Squeethのローンチ
最近『Squeeth』というプロダクトと、それを使った『Crabストラテジー』(カニ戦略🦀)という製品がローンチされました。これについて少し書いていきます。
Squeethとは「Opynチームと、VCのParadigmが、共同で開発した金融商品」で、ユーザはETH²のポジションを取ることができます。
取引所の無期限先物(パーペチュアル)のような使い勝手で、『ETH²』の価格に連動します。実際に使うときは、ロングかショートのポジションをとることができます。
ETHに2倍レバレッジをかけたポジションと比較すると、
Squeethのロングは、ETHが上昇した際にはより多くの利益を得られ、ETHが下落した際にはより少ない損失で済む(ただポジションを持っている間のファンディングフィーは多く払う)
ポジション自体はERC20トークンのため、コンポーザビリティを持つ(担保などにも使える)。
などの利点があると言えます。
Squeethをつかった『Crabストラテジー』
そしてOypnは、このSqueethを利用した『Crabストラテジー』(カニ戦略🦀)という製品を先週ローンチしました。上限がありますが、枠があいていれば利用することができます。
Crabストラテジーは簡単にいうと、ETHをデポジットして利回りを得る戦略で、ETHの値動きがヨコヨコのときに有効です(🦀カニは横に移動するので、Crabストラテジーと名付けられているようです)。
現在でいうと、1日にどちらかの方向に約6%以内のボラティリティである限りは、利益を得ることができます。
裏側で何が起きているかというと、SqueethショートとETHロングをペアにして、ETHの価格に対するデルタ0のポジションを作っています。そして毎日もしくはETHの価格が大きく変動したときに、ETHとSqueethの売買で、自動リバランスをします。
Squeethのショートを持っているので、ロングポジション側からファンディングフィーを得て、それを利回りとしている、ということになります。
リターン
ページにシミュレーションが表示されていますが、現在価格よりも数%ETH価格があがるくらいが一番リターンが高く、28日リターンが10%ほどになっています。横横であれば、ETH単体の運用としてはかなり高い利回りです。
リスクとしては、ETH価格が大きく変動すると(例えば短時間で7%以上ほど動くと)採算が取れなくなります。また担保率が150%を下回った場合、清算されるリスクがあります。
■ Last Week in Crypto
1.Bored Ape start-up in investment talks with Andreessen Horowitz
Bored Ape Yacht Club(BAYC)というNFTコレクションを運営するYuga Labsが、a16zと資金調達ラウンドについて協議しているという報道です。評価額は約$4-5Bドルと噂されていて、株式での調達になりそうです。
ご存知の人も多いと思いますが、Bored Ape Yacht Club(BAYC)は、高額のNFTコレクションです。アルゴリズムによって生成された10,000枚の猿の画像を、Ethereum上でNFTとして発行し、パリス・ヒルトンなどの著名人が所有者として知られています。
最近では、ラッパーのエミネムが123.45ETH(約4000万円)で購入しています。
今後の可能性
投資をしたいVCとしては、Yuga Labsのコミュニティを利用した、新しいコレクションやメディアプロジェクトを作る可能性に興味を持っているそうです。
またYuga Labsは、投資家やBored Ape保有者に対してトークンを発行する可能性もあり、これについてはTwitter上でも10月に言及されていました。
このときは「2022年の1Qを目指している」とあったので、そろそろNFTホルダーにガバナンストークンが配布されるのではないかと思います。
このようなこともあって、BAYCのNFTフロア価格(すぐ購入できる最安価格)が最近あがってきていて、100ETHにもなっています。
BAYCが今後何を目指すかについては、「野望は、世界クラスのゲーム、イベント、ストリートウェアに手を伸ばし、コミュニティが所有するブランドになることです」とツイートをしています。
2.Introducing multi-chain NFT swaps powered by 0x Protocol v4
トークン交換をするためのプロトコル 0x は、いろいろなチェーンと互換性のあるNFTのスワップ機能を発表しました。この機能は2月に予定している次のバージョン v4 で追加されます。
オンチェーン・リスティング
0xのv4では、OpenSeaもLooksRareも提供していない「オンチェーン・リスティング」という機能を選ぶことができます。
(ガス代が必要にはなりますが)NFT売出しのデータをオンチェーンでオープンにすることで、複数のマーケットプレイスがそのまま情報を参照してリストできるようになります。
OpenSeaは、Ethereum上ではWyvearnと呼ばれるスマートコントラクトを使っていますが、Polygon上では0xのコントラクトを使っています。つまり今回の0xのアップグレードで、OpenSeaもさらにマルチチェーン化しやすくなります。
NFTのスワップで個人的に注目しているのはSudoswapです。0xを利用しているNFTの交換プロトコルで、OTCの取引時に利用しやすいプロジェクトです。現在はNFTのAMMプロトコルを開発しているらしく、トークンを発行してコミュニティにたっぷり還元する予定と開発者が言っています。
分散型取引所(DEX)のアグリゲーターである1inchは、新しいツール「1inch Earn」を発表しました。
簡単にいうと、Uniswap v3のように「価格レンジを指定して、流動性提供できる」という機能です。今はステーブルコインのペアに限定ではありますが、これによって資産効率がよくなり、より高い利回りを実現することができます。
1inchチームの見積もりでは、ステーブルコインの流動性提供者は 5-10%の年利を得ることができるとしています(この収益は、プール内のスワップ時の取引手数料からきます)。
まずはUSDC/USDTの取引ペアで開始され、今後はステーブルコイン以外も対応していく予定になっています。
4.Solana wallet Phantom raises $109 million in new funding, launches iOS app
SolanaのウォレットPhantomが、$109Mドルを調達しました。
Paradigmがリードし、a16z、Variant Fund、Jump Capital、DeFi Alliance、Solana Venturesなどが参加しています。
今回の調達は株式によるもので、今年中にEthereumをふくめた複数のブロックチェーンに拡大する予定になっています。また今年の前半にAndroidアプリをリリース予定だそうです。
Phantomは、EthereumでいうMetaMaskのような立ち位置をSolana上で築いています。今のところトークン発行の具体的な予定はないそうですが、可能性はあると以前話しています。
またSolana上のウォレットといえば、つい最近でたGlow Walletもとても良いデザイン・UXです。他のモバイルウォレットは、DeFiのブラウザを狙っているところが多いですが、Glowウォレットは、NFTにフォーカスしていて、すでにマーケットプレイスのブラウジングなどができます。
ちなみにPhantomやTallyなどの他のウォレットにプレッシャーをかけられているMetaMaskが今後どうしていくのかが気になるところですが、Metamaskスワップでの収益は右肩上がりに伸びているそうです。また先週MyCryptoというウォレットを買収し、MetaMaskに統合する予定になっています。
5.Solana Labs launches Solana Pay, a payments protocol for digital commerce
Solana Labsは、『Solana Pay』という支払いプロトコルを発表しました。店などがSolana Payを使うと、USDC、SOL、Solana上のトークンで支払いを受けることができるようです。
またこのプロトコルは、開発者がその上に新しい機能を開発して載せれるように設計されています。Solana Labs、Circle、Checkout.com、Citconなどが連携して開発し、ウォレットはPhantom、FTX、Slopeを統合しています。
6.Launch House Raises $12M Series A for New Age Hacker Houses
Launch Houseは、a16zなどから$12Mを調達しました。The Blockの設立者であるMike Dudas氏、BanklessのRyan Sean Adams氏なども参加しています。
このLaunch Houseは、起業家を集めてプログラムを実施するアクセラレーターです。
起業家志望の人が「Web 3」「メタバース」などのテーマで、1ヶ月のプログラムに応募して選ばれると、ニューヨークやロサンゼルスの宿泊施設に招待され、参加者は一緒に住んでプロジェクトを進めていくことになります。また仮想空間での他の参加者と交流することができるようです。
7.PsyOptions Has Acquired Tap Finance!
Solana上のオプション取引プラットフォームPsyOptionsは、Tap Financeを買収しました。現金とトークンによる買収だそうです。
Psyはすでにアメリカンスタイルのオプション製品を提供していますが、今後はTapの「Decentralized Options Vault」(DOV)も提供します。このDOVとは、Psyを利用したオプション戦略を自動化するスマートコントラクトです。
特に使い勝手は変わらず、Psyがチームが合併するということのようです。
DeFiのオプション関連は、Solanaが充実していてきています。Ethereumでも、OpynやRibbonなどの出来高が増えてきましたが、やはりガス代がボトルネックになっています。あとはOptimism上でSynthetixのプロジェクトが稼働し始めていて、今後大きくなっていきそうです。
8.India to tax crypto income at 30%, launch CBDC in the fiscal year 2023
インドに関する暗号通貨の規制はよく変わることで知られていますが、今回は「デジタル資産の所得は30%の税率で課税される」と明確化されました。
今回の課税の明確化は、懸念されていたクリプトの禁止がないともいえるため、とてもポジティブにとらえられています。
また今回の予算では、インドの中央銀行デジタル通貨(CBDC)の立ち上げに関する具体的なスケジュールも示されました。2022-23年度から、インド準備銀行がブロックチェーンなどの技術を使ったデジタルルピーを発行する、と発表しています。
9.Spin raises $3.75M in seed funding round led by Lemniscap
Spinは、$3.75Mを調達しました。Lemniscapがリードし、GSR、Spartan Group、ZMT Capital、Longhash Ventures、AngelDAOが参加しています。
Spinは、「オーダーブック式のDEXをオンチェーンでやる、デリバティブ取引もサポートする、そしてそれをマルチチェーンでやる」というプロジェクトです。
すでにNEAR上で初のオンチェーンのオーダーブック式のスポット取引を提供していて、Solana上ではテストネットで無期限先物(パーペチュアル)を提供しています。
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