■Last Week in Crypto(先週のニュース)
主に海外の記事や英語の論文について触れます。
1.Arwen receives $3.3M in funding to develop technology for secure settlement of digital assets.
取引所に資産を預けずに取引所を利用できるようにするインフラ企業 Arwenが、Slow Ventures、CoinShares、Collaborative Fund、Underscore VC、DG Lab Fundなどから$3.3millionを調達しました。
Arwenはエスクローで実現しています。ユーザーは Hashed Time-Locked コントラクト(HTLC)に資金を送信し、その後取引所側にも同様のことを依頼します。この時ユーザは手数料を支払います。両方の資金がエスクローに入った後、ユーザーはエスクロー間で取引をすることができます。
現在は取引所KuCoinで BTC、LTC、ETH がサポートされていて、今後より多くの利用パートナーを増やしていく予定です。またチームの方向としては、これらの技術が、単なる暗号通貨の取引所だけでなく、従来の清算や決済プロセスに応用できるとしています。
Arwenは素晴らしいと思いますが、DEXと総称される Wallet to Wallet(預けずにウォレット間での)交換では、DeFiと相性がいいため、後者が暗号通貨の交換では使われて行くと思います。ArwenはBitcoin等で大きな金額を扱う場合、決済をまとめたバックボーン側で使われていくのだと思います。
2.Binance Futures Market Maker Program
Binanceは、先物取引のマーケットメーカーの料金体系を修正し、一部の取引ペアにマイナス手数料を導入しました。マーケットメーカーの30日間のボリュームが1,000 BTCを超えている必要がありますが、この出来高はBinanceだけである必要はありません。
取引所では、流動性が重要で、このように流動性を提供してくれるトレーダーに報酬を与えることがしばしばあります。DEXでも最近0xや今後のKyberもマーケットメイカーへの報酬が導入されます。
では取引所側はどのように収益を得るかというと、提供された流動性を取る側(テイカー)から手数料をとることで、メイカーに報酬を与えても取引セットで見ればからプラスになるというわけです。
例えば Aさんが1BTCを100万で売りたいと板に注文をだします(メイカー)。1BTCを100万買いたいBさん(テイカー)がその注文を見つけて取引したとすると、テイカーから0.05%をとり、メイカーに0.0025%をあげたとしても、取引所側は0.0025%をこの1つの取引から得られる、というわけです。
つまりテイカー手数料、メイカー手数料を合算すれば、その取引所設定している手数料が高いのかそうでないのかと別の取引所と比べることができます。
3.PoolTogether DeFi App Announces $1M Investment After No-Loss Lottery Payout Tops $1K
「損のない宝くじ」であるPool Togetherは、ConsenSysとDTC Capitalの参加を得て、IDEO CoLab Venturesが率いるラウンドで $1.05 million ドルを調達しました。
このプラットフォームは、簡単いうと、ユーザーがお金を貯蓄しながら自動で宝くじに参加できるものです。ユーザの預けた資産をまとめてCompoundで運用し利子を得て、週の終わりに、預けた人の中から1人が選ばれて、利子の合計を獲得できます。選ばれなかった人は元本がそのまま残るだけで損失はありません(自分で運用しておけば得られたであろう利子の機会損失はあります)。
先週、この預かり合計のプールが$1millionドル以上のDAIになり、選ばれた人は1,400ドルを受け取りました。(預けた分は10ドル分)また先週Pool Togetherチームが、USDCプールも立ち上げ、$ 100,000 を供給しています。
4.TokenSoft launches self-managed investment accounts for security tokens
セキュリティトークン発行プラットフォームであるTokenSoftは、証券会社スタイルの UXにしたマルチシグ・ウォレットなどの機能がついた投資アカウントをローンチしました。このウォレットにより、配当分配や再投資が自動化されたり、財務状況やその他の開示情報の配信などが可能になります。EthereumのERC-1404やTezosのFA1.2などに準拠したセキュリティトークンをサポートするようです。
投資家が期待するインターフェースができていき、ブロックチェーン特有の面倒さを意識させず、セキュリティトークンをスムーズに売買できるようになっていくと思います。先週 Overfutureがトークン化された株式を使用し新規株式公開(IPO)を実施する許可を得たという話を書きましたが、今後事例が増えた場合に、仮想通貨資産と同じ方法ではなく、株式特有の方法で管理したい需要が高まるでしょう。
5.Casa's Focus on Bitcoin Security
CasaのCEO Jeremy Welch氏が、家族の健康事情によりCEOを辞任する発表をしました。またその後のブログ投稿で、Neumanは、Casaが「プラグアンドプレイ」ハードウェアノードの生産を停止すると述べました。しかし、基盤となるソフトウェアをオープンソース化することで、誰でも独自のハードウェアでCasaノードを作成できるようにする予定です。
今後はサブスクリプションベースのビットコイン管理サービスを強化する計画のようです。Casaはハードウェアの企業というよりはむしろ、鍵管理のソフトウェア企業なので、このフォーカスを変更は良い判断ではないでしょうか。
6.Blockstack PBC Successfully Completes Milestone 2 for Network Growth
Blockstackは「検証済みユーザー」の100万人登録を達成し、2017年後半に実施したトークンセール調達資金の残りのロックアップが解除されます。
これは何かというと、掲げたマイルストーンに到達できない限り、Blockstackは調達した資金の80%(当時は約 $50 millionドル相当)を使うことができない約束になっていました。2018年10月にStackブロックチェーンをローンチしにマイルストーン1を達成しましたが、マイルストーン2としては、Blockstackが所有者アカウント100万人登録されるまで、調達した資金の40%をロックするというものでした。
参考:https://stackstoken.com/static/offering-circular-20190711.pdf
そして今回達成をして新たに資金が使えるようになる、というわけです。資金の一部は暗号通貨で保持されていたため、当時より目減りし、Blockstackの純利益は合計 $6.8 millionドルとなります(元々$20 millionドル)。第2四半期にStacks 2.0のローンチに向けて残りの資本を開発にあてていく予定です。
ConsenSysが14%の従業員をレイオフしたという話です。スリム化と人材の循環が進むのでEthereumにとっては悪くありません。ConsenSysは終わったというような声も聞こえてきますが、多角的なツール/インフラを同時進行で進めていて、それらはいつでもスピンオフして調達することが可能です(これまでも何度も行われています)ので、まだまだ強いことには変わりません。
ConsenSysは年間収益が$40万ドルほどのようですが、大半が多くのEnterprise Ethereum Allianceの顧客を対象としたコンサルティングなので、Infraを有料化したように今後ソフトウェアで有料化していって、収益化をしていくだろうと思います。
あとはETHが値上がりすれば、長期的には問題ないので、エコシステム全体を盛り上げていくのが彼らの使命です。創業者のJosephのETH保有量はまだ大きいですし、レイオフは言われているほど心配するようなことでないと思っています。
ちなみに今年 $200millionほど調達する可能性があるそうで、もしそうなれば初の外部資金となります。
8.Handshake's Uncensorable Web Domains Go Live on Mainnet
Handshakeのメインネットがローンチしました。トップレベルドメインを個人で所有できるというのはこれまでにないコンセプトで個人的に非常にワクワクしています。これを配信しているときにはドメイン取得が開始されているかと思いますが、インターネットの構造の変化に立ち会えている感じです。
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