マージは織り込み済みか?
Banklessのコンテンツとして、North Rock DigitalのHal Press氏のレポートが出ました。以前からマージの分析をしまくっているファンドの人です。
かなり長いですが、クリプトの歴史における最大の構造転換として分析されています。
面白い点をいくつかまとめると、次のようになります。
今ETHのステーキングは、利回りが 4.2%ほどですが、毎年4.4%のETHが新規に発行されているため、「実質の利回り」はほとんどゼロです。
しかしマージ後には、この実質の利回りが、5% ほどにあがります。これは主要なトークンではかなり高い実質利回りを生み出すことになります(匹敵するのは実質利回り1%のBNBだけ)。
またETHにはエコシステム全体で多くの用途があり、ほとんどのETHはステーキングではなくそれらにロックされるため、ステーキングはかなり高い実質利回りになることが予想されます。
またお金の流れについて言えば、現在は新規発行の売り圧などによって毎日$18Mドル出ていく構造ですが、マージ後は毎日$0.3Mドルの構造的な流入がある、ということが書かれています。
■ Last Week in Crypto
GitHub上での貢献をNFTとして、オンチェーンで記録できるプロトコル「GitPOAP」が、$4Mドルを調達しました。
Inflection.xyzとLibertus Capitalがリードで、Protocol Labs、POAP自身や、Balaji氏などが参加しています。
GitPOAPは、イベントに参加した証としてのNFTを生成できる「POAP」の上に開発されていて、GitHub上で有意義な貢献をしたことを示すNFT(POAPバッジ)を発行することができます。
Ethereumの開発プラットフォームに特化した非営利団体Nomic Foundationは「GitPOAPを発行して以来、オープンソース開発者からより有意義な貢献があった」とリリースに書いています。
2.DAO Monthly Update: July 2022
オンチェーンレバレッジのプロトコル Gearbox が$4.15Mドルを調達しました。$150Mドルの評価額で、DAOトレジャリーにあるGEARトークンと引き換えの調達になっています(DAOのトレジャリーのアドレスやマルチシグの署名者はこちらで公開されています)。
投資家には、Placeholder、Zee Prime、LedgerPrime、Polymorphic、GCRが参加しています。
Gearboxの仕組み
ユーザは、オンチェーンでレバレッジをかけるために、まずクレジットアカウントを作ります。これは、自分の資金 + 借りる資金を利用するスマートコントラクトになります。
レバレッジをつけてDeFiを利用するときには、このアカウントを通じて実施されます。
※資金をここのアカウントおいておく必要があるわけではありません。
現在は最大で10倍までのレバレッジを得ることができます。レバレッジかけた場合は、金利を支払う必要があります(資金を貸す側は、この金利がインセンティブとなって資金を提供します)。
Web3プロジェクト向けのデータ分析ツールDatawispは、$3.6Mドルの資金を調達しました。
CoinFundがリードし、スパルタンキャピタル、Spartan Capital、Mirana Ventures、Dweb3 Capital、Play Venturesが参加しています。
Datawispは、複雑なクエリやダッシュボードを、ノーコードで誰でも作れるようにするツールを開発しています。
またプロジェクトや企業ユーザに特化している点が特徴です。プロジェクト側がデータを分析してKPIを立てたり、管理するのに役立ちます。
現在Solanaをサポートしていて、SolanaベースのプロジェクトStreamflowがすでに利用しているそうですが、戦略を決める上で不可欠なツールになっているとしています。
4.StarkNet-based game dev community MatchboxDAO raises $7.5 million
オンチェーンゲーム開発者コミュニティMatchboxDAOが、$7.5Mドルのシード資金調達を発表しました。
StarkWare、Geometry Research、ReadyPlayerDAO、Neon DAO、Delphi Ventures、Lemniscap、Fabric Venturesなどが参加しています。
MatchboxDAOは、StarkNet上のゲーム開発者を増やす活動をしています。実際にやっていることは、ゲーム開発者むけに指導と資金を提供するインキュベーターと、ゲーム開発を加速させるツールの提供です。
私も、ゲームではないのですが、インフラプロジェクトをやろうと、4月にMatchboxDAOと話をしたことがありました。その時の内容は、「月に$4,000を最大6ヶ月を受け取れる代わりに、プロジェクトが$10Mの評価額のときに投資できる権利をMatchboxDAOに与えること」というのが条件でした。
結局参加しませんでしたが、StarkNetコミュニティとしてはとても活発で、オンチェーンゲームを作る開発者にとっては良い場所だと思います。
5.DCG backs cybersecurity company DWallet Labs in $5 million round
dWallet Labsは、$5Mドルの資金調達を発表しました。
Digital Currency Group (DCG) と Node Capital がリードで、Lemniscap、Lightshift Capitalなどが参加しています。
dWalletとOdsyネットワーク
dWallet Labsは、新しいタイプのウォレット「dWallet」とそのための「Odsyネットワーク」を開発しています。
dWalletは、「ウォレットコントラクト」と名付けられているスマートコントラクトをプログラムできる仕組みで、専用のブロックチェーン「Odsy Network」上で動作します。
このdWalletを使って、ユーザーは自分のウォレットで色々なことができるようになります。
例えば、誰が、いつ、どこで、取引に署名するか/しないか、などの条件を設定することができます。また自分のウォレットを他のユーザーに譲渡できるようにプログラムすることも可能になります。
そしてdWallet自体は、他のどのブロックチェーン上でも署名することができます。
Odsyネットワークを開発するのは、スイスに拠点をおくOdsy財団で、ディレクターは、Algorand財団の前CEOであるLee氏が務めています。
dWalletの開発会社dWallet Labsはイスラエル拠点になっています。
6.Entering the New Phase of Collective Ownership as Tessera
NFTを分割して複数人で所有できるようにするプロトコルFractionalが、『Tessera』にリブランドし、さらに$20Mドルを調達したことを発表しました。
Paradigmがリードで、Uniswap Labs、E Girl Capital、Focus Labsなどが参加しています。
Fractional上では、CryptoPunks、Bored Ape Yacht Clubなどが分割化され、またDoge NFTなどのDAOも出てきました。
今回リブランドし、友人や他人とNFTを所有するための新しい方法を、今後数ヶ月で発表する予定になっています。
7.NFT-backed loan start up Unlockd raises $4.4 million seed round
NFTを担保に、借り入れができるプロトコルのUnlockdは、$4.4Mドルを調達しました。
Blockchain Capitalがリードで、Sfermion、Spartan Group、IDEO CoLab、Bitscale、YGG、BreederDAOなどが参加しています。
すでにテストネットでベータ版を公開し、10月にはメインネットでローンチする予定になっています。
ローンチの第一段階では、Ethereumの25以上のNFTコレクションをサポートする予定です。その後コレクションを増やし、PolygonのNFTも対応予定になっています。
また今後ゲームギルドのサポートに注力するようです。
8.Blockchain Protocol Algorand Leads $22M Investment Round in Tokenization Firm Koibanx
ラテンアメリカの資産トークン化企業であるKoibanxは、$22Mドルを調達しました。
Algorand がリードし、Borderless Capital、Kalonia Venture Partners、G2、Innogen Capitalなどが参加しています。
開発者がブロックチェーン上で金融商品を作成できるようにするためのプラットフォームのベータ版を12月に開始する予定です。トークン化機能、流動性プールや取引所との統合機能などが含まれます。
Koibanxは昨年エルサルバドル政府と、Algorand上にブロックチェーン基盤を開発する契約を締結しています。またエルサルバドルのビットコインウォレットである「Chivo」にて、ライトニングネットワーク決済を支援しています。
9.Primitive raises $9 million to build AMM discovery platform
Primitiveが、$9Mドルを調達しました。
Bain Capital Cryptoがリードし、1Confirmation、Nascent、Robot Venturesなどが参加しています。
Primitiveは、Replicating Market Maker(RMM)という特殊なタイプのAMMを開発しています。AMMのシンプルさを保ちながら、高度な金融商品とマーケットメイキング戦略ができるようにしています。また外部のオラクルを必要としないため、攻撃の可能性も軽減されます。
RMMの詳細についてはこちらの記事で解説されています。
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