ETH San Franciscoファイナリスト(後半)
先週分の続きですが、Ethereum San Francisco Hackathonのファイナリストに選ばれた13プロジェクトのうち、残り8つについて書いていきます。
ENSのサブドメインをつかった組織管理ツールです。誰がどのサブドメイン配下に所属しているかを設定でき、そのサブドメインに基づいてファイル共有をすることができます。
偽造防止ツールです。「Invisibleシグネチャー」という人間の目には見えないコードを画像に埋め込み、スマートフォンのカメラで検出することができます。
NFT画像にこれを埋め込むことで、UNICアプリでスキャンして、本物であることを確かめることができます。
また物理的なモノにこのinvisibleシグネチャを埋め込んで、スキャンして、本物かどうかを確かめることもできます。
クリプトノマドが世界中を旅するのを助けるツールで、世界中の宿泊場所を見つけて支払うことができます。PolygonIDやzkバッジを使って、過去の履歴やウォレットを公開することなく、評価の高いゲストであることを証明でき、匿名で予約したりできます。
非エンジニアのためのツールです。コードを書かずに、スワップ機能をのせたり、オンチェーンデータを参照できたりし、それらを「ショートカット」としてひとページにまとめることができます。
ブラインドNFTオークションです。オークションの勝者は、検証可能遅延関数(VDF)を解くことによって明らかにされる、という方法をとることで、既存のNFTオークションよりも公平で、コストを低くしています。
開発者や企業が、「期限付き」のブロックチェーンを立ち上げることのできるツールです。
ただ普通のブロックチェーンを立ち上げるのではなく、「期限」を設定することができ、期限が切れたら自動で削除され、コストやストレージ容量を節約することができます。
オンチェーン(DeFi & NFT)のユーザを、アバターで可視化するものです。
リアルタイムでユーザのパターンを見たり、ユーザを増やすためのインサイトを得ることが目的のようです。
「AIが生成したコンテンツ」であることを証明するものです。
コンテンツ生成機械学習モデルのためのZK証明の生成して、AIが生成したコンテンツであることをZKML(zk機械学習)で証明します。
最近クリエイターがAIアートと競争していますが、ZK Section 9を使えば、自分の作品を模倣した競合と差別化することができます。
■ Last Week in Crypto
1.nftperp raised $1.7m for its Seed Round
NFTの無期限先物(パーペチュアル)を取引するプラットフォーム nftperp は、$17Mドルの評価額で$1.7Mドルを調達しました。
Dialectic、Maven 11、Flow Venturesなどが参加しています。
nftperpでは、ユーザーはETHを担保にして、NFTのフロア価格に対してロング / ショートポジションを取ることができます。原資産であるNFTのフロアプライスを追跡するだけなので、NFTの担保は必要ありません。
ここでの利点は、
NFTの価格に対してショートできる
高いNFTを1個単位で買わずに、ポジションをもつことができる
となります。
ショートができるので、ヘッジにも使うことができます。
例えばBAYCのNFTを持っているとします。フロア価格は下がると思っているのに、大切なNFTだから売りたくない、としましょう。そこでBAYCに対するショートポジションを持つことで、フロア価格が下がってもヘッジすることができます。
仕組み
元々Perpetual Protocolが作ったバーチャルAMM(vAMM)を使っていて、すべての担保をスマートコントラクトで保持し、あるトレーダーの損失は別のトレーダーの利益となります。このvAMMのモデルでは、流動性プールやオーダーブックはありません。
フロア価格は、OpenSea、LooksRare、Sudoswap、Blur、X2Y2から参照し、異常値やウォッシュトレードをフィルターして、フロア価格インデックス的なものを作成しています。
よくある取引所のパーペチュアルと同様に、ファンディングレートもあります。
現在Aribturm上でテストトークンを使って試すことができます。
2.Roboto Games Closes $15m in Funding
新しいゲームスタジオ Roboto Games は、シリーズAで$15Mドルを調達しました。
a16zがリードで、Ancient8、Animoca Brands、Gumi Cryptos Capital、Harrison Metal Capital、Makers Fund、Merit Circle、Transcendなどが参加しています。
Roboto Gamesは、ウェブ、モバイル、PCでプレイできる無料ゲームを作っています。web3要素を入れるものの、必須ではなく、NFTがなくても遊ぶことができます。またユーザー生成コンテンツ(UGC)プラットフォームも計画されています。
NFTやトークンを出す前に、まずゲームのコアがうまく機能して楽しいものであることが大切、というスタンスです。
いま開発中のゲーム「Foragers and Fighters」は、マインクラフト + PRGのようなゲームだそうです。
L2間のブリッジプロトコル Orbiter が資金調達を発表しました。
金額は非公開になっていますが、Tiger GlobalやLemniscap、StarkWareなどが参加しています。
現在Orbiterは14個のL2で、4つのトークン(ETH、USDC、USDT、DAI)のブリッジをサポートしています。流動性供給の機能(Maker)は、もうすぐテストネットに公開される予定になっています。
またブリッジに加え、L2データも集めて表示しています。
今後は、より効率的にしていき、「zkアグリゲートミドルレイヤー」を作ることが目標としています。
4.Blockchain Capital backs Catapult's $5 million raise: Exclusive
DAOオンボーディングツールCatapultが、$5Mドルを調達しました。Blockchain Capitalがリードで、Eden Block、Orange DAOや、AaveのStani氏なども参加しています。株式とトークンワラントの組み合わせでの調達だそうです。
Catapultは、DAOに新しく入ってきた人の情報を取得し、案内するツールです。
以下の画像のように、「仮名でも使いやすい検索可能なプロフィール」を作り、それを元にメンバー間のコミュニケーションをうながすことができます。
Index CoopとAragon DAOに導入し、現在はBiconomy DAOやBankless DAOなどのDAOに拡張しています。
5.Kraken and ConsenSys back staking platform Kiln in $17 million round
機関投資家向けステーキングプラットフォームKilnが、$17.6Mドルを調達しました。ConsenSys、Kraken、GSRなどが参加しています。
Kilnは、機関投資家がステーキングを利用できるようにするサービスです。
Kiln自身のバリデータだけでなく、競合他社のバリデータにもステーキングできるアグリゲーションツールを提供する点が、差別化要因といえます。
6.Pearpop raises $18M at a $300M valuation to scale its social collaboration marketplace
ソーシャルメディアでのコラボレーションのマーケットプレイスPearpopは、$18Mドルの調達を発表しました。Sound Ventures、Seven Seven Six、AvalancheのBlizzard Fundなどが参加しています。
Pearpopでは、クリエーターがマネタイズしやすくするために、ブランドに対して、TikTok上でのコラボ枠を売ることができるマーケットプレイスです。
またTikTokやInstagramでテーマに沿った投稿をして、エンゲージメントによって報酬が決まるチャンスを得ることもできます。
またすでにPearpopは、Solana上でNFTを作成できるアプリ「ピアプルーフ」をだしています。ここで作られたピアプルーフNFTは、ソーシャルメディアの投稿のエンゲージメントが高まれば高まるほど、価値が高まる仕組みになっています。
具体的には、人気が出るにつれて「ビニール」→「シルバー」→「ゴールド」→「プラチナ」とレベルがあがっていき、レベルに応じた特典を制作者が決めることができるようになっています。
今後Pearpopはブロックチェーンを使って、他のプラットフォームやソースでのエンゲージメントを可視化する「Passport」という機能を出す予定になっています。
7.Framework Ventures and Chapter One back web3 software solution Daylight: Exclusive
エアドロップやNFTのアローリストなど、自分のウォレットがうけとれる資格のある特典を集約してくれる Daylight がシードラウンドで$3Mドルを調達しました。
Framework VenturesとChapter Oneがリードで、6th Man Ventures、Spice Capital、OpenSea、SyndicateのWill Papper、Friends With BenefitsのAlex Zhangなどが参加しています。
株式とトークンのワラントの組み合わせでの調達になっています。
上で書いたとおりDaylightは、ウォレットのアドレスに基づいて特典を集約しますが、そのためのAPIを提供しています。なので Dappsやウォレットがこの機能を統合することができます。
8.Polychain Capital leads web3 developer platform Fleek’s $25 million raise
開発者向けプラットフォームFleekは、シリーズAで$25Mドルを調達しました。
Polychain Capitalがリードで、DCG、North Island Ventures、Coinbase Venturesなどが参加しています。
Fleekを使うと、簡単にIPFS上でウェブサイトやアプリをホストすることができます。Handshakeドメインを使えるなどの機能もつけていたことを覚えています。
今はAWSなどをクラウドサービスを使っていますが、今後 Fleek Network という分散ネットワークをローンチする計画をしています。
ガバナンスレイヤーはEthereumのL2上に作られる予定で、どのL2かはこれから決定されるそうです。
ここでおそらく独自トークンも出るのだろうと思います。
9.Cyvers raises $8 million to bring security solutions to web3 companies
サイバーセキュリティのCyversは、シードで$8Mドルを調達しました。
Elron Venturesがリードで、Crescendo Venture Partners、Differential Ventures、HDIなどが参加しています。
Cyversは攻撃をリアルタイムで検出します。例えばスマートコントラクトの悪用、秘密鍵の漏洩、フラッシュローンを使った攻撃などです。
また攻撃者の行動を学習し、事前に攻撃を予測することもしていくそうです。
10.Binance Labs Invests up to $4.5 Million in Ambit Finance To Boost DeFi on BNB Chain
Binance Labsは、Ambit Financeへの$4.5Mドル投資を発表しました。Ambitは、BNBチェーン上でのDeFiプロトコルです。
11.Cameroonian crypto and savings platform Ejara raises $8M, led by Anthemis and Dragonfly
ウォレットとクリプト購入+貯蓄ができるアプリEjara(カメルーン拠点)が、シリーズAで$8Mドルを調達しました。
投資家はDragonfly CapitalとAnthemisがリードになっています。またCoinshares Ventures、Circle Ventures、Hashkey Groupなどが参加しています。
すでに国債をトークン化する貯蓄商品もローンチしています。
アフリカの他の競合と違って、Ejaraはノンカストディアルウォレットも提供しています。
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