Cancunアップグレード
次のEthereumアップグレードは、Cancun(カンクン)というコードネームがつけられていますが、そこでProto-Danksharding(EIP4844)が含まれることが正式に決まりました。
これが成功すると、Ethereum L2のガスコストが安くなることが見込まれていて、とても重要なマイルストーンとなります。時期はまだ分かりませんが、今年の後半には、という意見が多いです。
■ Last Week in Crypto
1.Omni: Ethereum’s Interoperability Infrastructure
Omni Networkが、$18Mドルを調達しました。Pantera Capital、Two Sigma VC、Jump、Hashed、Spartanなどが参加しています。
Omniは、ロールアップをインターオペラブルにするレイヤーで、EigenLayerを活用しています。
ユースケースとしては例えば、Arbitrumで100ドルのETHを持っているとして、Arbitrumでその100ドルを担保にし、Optimism上で50ドルを借りてOptimism上のアプリを使う、などができるようになります。
また「ロールアップ間の流動性集約」なども可能になるそうです。
モジュラーチェーン、クロスチェーンの流動性プロトコルCatalystが$4.2Mドルを調達しました。Spartan Group、Maven 11、Robot Ventures、Alchemy Ventures、Circle Ventures、Polygon Ventures、Hashkeyなどが参加しています。
異なるロールアップやアプリチェーン間で、流動性が断片化する問題に対処するプロトコルです。
Cosmosのアプリチェーン間ではIBCのメッセージを受け渡し、Cosmosを越えて拡張する場合は、AxelarやLayer Zeroなどを利用します。
流れとしては、
ユーザーは、元チェーンのCatalyst(コントラクト)に資産を預ける
Catalystは、預けられた資産の「流動性の単位」を計算する
Polymer LabsとIBCを使って、「流動性の単位」を知ることのできるメッセージが、元チェーンから行き先チェーンに送信される
行き先チェーン上のCatalystは、受け取ったメッセージにもとに、Vaultから引き出すべきトークン量を特定して、ユーザーに資金を送る
ユーザーは自分のウォレットにアセットを受け取る
となります。
このときトランザクションに使われたプールに貢献した流動性プロバイダーは手数料を受け取ることができます。
今年末にメインネットを立ち上げる予定になっています。
3.Announcing $5.5M Round Led By Framework Ventures
DFlowが、$5.5Mドルを調達しました。
Framework Venturesがリードで、Coinbase Ventures、Circle Ventures、Cumberland、Wintermute Ventures、Spartan Group、ZeePrimeが参加しています。
DFlowは、Cosmos SDKを使ったチェーンです。いろいろと読んだ感じ、概要は以下のようになります。
まず一般ユーザとしては、DFlowチェーンに資産を移す必要はありません。DFlowを統合したウォレットなどでスワップすると、ベストレートやMEV保護などを得ることができます。
ウォレットやアグリゲーターなど(画像でOrder Flowソースと書かれているもの)が、DFlowを統合して、ユーザからのスワップなどの注文を、DFlowチェーン上でオークションにかけます。これによってウォレットなどは新たな収益を得ることもできます。
そしてDFlowチェーン上では、マーケットメイカーたちがオークションで競争します。オークション勝者は注文を実行する権利を受け取ります。
DFlowは注文のオークションのためのチェーンなので、もとのアセットはDFlow Chainにブリッジする必要はありません。
DFlowの利点をまとめると、
一般ユーザはベストプライスでスワップできたり、スリッページやMEVから保護される
マーケットメーカーは公正でオープンなオーダーフローにアクセスでき、公平な競争ができる
ウォレットは追加の収益源を確保できる
とまとめられます。
4.Animoca unit TinyTap raises funds at $100 million valuation for web3 education
TinyTapは、$8.5Mドルを調達しました。
Sequoia China、Polygon、Liberty City Ventures、Kingsway Capital、Shima Capitalなどが参加しています。
TinyTapは2012年にイスラエルで設立され、教育用ゲームのライブラリを提供していて、世界中の子供向けアプリの中で売上高トップ10に入っているそうです。
昨年Animoca Brandsが買収し、「Publisher NFT」を発表しています。パブリッシャーがコンテンツを宣伝して、収入を得られるモデルを目指しています。
またTinyTapは、web3教育プロトコルであるOpen Campusにも参加しています。(先週BinanceのローンチパッドでEDUトークンを出したプロジェクト)
5.NFT Futures DEX Tribe3 Secures US$2.1 million Funding; Public Beta Launch on 3rd May 2023
Tribe3が、$2.1Mドルを調達しました。投資家にはSpartan Capital、Newman Capital、Infinity Ventures Cryptoなどが参加しています。
Tribe3は、ソーシャルとゲーミフィケーションの要素を持つNFT先物取引所です。ユーザーは、NFT無期限先物(Perpetual)を取引でき、またアクティビティに基づいてゲーム内アイテムを獲得したり、NFTアバターを作ることができます。
ベータ版は5月3日にArbitrumで公開される予定で、BAYC、MAYC、Azuki、Cryptopunksを最初にサポート予定になっています。
6.DeFi Protocol Thetanuts Finance Raises $17M for Expansion, New Partnerships
Thetanuts Financeが、$17Mドルを調達しました。Polychain Capital、Hyperchain Capital、Magnus Capitalがリードとなっています。
Thetanuts Financeは、オプショントレーダー、DAO、マーケットメーカー・流動性プロバイダーに対応するストラクチャード商品を作っています。
バイサイドのアルトコインオプション市場を間もなく立ち上げる予定で、特にアルトコインに関わるオプション戦略が多く出るようです。
7.Flow Secures $3M Seed Funding To Build A Rollup Centric NFT Ecosystem. - Chainwire
Flowというプロジェクトが、$3Mドルのシード資金を調達しました。Nimaキャピタルがリードで、Shimaキャピタルなどが参加しています。
Flowは、流動性を集約するプロトコルReservoir上に作られていて、NFT入札や取引が簡単にできるプラットフォームです。またFlashbotsを経由して取引するため、フロントランなどから保護されます。
現在テストネットで利用可能で、報酬つきのアンバサダープログラムも募集しています。
8.S&P Global and major investors back Credora in building transparent credit markets
Credoraが$6Mドルを調達しました。
S&Pグローバル、Coinbase Ventures、Spartan、Amber Group、CMT Digital、Hashkey、GSR、KuCoin Ventures、Paradigm.co、Pirata Capital、Breed VC、WAGMI Venturesが参加しています。
Credoraは、プライベート計算の仕組みを開発していて、借り手の機密情報などのプライバシーを維持しながら、信用力を検証することができます。
9.Crypto Wallet Giddy Raises $6.9M in Funding to Further Self-Custody Adoption
ウォレットのスタートアップであるGiddyは、$6.9Mドルを調達しました。
Pelion Venture Partners、Peak Capital Partners、Clarke Capitalや、Epic Gamesの技術ディレクターのGeremy Mustard氏などが参加しています。
Giddyは復元可能なウォレットを開発しています。秘密鍵が分割され、複数の場所に暗号化されて保管されるそうです。もし鍵を失くしたり漏洩したとしても、複数の鍵が必要になるため、安全性が高くなっています。
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