ロールアップ
今週はPolygon Availについて少し書いていますが、最近はL2における「Data Availability」(DA)というトピックだけでも、「セキュリティを保ちながら、コストを低くする」ために多くの方法が試されています。
例えば、
DAをオフチェーンにする
DAをオンチェーンとオフチェーンで、ユーザが選べる
CelestiaやAvailなど、DA特化のチェーンを使う
Ethereum L1のDAをスケールする(dankshardingのアップグレード等)
などでしょうか。
また先週はArbitrumのNitroというアップグレードもありましたが、今後L2がますます便利になってくるので、個人的に今後の発展が楽しみです。
近々、L2にピボットするL1も出てくる気がします。
■ Last Week in Crypto
1.Hivemapper raises $18 million to create decentralized mapping network
分散型の地図ネットワークHivemapperが、シリーズAで$18Mドルを調達しました。
Multicoin Capitalがリードし、Craft Ventures、Solana Capital、Shine Capital、Spencer Rascoff's 75、Sunny Venturesなどが参加しています。
またSolanaの創業者Anatoly YakovenkoとRaj Gokal、Apple Mapsの元幹部Jaron Waldman、HeliumのCEOであるAmir Haleemなども参加しています。
投稿者と編集者
誰でも地図の「投稿者」と「編集者」になることができます。
投稿者は、HivemapperがつくるDashcam(ドライブレコーダー)を車につけて、運転しながら道を撮影し、その4Kストリート映像をHivemapperに共有することで、HONEYトークンで報酬が支払われます。
そして地図の「編集者」は、データを処理して、品質保証をし、投稿者の画像に注釈を加えることで地図を作っていきます。これもHONEYで報酬が与えられます。
デジタル地図を作成できるリソースを持っているのは、Googleなど資本力のあるテック巨人だけですが、多くの場所は数年に一度しか更新されていません。そこで、草の根的に、地図をほぼリアルタイムにしようというのが、Hivemapper というわけです。
そしてHeliumと同じように、トークンのインセンティブによって初期カバレッジを広げて、chicken-and-egg(鶏が先か、卵が先か)のジレンマを一気に乗り越えてしまおうという試みです。
2.Polygon Avail: Unlocking the Modular Blockchain Future
Polygonが、Availというブロックチェーンのテストネットを、2022年の第2四半期にローンチする予定と発表しました。
Plygonは、Polygon Hermez、Polygon Zero、Polygon Miden、Polygon Nightfallなど、いろいろなL2を開発中ですが、それらのデータ可用性(Data Availability)を担うのが、Availになる予定です。
Availは、DAに特化したブロックチェーンで、トランザクションを記録し、データが利用可能であることを証明します。他のこと(トランザクションの実行など)はしません。そうすることで、Ethereum L1の負担を減らし、L2をさらに安くすることができます。
このDAに関して言うと、最近話題になっているのが Celestia というブロックチェーンを利用する方法ですが、Availもその選択肢に加わることになります。
このように、役割の分担されたレイヤーを組み合わせる構造のことを「モジュラー」設計と呼ばれます。それに対して、L1だけで全機能を達成する構造のことを「モノリシック」設計と呼ばれることがあります。Solanaがモノリシックの代表例でしょうか。
この「モジュラー」vs「モノリシック」は、ここ1年でよく話題にあがるようになっていて、個人的にはモジュラー型の設計になるところが増えていくと考えています。これについてはどこかで時間をとって書きたいと思っています。
Takiが、シードで $3.45 Mドルを調達しました。
コンテンツを投稿したり、他の人とチャットしたりするだけで毎日の収入を得ることができるという、トークンを利用したソーシャルネットワークです。Engage To Earnと紹介されています。
投資家には、Okx、Alameda Research、Coinbase Ventures、Solana Ventures、HuobiVentures、Kraken Ventures、Gemini、Superlayer、RLY Networkが参加しています。
これだけ見ると、Solana上でRallyのソーシャルトークンを利用することがわかります。早期アクセスで、~50TAKIがプレゼントされるそうです。
4.Hashed Leads $6.5M Round for LOVO’s AI-Backed Voice NFTs
LOVOが、$6.5Mを調達しました。Hashedがリードし、Animoca Brandsの創業者などが参加しています。
元々LOVOは、AI企業として事業をしていましたが、AIによる「音声NFT」の開発に軸足を移しています。すでに1月には、Voiceverse NFT として8,888個のNFTを発売し、売り切っています。
仮想世界でアイデンティティを作るために、アバターはよく作られていますが、同じように音声NFTを普及させたい、ということのようです。
仮想世界での自分の「服を選ぶ」と同じ感覚で、「声を選ぶ」というのが増えるのかもしれません。
5.Elizabeth Stark’s Lightning Labs Raises $70 Million To ‘Bitcoinize’ The U.S. Dollar
ビットコイン開発会社の Lightning Labs は、$70Mドルを調達し、新しいプロトコル 『Taro』を構築すると発表しました。
Taroでは、開発者がステーブルコインをビットコイン上で発行し、ライトニング・ネットワーク上に移すことができるようになるそうです。
フォーブスの記事によると、すでに多数の大手企業と、ライトニング上のステーブルコイン発行について協議しているとのことです。
6.Porter Finance Raises $5M to Bring Credit to DAOs
Porter Financeが、$5Mを調達しました。
ParaFi Capital、Dragonfly Capital、Nascent Ventures、Buckley Ventures、Robert Leshner、Kain Warwick、Tyler Ward、Joey Santoro、Sam Kazemianが参加しています。
Porterは、「清算リスクのない固定金利での借り入れプラットフォーム」で、DAO向けに作られています。
ほとんどのDAOのトークンは、CompoundやAaveのようなレンディングプロトコル上で担保になりません。
そこでPorterでは、DAOが自分たちのトークンを担保に、ゼロクーポン債を発行し、販売することができるようになります。これにより、貸す側は利回りを得て、DAO側は清算なしに融資を受けることができます。
ちなみにPorterの独自トークンも発行されるそうですが、初期のユーザーやパートナーに配布される予定だそうです。
7.Near Protocol is set to launch a stablecoin called USN: Sources
Nearブロックチェーンが、USNという独自のステーブルコインを出すらしく、噂では20%の利回りを提供すると言われています。
またNear Protocolは先週 $350M を調達したことも発表しています。Tiger Globalがリードとなり、Republic Capital、Hashed、FTX Ventures、Dragonfly Capitalなどが参加しています。
仮想体験のためのツール構築に注力する英国企業Improbableが、$150Mドルを調達しました。a16zやSoftbank vision fund、Etherealなどが参加しています。
Improbableは、エンタメ、スポーツ、音楽、ファッション分野の、仮想空間の開発を助けるツールを開発しています。
今回の資金調達で、M²という「相互運用可能なWeb 3メタバースのネットワーク」を構築するとあり、ゲーム間で融通できる仮想資産を開発者が作成できるツールのようです。
9.Monetized Memes: Dank Bank Raises $4.2M
Dank Bankが、$4.2Mドルのシード資金調達をしました。Mechanism Capital、Samsung Next、元Coinbase CTOのBalaji Srinivasanがリードとなっています。
Dank Bankは、インターネットで有名なミームをNFT化し、分割し、取引できるマーケットプレイスです。高い価値がついている有名なミームNFTの一部を、少額で取引することができるようになっています。
「象徴的な瞬間のNFTを分割して販売し、共同で所有するコミュニティを作りつつ、クリエイターに還元していく」としています。
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