Ethereum の大型アップデート: 極限のスリム化
#444 Bspeak! 2026年7月13日号
Ethereum の大型アップデート
Vitalik Buterin氏が、「The Extremely Lean Chain」という技術案を発表しました。
これはもともと計画されている 「Lean Ethereum」のアップデートのコンセンサス部分の具体化ともいえます(またはあえて理想的な形を書いてみて、ここから実装の詳細におとしこむ段階ともいえます)。
このLean Ethereumは、過去最大のアップデート「The Merge」に匹敵する大型アップデートです。
今回の提案された具体案では、「Ethereumのステート管理の多くをバリデーター側に移して、今エポックごとにされている残高更新を、各バリデーターが1日1回提出するZK-STARK証明に置き換える」という構造になります。
これによって、チェーン上に保存する情報を約6バイトまで削減し、Ethereumのコンセンサスを担っているバリデーターを数百万まで拡張できる可能性があります。
提案は2つのフェーズに分かれていて、
フェーズ1では、バリデーター情報の大部分をチェーンから削除し、報酬やペナルティに関する計算をZK証明で処理する
フェーズ2では、プライバシー機能を追加。各バリデーターに毎日新しい匿名のキーとIDを与え、バリデーターは残高を非公開で再証明するため、バリデーターの一覧は毎日入れ替わり、前日のIDとリンクできなくする。
ちなみにLean Ethereumでは、上のようなコンセンサス部分の再設計である「Lean Consensus」にくわえて、
量子対応のデータ処理「Lean Data」
SNARKをつかうのに適したVMへの移行「Lean Execution」
という3本柱で構成されるロードマップです。Vitalikは3-4年ほどかかる可能性があるとしていますが、今はAIによるcodingができるので、実装自体はもっと速くすすむと思います。
今週の市場コーナー
Strategyは先週、初めて大きな規模のBTCを売りました。保有量の0.5%未満ではありますが、3,588BTC(約$200Mドル)を売却しています。
これはStrategyの利回り商品「STRC」の配当を払うための資金の確保です。さらに今後、最大で約1.25BドルのBTCを売る可能性があることも以前発表しています。
mNAVプレミアムがなくなり、新たな資金調達の手段がつきたように見えます。そのためBTCの売却に頼ることになりますが、結局のところ、一番影響がでるのはMSTR株の価格であって、BTCにとっては短期的かつ限定的な影響と思っています。先週売った後もむしろBTC価格は上がっていきました。
■ This Week in Crypto
1.Paradigm leads $5.5 million seed round in M1X Global to expand tokenized sovereign debt platform
マーシャル諸島共和国のトークン化国債「USDM1」を発行を支援するM1X Globalが、シードで$5.5Mドルを調達しました。
Paradigmがリードし、Breed VCが参加しています。3月に完了した$3Mドルのエンジェルラウンドと合わせて、累計調達額は$8.5Mドルになります。
USDM1は、米国債で1対1で裏付けられたドル建てのトークン化国債で、国家がパブリックブロックチェーン上でネイティブに発行した初の事例です。(最初はStellar上で発行され、現在はCantonとSolanaでも利用できます。)
最初のユースケースとしては、「政府の給付金支払い」で、マーシャル諸島の市民はLomaloウォレットを通じて、銀行を経由せずに数秒で受け取ることができます。
今後は、レポ取引、マージン、担保など、機関投資家向け市場でのUSDM1の利用拡大に注力するとしていて、すでにBank of America、Citadel Securities、DTCCなどが参加するワーキンググループで活用が検証されているそうです。
2.1kx, Blockchain Capital back $7.5 million KOR Protocol Series A at $100 million valuation
エンタメ特化のKOR Protocolが、シリーズAで$7.5Mドルを調達しました。1kxやBlockchain Capitalなどが参加しています。
KOR Protocolは、Base上に開発された、音楽や映像などのクリエイティブ資産のオンチェーン・クリアリングハウスです。
作品をオンチェーンに登録することで、レーベル、エージェンシー、ブランド、プラットフォームとのマッチングを支援し、作品がライセンスされたりリミックスされたりして収益化されると、クリエイターや権利者に還元されます。
USDCなどのステーブルコインを使って、関係者間で「プログラム可能な分配」ができるのも特徴です。
すでに累計収益は$2Mドルを超えていて、Black Mirror、Beatport、mau5trap、Imogen Heap、KDDIなどのパートナーと、100万以上の累計サインアップ、40万の接続ウォレットがあるそうです。
今後はトークンのローンチも計画しています。
3.Tether puts $20 million behind Mercado Bitcoin amid Latin America’s tokenization boom
Tetherが、ブラジルの取引所Mercado Bitcoinに$20Mドルを出資しました。
Mercado Bitcoinは2013年創業の取引所で、今はトークン化金融商品、ステーブルコイン決済、クレジット、クロスボーダーバンキングなどを提供するプラットフォームに拡大しています。
ユーザ数は450万人、トークン化資産の発行額は$370Mドル以上で、ブラジルと欧州で10以上の規制ライセンスを保有しているそうです。
Tetherはブラジルを世界で最も活発なデジタル資産市場のひとつと見ていて、先月にはTetherが支援する決済アプリOobitが、約1.7億人が使うブラジルの即時決済ネットワーク「PIX」と統合しています。
4.Paradigm raises $1.2 billion fourth fund, expanding beyond crypto into AI and robotics
クリプトVCのParadigmが、4つ目となる$1.2Bドルのファンドを組成しました。
Paradigmはこれまでクリプトを中心に投資してきましたが、新しいファンドではAI、ロボティクス、宇宙・防衛、製造などの最先端テクノロジーにも投資対象を広げます。
すでにクリプト以外では、自律型ドローン配送企業Zipline、製造プラットフォームSendCutSend、宇宙防衛スタートアップTrue Anomaly、AIリサーチ企業Nous Researchなどに投資しています。
最近ではFramework VenturesやHaun Venturesなど複数のVCが、クリプト以外にも投資対象を広げています。
5.Tarun Chitra’s Gauntlet raises $125 million Series C from sole investor SBI Holdings
クリプトの利回りキュレーターであるGauntletが、シリーズCで$125Mドルを調達しました。日本のSBIホールディングスが、米国子会社のSBI Holdings USAを通じて単独で出資しています。
SBIは今週、機関投資家向けクリプトプラットフォームのEDX Marketsの$76MドルのシリーズCにも単独出資していて、クリプト市場インフラへの投資を加速させています。
Gauntletは2018年にブロックチェーン分析企業として創業し、その後Vaultのキュレーションに転換した会社で、機関投資家がリスク管理をしながらDeFi市場に資金をデプロイできるよう支援しています。
現在は$1.5Bドル以上の資産をキュレートし、150社以上のフィンテックや機関投資家と取引しているそうです。
今回の資金で、ステーブルコインの対応をUSD・EURからメキシコペソ(MXN)や日本円(JPY)などに広げるほか、新しいオンチェーンプロダクトのローンチやグローバルチームの拡大を計画しています。
なお、今回の評価額は非公開ですが、2022年のシリーズB時点では$1Bドルの評価額でした。
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