Bspeak!200号
今週分で200号となりました。12月には4周年となり、5年目に突入します。それに合わせて何か企画ができそうなので、またこちらでお伝えします。いつも読んでくださってありがとうございます☕
■ Last Week in Crypto
新しいNFTの共同投資プロトコル『Koop』が、1confirmation、Polychain、SequoiaのGPや、DeFi Alliance、Volt Capitalなどのパートナーからプレシードラウンドを調達しました。
Koopは、NFTへの共同投資を簡単にできるようにするプロトコルです。NFTへの共同投資といえば、PartyBidについて以前書いていますが、Koopはアプローチが異なります。
要約を書くと、
あるNFTに共同投資するパーティに参加するには、そのパーティにETHを払って参加するだけ
メンバーが加わったり抜けたりして、パーティ全体に貯まってるETHの量が変わると、Koopのコントラクトがメンバーの出資額を自動的に調整する
これによって、
パーティーが新しいメンバーを、いつでも受け入れることができる
既存のメンバーが、自分の持ち分の買い手を見つける必要なく、自由に離脱できる
という利点があります。PartyBidやFractionalのようにERC20トークンを使った分割処理だと、上記2つが難しくなります。
最初のユースケース
まずは、Chromeエクステンションが出る予定になっています。KoopのChromeエクステンションを入れると、OpenSeaのページで好きなNFTに対して共同購入(&再度リスト)するパーティを作り、友達や知らない人と一緒に投資することができます。このパーティ作成時には、NFT保有後にいくらで再リストするかという価格も選択します。
またこのとき、パーティを『プライベート』にするか『パブリック』にするかを選ぶことができます。
『プライベート』はリンクを使って限られた参加者だけが共有できるパーティーで、特定のウォレットアドレスをホワイトリストに登録することもできるようになります。『パブリック』は誰でも参加できるパーティとなります。
手数料
共同購入サービスの対価として、パーティを結成して購入し、かつそれがさらに売れたときに、Koopが2%の手数料を得るモデルとなっています。あくまでNFTの再販が成功した場合にのみ手数料が発生します。
プロトコルの分散化とトークン
プロトコルの分散化を段階的に進め、クリエイター主導型の DAO になるために、トークンが登場する予定になっています。利用する人に配布できるような計画をしているようです。
2.A Guide to Designing Effective NFT Launches
有名なクリプトVCであるParadigmが、『効果的なNFTローンチを設計するためのガイド』という記事を出しました。かなり長くなっていますが、一読の価値があります。
Lootなどの実例をもとに、NFTのローンチの設計が不十分だと、ユーザーにとって良い結果にならないことを指摘しています。
NFTローンチのアドバイスをまとめると、
ランダムなメタデータを使ったNFTの場合、公平さが最も重要なので、不正されないランダム生成を使うべき。また購入し決済する前にNFTのメタデータを明らかにしない。
早いもの勝ち、ガス代によるレースのようなローンチの仕方は、それに参加する人もしない人も、ユーザを傷付けるので、抽選制やバッチオークションを使用すると良い。
費用対効果を考え、オンチェーンでやってるプロセスを、オフチェーンでできないか考えるべき。入札、精算、ローンチのバッチ処理など。
などとなります。
3.Visa partners with artist Micah Johnson to support the creator economy
Visaが、アーティストを支援するためのNFT支援プログラムをローンチすると発表しました。元メジャーリーグ選手で、NFTアーティストに転身したMicah Johnsonと提携し、NFTを使って作品を販売したいアーティストを支援するプログラムを構築すると記載されています。
応募プロセスを通じて少人数のクリエイターを選び、暗号通貨やブロックチェーン業界について学べるよう支援していくそうです。
4.Dapper Labs Backs $3.5M Raise for Crypto Social Media Startup Yup
キュレーターのソーシャルメディア『Yup』が、$3.5Mを調達しました。Distributed Global、Dapper Labsなどの企業や、エンジェル投資家(MirrorやBitCloutの創業者など)が参加しています。
Yupは、ユーザーがコンテンツをキュレーションするという点でPinterestに少し似ています。具体的には、Yupのブラウザエクステンションを入れると、TwitterやFacebookの投稿の横に小さなボタンが表示され、ソーシャルメディアの投稿に、評価を付けることができます。NFTのキュレーションリストを作って紹介することもできます。
またキュレーションをするユーザは、100点満点の「influence」というスコアがあり、これが高いとより影響力のある評価をすることができます。そして評価すると、後にYUPトークンに変換されます。
つまり、みんながまだ知らないようなコンテンツを評価すると、そのコンテンツがバズった際には、YUPトークンで報酬をうけることができるというシステムになっています。
クリプト×ソーシャルメディア
分散型ソーシャルプラットフォームに関していうと、最近の例ではBitCloutが有名です。またSolcialが12月にローンチ予定になっています。まだクリプト×ソーシャルメディアで成功した例はほとんどありませんが、そのうちどれかが利用されるだろうと思います。
Yupの場合は、アプリだけでなく、プロトコルも開発しています。Facebookなど既存のソーシャルメディアは、広告が収益源のためどうしても話題性だけがあるコンテンツの量が増えることになってしまいますが、Yupの解決策としては、ユーザーが見たいものと見たくないものを集団で決定できる仕組みとなっています。
5.FIAT DAO Raises $2M Seed Round to Empower DeFi Fixed Income
FIAT DAOが $2Mを調達しました。ParaFi CapitalやMechanism Capitalに加えて、エンジェル投資家が参加しています。
FIATは、Fixed Income Asset Token の略です。「DeFiでFixed incomeを実現するために、ボンド(債券)にレバレッジとセカンダリー市場の流動性を提供する」そうですが、詳細はまだ出ていません。今後数週間のうちに、
FIAT DAOホワイトペーパー
FIAT DAO トークン($FDT)の設計
FIAT DAOのローンチロードマップ
が公開される予定になっています。そして2021年第4四半期後半のリリースを予定し、$FIATと$FDTというトークンを計画しているそうです。
DAOからのスピンアウト
ちなみにこのFIATというプロジェクトは、BarnBridgeからスピンアウトしたプロジェクトです。似たような例でいうと、Synthetixが、LyraやKwentaのようなプロジェクトを手掛けているのと同じといえると思います。
またYearnにも、「YFI combinator」というY Combinatorを文字ったインキュベーター機能ができていました。そこで生まれた最初のプロジェクトが、Tesseractで、先週公開されています。Polygon上でYearnと同様のイールド・アグリゲーターになっていますが、1月1日までYFI Combinatorの審査期間になっていて、その後TesseractをYearnエコシステムに正式に統合するかどうかの決定がされる予定になっています。
6.Polkadot Is Ready for Parachain Launch, Auction Dates Proposed
Polkadotネットワークに接続するプロジェクトを選ぶプロセス「パラチェーン・オークション」の予定がついに発表されました。第1回目は11月11日に開始される予定になっています。
オークションについて初めて聞いた方は、1年ほど前の記事ですが、ぜひ読んでみてください。
Polkadotの「DOTトークン」はどう価値を獲得していくのか
この構造が初めてPolkadotのホワイトペーパーで提案されてから、ほぼちょうど4年が経ちました(構想からほぼ5年だそうです)。
1回目のバッチ
姉妹ネットワークであるKusamaのときと同じように、1回のオークションは7日間になっていて、終了時刻は、7日目にオンチェーンで検証可能なランダム関数(VRF)を使って決定されます。
最初バッチでは、11月11日から毎週オークションが実施され、1ずつ選ばれます。最初のバッチが終わる12月15日には、合計で5プロジェクトが選ばれ、そこで同時にPolkadotに接続されます。
2回目のバッチ
その後、2回目のバッチとして、12月23日からは、2週間ごとにオークションが実施されます。つまり1回目、2回目のバッチをあわせると合計で11回のオークションが実施される予定になっています。
最初の3ヶ月間は、パラチェーンの数を控えめにする必要があると考えているそうなので、その後の予定はこの1,2回のバッチが終わってから、ネットワークの稼働状況を見て、予定されると思います。
7.Arbitrum Nitro: Sneak Preview.
『Arbitrum Nitro』というArbitrumの次のバージョンが発表されました。WASMやGethのような技術をベースに作られていて、EVMとの互換性が高く、現在の技術よりも桁違いに速くなるそうです。タイムラインについては、今後数週間で詳細が出される予定になっています。
Hop Protocolなどをおかげで、L1L2間の資金のやり取りは非常にスムーズになっているので、今年の後半は一気にArbitrumやOptimismといったL2の利用が進んでいます。Hopや、L2のArbitrumやOptimismを触ったことがない方は、今のうちに試しておくと良いと思います。
8.Ethereum-compatible developer platform Aurora raises $12 million
NEARプロトコルの上にEthereum互換の開発プラットフォームを構築しているAuroraが、$12Mドルを調達しました。
エクイティによる調達で、Pantera CapitalとElectric Capitalが共同でリードし、Zero Knowledge Validation、Global Coin Ventures、imToken、Chronicleなど、全体で100人以上の投資家が参加したそうです。
Auroraは、NEARチェーン上で動作するEthereum互換の開発者向けプラットフォームで、EthereumのスマートコントラクトをNEAR上で使用することができます。NEARチームから7月にスピンオフして独立したチームとして開発されていて、Ethereum<>Auroraの間のブリッジも構築しています。
トークン
今後、分散型のガバナンスに移行するため、独自のトークンをローンチしIDOで配布する予定になっています。
トークンはあるといっても、Auroraではトランザクション手数料はETHのまま利用することができます。
ユーザー側から見ると、トランザクション手数料はETHを支払うだけですが、裏側で使用されるのはNEARトークンになっていて、代理となるノード(RPCノード)が、ユーザーとNEARブロックチェーンの間のリレー役として機能します。
9.More than 900,000 people signed up for Coinbase’s NFT platform waitlist
CoinbaseがNFTプラットフォームを出すと発表しました。ウェイティングリストに多くの人が登録しようとしたため、一時期アクセスできなくなるほどだったそうです。
すでに、10万人ほどがウェイティングリストに申し込みしていて、現在は米国在住の18歳以上の人だけですが、将来的にさらに多くの国を追加する予定です。
このCoinbaseのNFTプラットフォームでは、ユーザーがNFTを発行でき、展示させたり、新しいNFTを見つけることができるようになります。ユーザ自身でもってるウォレットが利用できるそうで、KYCは必要ない予定だそうです。
10.Decentralized exchange Futureswap raises $12 million
無期限先物スワップを取引できるDEXのFutureswapは、新たに$12Mドルを調達しました。
Ribbit Capital、Framework Ventures、True Ventures、Placeholderが共同でリード投資家となり、$2Mずつ出し合ったそうです。
トークンによる調達となっていますが、すでにFutureswapがもっているFSTというトークンによる調達かと思います。
Futureswapは最近、L2のArbitrumで利用できるメインネット版も最近公開されていて、dydxやPerpなどとの競合と言えます。
11.An Agenda for the Future of the Internet
a16zが、第3世代のインターネットのための政策目標として「How to Win the Future」(PDFファイル)を発表しました。政府、学術界、民間企業のリーダーに向けての資料ということで、業界を俯瞰するのによくまとめられた資料になっています。
この数週間でa16zは、インフラ法案の一部を指摘するレターを提出したり、ステーブルコインの役割をまとめた政策フレームワークを発表するなど、ロビイングを活発におこなっています。
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