Twitter Coins
Twitterが「Coin」という機能に取り組んでいるそうです。Coinの購入はStripe経由で決済されるとあるので、ブロックチェーンの利用はなさそうですが、今後の改善も楽しみです。
■ Last Week in Crypto
1.Introducing: Opt-In Programmable Royalties (and more) Through Staking by Limit Break
DigiDaigakuの開発元である Limit Break社が「コミュニティ・ロイヤリティ」というものに取り組んでいる話を先週分で書きましたが、その詳細が発表されました。
「クリエーター・トークン・コントラクト」という名前でライブラリを出しています。
簡単にいうと「NFTロイヤリティの課題を解決するためのスマートコントラクト」です。
例えば、NFTのロイヤリティをスマートコントラクトでどのように分配するかを細かく決めることができます。
また、NFTをステークしてラッピングされたNFTを新たに発行する方式なので、すでにNFTを発行している既存NFTコレクションにも、細かな機能を(オンチェーンで)加えることができます。
いろいろな用途に使うことができますが、NFTプロジェクトにとっては特に
細かなロイヤリティの分配
最低価格の保証
の2つが大きな機能と言えると思います。
1.細かなロイヤリティの分配
NFTプロジェクトは、クリエイター、アフィリエイター(紹介者)、コレクターに支払われるロイヤリティの割合を決めることができます。
例えば、
トークンを最初にミントした人は、そのトークンのロイヤリティの一部を今後ずっとを受け取れる
長く保有したら(例えば1年もっていたら)、そのNFTのロイヤリティを保有期間に応じてに受け取れる
NFTを売った後も、もともとの保有者が、将来のNFTの ○○ 回の売買までロイヤリティをうけとれる(何回かはクリエーターが設定可能)
などができます。
先週ポッドキャストで予想していた「長く保有してたらより多く報酬がうけとれる」というのもできるようになります。
Castawaysというゲームの例でいうと、自分の持っている島(NFT)が発展させて、すごい活発に取引が起きるようになり「稼げる島」になれれば、それを売って手放した後もロイヤリティの一部がうけとれる(つまり島を発展させた報酬として、手数料が引き続きもらえる)みたいな設定をすることもできます。
2.最低フロア価格の保証
クリエイターはNFTの最低フロア価格を決めることができます(個々のトークンごとに設定したり、コレクション全体に設定することができます)。
例えば最低フロア価格を 10ETH と決めたら、それ以下では売れなくなります。これによって、評判の高いアーティストが、伝統のある作品を投げ売りされてブランド価値が毀損しないようにすることができます。
他の例としては、
ゲームのアイテムNFTで、ゲーム内でのレア度と価値を一致させる
ゲーム状況に応じて最低フロアを変更させる
などの使い方が考えられます。
上のCastaways のゲームの例で言えば、自分の持ってる島NFTで「ゲームをプレイしてどんどん島が発展していきレベルが高くなったら、最低フロア価格が5ETH→10ETHになる」のような、ゲームのレベルと最低フロア価格を連動する使い方ができます。
その他の応用例
その他にも、ゲームNFTなどで利用できる機能があります。
Reveal(リビール)
NFTをステーキングして初めてリビールできる(NFT画像やレア度が明らかになる)ということもできます。
例えば、「宝箱NFT」の場合だったら、ステーキングして初めて中身が分かる、という使い方です。ここで、アンステーク(ステーキングの解除)するのに少額のお金を必要にしたり、アンステーク申請したら30日後に完了する、みたいな仕組みを入れて、マネタイズしたり、ゲームの経済性に影響を与えたりすることもできます。
・リワード
NFTをステークすると、エアドロの対象になったり他のリワードを得られる、という使い方です。ここでもアンステークのために何かしらの条件を加えれば、より柔軟なゲーム設計ができます。
・NFTレンタルができる
例えばランドNFTをもってるけどゲームする時間がないとき、ステーキングして貸し出すこともできます。
マーケットプレイスの制限
また売買する取引所を選ぶこともできます。例えばBlurが手数料無料なら、Blurでは取引できないようにする、ということをクリエーターが制限できます。
ではマーケットプレイスの表示はどうなるか?
仮に存在するNFTが、これソリューションを採用したとしましょう。そうすると、既存NFTはステーキングされ、それに紐づくラッピングNFTができるので、OpenSeaなどのマーケットプレイスでの表示(フロア価格やアクティビティ)はどうなるでしょう?
マーケットプレイス側は、複数のコントラクトを使うNFTのために、見た目を用意する必要があります。つまり、ラップ元のトークンを隠し、ラップ後のトークンのみを表示するようにして、NFTフロア価格と取引活動がみれるようにしないといけません。
これについては今Limit Break社が、いくつかのマーケットプレイスとUI・UXについて会話しているところだそうです。
ホワイトリスト
採用するNFTプロジェクトは、トークンの売買を制限したり、動的なロイヤリティを設定するために、ホワイトリストを使います。
このホワイトリストを維持する方法は、
(a) 自分たちでホワイトリストを作って管理する
(b) DAOや他のガバナンスが管理するホワイトリストを使う
(c) 公式のLimit Breakホワイトリストを使う
の中からプロジェクトが選ぶことになります。
今後
Limit Break社は今回このコントラクトを発表しましたが、自分たちの進めているNFTであるDigiDaigakuでどのように使っていくかは決まっていないそうです。
フリーNFTが増えていくにつれて、売り切るだけはないNFTの細かな設計が増えていくはずなので、そこで使われるツールになるのかもしれません。
2.Alkimiya Raises $7.2M Funding Round to Grow Cash Flow Hedging Protocol for Miners, Stakers
マイナーやバリデータのためのDeFiプロトコルAlkimiyaが、$7.2Mドルを調達しました。
Castle Island Venturesと1kxがリードし、Circle Ventures、Coinbase Ventures、Dragonfly Capital Partnersなどが参加しています。
Alkimiyaは、マイナーとバリデーター(ステーカー)がヘッジをできるようにするプロトコルです。
マイナーやバリデーターは、初期投資が必要ですが、収益が安定しないという課題があり、ヘッジのニーズは常にあります。特に市場が下がっている最近は、撤退しているマイナーも多く出ています。
そこでAlkimiyaはマイニング報酬の一部をトークン化し(ハッシュレートと期間を定義してトークン化し)、先物契約のような形で解決しようとしています。
買い手は、トークンを購入(前払い)して、期間が過ぎたら、その期間中のブロック報酬を得ることができます。
マイナー側は、将来の収益をわたす代わりに、買い手からの安定したキャッシュフローを得ることができます。
応用例としては、異なる期間にわたって様々な量のハッシュレートの報酬を提供するコントラクトをまとめて、1つの商品としてラッピングすることもできます。
例えば「年5%の固定利回り」+「残りの報酬を継続的に新しい期間のコントラクトに再投資する」ような構造もできます。
2022年2QにAvalancheでローンチし、4QにEthereumでローンチ予定になっています。またBTCもネイティブで対応できる方法を研究していくとしています。
3.Borderless Capital backs cultural heritage platform Quantum Temple
NFTをつかって文化遺産を保存することを目指すプラットフォームQuantum Templは、$2Mドルを調達しました。
Borderless Capitalがリードし、Shima Capital、Algorand Foundation、Outliers Fund、New Moon Venturesなどが参加しています。
NFTをつかって、地域のアーティストや文化を守る人に、収益機会を提供して、地域社会を活性化することが目標です。
現在は、ゴールドエッグ(4ETH)、シルバーエッグ(2ETH)の2つのメンバーシップNFTを出していて、この売上の50%がトレジャリーに寄付され、NFTホルダーによって利用方法を決めていく形をとっています。
4.Web3 Studio Sortium Raises $7.8M in Seed Round
ゲーム企業Sortiumが、シードラウンドで$7.75Mドルを調達しました。独自のゲームタイトルを作ったり、ゲーム開発を支援している企業です。
今後は Play to Earnゲーム「CosmoGene」のローンチを控えています。
これはAIを生成するDNAを使って「遺伝子実験」をすることができるゲームで、ゲーム自体がAIによってプレイヤーの動きを学習し、ゲーム内容を変えていくそうです。
5.The Easy Company raised $14.2M to build an easy-to-use ‘social’ crypto wallet
The Easy Company が $14.2Mドルを調達しました。6th Man Venturesなどが参加しています。
アナウンスと同時に、ソーシャル機能のついたウォレットをiOSとAndroidでローンチしています。
Instagramに似たようなレイアウトで、NFTを見せる機能があり、ユーザーはスワイプして自分や他の人のNFTを見ることができます。
またSignalという評価システムがあり、NFTやマーケットプレイスなどをレビューすることができます。
Exactly Protocolが、$2Mドルを調達しました。
資金調達をリードしたのは、Synthetixの創設者Kain氏、Decentralandの共同創設者Esteban氏などで、他にBodhi Ventures、Newtopia、NXTP Ventures、Kaszek Venturesが参加しています。
Exactly Protocolは、固定金利のレンディングができるプロトコルで、今回の発表と同時にEthereum上でローンチをしています。また数ヶ月以内にOptimismでもローンチ予定になっています。
Open Forest Protocol(以下OFP)が、$4.1Mドルを調達しました。
投資家はShima Capital、Übermorgen Ventures、Not Boring Capital、Mercy Corps Ventures、Byzantine Marine、Big Brain Holdings、Valor Capitalなどが参加しています。
OFPは、森林データを測定、報告、検証できるプラットフォームで、Nearチェーン上で開発されています。
いくつかの森林再生プロジェクトと連携していて、OFPのモバイルアプリを使って森林内の樹木データをブロックチェーンに保存しています。そしてこのデータが、森林専門企業などの複数団体によってレビューされるという仕組みになっています。
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☕ バックナンバー:
#264 Bspeak! 2023年1月9日号 コミュニティ・ロイヤリティ
#263 Bspeak! 2023年1月2日号 2023年のEthereum・インフラ
#262 Bspeak! 2022年12月26日号 次世代ハードウェアウォレット
#261 Bspeak! 2022年12月19日号 Phiインタビュー /「2023年のビッグアイデア」
#260 Bspeak! 2022年12月12日号 コミュニティで作って所有する動画ショー「Shibuya」
#259 Bspeak! 2022年12月5日号 NFTの先物取引 『nftperp』
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