■ Last Week in Crypto
先週盛り上がったトピックの1つが、PartyBidのローンチと、それを使った初のオークション入札です。
PartyBidは、グループで資金を出し合い、一緒にNFTオークションに入札することができるプロダクトです。誰でもPartyを作成したり、参加してFoundationやZoraのNFTオークションで入札をすることができます。
このPartyBidが先週ローンチしたのですが、さっそくCryptoPunksのNFTに対して、478人が共同で入札し、1218 ETH ($3.3M)が集まり、落札をしました。
なぜ大事か
そもそも共同での入札がなぜ大切かという話ですが、通常のオークションでは、勝者は一人のみなので、NFTプロジェクトに貢献して価値を高めてくれる支援コミュニティよりも、クジラの方が有利になってしまいます。
これに対応するために、共同で投資・保有するDAOを簡単にさっと作れるようにしようとしたのがPartyBidです。
PartyDAOの成り立ち
始まりは、Mirror創業者のデニスが案をツイートしたことをきっかけに、Anish Agnihotri氏がプロトタイプを作成しました。そしてこのプロトタイプで、見事9.7ETHでオークションを落札しました。
その後すぐに、PartyBidをしっかりとしたプロダクトにすることを目指して、Mirror上でのクラウドファンディングを通じてPartyDAOが形成されました。最初のアイデアからローンチまでに3ヶ月という期間です。
トークンとコミュニティ
上でも書いたように、あるほしいNFTがあったときに、PartyBid上で自分でPartyを作るor 参加することができ、共同で入札ができます。
そしてオークションが終了し、作った(または参加した)PartyBidがNFTを落札できた際には、参加者は金額に応じてトークンをうけとります。これらのトークンは、Fractionalのコントラクトを使ったNFTの分割所有権となります。
ちなみに上のCryptoPunksの例では、$DEADという名前の分割所有権のトークンが参加者に配られ、保有者だけが入れるdiscordができるなど、一種のコミュニティまたはDAOのようになっています。
DAOとトークンは、資本をあつめて行動を調整することができるモデルですが、PartyBidによって、この作成と調整が簡単になると言えます。
PartyDAOへの報酬
そしてオークションの落札に成功した場合のみ、5%の手数料が請求されます。この手数料は、将来の開発資金としてPartyDAOのマルチシグのウォレットに送られます。しかし初期のうちはなるべくクリエーターに寄付していく予定のようです。
ローンチの入札は特に大きな盛り上がりとなっていたため、将来的には『PartyBid 対 PartyBid』というグループ同士の入札競争も見られるかもしれません。
しかし分割所有するFractionalは、将来的にセキュリティ(証券)とみなされる可能性もあり、扱いが難しくなる場合もあると思っています。
2.Ethereum Burns 36% of New Coin Issuance Over 2 Days - CoinDesk
Ethereumのアップグレード(London)が予定通りに実施されました。大きな問題もなく稼働しています。
(このアップグレードの目玉であるEIP1559については、Bspeak! 2021年3月1日号もご覧ください)。
その結果、手数料バーンが導入され、最初の24時間で4600ETH($12Mドル)相当がバーンされました。この分は、今までマイナーの収益、つまり売り圧となっていた分ですが、それが供給から除外されるということで、市場もポジティブに反応しているようです。
現時点でどのくらいバーンされているかや、どのコントラクトがバーンに貢献しているかは ultrasound.money で見ることができます。
ブロックチェーン分析のNansenをみると、まだEIP1559のトランザクションは5-10%程度となっています。
多くのウォレットが対応するにつれて徐々に割合が高くなっていくかと思います。
メタマスクも、EIP1559互換のアップデートがまもなく利用可能と発表しましたが、これまでのように手数料をユーザが選ぶのではなく、「レートだけ表示されてあとはチップを乗せるかどうかと選ぶだけ」という使い勝手になると思います。
DeFiのデリバティブ取引プラットフォームのdYdXが、ガバナンストークンを発表しました。ガバナンス以外には、取引所トークンのように、取引手数料の割引にも使われます。
トークンの配分は以下のようになっています。
50% - コミュニティ
27.73% - 初期投資家
15.27% - 創業者、従業員、アドバイザー
7% - 将来の従業員
一番の上のコミュニティ分は、いろいろな方法で配布していくことになっていますが、25%はトレード報酬で今後5年間にわたって配布されています。
さらに7.5%という大きな割合が、過去のdYdXユーザーに割当てられて、エアドロップで配布されます。
そういえばと思って見てみたのですが、たまたま1年前にdYdXのトークン発行についても触れていました。なぜトークンの一部をこのような方法で配布するのか、という点は、今でも変わっていないので、ぜひ読んでみてください。
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4.Sense Finance Raises $5.2m to add a new dimension to DeFi
近々ローンチ予定のプロトコル Sense は、Dragonfly Capital、Robot Ventures、Bain Capitalなどから$5.2Mドルを調達しました。
もともとチームは、Maker Foundationで、Splitというサブプロジェクトをやっていた人たちのようですが、そこからスピンオフしたようです。
Senseは、トークンを元本の価値を持つトークンと、利回りを受けるトークンとに分割することで、ユーザが固定金利での貸し借りや、将来の利回りを取引できるようにします。
以前かきましたが、このような用途ごとにトークンを分割する手法が増えてきていて、TempusやTranchess Protocol などが最近でてきています。
5.Cent, the platform that Jack Dorsey used to sell his first tweet as an NFT, raises $3M
Centが$3Mドルの資金調達をしました。元ディズニー会長のJeffrey Katzenberg、Zynga創業者のMark Pincusなどの投資家が支援しています。
Centは、ユーザーが良い投稿やコメントに対して、報酬を提供し合うことができるソーシャルメディアとして2017年に設立されました。「いいね」がつくと、1セントに相当する金額が支払われるようなものです。
しかしユーザがあまり集まらなかったこともあり、2020年後半にValuablesの開発にシフトしました。
Valuablesでは、TwitterのツイートをNFTにすることができます。自分のツイートでなくても、NFTにするオファーを出すことができ、ツイートの投稿者がオファーを受け入れると、紐づくNFTが発行されます。
2021年3月にはTwitter社のCEOであるジャック・ドーシーが自身のツイートをNFTにしたことで話題になりました。結果そのNFTは$2.9Mドルで買われ、収益はCOVID19救済のためのチャリティファンドに寄付されました。
6.Indexing protocol Nakji Network raises $8.8 million in SAFT funding
ブロックチェーンデータを整理するインデックス・プロトコルの Nakji Network は、$8.8Mドルを調達しました。
SAFTによる調達で、Animoca Brands、CMS Holdings、One Blockなどが参加しています。
Nakjiは、オンチェーンのデータを照会するためのインデックスプロトコルで、The Graphに似ているとも言えます。ブロックチェーン上のデータを整理して、要求があった際にそのデータを提供します。
Nakjiプロトコルはクローズドでサービス提供されているそうですが、2022年の第1四半期には一般公開される予定になっています。
7.Zabo is being acquired by Coinbase!
Coinbaseが、Zaboの買収を発表しました。金額は明かされていません。
Zaboは、フィンテック企業や金融サービス企業が、クリプトの取引所やウォレットに接続できるようにするAPIやソフトウェアを提供しています。
例えばフィンテックのアプリが利用することで、アプリから取引所やウォレットに接続することができます。残高や取引履歴を追跡することができるため、税金の計算やポートフォリオ管理などのサービス提供をすることができます。
Zaboはこれまでに、Moonshots Capital、Blockchange Ventures、Digital Currency Groupなどの投資家から$3.5Mドルを調達していましたが、これらのVCにとっては Exit ととなります。
Coinbaseによる企業買収が増えていますが、このようなExit先があることで、ベンチャー投資も盛んになるため、米国エコシステムでのCoinbaseの役割は大きいと思います。
8.DeFi platform Krystal raises $6.6 million in seed funding
ZapperやZerionのように、資産を管理したりDeFiプロトコルに接続できるポータルの Krystal が、$6.6Mドルを調達しました。
このラウンドは、Hashedがリードし、Signum Capital、BlockTower、Crypto.com、Arrington Capital、DeFi Alliance、Coin98などが参加しました。エクイティでの調達になっています。
KrystalはKyber Networkのインキュベートプロジェクトで、現在UniswapやSushiSwapなどのDeFiプロトコルでトークンを交換したり、CompoundやAaveなどのプラットフォームで利回りを得たりすることができます。
今はEthereum、Binance Smart Chain、Polygonのネットワークをサポートしていて、今後SolanaやPolkadotなど、さらに多くのプロトコルやブロックチェーンを統合する予定です。また新機能として、NFTへのアクセスやステーキングを提供する予定だそうです。
9.Coinbase Ventures, Gemini join $6 million funding for Onramp Invest
Onramp Investは、$6Mドルを調達しました。このラウンドには、Coinbase Ventures、Gemini Frontier Fund、Galaxy Digitalなどの投資家が参加しました。
金融アドバイザー向けのクリプト管理ツールで、GeminiとPrime Trustを通じてサービスを提供していますが、今後ブローカー・ディーラー登録を検討する予定です。
またOnramp Academyを通じて、財務アドバイザーとその顧客向けの教育リソースも提供しています。
10.Steve Cohen's Point72 makes first crypto venture investment, leads Messari's $21M raise
運用額221億ドルのヘッジファンドのベンチャー部門であるPoint72 Venturesは、はじめてクリプト市場へ投資をしました。
投資先は、クリプトデータ&メディアのMessariのシリーズAラウンドです。その他の投資家には、Alameda Capital、Nascent、CMS Holdingsなどが参加しています。
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