchain Indexing
ブロックチェーンのデータを整理して提供するインデクサー nxyz が、$40Mドルを調達しました。
Paradigmがリードで、Coinbase Ventures、Sequoia Capital、Starkware、Optimism、Greylock Partners、またMessariのCEOのRyan Selkis氏、元Coinbase CTOのBalaji Srinivasan氏などが参加しています。
nxyzを使うと、ブロックチェーンのデータのインデックス作成と取得を高速ですることができます。ドキュメントによると、APIを介してブロックチェーンのデータを200ミリ秒以内に提供するとあります。
5.NFT startup Otterspace raises $3.7 million to 'definancialize web3': Exclusive
Otterspaceは、$3.7Mドルを調達しました。
Cherry CryptoとInflectionがリードし、Bessemer Venture Partners と Coinbase Venturesが参加しました。
Otterspaceは、譲渡できないNFTバッジを発行できるプロトコルです。
ユースケースとしては、DAOがタスクを設定して、ユーザがそれを完了すると譲渡できないNFTバッジを受け取り、そのNFTを元に特典を受けることができる、というものです。
例えばNFTバッジを持っている人だけのDiscordロールをつけたり、ガバナンスの投票権にしたり、報酬を受け取る権利にしたりとすることもできます。
実際にBankless DAOでは、OtterspaceのNFTを使って、役割と報酬を割り当てているようです。
6.Enterprise Crypto Wallet Startup Pine Street Labs Raises $6M in Polychain-Led Round
Pine Street Labsは、$6Mドルを調達しました。
Polychain Capitalがリードし、Blockchain Capital、Coinbase Ventures、Genesis、CoinList、Figment、BECO Capitalが参加しています。
Pine Street Labsは、エンタープライズ向けにウォレット用のミドルウェア(walletOS)を開発しています。
「MetaMaskやPhantomのような一般向けウォレットを使いたくないが、自社で複数チェーン上のウォレットを作って運用するノウハウがない」という企業やチームに向けたサービスです。
このwalletOSは、ノンカストディアルのウォレット管理ツールなので、秘密鍵の管理は常にユーザがおこないますが、ニーズに応じてカスタマイズすることができます。
例えば、一度に複数のノードに最少額ステーキングする、とか、複数のネットワークでマルチシグアドレスを生成する、などができそうです。
7.DeFi startup Arch raises $5 million to become the 'BlackRock of web3'
DeFiプロジェクトArchは、$5Mドルを調達しました。
DCGとソフトバンクのスピンオフ企業Upload Venturesがリードとなっています。
Archはインデックスのプロトコルで、分散したポートフォリオをトークン化し、それを個人が売買できるようにします。
まずは2つのインデックストークンが用意されていて、
1つ目は、Uniswap, Link, ApeCoinなどのトークンに連動するArch Ethereum Web3 トークン
2つ目は、BTC, ETHなど主要なL1チェーンのトークンに連動する Arch Blockchain トークン
となっています。
8.Offchain Labs acquires Ethereum software team Prysmatic Labs
Arbitrumを開発しているOffchain Labsが、Ethereumインフラの企業Prysmatic Labsを買収しました。
Prysmatic Labsは、ノードを動かすためのソフトウェア「Prysm」の開発元で、現在のEthereumネットワークノードの約半分がPrysmを利用しています。
9.Crypto Hardware Maker Fabric Systems Raises $13M in Seed Funding
ハードウェアのスタートアップであるFabric Systemsが$13Mドルを調達しました。
投資家には、Metaplanet(Skypeの共同創設者Jaan Tallinn氏の投資会社)と、Blockchain.com、8090 Partnersが参加しています。
Fabric Systemsは、液体冷却式のビットコインマイニングハードウェアと、ゼロ知識証明用のチップを開発する予定です。
ほとんどの資金はビットコインマイニングのハードウェア開発に使われる予定で、来年の後半には、生産されてマイニングファームにて稼働し始める予定です。
また長い目でみると、ZKP(ゼロ知識証明)のマイニング市場も、ビットコインマイニングと同じように立ち上がっていくかもしれません。
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