EPNS
先週ここでお伝えしていたEPNS創業者とのAMAですが、今週に変更になりました。
良い質問のwinnter報酬は $300分 PUSHトークン + $300分 ETH になったので、ぜひフォームから投稿してみてください。
今週も宜しくお願いします!
■ Last Week in Crypto
1.ve(3,3): Curves, Initial distribution, Competition, & Building a protocol for protocols
界隈でよく注目されるAndre Cronje氏とDaniele Sestagalli氏が、新しいプロジェクトとトークンをローンチすると発表しました。
そのプロジェクトは、Fantom上でまず展開するということで、Fantom およびそのネイティブトークンFTMに注目が集まりました。
(『Felix』というFantomの取引所(Binanceクラウド利用)もまもなくローンチということもあり、盛り上がってきているようです。)
ve(3, 3) トークン
この新しいプロジェクトは、「プロトコル所有のAMM」と説明されています。名前はぼかしが入っていますが、『SOLID』という名前に見えます。
そしてこのプロジェクトのトークンが「ve(3, 3) トークン」です。このプロジェクトのネイティブトークンをロックしたら受け取れるトークンのことを指しているのかと思いますが、以下のような特徴を持ちます。
ve(vote escrow)というのは、トークンを長期間ロックすると、それに応じて報酬とガバナンス投票の議決権が大きくなるモデルで、Curveなどが採用しています。
多くのveトークンは売却できないようにしていることが多いですが、ve(3,3)ではNFTの形となり、売却可能にするようです。
(3,3)の部分は、OlympusDAOで利用されている仕組みで、ロックされる量に応じて報酬として供給される量(トークン排出)が変化します。
既存AMMの課題
Andreたちがこのプロジェクトが始める理由をもう少し知るために、彼らが言っている「既存AMMの課題」を書いていきます。
AMMが稼いだ手数料(プロトコル収益)をどう分配するかは色々なモデルがあります。
例えば、
Sushiswapは手数料の50%をLPに、残り50%はSUSHIの買い戻しに使われて、SUSHIをステークした人に分配される
Curveでは、手数料の50%をLPに、残り50%はCRVホルダーに分配される
などです。
ここでのAndre氏の感じている課題感としては、多くのAMMは「生み出した手数料」でなく、「流動性」にインセンティブ(トークン排出)を与えているという点のようです。
例えばCRVの場合は、どのプールにCRV報酬を排出すべきかについて、veCRVを使ってどのプールに投票しても、veCRV保有者はすべてプールの手数料の50%を受け取ります。そのため、プロトコル手数料をまったく生み出さないプールに投票したとしても、他のより活発なプールで生成された手数料の報酬を得ることができてしまいます。
ve(3,3)のAMMのモデル
そこで、「高い手数料を生み出すプールにインセンティブを与える」ことを目標に、ve(3,3)ロックした人は「自分が投票したプールの手数料のみを受け取る」というモデルになるようです。そして投票の多いプールに、このプロジェクトのトークンが報酬として排出されます。
利点として、ve(3,3)ロックした人は、自分が投票したプールで発生した手数料の100%を受け取ることになるので、他のモデルよりうけとれる手数料が多くなる可能性があります。
また自分の理解では、手数料を多く稼いでるところに投票が集まり、そこにプールにトークン排出がされ、活発なプールの流動性をさらに高まり、より良いレートが期待できます。
そうはいってもまだ実験的な感じなので、実際にこれらの利点が得られるかは分かりませんし、違った課題がでてくるかもしれません。
最初のトークン配布
このプロジェクトのトークンを、最初にどう配布するかについて検討した結果が記事にかかれていますが、最終的に「エコシステム配布」という方法に決定したようです。
具体的には、「ローンチ前にdefillamaからTVLスナップショットを取得し、ロックされたve(3,3)トークンが、Fantomの上位20位までの各プロジェクト」に配布されます。
その後、各プロジェクトがどう配分するかはそのプロジェクト次第で、独自トークンやステーブルコインの流動性などを対象に配布するかもしれません。
この「エコシステム配布」の発表をうけて、FTMやFantom上のトークン価格が一気に上昇しました。スナップショットはもう間もなく予定しているとのことで、これを配信してるころにはもしかしたら完了しているかもしれません。
2.Bribe Closes $4M Seed Round to Bring Voter Extractable Value (VEV) to DAOs
DAOガバナンスの投票にインセンティブをつけるプロジェクトBribeが$4Mドルを調達しました。
Spartan Groupがリードし、Dragonfly、Hypersphere、Fundamental Labs、IOSG、Fenbushi Capital、Rarestone Capital、GravityX、Shima Capital、Figmentなどが参加しています。またここでは、AAVEトークンを調達しています(理由は後述)。
概要
DeFiガバナンスにおける参加率の低さ、投票者の無関心さに対応することを目的として、「票をプールに集めて、オークションにかける」というプロトコルです。
流れとしては、
ユーザ、Bribeプールにガバナンストークンをステークします。例えばAAVEホルダーならAave Bribeプールにステークします。これで収益が得られます。
入札者は、Bribeプールの議決権を、USDCで借りて、一定の時間内で1つのガバナンス提案を支持したり拒否する投票をすることができます。例でいうと、AAVEの提案に投票できます。
上の入札のうち最高入札額が、収入としてBribeプールに分配されます。例でいうと、上でAAVEをステークしたユーザに収益が分配されます。
ガバナンスへの参加の増加につながり、かつトークン保有者に新たな収益源を生み出すことが期待されています。
最初は、レンディングプロトコルAaveのための『Aave Bribeプール』を今月末にリリースし、そのあとはTokemakのプールを予定しています。
Curve Wars
CruveのveCRVトークンを自分のプールに投票してくれたら、報酬として別のトークンをあげるという方法が増えてきていて、英語圏では bribe(賄賂)と呼ばれるようになってきました。
この方法でConvexが成功したことにより、CurveのガバナンストークンCRVの票の取り合いになり、プロトコル同士が競い合っていて、「Curve Wars」とも言われています。
3.Entropy Raises $1.95M to Build Trustless Decentralized Asset Custody
分散型カストディアンのプロトコルを開発するEntropyが$1.95Mを調達しました。
Dragonfly Capitalがリードし、The LAOとP2Pキャピタルが参加しています。またエンジェルとしてはNuCypherの創業者や、Parityの創業者、Angelist創業者のNaval Ravikantなども参加しています。
閾値暗号とマルチパーティ計算(MPC)を使った分散型ネットワークで、個人がクリプトを安全に持ちつつ、使用できるようにするプロジェクトです。かつ、どのブロックチェーンでも利用できるようにして、セキュリティとUXを両立することが目標です。
資料は反射してしまっていて見えませんが、どう作っているかはこの前のリスボンでのカンファレンス(Liscon)での講演がここから見れます。
Uniswapのグラント(助成金)の第6段として、これまでで最大の$2Mドル以上が提供されました。開発者ツール、ユーザビリティ、ユーザーのオンボーディングがメインになっています。
全リストは上のリンクに載っていますが、目立って紹介されているものについて書きます。
Gitcoin上のUNIラウンドを継続して、どのプロジェクトが資金を受け取るべきかをuniswapコミュニティが決定します(グラント金額$10,000)
Columbia Blockchainは、大学生がDAOバウンティや機会を確認できる『UNIversity DAO Board』というポータルを、arweave上に構築しています (グラント金額$106,000)
LiquiFiというプロジェクトが、DAOトークンの権利確定コントラクトと、権利確定スケジュールの管理に使えるダッシュボードに作っています。DAOで働く人が資産を管理できるようなプロジェクトです(グラント金額$100,000)
Rabbitholeでは、新しいクエストが作成されて、新規参入者がuniswapを安く学べるようになります(グラント金額$200,000)
Yewbowは、オンボーディングのインターフェースを作っていて、「流動性とは何か?」「LP戦略の最適化」などのリソースを作っています(グラント金額$$75,000)
5.DeFi Alliance Raises $50M, Shifts to DAO Structure
DeFi Allianceは、『Alliance DAO』を設立し、$50Mを調達しました。貢献者のリストには、そうそうたるメンバーが名を連ねています。
DeFi Allianceは、Web3のスタートアップアクセラレータで、これまでに90社以上のスタートアップを支援し、過去には 0x、dYdX、Kyber、Olympus DAO、Paraswap、Ribbon、Synthetix、Zerionなど、時価総額で上位のDeFiプロジェクトが参加しています。
DAOにしたことで、アクセラレータプログラムの所有権をコミュニティに譲り、コミュニティで運営していくことになっています。
今後数ヶ月のうちに、ガバナンスやサービス内容のドキュメントが公開され、メンバーシップの詳細も近日中に発表される予定です。
独自トークンは、規制の状況を見ながら「6ヶ月から12ヶ月」で取引を開始できるかもしれないとのことですが、創業者のためのDAOということで、最初トークンを購入できるのは吟味された個人だけになる予定だそうです。
6.NEAR Raises $150M From Major Crypto Investment Firms
Nearが、$150Mドルを調達しました。Three Arrows Capitalがリードで、Mechanism Capital、Dragonfly Capital、a16z、Jump、Alameda、Zee Prime、Amber Groupなどが参加しています。
このニュースを受けて、NEARの価格は上昇して、史上最高値を更新しました。
短期的にはNearとFantomあたりがこれから勢いの出てきそうな(上にのるプロジェクトが増えそうな)L1になるかもしれません。
7.NFT aggregator Flip raises $6.5 million in seed funding
UpOnlyポッドキャストのホストであるBrian Krogsgardが設立したNFTマーケットプレイス・アグリゲーターのFlipが、$6.5Mドルを調達しました。
Distributed GlobalとChapter Oneが共同でリードし、CMS Holdings、NFTアーティストのPplPleasr、などが参加しています。株式による調達です。
概要
Flipは、いろいろなNFTのマーケットプレイスを集約し、購入可能なNFTを簡単に見れるようにします。具体的には、各マーケットのNFTコレクション、フロア価格、取引量などのデータや情報を掲載します。
また、自分のNFTポートフォリオを一箇所で確認・追跡することもできるようになるそうです。
ビジネスモデルとしては、パートナーの取引所のAPIを使った取引に対して、「小さな手数料や紹介ボーナス」を得るという予定で、ローンチは今月末か来月初旬を予定しています。
独自トークン発行の計画はないそうで、「米国の規制がクリアでないためリスクがある」ことを理由としています。
8.Mark Cuban and Robinhood's CEO join $6 million round for high-yield investment app Seashell
高い利回りを提供する投資アプリを開発するSeashellは、$6Mドルを調達しました。
Khosla VenturesとKindred Venturesが共同で参加し、Coinbase Ventures、Solana Ventures、Avalanche Foundation(Blizzard Fundを通じて)も参加しています。また、マーク・キューバン、RobinhoodのCEO、Terraの創業者、Polygonの共同創業者などもエンジェルとして参加しています。
Seashellは、今年前半に投資アプリをローンチする予定になっています。
法定通貨での利用で高い利回り(最大10%)を得られるようにするというのが特徴です。「自分の銀行口座を接続して、Seashellのアプリに送金するだけ」という使い方になるそうです。
Seashell が高い利回りを生む仕組み
ユーザーが送った法定通貨は、カストディアン経由でステーブルコインに変換され、その後DeFiプロトコルに預けられて高い利回りを実現するようです。polygonやterra, avalancheの創業者が投資家として入っているのも納得です。
また、クリプト系のマーケットメーカーにお金を貸すという、オフチェーンのレンディングも検討しているとのことです。
9.[bitcoin-dev] Bitcoin Legal Defense Fund
Twitterの創業者 ジャック・ドーシーが、ビットコイン開発者のメーリスにメールを送り、ビットコイン開発者を訴訟から守るための新しいファンド『Bitcoin Legal Defense Fund』を立ち上げたことを共有しました。
弁護人の任命、弁護戦略の策定、訴訟費用の負担などを支援し、ビットコインベースのプロジェクトの開発者には無料で提供されます。
このファンドの最初の支援としては、Craig Wright氏のTulip Trading Limitedから訴えられているビットコイン開発者を支援することになっています。
10.Visa and ConsenSys team up on CBDC tech
Visaは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)をサポートするインフラを開発するために、ConsenSysと提携しました。
CBDCに連動した決済カードやウォレット認証などによって、オンランプが簡単になるようで、春には使い勝手を検証するためのパイロットケースを予定しています。
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