Solcialインタビュー
今回は、Solana上にWeb3ソーシャルメディアを開発する『Solcial』の共同創業者にインタビューしました。
仮名希望とのことで、インタビュー内ではTinaという名前にしています。
Solcialは9月にAlamedaやSolana Foundationなどから$2.9Mを調達し、間もなくローンチ予定になっています。
クリプトには、ソーシャルメディアの課題を解決できる機能がそろっているとBspeak!で何度か書いていますが、NFTの浸透やDeFiの高度化もあり、2022年はソーシャル + クリプトが流行る年になるかもしれません。
それでは以下インタビューです。
CoffeeTimes: こんにちは、Solcialとは何かを教えていただけますか?
Tina: はい、Solcialは、ユーザーが検閲を恐れることなく交流できるようにし、コンテンツ制作者が中間業者を介さずに市場価値で公正に報酬を得られるようにする、分散型のソーシャルネットワークです。具体的には、モバイルアプリ(iOSとAndroid)、デスクトップアプリ、そしてウェブサイトが出る予定です。
CoffeeTimes: どうやって、コンテンツによって報酬を得られるんですか?
Tina: 各ユーザーが自分のトークンを持ち、人々に直接、投資することができます。登録時に100万枚のコインが発行されますが、その供給量は固定されていて、誰でも同じです。これらのコインはユーザのもので、持っていても売っても構いません(友人に送っても構いません)。
誰かをフォローするには、3つのサブスクリプションレベルがあります。
まずTier1は、無料で誰かをフォローして、その人のパブリックコンテンツ(TwitterやInstagramのようなもの)にアクセスすることができます。
次にTier2と3は、プライベートコンテンツにアクセスするために、その人のトークンを所有する必要があります。これを私たちは “invest-for-subscription”(サブスクリプションのための投資)モデルと呼んでいます。
また、ユーザープロフィールにNFTを表示して、自慢したり、友達とNFTを売買したりすることもできます。
CoffeeTimes: なるほど。耐検閲性があるといってましたが、投稿とかコンテンツはどこに保存されますか?
Tina: すべてのユーザーコンテンツはIPFSに保存され、我々が開発したP2Pレイヤーを介してアクセスされます。そのため、検閲可能なサーバーやゲートウェイに依存しません。また、トークン関連のオペレーション(ミント、トレードなど)はすべてSolanaブロックチェーン上で行われます。
つまり私たちが作っているのは、BitTorrentのようなものですが、ソーシャルネットワークのための、検閲に強いものなのです。
CoffeeTimes: ソーシャルトークンが組み込まれたソーシャルメディアといえば、BitClout(DeSo)がありますが、BitCloutとの違いは何ですか?
Tina: BitCloutとの主な違いは3つあります。まず1つ目は、彼らは新しいブロックチェーンを再構築していますが、SolcialはSolanaの上に構築していることです。そして、私たちはすべてを完全に統合されたアプリ(新しいTwitterやFacebookのようなもの)として開発していますが、BitCloutは他のスタートアップがその上にソーシャルネットワークを構築するためのプロトコルのようなものです。
BitCloutとの2つ目の大きな違いは、ユーザートークンの実用性です。BitCloutで誰かの "CLOUT "を購入すると、それは純粋な投機であり、背後には何もありません。しかしSolcialでは、ユーザー・トークンを購入すると、何らかのコンテンツへのアクセスが得られ、その人を購読して、何らかの見返りが得られます。つまり、投機的な側面を減らし、ユーザー・トークンごとに実用性を持たせています。
BitCloutとの3つ目の大きな違いは、ローンチの方法です。BitCloutは、何万人ものインフルエンサーのアカウントを作り、彼らの名前を使い、彼らに代わってトークンを販売しましたが、彼らのコンテンツはありませんでした(そして、それは多くの批判をうけました)。代わりにSolcialでは、クリプトのコミュニティを通じて、自然な方法でローンチしています。これは非常に異なるアプローチです。
CoffeeTimes: あぁ、当初BitCloutは非難殺到してましたね笑
Tina: しかし最終的にはユーザーエクスペリエンスこそが、他との差別化につながると考えています。Solcialは、Web3でしか実現できない機能を提供しますが、現在のWeb2プラットフォームと同じくらい簡単な体験を提供します。またコミュニティに力を与えることに注力することで、コミュニティがコントロールも持つことになります。
CoffeeTimes: いくつかの記事を読んでの勝手な理解ですが、Solcialはクリエイター・エコノミーよりも「耐検閲性」という点を強調しているように見えます。この認識はあってます?
Tina: この2つの側面のバランスを取るようにしています。現在活躍しているインフルエンサーやクリエイターの方々と接していて感じるのは、彼らが検閲に怯えていて、それが制作物やマネタイズの方法に影響を与えているということです。ユーザーが検閲を恐れずに自由に交流できる基盤を構築することで、真の意味でのオープンなクリエイターエコノミーが生まれてくるのではないでしょうか。
CoffeeTimes: ここで見せられるデモとかありますか?
Tina: まだ見せることができませんが、数週間以内に発表しますので、ご期待ください。
CoffeeTimes: わかりました。ちなみにこのSolcialプロジェクト自体に独自のトークンはありますか?
Tina: あります。SLC(Solcialトークン)は、3つのことに使われます。
DAOに投票するためのガバナンストークンとして
取引手数料の割引のため
そして、Solcialの誰かのトークンを買うためには、基本通貨としてSLCが必要になります。各ユーザートークンはSLC(Solcialトークン)と交換され、誰かのトークンを買うにはSLCが必要です。(ファントークンのChillizに似ていて、ArsenalやPSGのようなサッカークラブのコインを買うために、CHZと交換するのと同じです)
CoffeeTimes: なるほど、SLCトークンはどのように配布されるのでしょうか?詳細はもう決まっていますか?
Tina: トークノミクスは、ローンチとともに数週間後に発表されます。どのような仕組みになるのか、皆さんと共有するのが待ち遠しいです :)
CoffeeTimes: 今後数ヶ月の間に予定されていることを簡単に教えてください。
Tina: プラットフォームを完成させ、最初のバージョンをリリースすることに全力を注いでいます。コミュニティが期待に胸を膨らませ、発売を待ち望んでいることは承知しています。それに加えて、トークン関連の活動について、さまざまなグループと話し合いを行っています。詳細をあまり公表できていないことは承知していますが、時期が来れば多くのことをお伝えできると思います。
CoffeeTimes: 楽しみにしています。ちなみに、どうして『Solcial』という名前なのでしょうか?
Tina: この名前は、SNSのような "Social" に聞こえますが、私たちが構築しているブロックチェーン(Solana)の名前である "SOL" も含まれています。
"Sol" はスペイン語で「陽光」という意味もあり、私たちが立ち上げる社会運動のルネッサンスを強調しています。☀️
CoffeeTimes: 現在のチームはどのようにして結成されたのですか?ネットで知り合ったとか、昔からの友達とか?
Tina: 前のスタートアップからの古い友人もいれば、採用した人もいます。実際、適切な人材を確保するために多くの時間を費やしましたが、とても幸運でした。本当に優秀な人材を見つけるのは難しいのですが、それ以上に、私たちのミッションに関心を持ってくれる優秀な人材を見つけるのが重要です。
重要なことのひとつは、私たちが何を作っているのか、それがどのように機能するのかを人々が理解したとき、そして特にプロトタイプを見せたときに感じる興奮や雰囲気です。興味を持っていただいたことに心から感謝しています。人々は、何かエキサイティングなことに取り組むことに、より意欲的になります。
CoffeeTimes: いつも聞いていることですが、日本のオーディエンスに向けて、何か一言お願いします。
Tina: 私たちは日本のクリプトシーンにはあまり詳しくありませんが、日本でのコミュニティの拡大が待ち遠しいですね。実は、ブログの日本語翻訳を始めたばかりで、日本語を話せるコミュニティマネージャーを募集しています。xxx
CoffeeTimes: お忙しい中、ありがとうございました。Solcialについてもっと知りたい場合はどこを見ればいいですか?
Tina: これらのリンクを参考にしてください。
Telegram: https://t.me/solcial
Twitter: https://twitter.com/solcialofficial
Blog: https://blog.solcial.io
Web: https://solcial.io
Email: hello@solcial.io
More links: https://linktr.ee/solcial
■ Last Week in Crypto
1.Constant Rate Issuance Sales Protocol
大手VCのParadigmが、NFT販売の新しい仕組みを開発しています。一定のレートでNFTを販売することを目的とした価格設定メカニズム 「Constant Rate Issuance Sales Protocol (CRISP)」です。
長期間にわたって大量のNFTを、市場の需要に応じて安定した価格で販売できるようにすることが目的です。
具体的には、「ターゲット率に対してNFTの販売が早すぎる場合は、それに応じて価格をあげる、逆にNFTの買い需要が下がるとゆっくりと価格が下がっていく」というものです。
利用シーン
たとえば1日に100個のペースで、NFTを販売したいとします。1日のオークションで100個すべてを売ることもできますし、100日かけて毎日1つNFTのオークションすることもできます。しかしオークションではユーザーにとってガス代も高くなり、不便です。
そこでCRISPを使用して、ユーザーがいつでもNFTを購入できるようにすることができます。10個NFTしか売れないペースであった場合は、「今すぐ購入」の価格はゆっくりと低下します。逆に200個NFTが売れるペースであった場合、新しく売れるたびに「今すぐ購入」の価格が上昇します。
CRISPのSolidityによる実装は、GitHubに掲載されています。
ちなみにParadigmは以前、『効果的なNFTローンチを設計するためのガイド』を出していました。以前Bspeak!でも書きましたが、アドバイスをまとめると、
ランダムなメタデータを使ったNFTの場合、公平さが最も重要なので、不正されないランダム生成を使うべき。また購入し決済する前にNFTのメタデータを明らかにしない
早いもの勝ち、ガス代によるレースのようなローンチの仕方は、それに参加する人もしない人も、ユーザを傷付けるので、抽選制やバッチオークションを使用すると良い
費用対効果を考え、オンチェーンでやってるプロセスを、オフチェーンでできないか考えるべき
などです。
今回はさらに追求してプロダクトにすることになったのでしょう。
Paradigmは、研究や製品化(例:Uniswap v3)、リサーチャーsamczsun氏による脆弱性の発見など、業界における貢献は大きく、尊敬を集めています。
2.Why a Coinbase Listing May Not Be a Good Thing for a Token
Laura Shinのポッドキャストですが、startups and econというニュースレターの編集者Fais Khan氏がゲストの回です。
Fais Khan氏は、「トークンはCoinbaseに上場する前と後ではどちらがパフォーマンスが良いか」などについて調べ、その分析内容をまとめています。
内容を聞いてみるといいと思いますが、面白い分析結果の1つとしては、「a16zが投資するトークンはCoinbase上場後のパフォーマンスが悪い」という点で、おそらくa16zやその他VCが売っているからと考えているようです。
そして反対に、a16zが投資していて、まだCoinbaseリストしてないトークン(例:arweave)はあがり続けているそうです。
またインサイダー売り以外に、理由としては何があるか、どのような規制措置があれば改善できるかなどが議論されています。
このポッドキャストの翌日、すぐにCoinbaseから、透明性のための記事が出されました。Podcastに対する内容だとは明記されていませんが、タイミング的には、対応するものかと思います。
内容としては、「上場の決定を、プロセスに関与していない者(VC等)と調整することはない」というものです。その他にも、Coinbase Venturesは、自らが行った投資からトークンを販売したことはないことなども記載されています。
3.YouTube wants to help content creators capitalize on NFTs
YouTubeのCEOであるSusan Wojcicki氏が、コンテンツ制作者向けの年次レターの中で、「コンテンツ制作者によるNFTの活用を支援することを検討している」と述べた、という記事です。
今年中にはInstagramやYouTubeが何らかの形でNFTに対応してくると思いますが、すでにTwitterは、NFTのプロフィール機能をついに始めました。
ユーザーは自分のNFTの所有権を証明することができ、NFTは六角形の形で表示されます。最初はiOSに限定で、Twitter Blueを利用しているユーザーに提供になっています。
ちなみにイーロン・マスクはこれを気に入っていないようで、
「これには腹が立つ。クリプトスキャマーがすべてのスレッド上で、スパムボットを使って荒らしている中、Twitter社はこのくだらないことにエンジニアリングリソースを費やしている」
とコメントしています。
4.Superdao raises $10.5 million seed round, valued at $160 million
DAO向けサービスを開発しているSuperDAOが、$10.5Mドルを調達しました。
投資家にはAllianceDAO、Signal Fire、Pear VC、DIGITAL、One Block Capitalなどが参加しています。また、1inch、Protocol Labs、OpenSea、Coinbaseの創業者などのエンジェルからも支援をうけています。
SuperDAOは「DAOのためのShopify」と紹介されているとおり、簡単にDAOを立ち上げて、運営することができるツールを目指しています。
機能としては
NFTやトークンのエアドロップのためのツールを備えたメンバーの情報ページ
トレジャリー管理のためのダッシュボード
サードパーティのDAOアプリのページ
ワンクリックでのDAO作成
などです。
またSuperDAO自身も、将来的には自らがDAOになるという目標になっています。
5.HAL secures $3 million seed funding and integration with DeFi platform Aave
ブロックチェーンの分析ツール HAL は、$3Mを調達しました。CoinFund、Eden Block、Animoca Brandsがリードし、Hashkey Capital、Wintermute、SkyVision、imToken Ventures、Bitcoin.comなどが参加しています。
HALは、ブロックチェーンのデータを監視して、実用的な提案をするモニタリングのサービスを提供しています。
ちょうどAaveでもHALを統合することにガバナンス承認されました。HALを使ってAaveのヘルスファクターがユーザに通知されるようになり、ユーザーは自分のポジションが清算される危険性があるかどうかを事前に知ることができます。
この清算通知は分析サービスの1つで、HALには他にも40ほどのサービスがあるようです。
6.Matter Labs, BitDAO Back $200M DAO for zkSync
zkSyncを開発しているMatter Labsは、BitDAOをバックに、$200MドルのDAOを設立することを発表しました。
zkDAOという名前で、公共財やインフラ、セキュリティフレームワーク、研究開発の助成金、他のクリプト組織への投資などを通じてzkSyncのエコシステムの拡大を支援していく予定になっています。
BitDAOとの組み合わせは意外でしたが、今後zkSyncの存在感が大きくなっていくと予想しています。
7.Republic Capital Leads $6M Round in Cross-Chain Bridge Swing
クロスチェーンの流動性とブリッジプロトコルであるSwing(元Polkaswitch)は、$6Mドルを調達しました。
Republic Capitalがリードし、Celer、Bitcoin.com、Morningstar Venturesなどが参加しています。
SwingはEthereum、Avalanche、Arbitrumなどの間でクリプトをブリッジすることができます。またSwingトークンというガバナンストークンを持ちます。
ブリッジも色々と出てきていますが、結局流動性がサイロ化してしまっては意味がないので、これもまたアグリゲーターのような機能が必要になるのかもしれません。
またブリッジのプロトコルによる事故も増えていて、一番TVLの高いMultichain(旧Anyswap)は何度も資金が抜かれています。
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