クリプトソーシャルメディア
TwitterやInstagramがNFTに対応しはじめましたが、Bspeak!で触れてきたように、Lens ProtocolやCyberConnectなどソーシャルグラフのプロトコルも増えてきているため、web3ソーシャルメディアがそろそろ使われるようになるかもしれません。
技術的にどこまでオンチェーンで処理するかがそれぞれのプロジェクトの思想によって異なってきますが、元Coinbaseの人が作っている Farcaster は、ほとんどオフチェーンで処理しようというソーシャルプロトコルです。
最近テストネットで触ることができるようになったのですが、使い勝手はTwitterそのもので、なかなか面白いです。
Ethereumアドレスがアカウントになるので、まず所有しているNFTがプロフィールに表示されます。さらに、ウォレットで実施したことが自動的に表示されるので、例えば「OthersideのNFTをミントした」とか「あるNFTを売った」などが表示されます。
プライバシーの機能は必要になってくると思いますが、そのうちTwitterにもこのような機能がつけば面白いと思います。
ちなみにFarcasterでは、ツイートに gm というワードが入っていると、自動的にいいねボタンがGMボタンに変わるようになっています(笑)
■ Last Week in Crypto
1.Pseudonymity startup Big Whale Labs raises $3.8 million seed round
Big Whale Labsが、$3.8Mを調達しました。
M13とRoadが主導し、Slow Ventures、C2、Goodwater、Panache、NFR、エンジェル投資家のBalaji氏(元CoinbaseのCTO)とRoman(Tornado Cashの創設者)などが参加しました。
Big Whale Labsは、ゼロ知識証明を使って匿名性を保つソーシャルプロトコルを開発しています。匿名性を保ちながらも、何をしたか、どのDAOに参加したかなどの検証を可能にして、情報を明かすことなくオンラインの信頼関係を作れるようにすることを目指しています。
そしてBig Whale Labsのプロジェクトの1つ「SealCred」は、NFTを持っていることを証明する zkバッジ(別名zkNFT)を作成することができ、このzkバッジを匿名用のウォレットに転送することで、プライバシーを保ちながら所有権の証明ができます。
この転送のときに「送信元の個人ウォレットにつながる証拠は残らない」というのがポイントです。
例えば、BAYCとCryptoPunksのNFTを持ってるとします。
「CryptoPunksを持っていることを証明したいけど、どのBAYCを所有しているか、どのアドレスで所有しているかを公開したくない」というような場合に、仮名ウォレットを作って、SealCredを使用することで、どのBAYCを所有しているなどの情報を明らかにせずに、「CryptoPunksを持ってる証明(zkNFT)」を作成して、検証することができます。
現在はこのようなNFTの所有権がユースケースですが、今後はDAOメンバーの匿名のレビュー、Twitterの検証のようなユースケースも考えているそうです。
そして今年の夏~秋にかけて、zkバッジを使った匿名ソーシャルアプリ「Dosu」をリリースする予定です。
2.Paradigm Backs $5M Round in DAO Management Platform Dework
Deworkが、$5Mドルを調達しました。ParadigmとPace Capitalが共同リードで、Balaji氏やPolygonのSandeep氏などが参加しています。
Deworkは、DAOがタスクや報奨金を管理して、新しいメンバーがDAOに貢献しやすくするためのツールです。
すでにOpenDAO、AragonDAO、CityDAO、ShapeshiftDAOなどのDAOが利用しています。自分もたまたま少し使ったことがありますが、Trelloのようなタスク管理ができ、大規模なDAOではけっこう便利だと思います。
3.Outcome.Finance arrives to help DAOs achieve positive outcomes
UMAとAcrossのチームが、Outcome Protocolをローンチしました。
UMAチームは以前から、成果に連動するエアドロップを進めていましたが、これを可能にするKPIオプションや、DAOガバナンスや資金管理のためのツールを開発していくのがOutcome Protocolになります。
また「サクセス・トークン」というものをすでに発表しています。DAOが投資家から資金を調達するときに利用することができるもので、設定したゴールを達成したときに投資家にボーナスを支払うようにすることができます。
そのため投資家から資金を調達するときに、トークンを割引価格で販売しなくて済み、投資家とのインセンティブも揃うことになります。
仕組みとしては次のような流れになります。
DAOは、自分たちのトークンを担保にサクセス・トークンを発行します。そのとき目標となるトークン価格と満期を設定します。DAOのトークンが、満期時に目標価格以上なら、サクセス・トークンを買った投資家に追加ボーナスが支払われます。
このときスマートコントラクトは、UMAのオラクルを使って「満期のときのDAOトークンの価格はいくらか」という参照することができます。
SIZEは $6Mを調達しました。
Three Arrows Capital、Wintermute、mgnr、Alameda Research、D1 Ventures、Genblock Capitalなどのファンドが参加しています。
エンジェルには、Cobie、Pomp、0xtuba、0xSisyphus、DCF God、Satsdart、Grug、Cozomo de' Medici、Size Chadなどが参加しています。
SIZEは、「オンチェーンOTC」と説明されています。ユーザは、権利確定している or 権利確定していないトークンについて、「封印入札オークション」に参加することができるそうです。封印入札は、価格を開示しないで入札するオークションです。
5.Utopia: The Future of Coordination
Utopia Labsが、$23Mを調達しました。
Paradigmがリードで、Kindred Ventures、Circle Ventures、Coinbase Venturesなどが参加しています。
以前に少し書いたことがありますが、UtopiaはDAO向けのツールで、貢献者や経費支払を簡単にすることができます。
今は多くのDAO(OlympusDAO、Lido、Friends with Benefits、YGGなど)と連携して開発しています。
今後のロードマップとして、以下の新しい機能を追加すると記載されています。
会計
財務分析
人材マネジメント
トレジャリー管理
法定通貨のオン&オフランプ
サブDAO
トークンの権利確定
開発者向けAPI
6.SoftBank, GGV Lead $66M Round for Web 3 Infrastructure Firm InfStones
ブロックチェーンインフラを提供する InfStones は、$66Mを調達しました。
SoftBank Vision Fund 2とGGV Capitalがリードし、INCE Capital、10T Fund、SNZ Holding、A&T Fundが参加しています。
InfStonesは、Web 3の開発者向けに、AWSのようなノード管理プラットフォームとAPIを提供しています(現在は、BNB Chain、Cardano、Chainlink、Ethereum、Polkadot、Polygon、Solana上のノードをサポートしています)。
似たような企業だと、BlockdaemonやAlchemyがありますが、どちらも評価額は高く、2021年にそれぞれ$207M、$200Mと大型の調達をしています。
7.Crypto Payments Firm Merge Raises $9.5M From Coinbase Ventures, Alameda Research and Others
暗号通貨の決済会社Mergeが、$9.5Mドルを調達しました。
Octopus Ventures、Coinbase Ventures、Alameda Research、Hashedが参加しています。エンジェルとしてAaveの創業者、Polygon、LedgerのCEOなども参加しています。
Mergeは、クリプト系の企業が簡単に支払いをできるようにして、金融サービスとも連携できるようにすることを目指しています。また法定通貨の送金だけでなく、APIでコンプライアンスを管理する方法も提供していくそうです。
8.Announcing Our $2.5m Seed Round
クリプトのデリバティブに特化したデータ分析プラットフォーム Laevitas が、$2.5Mを調達しました。
Three Arrows Capital、DeFiance Capital、CMSなどが参加しています。
クリプトの先物やオプション市場のデータ分析を提供しています。今回の資金は、新しいツールや機能を追加していくのに利用されるそうです。
9.A16z and Coinbase execs back new crypto VC fund Canonical
Canonical CryptoというVCが、$20Mドルを調達し、ローンチしました。
創業者Anand Iyer氏の1人のファンドだそうですが、支援者には、a16zのMarc AndreessenとChris Dixon、Coinbase VenturesのShan Aggarwal、FTX VenturesのAmy Wu、Dragonfly CapitalのHaseeb Qureshi、Haystack VCのSemil Shah、などが含まれています。元々これらの投資家と知り合いだったようです。
Canonical Cryptoはプレシードやシード投資に注力して、$250,000から$500,000ドルの範囲で投資をしていく予定になっています。
すでにSolanaベースのデータインフラVybe Network、web3通信インフラNotifi、出席証明のPOAPなど、12のプロジェクトに投資してきたことも明らかにしています。
10.Binance Labs Raises $500M Fund for Web 3, Blockchain Investments
Binance Labsは、web3ファンドのために$500Mドルの調達しました。DST Global Partners、Breyer Capital、Whampoa Groupなどのファンドが参加しています。
DeFi、NFT、ゲーム、メタバース、ソーシャルなどの全領域が対象になっています。
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