AxelarとCosmosエコシステム
クロスチェーン通信をシンプルにするAxelar Networkが、CoinListでトークンセールすることを発表しました。Axelarについてはちょうど一年前に書いたので、ぜひご覧ください。
AxelarはCosmos SDKを使って作られたチェーンで、Cosmosプロジェクトと互換性を持ちます。最近はCosmos関連が活性化していて、今週のBspeak!もいくつかCosmos系の話題があります。
■ Last Week in Crypto
1.Praxis Raises $15mm Series A Led By Paradigm
新しい都市を創ることを目指すPraxisが、$15Mドルを調達しました。
Paradigmがリードとなり、Alameda Research、Three Arrows Capital、Robot Ventures、Apollo Projectsなどが参加しています。数ヶ月前のシードラウンドで$4.2Mドルを調達したときには、元Coinbase CTO の Balaji Srinivasan と ウィンクルボス兄弟のWinklevoss Capitalが投資しています。
Praxisのブログ記事では、
「コミュニティの新しいホームを求めて、私たちは地主や政府と積極的に関わり、経済・政治システムを設計し、建物やインフラを建築し、そこに住む人々を集めています」としています。
また、「都市-クリプト国家を構築する草の根運動」とも記載されていて、チームには起業家やY Combinatorの幹部、政府や都市開発プロジェクトのベテランが参加しています。
現在はメンバー制のコミュニティとして運営されていて、誰でもタスクを完了するとPRAXというポイントを受け取ることができ、メンバーに加入できる可能性を高めることができます。
メンバーになると、文化を確立していったり、都市候補地を回ったり、都市インフラの設計したりなど、都市創りに貢献することができるようになります。特に以下の8つの領域から貢献するようです。
Statecraft
Health
Education
Environment
Philosophy
Security
Trade
Culture
昔ビットコイナーが都市を創るようなプロジェクトは聞いたことがありますが、Paradigmがリードで投資するような都市開発プロジェクトは初めてなので、進展が気になるところです。
2.Polymer Labs is excited to announce its $3.6M Seed Round.
Polymer Labsは$36Mドルを調達しました。Distributed GlobalとNorth Island Venturesが共同リードし、DCGやCoinbase Venturesも参加しています。
IBCの拡張
Polymerは、Cosmosが開発した『IBC(Inter-Blockchain Communication)プロトコル』を拡張するプロトコルを開発しています。
IBCとは、異なるブロックチェーン同士が簡単に通信できる規格のことです。
しかしすべてのチェーンがIBC標準に準拠しているわけではありません。そこでPolymerは、IBC以外のブロックチェーンが、IBCに基づくチェーンと相互作用できるようにすることを目標としています。
例えば、EthereumやSolanaチェーン上のアプリが、TerraやOsmosisなどのIBC対応チェーン(Cosmosエコシステムのチェーン)と互換性を持つようになります。
トークンとCosmosエコシステム
トークンはまだありませんが、開発は最終的にPolymerDAOが管理し、トークン保有者がプロトコルの将来を決定する提案に投票できるようにする予定です。
3.Diagonal Raises $2.5M for Web 3 Subscription Payments
Diagonal が $2.5Mドルを調達しました。
Mechanism Capitalがリードになっていて、The LAO、Coinbase Ventures、Ryan Selkis、Anthony Sassanoなどに加えて、私もこのラウンドで投資をさせて頂きました。
Diagonalは、クリプトのサブスクを実現するプロトコルです。
仕組み
Diagonalは、SuperFluidのスーパートークンを使ってマネーストリームを作ることができるため、利用者は「毎秒ごとにリアルタイム支払いを受け付ける」などの設定が可能になります。
まずPolygon、Arbitrium、Optimismでリリースする予定になっていて、将来的にはプロトコルのDAOを設立する計画もあるとのことです。
私個人的には、Bspeak!のニュースレターなどで利用することが出てくるかもしれません。(SaaS企業やDAOやクリエーターで、クリプトのサブスク支払いを導入されたい場合は、DMいただければと思います☕)
4.Special Liquidity Event Details
DeFi保険のプロジェクトSherlockは、パブリックに資金調達を行うことを発表しました。3月7日から5日間、$100Mが上限で行われます。
Sherlockの特徴
Sherlockの特徴は、代表チームがリスク評価をして、DeFiプロトコルごとにカスタマイズされた保険内容や価格を設定する点です。
例えば、Euler、Opyn、Tempus、Tellerなどが利用していますが、SherlockとEuler間との保険契約はこちらのリンクのように公開されています。
今回の資金調達イベントについて
今回の調達ラウンドは、USDCで参加することができます。参加したUSDCは、90%と10%に分けられます。
90%の分は、ステーキングされて6ヶ月後に引き出すことができます。
このステーキング期間中はプロトコル収益(保険料)を得ることができ、またAaveで運用されるそうなので、その利回りも得ることができます。しかしこの間にSherlockを利用しているプロトコルが攻撃されて保険金が支払われた場合は、ステーキング分が減ってしまうというリスクを負います。
10%の分は、シャーロックのトレジャリーに渡り、10USDCごとに1SHERトークンを受け取ることができます。なので、「6ヶ月の流動性提供を条件とするトークンセール」と見ることができます。
5.Evmos Looks to Jump-Start Ethereum–Cosmos Interoperability With Airdrop, Mainnet Launch
Evmosという、EVM(Ethereum Virtual Machine)互換を持ち、上で書いたCosmosのIBCに対応したチェーンが稼働しました。
Evmosの特徴
EvmosはEIP-712を使って、EthereumユーザーがEvmos上のコントラクトを直接利用できるそうです。ローンチ時には、Rari CapitalフォークとUniswapフォークが、このEvmosで利用可能になる予定で、Aaveもv3をEvmosチェーンに展開する案を可決しています。
エアドロップ(Rektドロップ)
またCosmosとEthereumの両コミュニティを対象としたエアドロップも話題になっています。
エアドロップの大部分は、Cosmosエコシステム参加者に割り当てられていますが、Ethereumのユーザーも対象になっています。特に「rekt」されたユーザ、つまり何かしら不運に見舞われたユーザが対象になっています。例えば、DeFiを利用していて攻撃の被害をうけたアドレスなどです。詳細はこちらで説明されています。
トークンモデル
ブロックチェーンで発生するトランザクション手数料は、普通マイナー(またはPoSならバリデーター)が受け取りますが、Evmosではチェーンの利用を促進しているコントラクトに、「手数料が共有」されます。
また、どのスマートコントラクトがコミュニティプールからの報酬を得るかべきかを、ユーザが投票することができ、選ばれたコントラクトを利用したユーザーにもトークンが割り当てられます。
PolygonやAvalancheなど多くのL1でやってる、あとから報酬としてトークンを配るプログラムとは違って、インセンティブがネイティブに組み込まれています。
メッセージ・プロトコルのNotifが、$2.5Mを調達しました。Race CapitalとHashedが投資をしています。
当初はSolanaとTerraのエコシステムを中心に、プッシュ通知とDM機能をサポートする予定になっています。
メッセージングの領域
この分野も競合プロジェクトが増えてきています。EthereumではEPNSが先月メインネットで稼働し、マルチチェーン化も発表しています。また後述しますが、Solana上ではDialectというプロジェクトが$4.1Mドルを調達しています。
7.Dialect Raises $4.1M to Bring ‘Smart Messaging’ to Solana
Dialectが、$4.1Mドルを調達しました。Multicoin CapitalとJump Cryptoのリードとなっています。Solanaチェーン上のイベントを監視して、ウォレットに直接メッセージを送信することができます。
仕組み
いまDialectは、オンチェーンイベントをトリガーとして自動的に通知を送信するのに使うことができます。例えばDAOの提案が発表されたら、通知が届いてその提案を読むことができ、かつaccept/reject/likeなどのアクションをすることもできるようになるそうです。
さらにプッシュ通知に加えて、ウォレット間のチャット機能を付け加えるのに役立つツールも開発しています。
8.Parcl Raises $4.1M Seed Investment by Archetype, and others
世界中の好きな場所の不動産に投資できるプラットフォームParclが、4.1Mドルを調達しました。
Archetypeがリードし、Dragonfly Capital、Coinbase Ventures、Solana Ventures、Slow Ventures、Not Boring Capital、 ParaFi、Shima Capital、Tribe Capital、FJ Labsが参加しています。
Parclでは、地域ごとに不動産市場の価格をトラッキングして、実際の所有なしに投資や売買ができるようにします。例えばマンハッタンやハリウッドみたいな地域に投資することが可能です。
暗号通貨のように売買ができるため、最低必要金額もなく、不動産市場の流動性が高くなることも期待されます。
9.ArDrive Raises $17M to Make Arweave’s Data Storage Blockchain More Usable
ArDriveは、$17.2Mドルを調達しました。
Arweaveブロックチェーンにファイルをアップロードするためのゲートウェイ『AR.IO』を開発していく予定になっています。
現在のArweaveが作ったゲートウェイは集権的に運用されているため、それを分散型ネットワークAR.IOに置き換えるということのようです。MacBook Proほどの計算力があれば、誰でもゲートウェイをホストでき、分散ネットワークに参加できるそうです。
AR.IOトークン
ArDriveはArweaveを使ったdropboxのようなアプリを開発しているプロジェクトです。すでにArDriveに独自のトークンがありますが、AR.IOでも新たにトークンを組み込むそうです。
AR.IOトークンの用途としては、DAOのガバナンスと、ゲートウェイの担保となる予定です。
ゲートウェイ運用者は、AR.IOトークンをステーキングし、独自の条件を設定して、手数料を得ることができます。もし悪意のある振る舞いをした場合は、ステーキングされているトークンが没収されます。
テストネットは今年の後半に稼動する予定で、その後うまくいけば2023年までにメインネットでローンチ予定になっています。
10.A16z Investing $70M in Ethereum Staking Provider Lido Finance
a16zが、ETHを簡単にステーキングできるようにするプロトコル Lido Finance に$70Mドルを投資しました。また、a16z Cryptoの保有するETHをLido経由でステーキングしたことも発表しています(金額は不明)。
Lidoは、ステーキングをしながらトークンを流動的にすることができます。
仕組みとしては、ETHをステークするとstETHというトークンを受け取り、そのstETHの残高がステーキング報酬に応じて増えていくという構造になっています。
最近ではAaveの担保に採用されるなど、DeFiでも利用先が広がってきています。
11.FriesDAO raises $5.4 million with plan to buy fast food restaurants
ファストフード店を買収し、コミュニティで運営していくことを目的にしたDAOが、合計で$5.4Mドルを集めました。ワイオミング州の DAO LLC で登録される予定になっています。
FriesDAOという名前のDAOで、資金調達イベントの参加者にFRIESトークンを配布しました。
またFRIESをステークしてKCHUPトークンを受け取ることができ、そのトークンはNFTの購入に使用することができるそうです。NFT保有者には、無料のハンバーガーなどの特典が与えられる予定とのことです。
計画では、1年目に最初のファーストフード店を購入することになっていて、「Subwayの支店」を買収する話が議論にあがっているそうです。
Thetanuts Financeは、$18Mドルを調達しました。Three Arrows Capital、Deribit、QCP Capital、Jump Cryptoがリードになっています。
Thetanutsは、異なるブロックチェーンのトークンを担保にでき、高い利回りを提供することを目的としています。現状は11のブロックチェーンに対応しています。
今後、主要の製品として、Theta-IndexとTheta-Wheelの2つをローンチ予定になっています。
Theta-Indexは、自動利回りを生成するオプションのバスケットで、リスク調整ができ、Theta-Wheelは、コールとプットを交互に行う製品で、手数料を得ながら「安く買って高く売る」ことができるようになるそうです。
今月ニュースレター「Bspeak!」は、Lido にサポート頂きました🏝
Lido は、ETHをEthereum2.0にステーキングできるプロトコルです。
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☕ バックナンバー:
#219 Bspeak! 2022年2月28日号 Web3コンピューティング『Fluence』
#218 Bspeak! 2022年2月21日号 デジタルIDのプロジェクト『Verite』
#217 Bspeak! 2022年2月14日号 Web3ソーシャルグラフ『Lens Protocol』
#216 Bspeak! 2022年2月7日号 Squeethの『カニ戦略』
#215 Bspeak! 2022年1月31日号 Web3ソーシャルメディア『Solcial』インタビュー
#214 Bspeak! 2022年1月24日号 動いて稼ぐ『Move to Earn』
#213 Bspeak! 2022年1月17日号 ve(3,3) の『Fantomエコシステム配布』
#212 Bspeak! 2022年1月10日号 NFTとDAOとスポーツ
#211 Bspeak! 2022年1月3日号 Arbitrum上のステーブルコインSperax
#210 Bspeak! 2021年12月27日号 Ethereum2.0前の最終テストネット『Kintsugi』
#209 Bspeak! 2021年12月20日号 音楽NFT『Sound』の仕組み
#208 Bspeak! 2021年12月13日号 Blitmapにみる未来のエンターテインメント
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#204 Bspeak! 2021年11月15日号 Tempusインタビュー
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#193 Bspeak! 2021年8月30日号 音楽投資プラットフォーム『Royal』とは
以降もSubstackのアーカイブからご覧ください。