Phiインタビュー
Phiというプロジェクトが先週メインネットでローンチしました。オンチェーンのアクティビティをビジュアル化するプロジェクトです。
以前このBspeak!でPodcastを始めたいと書きましたが、記念すべき1回目のゲストとして、PhiのCo-FounderであるConsomeさんをゲストに呼んでお話をしましたので、ぜひ聞いてみてください。
そのうちSpotifyやYouTubeなどでもアップロードしていこうと思っていますが、しばらくはSubstackだけにアップしていきます。
以下のようなことを話しています。
Consomeさんって誰
Phi を簡単にいうと
なぜPhiが大切なのか
NFTコレクションとのコラボ
ピクセルアーティストeBoyさん
zk-Phi と IDについて
Phiの今後の予定
マネタイズ
wen Token
マルチチェーン対応への考え
競合やエコシステム
聞いてくれてる人へのリクエスト
気になってるプロジェクト Sup について
a16zによる「2023年のビッグアイデア」
a16zのパートナーたちが、期待を寄せている分野として「2023年の大きなアイデア」というブログ記事をリリースしました。ここではさっと読めるように要約します。
1.ブロックチェーンのモバイル化
ブロックチェーンのノードを運営するのは、時間とリソースが必要で、常時オンラインのマシン、数百GBのストレージ、ゼロからの同期に1日程度が必要。かつ特別なスキルが必要。
最近はHelios、Kevlar、Nimbusなど、フルノードの実行と同様の機能を提供するライトクライアントが登場し、自分のデバイスからブロックチェーンのデータを検証できるようになった。
イベントインデックスやユーザーデータの保存など、他の部分でも同様の信頼性と分散化の改善が見られることを期待している。これらを合わせれば、モバイルフロントエンドの真の分散化を実現できる。
by Noah Citron
2.ZKP、マルチパーティ計算、「ポスト量子暗号」
ZKP(ゼロ知識証明)は、スケーラビリティ、プライバシー、その他多くの鍵を握る強力な技術。しかしProver(証明を作る側)が大変、Trusted Setup が必要な場合があるなど、トレードオフが存在する。
これらのトレードオフの解決するzk-proofの構成がもっと出てくると良い。
定数サイズの証明に対して Trusted Setup が必要であるかどうかを見ることが興味深い。より透明な Trusted Setup セレモニー が必要になるだろう。
閾値ECDSA署名のためのより良い構成も必要。
NISTによる新しいポスト量子署名が標準化に近づいているので、 集約や閾値化に適したものを調査すると面白い。
3.ZKPのための開発者オンボーディング
ZKPは長い間存在しているが、やっと最近になって理論から実践へと移行した。具体的には、教材が増えたりや、高水準プログラミング言語(NoirやLeoなど)の成熟により、エンジニアがこれまで以上に簡単にZKアプリケーションを書き始められるようになった。
ZKPは多くのアプリにとって重要になるため、上記のようなものの発展が、アプリケーション開発者の増加につながると期待している。開発者の手に委ねることで、思いがけない新しいユースケースが生まれることが多いので、次に何が生まれるか楽しみである。
by moodle zoup
4.VDFハードウェア
検証可能遅延関数(VDF)は、検証可能な宝くじ、Leader Election、フロントランニングの防止など、多くのアプリケーションを持つ暗号化ツールだ。しかし攻撃者がVDFを高速に計算できないようにするには、ハードウェアの実装が最大の難関。
ここでVDF用のハードウェアが利用可能になると、実用化への道が開かれるので、とても良い。
5.フルオンチェーンゲーム、自律型世界
ダウンや検閲がなく、サーバーも不要、個人や組織の寿命を超えて生き続ける、完全な「オンチェーンゲーム」、またはその上位概念である「自律型世界」に期待。
ゲームの全状態とロジックをパブリックに検証可能で検閲に強いブロックチェーン上に置く。
またオンチェーン手続き型生成の進歩は、ストレージなどの制約を克服するだけではなく、「複雑な世界を実行ファイルに圧縮する仕掛け」 になっている。
これまで不可能だった新しいゲームやゲームプレイが可能になるかもしれない。
by Carra Wu
6.譲渡不可能なトークン
「soulbound」トークンまたは「non-transferableトークン」という、他のアドレスに送れないトークン。
分散型アイデンティティや検証可能なクレデンシャルを使ったWeb3アプリが作られることに期待している。
分散型アイデンティティ以外にも、他にも多くのアプリケーションを検討することができる。例えば、チケット、デジタル<>物理、レピュテーションなど。
by Michael Blau
7.クリプト×エネルギー分野
分散化の理念を、どうエネルギー分野に適用できるか。例えば、電力網は時代遅れで中央集権的であり、高い初期投資や不均衡なインセンティブなどの問題がある。
トークンを通じて、これらの問題を解決することで、マイクログリッドや蓄電・送電網をつくる機会がある。
また、再生可能エネルギー証書(REC)や炭素クレジットのオンチェーン市場も急成長している。分散型エネルギーというカテゴリーで、開発者が可能性を広げ続けていくことに期待している。
by Guy Wuollet
■ Last Week in Crypto
1.Blockchain-free decentralization platform Nillion raises $20 million
ブロックチェーンを使わない分散化プラットフォームNillionがシードで$20Mドルを調達しました。
Distributed Globalがリードで、Big Brain Holdings、Chapter One、GSR、HashKey、OP Cryptoなどが参加しました。
マルチパーティ計算(Multi Party Computation: MPC)という暗号技術があります。ZKPのように、プライバシー保護に使われたりスケーリングに使われる期待がされている暗号技術ですが、このMPCの弱点を克服しているのがNillionのNMC(nil message compute)という技術です。
MPCは他のノードと共同で仕事をするため処理に時間がかかりますが、NMCでは他のノードにメッセージを送ったり、共同で仕事をする必要がありません。
この技術にもとにしたNillionネットワークを、L1ブロックチェーンが使うことで、スケーリングに使えたり、NFTのプライバシーに使えたりと、いろいろなユースケースに利用することができます。
また分散型ストレージやクロスチェーンブリッジなどのユースケースも想定しているようです。
2.Finterest Raises $1.5 Million Seed Round to Build Crypto Lending Protocol
ICPで利用できるレンディングプロトコル Finterest は$1.5Mドルを調達しました。Polychain Capitalや、9Yards Capitalなどが参加しています。
ICPを使うことで、Wrapped BTCなどやブリッジを使うことなく、ネイティブなビットコインやステーブルコインで貸し借りができる点が特徴です。
2023年1月に、ベータ版をローンチする予定ですが、すでにマルチシグウォレットと、オラクル「FinnyFeed」などを開発しています。
3.Aztec Network takes on encrypted blockchains with $100M round led by a16z
プライバシーのプロジェクトAztecが、シリーズBで$100Mドルを調達しました。a16zがリードになっています。
AztecはすでにAave、Lidoなどを統合した「Aztec Connect」をだしていて、プライバシーを保ったままこれらのDeFiを使うことができます。
今後の予定は、これまで明らかになっていませんでしたが、どうやら今後1年で新しいAztecネットワークのテストネットをローンチし、今後2年以内にメインネットをローンチすることを目標にしているようです。
おそらくこのネットワークはこれまでのAztecよりも汎用的なL2になり、トークンも発行するのだと思います。
4.Crypto insurance firm Evertas raises $14 million from Polychain Capital: CoinDesk
クリプト保険のEvertasが、$14Mドルを調達しました。
Polychain Capitalがリードし、Sino Global Capital、CMT Digital Holdings、Matrixport、Morgan Creekや、Balaji氏などのエンジェルも参加しています。
Evertasは、クリプト業界向けの保険会社です。預かりサービスでの盗難や、スマートコントラクトの誤作動などをカバーしています。
3年くらい前にこのニュースレターで書いたことがあるのですが、Nexus mutualのような分散型の保険プロトコルだけでなく、このような「中央集権型の保険サービス」も、クリプトにもっと浸透すると良いと思います。
5.Web3 Licensing protocol Spaceport Closes $3.6M Pre-Seed Round
Web3の知的財産プロトコルSpaceportは、$3.6Mドルを調達しました。
Arca、Decasonic、Crit Venturesが共同リードで、Infinity Ventures Crypto、FBG Capital、Republic Asiaが参加しています。
Spaceportは、クリエイターやブランドの知的財産のマネタイズを助けるプロジェクトです。
最初のアプリ「Spaceport Core」では、クリエイターが作品をアップロードし、知的財産の一覧をつくり、ロイヤリティがクリエイターにわたる契約を簡単に結べるようになるそうです。説明はありませんが、おそらくNFTを利用するのだと思います。
また、物理的なものデジタルなもの問わず、アパレルやゲームなどのIPのライセンシングを始めることができます。
ノーコードツールのDecentは、$3.5Mドルを調達しました。
Archetypeをリードに、Y Combinator、Circle Ventures、Palm Tree Crypto、Road Capital、OrangeDAO、Stateless Ventures、Coinlist、AngelDAO、Soma Capital、MAGIC Fundなどが参加しています。
Decentは、ノーコードで簡単にスマートコントラクトをつくることができるプロトコルです。一般的なNFTコントラクトや、カスタマイズ可能なコントラクトなど、すぐにWeb3で何かを始めることができます。
近い将来は、クリエイターのためのソーシャル機能とIDレイヤーを開発する予定です。
リアルタイムWeb3インフラ企業Blocknativeは、$15.5Mドルを調達しました。
Blockchain Capital、Foundry Group、Rho、IOSG Ventures、Robot Ventures、Fenbushi Capital、HackVC、Industry Venturesなどが参加しています。
Blocknativeはインフラ系プロダクトを多く出していて、例えばバリデーター用に、ブロック報酬を最大化するためのサービスをだしています。
またアービトラージャーなどMEVの機会を探してトレードする人たち(最近サーチャーと呼ばれている人たち)が、MEVの機会を探したり、シミュレーション/運用をすることができます。
それ以外にも Mempool Explorer や Gas Estimationなどの製品も持っています。
ARのNFTプロジェクトOnlybotsは、$3Mドルを調達しました。
Polygon Studios、Not Boring Capital、HashKeyなどが参加しています。前回のラウンドでは、Coinbase VenturesやFlamingoなどが参加しています。
OnlybotsはARを使ったデジタルペットのNFTコレクションを最近ローンチしました。NFTは各トークンに3Dモデリングデータがついていて、スマートフォンのカメラ越しに見ることができます。
9.BREEZ RAISES $4.5 MILLION IN FUNDRAISING ROUND
ビットコイン・ライトニングネットワークのサービスを開発するBreezが、$4.5Mドルを調達しました。
ego death capitalとEntrée Capitalがリードで、Hivemind Ventures、Fulgur Ventures、Lightning Ventures、Hashkey Capital、Hawk Digital Innovation、Bitcoiner Venturesなどが参加しています。
Breezは、ビットコインのL2であるLightningを使ったサービスを提供していて、SDKはLightning as a Service(LaaS)とwebサイトで説明されています。
このSDKを使うと、Lightningでビットコイン決済ができる機能を、開発者がアプリ内に簡単に取り入れることができるようになります。
例えば、チップ機能をいれたいソーシャルアプリや、ビットコインでマネタイズできるコンテンツ作成アプリなどが、このSDKを使ってそういった機能を実装することができます。
10.Susquehanna bets on decentralized sports prediction market Frontrunner
スポーツ予測市場Frontrunnerは、$4.75Mドルを調達しました。
Susquehanna Private Equity Investmentsがリードで、SOMA Capital、Toy Ventures、Ledger Prime、WAGMI Venturesなどが参加しています。
Frontrunnerでは、ユーザがクリプトを使って、スポーツチームや選手のトークンを売り買いして、予測市場に参加することができます。(Cosmosエコシステム内のプロトコルInjectiveを使って作られています。)
モバイルアプリは1月末に完成する予定で、ライセンスをとって合法的に運営できるようにする予定になっています。
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以降もSubstackのアーカイブからご覧ください。
Podcast聞きました!面白くて勉強になりました。
テキスト読むよりすんなり頭にはいってくる感じがします。
2回目も期待しています。