今週の市場コーナー
先週は予定されていたイベントが複数あり、いろいろと動いた週となりました。
まずFOMCの結果、市場の予想通り25bpsの利上げとなりました。2023年以来、はじめての利上げとなります。さらに18人中16人が「年内もう1回の利上げを見込む」としたため、12月2回目の利上げの確率はかなり高くなりました。
また規制での大きな動きもありました。
Clarity法は、クローチャー投票にて否決となり、今年の成立確率はほぼなくなりました。
しかし前から噂されていたように、その後すぐ、SECが「Innovation Exemption」を公表しました。tokenized stock(トークン化株式)のオンチェーン取引を認める内容で、中身を簡単に整理すると、
tokenized stockを扱うDEXなどの取引サイトを、いわゆる取引所の定義から外す
AMM経由で流動性を出すLPを「ディーラー」の定義から外す
合成資産は対象外。発行体は自社株の取引を拒否できる。制裁法規へは従う必要あり。
となります。
さらに同じ日にCFTCも暗号資産市場規制のルール案パッケージをホワイトハウスに送付しています。
このように、利上げとClarity否決があったものの、SEC/CFTCの発表のおかげかセンチメントはよくなり、BTC価格はむしろ上がって、底の固さを見せています。また10月になると4年サイクル的にも底打ちの時期にもなります。
■ This Week in Crypto
Tenkaが、プレシードラウンドを調達しました。Maven 11がリードし、Gami Capitalや複数のエンジェル投資家が参加しています。調達額は公表されていませんが、報道によると$2Mドルとされています。
Tenkaは、アセットバックファイナンス(消費者ローン、企業の売掛債権、設備リースなど)向けの流動性プラットフォームを開発しています。
プライベートクレジットは、資産の質よりも流動性の低さが課題になっていて、投資家が満期前に抜けたい場合は、OTCかファンドの償還に頼るしかありません。
最近は大手プライベートクレジット運用会社が償還を制限する動きもあり、「時間をかけて資金が戻ってくること」と「必要なときに抜けられること」は別物だということが意識されるようになっています。
Tenkaは、案件組成時と、その後のセカンダリー取引をひとつの市場としてつなげます。例えば設備ローンのプールに投資している投資家が、満期前に資金が必要になった場合、その条件を許容できる別の投資家にエクスポージャーを譲渡できる、という仕組みです。借り手に早期返済を求めたり、ファンドが償還資金を用意したりする必要はありません。
プラットフォームは今年後半にローンチ予定です。
2.S&P Global Enters Agreement to Acquire OpenZeppelin
S&P Globalが、OpenZeppelinを買収することで合意しました。買収金額は公表されていません。
OpenZeppelinはおもにコントラクトのコード監査を提供している会社で、900件以上のセキュリティ案件をこなし、10,000件以上の脆弱性を本番前に発見してきたとしています。
OpenZeppelinのライブラリなどのオープンソースは今後も無料・公開のままで、リリース済みのバージョンは誰にも取り下げられないと明言しています。監査などのサービスも同じチームがそのまま続けます。
S&P Global側は、市場がオンチェーン化していくため、OpenZeppelinの知見を、データ、ベンチマーク、リスク評価に組み込むねらいです。
Tareが、シードで$13.25Mドルを調達しました。
Blockchain Capitalがリードし、Janus Henderson、Strobe Ventures、the Venture Dept、Neoclassic Capital、Avalanche Foundationが参加しています。
Tareは、プライベートクレジットのバックオフィス業務をブロックチェーン上にまとめる会社です。
現在のノンバンクの貸し手は、ローンの組成・管理、支払いの分配などを複数の業者に分けて頼んでいるため、遅くてコストがかかります。そこでTareは、Avalanche上でローンのデジタル記録を作って、事務作業を自動化するソフトウェアを開発しています。
借り手が払う金利と、投資家が受け取る利回りの差が、中間業者に吸われているため、これをクリプトで中抜きするということになります。
Fin.comが、$20Mドルのシードラウンドを発表しました。Uber共同創業者のGarrett Camp氏のExpaがリードし、Coinbase Ventures、Tenet Fund、Figureの創業者、Mesh創業者のBam Azizi氏、Second Sight Ventures、湾岸やアフリカのソブリン・ロイヤルファミリーオフィスなどが参加しています。
Fin.comは、ステーブルコインを現地の銀行口座やウォレットに着金させる「ラストワンマイル」のインフラを開発しています。
もっというと、企業向けのホワイトラベルの決済インフラで、金融サービス企業、コンシューマー向けプラットフォーム、予測市場などが顧客です。
5.Velocity extends Series A to $48M at $200M valuation with backing from Visa, Circle, and Ripple
Velocityが、$10Mドルを追加調達しました。Visa、Circle、Rippleに加えて、Haun Ventures、Translink Capital、Mirana Venturesが参加しています。7月に発表した$38Mドルと合わせてシリーズAは$48Mドル調達となっています。
Velocityは、決済会社や銀行が、いま使っているシステムを入れ替えることなく、ステーブルコインを使えるようにするインフラを開発しています。
Visaの出資が象徴的ですが、ユーザーが全員ステーブルコインのウォレットを持つようになるのではなく、カードネットワークの裏側で動いている資金の手当てや決済の部分がステーブルコインに置き換わっていく、という見方をしているようです。
Deadstockが、シードで$2.5Mドルを調達しました。Bullishのベンチャー部門であるBullish Capitalがリードしています。
最初のプロダクトがポケモンカードのプラットフォームです。
通常コレクターが集めるようなカードはいろいろな場所で取引されているため、本物かどうか・出品されているカードが実在するのかなどを確認する仕組みがありません。Deadstockでは、カードは日本の大手トレカ事業者JTCC(Japan Trading Card Center)との独占提携で仕入れ、保険付きの保管庫に置かれ、1枚ずつArbitrum上のデジタルツインと紐付けられます。
そしてカードを保管庫に置いたまま所有権だけを動かすことができ、欲しくなったら世界中どこにでも現物の配送を頼むことができるそうです。
7.Stablecoin payments firm dtcpay closes $25 million Series A with SBI Group investment
シンガポールのdtcpayが、シリーズAを$25Mドルでクローズしました。今回、日本のSBIグループが戦略投資家として参加していて、子会社のSBI Ventures Asset Pte LtdとSBI-NTU-Kyobo Digital Innovation Fundの両方から出資しています。
dtcpayは、シンガポール金融管理局(MAS)からMajor Payment Institutionのライセンスを持つ決済会社です。
企業や個人がステーブルコインを受け取り、保管し、送金できるインフラを開発していて、SWIFTやコルレス銀行を経由する国際送金と比べて、数日かかる決済や中間手数料を省くというのが売りです。
プロダクトとしては、店頭でステーブルコイン決済を直接受け付けられるPOSサービスや、Visaと組んだステーブルコインからフィアットに変換して使えるVisa Infiniteカード(シンガポール向け)があります。
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