クロスチェーンのブリッジ
Axie infinityのチェーンであるRoninで、$600M以上の攻撃がありました。ブリッジに関連するバリデータの鍵が複数盗まれたようです。ブリッジといえば、2月にもWormholeで$300M以上のハッキングがありました。
それでもやはりブリッジの需要は高いため、投資家からの関心も高く、資金調達が盛んに行われています。
Wormholeは現在、HOLEトークンによるプライベートセールで調達をしているそうです。この記事に書かれている条件が正しければ(もしくは変わらなければ)、$2.5Bの評価額で、$180Mほど調達予定になっています。
さらにブリッジを可能にするLayerZeroも、$1Bの評価額で、$135Mを調達しました。
このようにいくつかの主要なブリッジが誕生していますが、プロトコルによって「セキュリティが何に依存するのか」が違ってきます。
例えば、
Wormhole = PoA
LayerZero = オラクル + リレーヤー
Axelar = DPoS
がセキュアであることが前提になっています。ブリッジは攻撃された際の被害額が一桁大きいので、セキュリティは今後より議論が進みそうです。
■ Last Week in Crypto
sudoAMMが4月中にテストとローンチをする予定と発表をしました。
sudoAMMは、NFTを交換するためのAMMで、「NFTとETHのスワップ」を簡単にすることができます。流動性提供側は、Uniswap v3のように、価格レンジを指定してNFTの流動性の提供ができるようになります。
プロトコルなので、ローンチ時には誰でもプールを作成でき、フロントエンドも動かすことができます。
流動性供給者としては、以下のことができるようになります。
ETHの預けて、NFTを受け取る
NFTの預けて、ETHを受け取る
ETHとNFTを預けて、取引手数料を受け取る
ガバナンスとトークン
sudoAMMを管理するためのガバナンストークン $SUDOトークンが発行され、$XMON保有者や0xmons NFT保有者などを中心に、コミュニティに配布されるようです。ローンチ時点からオンチェーンのガバナンスに委ねられます。
注目すべきは、開発や監査を自己資金でやっていて、VCが入っていない点です。そのためトークンの割当はコミュニティに大きく分配されるはずです。以前公開されていたデモ動画はここで見ることができます。
プロのトレーダーのためのNFTマーケットプレイス『Blur』が、$11Mドルを調達しました。Paradigmがリードし、eGirl Capital、0xMaki、Andy (Fractional創業者)などが参加しています。
Blurの発表の記事では、
現在のNFTマーケットプレイスはリテール(一般ユーザ)体験を優先していて、プロのトレーダーのニーズを無視している
分散化を進めながら、NFT取引を機関投資家向けにしていく
と書かれています。
投資ラウンドにはNFT分割プロトコルのFractionalの創業者も参加しているので、NFT分割を利用した取引プラットフォーム(もしくはAMM)と勝手に想像しています。
Mt.Goxは、2010年から2014年の間にMt.Goxのアカウントを持つ人はNFTドロップの対象になると発表しました。
NFTはPolygon上で発行され、各NFTは対応するMt.Goxアカウントの最終残高が表示される予定です。NFTを受け取る際にこの機能を無効にすることができるとのことです。
Mt. Gox NFTを発表した記事では、「Mt.Gox NFTを所有することは、ビットコインの初期からいたことを証明することができる」と記載されています。
面白い利用としては、「他のプロジェクトが、Mt.Gox被害者にエアドロップする」ことも簡単にできるようになります。NFT保有者のアドレスに配布するだけで良いためです。
4.BNB Chain to launch application-specific sidechains to reduce network strain
Binanceが作ったBNB Chainが、アプリケーションに特化したサイドチェーンを導入すると発表しました。
『BNB Chain Application Sidechain(BAS)』という名前で、開発者がBNB Chainからデータや資産を移植できるようになります。
ソーシャルメディア専用のチェーン、ゲーム専用チェーン、というように、アプリ特化のチェーンが利用できるようになる点が特徴です。
似た例でいうと、Axie Infinityのゲームだけに特化したEthereumのサイドチェーンRoninがあります。
5.Delphi Digital Leads $5M Seed Round for Money Market Protocol ZkLend
ZkLendが、$5Mを調達しました。Delphi Digitalがリードで、Three Arrows Capital、StarkWare、Alameda Researchなどが参加しています。
ZkLendのプロダクト
ZkLendは、『StarkNet』上のレンディング・プロトコルで、2つのプロダクトがあります。
『Artemis』は、パーミッションレスのレンディングプロトコルで、2022年の3Qにローンチ予定になっています。AaveやCompoundなどと同様に、ユーザーは利回りを得るために資産を預け、それを担保に借りることもできます。
『Apollo』は、KYCやAMLのコンプライアンスを必要とする機関投資家や企業ユーザー向けの製品です。2023年初めにローンチ予定になっています。
またZENDトークンが導入され、Artemisで貸し借りするユーザーは、トークンを獲得することができます。ZENDをステークすると、ガバナンスの権利と、プロトコルの利子収入の一部を得ることができます。
トークンの割当は以下のようになっています。
StarkNetについて
StarkNetについては、過去に書いたことがありますが、Starware社が開発しているEthereumのL2です。zkロールアップを使って、複数のトランザクションを1つに束ねて、Ethereum上に書き込むことで、処理を速くし、手数料を削減します。
StarkWareはEVMをサポートしていないので、新しい言語Cairoを使う必要がありますが、より柔軟で便利な言語になっていて、StarkNetのエコシステムが拡大しているのを感じています。
6.NEAR Native Money Market Burrow Raises $5M from Dragonfly, ParaFi, and Jump
NEAR上のレンディングプロトコルBurrowは、$5Mドルを調達しました。
投資家には、Dragonfly Capital、ParaFi Capital、Jump Crypto、Lemniscapなどが参加しています。
ユーザーはNEAR、DAI、USDT、USDC、ETH、wBTCなどを預けて利息を得ることができ、借り入れることもできます。
このローンチに伴い、ネイティブトークンであるBRRRトークンを発行し、供給総量の6%をユーザに配布するプログラムも開始されました。
BRRRトークンモデル
2ヶ月後には、veTokenのモデルを開始し、BRRRをステークするとxBRRRを受け取ることができ、このxBRRRでDAOガバナンス提案に投票することができるようにします。さらにxBRRRをステークすることで、貸し出しの報酬が増加するメリットもつける予定です。
7.Polygon unveils identity service leveraging zero-knowledge proofs
Polygonが、『Polygon ID』というIDサービスを開始しました。
ゼロ知識証明を使ったIDプロトコル『iden3』を活用し、ブロックチェーン上で動作するアプリが、機密情報を非公開にしたままユーザーデータを認証できるようになるそうです。
KYCや、規制、カスタムアプリで利用されることが期待されます。
8.CoW Protocol raises $23 million and spins out from Gnosis DAO
CowSwapの裏で利用されているCoWプロトコルは、$23Mドルを調達しました。
Blockchain Capital、Cherry Ventures、Ethereal Venturesなど投資家からUSDCで$15Mドルを調達し、残りの$8Mはコミュニティからの調達になっています。
そしてCoWプロトコルは、GnosisDAOからスピンアウトして、DAOを立ち上げています。今後は、Polygonなどの別のEVM互換のチェーンを追加する予定になっています。
9.DeFiance Capital, Delphi Digital Co-Lead $6M Round for ‘Crypto Raiders’ NFT Game
Polygon上のNFTロールプレイングゲームのCrypto Raidersは、$6Mを調達しました。
DeFiance CapitalとDelphi Digitalが共同リードで、GuildFi、Merit Circle、Yield Guild Gamesも参加しています。
ダンジョンに入って、敵と戦ったり、プレイヤー同士で戦うことができます。また装備アイテムを売ることができるオークションハウスが、数カ月以内にローンチされる予定です。
10.Hedera, Newly EVM-Compatible, Woos DeFi With $155M HBAR Fund
Hederaの開発元であるHBAR財団は、$155Mドルの「Crypto Economy Fund」を発表しました。DeFiプロジェクトにフォーカスするファンドになっています。
Hederaには最近EVM互換が追加されましたが、L1がEVM互換性を持たせてインセンティブプログラムを発表するというのは、TVLを伸ばす常套手段となっています。
もともとHederaはエンタープライズ向けにやっていましたが、今後は他のL1同様に一般ユーザに力をいれていくようです。
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