Lean Ethereum
Ethereumは10周年を迎え、今後10年間のビジョンとして、Ethereum財団のJustin Drakeから「Lean Ethereum」が発表されました。高性能、セキュリティ、分散性を両立させる次世代Ethereumの設計思想としています。
具体的な目標としては
L1でのTPSを10,000、ガススループットを1 Gigaガス/秒へ
L2でのTPSを1000万、ガススループットを1 Terraガス/秒へ
完全な分散化と100%の稼働時間の維持
があり、そのために以下の各レイヤーで大規模なアップグレードを計画しています。
コンセンサス:数秒でファイナリティが得られ、セキュリティと分散化を最重視
データ:量子耐性のあるブロブ、柔軟なサイズ設定
実行:SNARKに最適なアーキテクチャ(RISC-Vなど)を採用し、高性能とEVM互換性を両立
詳細についてはそれぞれ間もなく公開されるそうですが、zkVMの導入が鍵になってきます。zkVMは急速に進化して競争も激化していますが、証明生成のレイテンシーやコスト、proverのバグも発生するとおもわれるので、Ethereumプロトコル内に組み込むには数年かけた段階的なロードマップが必要になっています。
■ This Week in Crypto
「Rialo」を開発するスタートアップSubzero Labsが、$20Mドルを調達しました。Pantera capitalがリードし、Coinbase Ventures、Mysten Labs、Varientなどの投資家たちもこのラウンドに参加しています。
Rialoは「インターネット規模の分散型アプリケーション」のための新しいブロックチェーンを開発しています。
Web2のような速い反応性をもった分散型プログラマブルネットワークを目指していて、Solana VM互換性や、RISC-V命令セットを活用する設計です。
2.Tether-focused Layer 1 Stable raises $28 million seed round to boost USDT adoption
ステーブルコインに特化した新たなL1ブロックチェーン「Stable」が、Tether(USDT)を中心にした決済インフラの開発のため、シードラウンドで$28Mドルを調達しました。
BitfinexとHack VCがリードし、Franklin TempletonやCastle Island Venturesなども参加しています。
このStableは、USDTをネイティブトークン(ガス代)としてチェーンで、USDT送金はガスが無料のようです。また1秒以内のブロック時間、高スループットで、送金や決済用途に最適化します。
他のステーブルコインにも将来的に対応する可能性はありますが、当面はUSDTを中心にするとのことで、ローンチは2025年Q3末〜Q4初を予定しています。
3.Bitfinex-backed Layer 1 Plasma raises $373 million in 10-day token sale
上と同じくBitfinexが支援するステーブルコイン特化型レイヤー1ブロックチェーン「Plasma」ですが、10日間のパブリックトークンセールで$373Mドルを調達しました。
XPLというトークンのセールで、供給量のうち10%が販売されました。評価額は$500Mドルに達しています。
チェーンの目的としては「無料のUSDT送金」を可能にして機関投資家によるステーブルコインの活用を加速させることを目指しています。
4.Billions announces $30 million in funding to build a universal identity network for humans and AI
「Billions」が、これまで非公開だった累計資金調達額が$30Mドルに達したことを発表しました。Polychain、Coinbase Ventures、Polygonなどが投資家となっています。
この資金で「人間とAIのためのユニバーサルなIDネットワーク」を開発しています。
デバイスを問わず、人間やAIに対して「信頼できるID」を提供して、プライバシーを守りつつ、本物であることを証明する仕組みになっています。
ボット、偽ユーザー、ディープフェイクが多くなる時代に対応するインフラを目指しています。
5.TACEO Raises Seed to Build Network for Private Shared State
TACEOが、$5.5Mドルのシードラウンドを完了しました。Archetypeがリードし、a16z CSX、cyberFund、a_capitalなどが参加しています。
TACEOは「coSNARKs」という暗号技術で、「プライベート共有ステートネットワーク」を開発しています。
複数の関係者が、機密情報を開示することなく共同で計算をし、その結果を暗号的に証明することが可能になります。
将来的には、AIや金融、医療など複数の分野での応用を目指しています。
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