Twitterとクリプト
少し前から噂されていましたが、ついにTwitterにチップ機能が開始されました。ビットコインのライトニングネットワークを利用して、クリエイターにチップを渡すことができるようになります。
またEthereumのアドレスをプロフィールに追加できるようにするインターフェースもリークされていましたが、NFT認証についても検討しているそうです。TwitterのSpacesやニュースレターなどと組み合わせて、コミュニティ機能がどんどん充実していくと思います。
■ Last Week in Crypto
1.Introducing Prysm Public Beta and our $3MM Seed Round | Prysm
DeFiやNFTのソーシャル×投資のプラットフォームであるPrysmが、$3Mドルのシード資金を調達しました。
North Island Venturesが主導し、Polychain Capital、Reciprocal Ventures、Leminscap、CMT Digital、Free Company、Alameda Ventures、Infinite Capital、Flow Ventures、Drops Foundationなどが参加しています。
またPrysmは、最初のパブリックバージョンをローンチしています。
MetaMaskのアカウントを接続してプロフィールを作成し、どのような投資に興味があるのかを選ぶと、ユーザーのプロフィールに合った投資家が提案され、ソーシャルメディアのようにフォローすることができます。
また、投資家が自分のフォロワーに対して、アルファ(まだあまり知られていないが大きくあがると予想する銘柄)を共有することにインセンティブを与える面白い方法も出るそうです。
例えばNFTを作成し、自分のスーパーフォロワーに限定して提供することができます。例えば5個だけ作って1個500ドルで販売し、そのNFTの保有者だけが自分のトレード戦略にアクセスできる、といったことも可能になります。
2.Taker Protocol Raises $3M to Transform Cross Chain NFT Liquidity and Utilization
NFTの流動性プロトコル Taker Protocol は、$3Mドルを調達しました。
このラウンドは、Electric Capitalがリードし、Ascentive Assets、Dragonfly Capital、Spartan Group、The LAO、Sfermion、Morningstar Venturesが参加しました。
NFTの流動性の課題
Taker Protocolは、NFTにおける流動性の向上を目的としたプロトコルです。
NFTは、ノンファンジブルという英語のとおり、非代替性なトークンのため、流動性が課題になっています。その結果、NFTの価格が不安定になったり、よい価格帯で買い手が見つからないため売れないこともあります。
そこでTaker Protocolは、NFTの流動性の問題を解決するために、NFTの貸し出しに取り組みます。
まだ情報が公開情報が限られているので詳細は分かりませんが、NFTの所有者がNFTをTakerプロトコルに預けると、ステーブルコインを借りることができ、別の人がNFTを借りることができるようになります。
これによって、例えばプロフィール写真のNFTや、ゲーム内の資産をレンタルするなどといったユースケースが可能になります。
このときTaker上の貸し出しは、DeFiのように資産の価値に依存する形ではありません。金利や貸し出し条件は最初から決まっていて、時間内に資産を返せなかった場合のみ、清算される可能性があるようになっています。
この金利や貸し出し条件、その他のパラメータは、TKRトークンという独自トークンによって、Taker DAOがガバナンスで決めていきます。DAOは特定のNFTの鑑定なども貢献し、その見返りとしてTKR保有者はプラットフォームの収入の一部を受け取ることができます。
今後Takerは、Ethereum、Polygon、NEAR、Solana、Polkadotなどの複数チェーンでローンチする予定になっています。
3.Boba Network Launches Public Mainnet and $BOBA Token
Enyaが開発するBoba Networkが、メインネットのローンチを発表しました。もともとOmiseGoでしたが、リブランドしてOMG Networkとなり、そしてBoba Networkになりました。
Boba は、Ethereum上のレイヤー2になります。Optimistic Rollupという類のレイヤー2ですが、他のOptimistic Rollupのように資金を戻すときに数日間待つ必要がなく、数分で引き出すことができます。今はDODO, PolyWrap, API3など、複数のプロジェクトと提携しています。
またあわせて$BOBAトークンをリリースすることも発表しています。来月後半のスナップショット日までにOMGトークンをBobaネットワークにブリッジしたOMG保有者に、$BOBAトークンをエアドロップする予定だそうです。
また$BOBAトークンをステークすると、Bobaネットワークが得るトランザクション手数料の一部を受け取ることができるというトークンモデルになっています。
4.Solana-based Grape protocol raises $1.2 million in seed funding
DAOのためのツールを提供するGrapeプロトコルが、$1.2Mドルのシード資金を調達ました。Multicoin Capitalがリードし、LongHash VenturesやSolana Capitalなどが参加しました。
Grapeは、コミュニティを効率的に管理するためのツールを提供しています。最初のツールであるGrape Accessは、DAOがコミュニティメンバーのウォレットの中身(NFTや残高)に応じて、コミュニティへのアクセスレベルを制限できるというものです。
またDAOが簡単にトークン支払いをプログラムできるようにするツールや、メンバー同士でチップを送れるツールなども準備しています。
5.Solana-based decentralized exchange Orca raises $18 million
SolanaのDEXであるOrcaが、$18Mドルを調達しました。
Three Arrows Capital、Polychain Capital、Placeholder VC、Coinbase Venturesなど大手VCから資金を調達しています。
共同創業者の Yutaro さんは、Orcaのローンチ前に会って話したことがあるのですが、アメリカ育ちでEthereum 2.0やUMAの開発をしていた実績のある方です。確かそのときは、Orcaとは別にウォレットのプロジェクトを始めたときで、Mozzilaのインキュベーターから助成金を受けていたような気がします。
その後Orcaをローンチし、Solana財団から助成金を受け、わずか半年で$18MのシリーズAとはすごい速度です。
6.Coinbase Joins $8.5M Raise in Crypto Project Bringing DeFi to Bitcoin
ビットコインのブロックチェーン上にDeFiエコシステムを作ろうとするPortalが、$8.5Mを調達しました。このラウンドには、Coinbase Venturesや、OKExなどが参加しています。
ビットコインのチェーンそのものはDeFiが利用できるような性能はないので、当然はレイヤー2を作ることになります。Fabricという名前のレイヤー2で、ビットコインのチェーンに定期的に情報を記録します。そしてFabric上で、ビットコインを含めた異なるチェーン間でのアトミックスワップなどができるようになります。
Fabricのノードは、リソース(トークンのロック、データストレージ、検証・計算力)を提供することで、トークンを得ることができ、Fabricネットワークに貯まった手数料と換金できるようになります。
今後パブリックのセールを Republic 上で実施するそうです。
7.BitClout creator launches blockchain with $200 million in funding
物議を醸したソーシャルメディアの「BitClout」ですが、仮名の創業者が正体を明らかにしました。また200Mを調達して開発している独自チェーンも DeSo という名前に変更しました。
創業者は、Nader Al-Najiという人で、2018年にBasisというステーブルコインのプロジェクトで$133Mを調達しています。結局そのBasisは規制の理由からシャットダウンをして、資金は投資家に返却したそうですが、それらの投資家のほぼ全員が、$200Mドルの投資で再びAl-Najiを支援したことになります。投資家には、a16z、Coinbase Ventures、Sequoiaなどの大手VCが名を連ねています
BitClout
BitCloutは、ソーシャルメディアをブロックチェーンで実現しようとしているサービスです。各ユーザーは自分のトークンをもち、他のユーザーがそれを購入することができます。自分のコンテンツを評価する人が増えれば、自分のコインを欲しがる人も増え、広告なしに個人が直接マネタイズできるというコンセプトです。
このチェーンのネイティブ通貨は $CLOUT でしたが、今回そのブロックチェーンにDeSo(Decentralized Socialの略)という名前をつけ、トークンも$DESOトークンに変更されました。
現在はPoWのチェーンになっていますが、今年中にPoSに切り替える予定だそうです。また創業者いわく、多くのアプリがDeSoブロックチェーン上に作られていて、「BitClout」を代表に、他にも
NFTマーケットプレイス「Polygram.cc」
ソーシャルトークンの取引所「BitCloutPulse」
クラブハウスのような「Clubrooms」
などが開発されています。
8.Bitcoin Startup Moon Raises $2.1M to Enter New Markets
ビットコインのスタートアップであるMoonは、$2.1Mドルを調達しました。Fenbushi Capitalや、Charlie Leeなどが参加しています。
Moonはオンラインの買い物に、ビットコインで支払いができるサービスを提供しています。現在はCoinbaseのアカウントのみを利用していますが、他の取引所への対応や、ステーブルコインの追加などを計画しています。
最近では、モバイルのステーブルコインCeloや、プライバシーコインのZcashとも提携しています。
さらに米国以外の加盟店でも利用できるようにするために、より良い方法についてVisaと話し合っているそうです。
9.Tokens are a new digital primitive, analogous to the website
a16zのクリス・ディクソンが、ここ最近良いツイートをしているのですが、まとめてMirrorに投稿されたので、ぜひ読んでみてください。
ここでは、「トークンはウェブサイトに類似した新しいデジタルプリミティブである」というツイート・ストームをDeepLで翻訳したものを載せます。
==
1/ トークンは、ウェブサイトに類似した新しいデジタルプリミティブである
2/ コンピュータの大きな波には、一般的に「スキューモーフィック時代」と「ネイティブ時代」という2つの時代がある。
3/「スキューモーフィック時代」では、古い領域からの転用が多い。例えば、初期のウェブは、手紙を書いたり、通販で買い物をしたりといった、インターネット以前の活動をデジタル化したものがほとんどでした。当時のウェブサイトは、ほとんどが読み取り専用でした。
4/ 技術者たちが、ウェブサイトはユーザーがコンテンツを生成する読み書き可能なものであるという考えを真剣に検討し始めたのは、約10年後のことでした。これにより、ソーシャルネットワーキング、クラウドファンディング、ソーシャル生産性アプリなどのウェブネイティブなカテゴリーが成長していった。
5/ このパターンは、クリプト/Web 3でも同じことが繰り返されています。Web 3のネイティブ製品には素晴らしいものもありますが、全体的にはまだ「スキューモーフィック時代」の時代です。つまり今のWeb 3製品の多くは、古い領域からの適応です。
6/ 人気のあるのでいうと、オフラインでの発券、サプライチェーン・マネジメント、オフライン資産の記録管理などがあります。読み取り専用のウェブサイトが良いアイデアであったように、これらは良いアイデアかもしれませんが、Web 3 の可能性の表面をなぞっているに過ぎません。
7/ 現在のNFTの多くは、オフラインのアートやコレクターズアイテムの世界を応用したものです。そのため、かつてウェブがパンフレットや雑誌に限定されていると思われていたのと同じように、NFTはそれらの領域に限定されていると思われている。
8/ トークン -- ファンジブルトークンやNFTは、ウェブサイトのような過去のデジタルプリミティブと同様に、柔軟性と汎用性を備えた新しいデジタルプリミティブと考えるのがよい。
9/ トークンはユーザーに所有権を与え、インターネットの一部を所有することができる。
10/ Web 2では、デジタル所有権が抜け落ちていた。サイト(またはアプリ)を利用する際には、借りたり貸したりすることしかできませんでした。現実の世界で、新しい場所に行くたびに、すべてを一から買わなければならないという状況を想像してみてください。それがWeb2です。
11/ Webサイトと同様に、トークンはデジタルプリミティブであり、お金、アート、写真、音楽、テキスト、コード、ゲームアイテム、コントロール、アクセスなど、将来的に人々が夢見るあらゆるものを表現するために一般化することができます。
12/ ユーザーは、ウォレットの中にモノを持ち、それをアプリ間で交換することができるようになりました。そのモノの価値が上がれば、ユーザーはそれを享受することができます。これは、アップサイドのほとんどをハイテク企業が獲得していたWeb 2からの大きな変化です。
13/ 私たちはまだWeb 3の「スキューモーフィックな時代」にいますが、これまでに類似したものがなく、単に以前には存在し得なかったネイティブアプリケーションの新しい波を目にし始めています。
14/ 例えば、DeFiの起業家が開拓したメカニズムデザインを基に、新しいDAOの波は、グループが集まり、リソースをプールし、物事を構築し、ガバナンスする方法を模索しています。
15/ LootのようなコンポーザブルNFTゲームは、単一のNFTを中心とした世界全体を構築するというインセンティブをコミュニティに与えますが、これはWeb 3が可能にする所有権とポータビリティがなければ不可能な活動です。
16/ ファンジブル・トークンには、お金や金融に関連する本質的な要素はなく、NFTには、アートやコレクターズアイテムに関連する本質的な要素はありません。
17/ 初期のアプリケーションとしては素晴らしいものであり、今後も非常に重要であると思われますが、トークンは新しいデジタル・プリミティブとして考えた方がよく、ウェブに類似しており、インターネットの新時代を構成する原子単位となります。
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