■Last Week in Crypto(先週のニュース)
主に海外の記事や英語の論文について触れます。
1.https://voice.com/blog/voice-to-receive-150-million-of-capital-from-blockone/
主にEOSを開発しているBlock.oneは $150 millionドルもの資金をVoiceに投資しました。Voiceは、ソーシャルメディアアプリで、収益方法などは以前にも紹介しています。
KYCが必要になる予定で、Voiceトークンを使って、Voice上のコンテンツを増やす予定になっています。当初、VoiceはEOSパブリックブロックチェーン上に構築される予定でしたが、独自チェーンをつかうことを選択しました。
先週書いたSteemや、TwitterのBlueSkyなどが既存ソーシャルメディアの課題に取り組んでいますが、まだ勝者が決まっている段階ではなく、Voiceも拡大のため全開で資金を投下しています。
しかし上にも書きましたが、VoiceはEOS上に構築されないため、今回の投資がどのようにEOSに価値還元されていくのかはまだ明らかになっていません。算段なしでこれだけの額を投資するのは考えられませんが、EOSとは一切切り離されたファンド的な動きをする可能性もあります。個人的にはスケーリングやもろもろの技術的課題が解決したあとに、EOSと統合する方法を考えているのだと思います。
BinanceはVisaデビットカードのローンチに向けて取り組んでいます。新しいウェブサイトGetBinanceCard.comにアクセスすると、「好きな暗号通貨をBinanceカードのウォレットに入れて、世界中のすべてのVISA加盟店で使用することができる」とあります。
Coinbaseも、UKとEU圏内でVisaデビットカードを提供していますが、Binanceのユーザ数もクリプト支払いできるとなると、店舗決済がユースケースは広がりやすくなります。日本で実現するのは他の国と比べて時間がかかりそうではあります。
3.Huobi DM (Huobi Futures) Released Perpetual Swaps
Huobiは、最大125倍のレバレッジを提供する無期限スワップを追加すると発表しました。Huobi DM(Huobi Futures)が提供するのは、BTCの無期限スワップですが、今後には対象資産を追加する予定になっています。無期限スワップはここ2年くらいで有名になり、他の取引所も採用するようになりました。
最近の市場のように売りが多いと、大量の清算につながりますが、Huobiは、この問題を緩和するために、大きな価格変動を検知した際には清算を止める「サーキットブレイカー」の機能を実装するようです。これがどのような仕組みで、うまくワークするのかはまだわかりませんが、Huobiは今年の取引量が約1兆ドルにもなっているそうで、リードしている取引所の1つであることは間違いありません。
4.https://electriccoin.co/blog/introducing-heartwood/
Zcashを主に開発しているElectric Coin Company(ECC)は、次のZcashアップグレード(コードネームは「Heartwood」)を説明するブログをリリースしました。ZCash上の証明をEthereumなどの他のブロックチェーンで検証できるようにし、クロスチェーンのコミュニケーションやペグなどを目指します。実際のアップグレードの時期(ブロック高)は、第2四半期に発表されます。
Ethereum独自でのプライバシープロジェクトと、Zcashとの互換性が同時に活発になっていますが、将来どのように使われ棲み分けされるのかはあまり想像ができません。しかしプライバシーの方面が必要なのは間違いなく、多くの人があまり意識していない点だと思います。
5.Solana’s Auction Sells Out on CoinList
スマコンプラットフォームのSolanaは、ダッチオークション形式のトークンセールで米国外の購入者から$1.8 millionを調達しました。
800万の新規SOLトークンは参加者に割当られ、すべて$ 0.22で販売され、Solana全体の既存トークンは希薄化されて、110 millionの評価額になります。これでSolanaは合計で約$26 millionドルを調達したことになります。
面白いのは、SOLの価格は直近2回のプライベート投資ラウンド時点では、2019年7月に$ 0.225、先月は$ 0.25だったので、今回の公募のほうが安かったことになります。公募の結果、価格が上がってVCが一気に売り抜ける、という構造はよくありますが、今回は、そうなっていないため、よほど急いでいなければトークンをステーキングに回すだろうと考えられます。Solanaにとってはネットワークが堅牢になりますし、良いことでしょう。
6.Judge Halts Telegram Token Issuance in Injunction Requested by SEC
連邦裁判所は、証券取引委員会(SEC)を支持し、Telegramに$1700 millionもの資金を集めたGRAMトークンの発行を控えるように命じました。
Telegramの現在の流通計画(GRAMの個人投資家への二次販売)が証券法に違反していることをSECが証明に成功する可能性が高いと判断されたようです。
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Telegram knew and understood that reasonable purchasers would not be willing to pay $1.7 billion to acquire Grams merely as a means of storing or transferring value. Instead, Telegram developed a scheme to maximize the amount initial purchasers would be willing to pay Telegram by creating a structure to allow these purchasers to maximize the value they receive upon resale in the public markets.
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まだSECとTelegramの訴訟は終わっていませんが、少なくとも、TON(Telegram Open Network)ブロックチェーンのローンチにとっては大きなマイナスになっています。
2019年10月21日号で記載しましたが、SECがTelegramのGRAM配布を2019年10月に中止した後、Telegramは、投資家の許可を得て、ローンチを2020年4月30日まで延期しました。その時は、「Telegramがその日までにTONをローンチできない場合、投資家はお金を取り戻す権利を有する」ということが書かれていたので、おそらくTelegramは投資家にリリース日を再度延期が可能か交渉しているはずです。
他のSAFT(将来のトークン取得の権利を販売して資金調達する契約)を実施したプロジェクトにも影響を与える可能性があります。
Uniswapは、v2のローンチに関する詳細を発表しました。2020年2Qにリリースされる予定で、現在Ropsten、Rinkeby、Kovan、Görliのテストネットで利用可能です。新しいバージョンがリリースされても、v1は引き続き稼働し続けます。
V2の新機能として、ERC20 / ERC20取引ペア、複数の価格オラクル、プロジェクト持続のための手数料、その他の改善などです。以下で少し書いていきます。
・ERC20同士のペアについて
ERC20 / ERC20ペアにより、流動性プロバイダーがETHの価格変動リスクを持つ必要がなくなります。 ETHを取引ペアとして要求するのではなく、DAI / USDCなどのプールがあり、直接取引が可能になるため、より効率的な市場も促進されます。
・オラクルについて
またオラクルに関してもいくつか工夫が凝らしてあり、例えば時間加重価格が含まれ、攻撃者が操作するのにかかるコストが高くなり、攻撃を防ぎやすくなり、オラクルとしての有用性が高まります。
・マネタイズ(プロトコル手数料)について
ローンチ時には、プロトコル手数料はデフォルトで0になり、流動性プロバイダーの料金は0.30%になります。今後、プロトコル手数料がオンになってからは、プロトコルの取り分が0.05%になり、流動性プロバイダーの取り分が0.25%になります。
このようなモデルは他のDeFiプロトコルやアグリゲータでも採用されていますが、ミドルウェアプロトコルのオープンソースプロジェクトの持続可能性の新しいモデルといえます。今後、主流になるように思えます。
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