zkEVM
パリで開かれているEthCCというイベントで、Polygonが「zkEVM」のコードをオープンソースで公開したことを発表しました。
また同じタイミングでScrollも、zkEVMのテストネットを発表しています。さらにzkSycnも、100日でzkEVMメインネット(α版)で公開すると発表しました。
zkEVMについては以前すこし書いていますが、Ethereum上で動いているツールやコードをそのまま使うことができる、安くて速いzk-rollupです。
それぞれのプロジェクトがzkEVMと言い張っていますが、実装アプローチがそれぞれ異なっています。おそらく一番早くメインネットで利用できるようになるのがzkSyncで、より開発者にとって使いやすい形を目指しているのが Scroll と言えます。
■ Last Week in Crypto
1.Sunscreen raises $4.65m to build the privacy engine of the new web
Sunscreen が シードラウンドで$4.65Mドルを調達しました。Polychainがリードで、Northzone、Coinbase Ventures、dao5、Naval Ravikantが参加しています。
分散カストディのEntropyと同じように、このSunscreenも元NuCypherの人たちが創業しています。そのためNuCypherの人や、Entropyの創設者もエンジェルとして参加しているようです。
概要
Sunscreenは完全準同型暗号(FHE)という技術を利用するプライバシーのプロジェクトです。
準同型暗号は、暗号化されたデータを復号化することなく計算を実行できる暗号技術で、ゼロ知識証明と並んでプライバシー技術のトレンドになりつつあります。
しかしこのFHEは、専門家でない人が使うには難しく、ユーザビリティがよくないという課題があります。
そこでSunscreenは、FHEのようなプライバシー技術を、エンジニアが簡単に利用できるようにすることを目標としています。
具体的には、FHEプログラムを書くのを簡単にするための、独自のFHEコンパイラを開発していて、今回の調達の発表とともにオープンソースで公開しています。
今後
今後は、補完的な役割を果たすゼロ知識証明のライブラリや、分散型ストレージとの統合をする予定になっています。
またTechCrunchの記事によると、FHEの技術をプラバシーに活用するためには新しいレイヤー1のブロックチェーンが必要と考えているようで、長期的にはSunscreenがL1を作る予定になっています。
そしてそのL1とEthereumとのブリッジを作り、低コストでFHEとゼロ知識証明の両方を利用できるようにするそうです。
2.NFT fraud fighters Optic raise $11 million in seed funding round
NFTコレクションの偽物発見に取り組む Optic が シードラウンドで$11Mドルを調達しました。
Kleiner Perkins と Pantera Capital がリードし、Greylock Partners、Lattice Capital、OpenSea、Circle、Polygon、CoinDCX、Neon DAO、Flamingo DAOが参加しています。
具体的にOpticは、NFTコンテンツを認識するAIエンジンを開発しています。毎日新しく作られるNFTを処理して、本物のコレクションと照合し、オリジナリティを評価します。
そして自動監視ツールが、その結果をNFTマーケットプレイス、ブランド、メディアの所有者に通知します。
今後はNFTクリエイター、コレクター、Web3開発者向けのAPIなどもリリースする予定になっています。
ちなみにOpenSeaで「Bored Ape」と入力すると偽物も出てきます。OpenSeaは偽物に対する取り組みを強めてはいますが、その一環としてOpticのようなツールに投資するのも納得です。
zeroDAOは、$1.3Mドルの資金調達をしました。BitMEX創業者の Arthur Hayes氏と、Magnus Fund、LedgerPrimeが投資をしています。
zeroDAOは、クロスチェーンSDKを作っていて、色々なチェーンにBTCをブリッジすることができます。
現在はBitcoinチェーン上のBTCを、Ethereum,Arbitrum、Avalanche、Polygon上にブリッジすることができます(このときwBTC、renBTC、ETHの形でブリッジされます)。
反対に、wBTC、renBTC、ETH、USDCを、Bitcoinチェーン上のBTCに送ることもできます。
またMonero <-> Ethereumのブリッジや、Polkadot <-> Ethereumのブリッジも開発しています。
4.Lines web3 messaging platform raises $4 million seed round
クリプトのメッセージングプラットフォームLinesは、$4Mドルを調達しました。
Twitterの元VPのElad Gil氏リードで、Scalar Capital、Volt Capital、Caffeinated Capital、Ethereal Ventures、Hash3、Mischiefなどが参加しています。
またエンジェル投資家ではNaval Ravikant、Balaji Srinivasan、Gokul Rajaram、Figmaの共同創業者のDylan Fieldなど多くが出資しています。
詳細はまだ分かりませんが、ウォレットから別のウォレットにメッセージを送ったり、所有しているトークンに基づいてグループチャットに参加できるアプリを作る予定です。
5.Company that helps gamers pay bills in Smooth Love Potion raises $13 million
XLD Financeは、Dragonfly CapitalとInfinity Ventures Cryptoがリードで、$13Mドルを調達しました。
Circle、Digital Currency Group、Openspace Ventures、Yield Guild Gamesなど20社が参加しています。
XLD Financeは、ゲームのトークンとステーブルコインで公共料金や携帯電話の支払いができるようにする「xSpend」をリリースしています。
フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナム、インド、バングラデシュで利用可能で、最も使われているのは、Axie InfinityのSmooth Love Potion(SLP)トークンだそうです。
また、プロジェクトやギルド側が、貢献者にトークンで支払いをすることができるシステム『OmniX』も今月ローンチ予定になっています。
6.Solana NFT utility protocol Cardinal raises $4.4 million in seed funding
Cardinalは、シード資金調達ラウンドで$4.4Mドルを調達しました。
ProtagonistとSolana Venturesがリードし、Animoca Brands、Alameda Research、Delphi Digital、CMS Holdingsも参加しました。
Cardinalは、Solana上のNFTプロトコルで、レンタル、ステーキングなどに利用することができ、すでにNFTレンタルマーケットプレイスを立ち上げています。
またエスクローが必要ないのNFTステーキングも提供していて、ゲームなど「ステーキングしつつもNFTを使える」ケースを想定しているようです。
今のところSolana上ですが、将来的には他のブロックチェーンもサポートする予定になっています。
7.Bluejay Finance: Our First Funding Round
アジアの国の通貨に特化したステーブルコインを作るプロジェクトBluejay Financeが、$2.9Mを調達しました。
Zee Prime Capitalがリードで、Ribbon Finance、Flux、Voltzなどの人もエンジェルとして参加しています。
USドル以外のステーブルコインとDeFiプロトコルを進めていく予定で、具体的にはシンガポールドルやフィリピンペソのステーブルコインを開発しています。現在テストネットで試すことができます。
8.Announcing our $5M Seed Round
セキュリティのサービスを提供している Secure3 は、$5Mドルを調達しました。Mirana Venturesがリードし、GGV Capital、HashKey Capital などが参加しています。
スマートコントラクトのためのコード監査サービスを提供しています。コード監査をすることができる個人も参加でき、報酬を共有できるようにしているそうです。
9.Meow announces $22m Series A led by Tiger Global with participation from FTX and QED
企業のトレジャリーにクリプト利回りを提供するmeowがシリーズAで、$22Mドルを調達しました。Tiger Globalがリードで、FTXなどが参加しています。
Meowは、機関投資家や企業に対して、暗号通貨への投資機会を提供しています。元Geminiの人たちが創業したプロジェクトで、最大4%の利回りと、コンプライアンス最優先のアプローチを売りに顧客を獲得しているそうです。
10.Ex-Uber exec Amit Jain’s new Web3 venture raises $25 mn led by Sequoia
Zampという企業が$25Mドルを調達しました。Sequoia Capitalがリードで、UberのCEOや、Polygon創業者のSandeepなどが参加しています。
クリプトのための銀行、決済、クレジットサービスを作っているようです。それ以上にプロダクトの内容が明らかにされていませんが、元セコイアのAmit Jain氏がこのZampを起業するために 「Entrepreneur in Residence」 としてしばらくセコイア内で進めていくそうです。
以下の『Subscribe』を押すと毎週月曜6:30に届きます。ご登録ください☕
ぜひシェアお願いします🎉🎉
☕ Twitter:@CoffeeTimesTW
☕ メール:thecoffeetimes871@gmail.com
☕ バックナンバー:
#239 Bspeak! 2022年7月18日号 StarkNet上のオンチェーン・オラクル
#238 Bspeak! 2022年7月11日号 Web3気象ネットワーク
#237 Bspeak! 2022年7月4日号 高速レスポンスのL1チェーン『Linera』
#236 Bspeak! 2022年6月27日号 NFTキュレーション「EyesFi」
#235 Bspeak! 2022年6月20日号 DeSci プロジェクト『Molecule』
#234 Bspeak! 2022年6月13日号 キャラクターやIPを作るコミュニティ
#233 Bspeak! 2022年6月6日号 プライバシーを保ちNFTの所有権を証明する「zkNFT」
#232 Bspeak! 2022年5月30日号 文章NFT、音楽NFT
#231 Bspeak! 2022年5月23日号 NFTコミュニティ参加型の小説
#230 Bspeak! 2022年5月16日号 Ethereumマージはいつ頃か?
#229 Bspeak! 2022年5月9日号 Optimismのインセンティブ
#228 Bspeak! 2022年5月2日号 Optimismのトークン
#227 Bspeak! 2022年4月25日号 zkEVMを開発する『Scroll』
#226 Bspeak! 2022年4月18日号 Web3のウォレットフォローアプリContext
#225 Bspeak! 2022年4月11日号 分散型マップ『Hivemapper』
以降もSubstackのアーカイブからご覧ください。