2021年とBitcoin
2021年になりました。Bitcoin価格は$32,000ドルを超え、過去最高を記録しています。
今年は機関投資家の参入が増えて、放物線的な上昇が見られると思っていますが、その後似たような軌道を見ることはあまりできなくなるかもしれません。これは機関投資家や大手企業が保有が進み、ボラティリティが少なくなる可能性があるからです。
■ Last Week in Crypto
分散型金融(DeFi)でオプション取引ができるプラットフォーム Opynは、version2をリリースし、Gamma protocol という新しいプロトコルを発表しました。資本効率と流動性をあげることが目的です。
過去に書きましたが、オプションは、あらかじめ決められた価格で、特定の日までに資産を売買する権利を売り買いすることができます。価格下落に対する保護(プロテクション)として使うこともできます。
Opynの初期バージョンでは、オプションを発行して販売するためには、権利行使価格の100%を担保とする必要がありましたが、今回のGamma Protocolでは、1つのトランザクション内でバーンされるのであれば、担保なしでオプションを発行できる機能がついています。
1つのトランザクション内でローンを返せるのであれば無担保で一瞬ローンを借りれるという、フラッシュローンに似ています。
また、満期時に行使されていない契約は自動で行使されるようにもなりました。また利回りの高いその他の資産をオプションの担保として使用できる機能も追加されています。
Opynは、2020年8月に脆弱性を突かれ、影響を受けたユーザーに補償を行っています。他のDeFiプロトコル同様に、緊急停止スイッチを用意されていますが、このスイッチの制御であったり、アップグレードの意思決定であったりを、今後分散型ガバナンスに移行していく予定になっていて、ガバナンストークンも発行するようです。
2.Thiel Foundation Announces 2020 Thiel Fellows | Business Wire
ピーター・ティールの財団が、2020年のティール・フェローの受賞者を発表しました。このフェローシップという奨学金プログラムは、才能ある22歳以下の若い人に対して(学生の場合は中退することを条件に)事業を立ち上げることを支援する制度です。
選ばれた人は、2年間で10万ドル(約1000万)を受け取り、創業者、投資家、科学者などからアドバイスを受けることが出来ます。クリプト界隈でも過去に受賞者がいて、有名なのは、Ethereum創始者のVitalik Buterin氏が2014年に受賞し、2018年には Polkadotの Robert Habermeier氏が受賞しています。
今年は24人が選ばれていますが、クリプト界隈では、
Immutable(Gods Unchainedなどブロックチェーンゲームの開発元) の創業者Robbie Ferguson氏
Dark Forest (zkSNARKs を使ったゲーム)のBrian Gu氏
が選ばれています。また日本からは、HyperiaのKenta Iwasaki氏(元PerlinのCTO)が選ばれています。Hyperiaは、「再生可能エネルギーを、家庭や企業に分配し、追跡/分析する分散型仮想発電所」と紹介されていて、こちらもブロックチェーンを使ったプロジェクトになっています。
ちなみに上記の Immutable は、ImmutableXというL2を使ったNFT取引プラットフォームを開発していて、これが今年NFTやゲーム側に大きくポジティブな影響を与えそうな気がしています。すでにIlluviumというチームが、ImmutableXを統合したNFT×DeFiのゲームを開発していて、ちょうど先週アナウンスがありました。
Illuviumのユーザは、NFTの発行と交換をGasコストなしで実行でき、かつインスタントに実施できることができます。かつノンカストディアル(どこかに預ける必要なし)に実行できます。
ゲーム自体は、RPG型の探索ゲームで、SFの世界を旅をしながら、島の人々と戦っていきます。
トークン発行を2021年1Qに控えていますが、どのようなトークンモデルになるのか期待をしています。ゲーム内の手数料は、ステークして流動性を提供したトークンホルダーに配布されることになっています。詳細が更新された際にまた書きたいと思っています。
3.Introducing the Collection Manager
OpenSeaから、NFTを無料で作成&販売する方法(Collection Manager)がローンチされしました。
これまでもコードを書くことなしにNFTを発行できるツールはすでにいくつか存在していましたが、ユーザがGasコストを支払う必要がありました。例えばクリエーターが、月に10個のNFTを作成する場合、作成するGasコストだけで、$100ドル以上かかってしまうなんてこともあります。
今回のCollection Managerを使うと、ガス代を払うことなく、NFTを作成することができます。
どうしてこんなことができるのかというと、最初の購入や送信の申し込みされるまでは、チェーン上で発行/転送されないようにしているためです。
チェーン上での発行プロセスから、NFTのメタデータを切り離し、OpenSeaのAPIがメタデータ(作成者やNFTの情報)だけを返し、表示します。こうすることで、ガス代を前払いすることなくNFTを作ることができます。ちなみにこのやり方は lazy minting と名付けられています。
NFTに取り組むプロジェクトもクリエーターも増えていて、@pranksyNFT は1000 ETH (約$650,000)の総収益を上げています。またOpenSeaについては、Bspeak!2020年5月11月号もぜひご覧ください。
4.Yearn.Finance founder Andre Cronje releases new DeFi protocol yCredit
YearnのAndre Cronje氏は、yCreditというプロトコルをリリースしました。
ユーザがERC20トークンをデポジットすると、その金額の99.5%相当のyCREDITトークンという形でクレジットラインとして受け取ることができます。
例えば、ユーザーが100ドル相当のETHを預金した場合、99.5ドル相当のyCREDITを受け取ることになります。100ドル相当のyCREDITをバーンすると、ETHを取り戻すことができます。Andreの出したこれまでのプロトコル同様に、このプロトコルはまだ実験的で、悪用される可能性があるとブログに記載されています。
yCreditでは、サポートされているERC-20トークンを借りたり、購入したりすることができます。そしてyCreditでの入金、取引、レンディング、ローン返却のたびに 0.5% の手数料が徴収されます。徴収された手数料は、コントラクトによってyCREDITを保有しているユーザーに分配されます。
5.2020 saw over $3 billion in crypto venture funding and over $690M in M&A activity
2020年も終わり1年の振り返りをする記事が増えていますが、こちらは資金調達と買収の金額をまとめたレポートです。
2020年にはクリプトのスタートアップは合計で、774件、31億ドル($3.1B)以上の資金調達が行われました。またM&Aは、83件のディールが成立し、合計は6億9,000万ドル($691M)以上となっています。これは過去最高のM&A取引量となっていますが、内訳をみると、CoinMarketCap、Blockfolio、Tagomiの買収が約96%を占めているため、大型の買収劇が多かった年といえるでしょう。
パンデミックの影響で、1Q, 2Qは減少している中で、これだけの金額が回っているというのは、界隈の成長度合い/ダイナミックさをよく表しています。
6.Announcing COMBO Token Launch.
先週書いたFurucomboですが、トークンの配布は、1月12日からBalancerのLiquidity Bootstrap Pool(LBP)で行うことを発表しました。DEXを使ったオファリング(IDO)では、このLBPが現状もっとも良い公平な分配方法と思います。
LBPは、Balancerを使い、ペアの比率(ウエイト)が時間とともに変化していくプールのことで、過去にPerpetual ProtocolがPERPトークン配布のときに利用しています。
PERPとUSDCのペアのウエイトが時間とともに変化するため、PERP価格が徐々に下がっていきます。価格が徐々に下がっていく、かつ、初期はスリッページが大きくなるため、開始直後に一気に購入する気を抑えることができる → 買い占めやGas価格競争を抑えられる、という方法になります。実際にPerpetual Protocolのときは、参加者1355アドレスに対して価格の推移は、
初値 1.60 USDC
最高値 2.30 USDC - 最低値 1.058 USDC
最終価格: 2.076 USDC
となり、DEXで行われたトークン配布の方法の中ではもっともボラティリティが低く、落ち着いて完了しています。
トークン配布でいうと、過去に書いているMaskがITO(Initial Twitter Offering)の予告がありました。最初にITOするプロジェクトを予想するキャンペーンが行われているので、他のプロジェクトがITOでトークンを配布する可能性がありますが、順当にいけばMask自身が実施すると思っています。また将来は、NFTやソーシャルトークンなどが相性良いはずなので、こちらも楽しみです。
7.Polkadot Surges After Binance Home Page Listing, $10M Endorsement
年が上げてAvalanche, NEAR, polkadotなどのL1プロジェクトのトークン価格が大きく上がりました。中でもDOTは、BinanceがPolkadotのプロジェクトを支援するための$10Mドルのファンドを発表したことからポジティブな影響を受けているようです。
色々と調べていると、Polkadotで何かを作ろうとするプロジェクトが増えて来ています。またローンチ時期が早かったCosmosはそこそこ増えてきていますが、Solana, Avalanche, NEARはまだ新興で、相対的にはまだプロジェクト数が増えていません。これら多くのL1にとって、2021年は大事な年になると思います。
8.Japanese Tech Giant Cleared to Launch First Regulated and Publicly Available JPY-Pegged Stablecoin
日本企業GMOインターネットが、ドルペッグコイン(ZUSD)と円ペッグコイン(GYEN)というステーブルコインを発表しました。ニューヨーク金融サービス局(NYDFS)が、GMOにステーブルコインを発行する許可を出しています。
NYDFSによって承認されたステーブルコインの中で、USDではないステーブルコインは、GYENが初めてです。
EthereumベースとあるのでERC20トークンかと思いますが、今月にもローンチされる予定になっています。しかし現状は日本では利用できないようです。
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#154 Bspeak! 2020年11月30日号 DeFiプロトコル初の合併/ ETH2の目標達成
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以降もSubstackページからご覧ください。