■Last Week in Crypto(先週のニュース)
主に海外の記事や英語の論文について触れます。
1.Bakkt Completes $300 Million Series B Financing
BakktはシリーズBで、$300 million の資金調達を発表しました。今回のラウンドには、Intercontinental Exchange、MicrosoftのM12、PayU、Boston Consulting Group、Goldfinch Partners、CMT Digital、Pantera Capitalなどが投資をしています。また、この夏にローンチする予定のBakktアプリの詳細をウェブサイトで更新しています。
ロイヤリティ、報酬ポイント、ゲーム内資産、暗号通貨などデジタル資産のC向けアプリに注力しているようです。とりあえずは、上記のような資産を一括で管理できるようなポートフォリオアプリと、小売店で使える支払いアプリになると思います。
暗号通貨以外のほぼすべての市場が急落している中、Bakktは大きな投資ラウンドを終え、ポイント系企業も買収し、虎視眈々と土台を作っています。
Storj Labsが、エンタープライズユーザー向けの分散型クラウドストレージ「Tardigrade」をローンチしました。Filecoinと似ていますが、P2Pネットワーク上でデータが小さく分割されて保管されるストレージで、Webサイトによると、価格はAmazonおよびGoogleのクラウドサービスよりも手頃な価格で、Amazon S3と互換性があるそうです。
また誰でもノードを立ち上げ、ストレージと帯域幅をシェアすることでトークンを稼ぐことができます。Storjは古いプロジェクトで、方針を何度か変更したり、ファイル耐久性やエンタープライズのサービスレベル契約(SLA)など基準を満たすために時間をかけてきたようですが、今後実施に使われていくのか注目です。また$257 million もの大型資金を調達したFilecoinも今年には出てくるはずなので、こちらもweb3.0系ネットワークが使われるかの試金石となります。
3.Fireblocks Integrates with Largest DeFi Lending Network
機関向けの資産移動インタフェースを提供するFireblocksは、Compoundを統合することを発表しました。この統合により、ヘッジファンド、マーケットメーカー、取引所などのFireblocksのユーザは、約8.5%ほどの高い金利のCompoundマーケットに簡単に参入することができます(インタフェースに関しては動画も参考になります
) 。機関投資家にとって資金の移動というのは面倒で、特に暗号通貨は間違えたら二度と戻ってこないため厄介な問題ですが、今回の統合により、大口が簡単にDeFiのレンディングに回すことができます。
CompoundはウォレットMetaMaskからアクセスするのが通常ですが、Fireblocksのプラットフォームではデポジットアドレスを指定する手間も要らないようです。これにより、ユーザ(OTCトレードデスク、マーケットマーカー、ヘッジファンド、取引所)が大量の暗号通貨を安全に移動できるようになります。機関投資家が初めてDeFiに参入できるようにする、という意味では大きなことでしょう。
ここ最近の株式市場の急落、コロナショックを受けて、米国は量的緩和を実施して、米ドル金利は一気に下げられていますが、投資家がスマートコントラクトを受け入れれば、通常のbondよりもリターンが高いため魅力的な選択肢に映るはずです。
Fireblocksは昨年、シリーズAで $16 millionを調達し、Fidelity に出資されています。今では毎日数billionもの資金移動を実行しているそうです。
4.https://squareup.com/us/en/press/ilc-update
Square社は、連邦預金保険公社(FDIC)から預金保険の承認を得ました(条件付き)。Square Financial Servicesという名前で、Squareの子会社として独立して運営され、企業に対して融資や、預金商品(預金を受け入れて金利をつける商品)を提供することができます。2021年に開始される予定です。
Squareは暗号通貨に優しい金融機関というポジションを築いてきていて、2019年の間に5億ドル以上のビットコインを購入しているとIRページで発表されています(https://squareup.com/us/en/about/investors)。NamebaseのCEO Tieshun Roquerreも言っていますが、他のSan Franciscoのクリプト企業からもやはり一目置かれています。
5.Bitfinex - Bitfinex to Remove 87 Trading Pairs
取引所Bitfinexは、2020年3月26日から合計87の取引ペアを削除するとアナウンスしました。多くはETHとのペアです。発表によれば、流動性が低い87の取引ペアが削除対象となっています。
Bitfinexはここ数カ月でそのグローバル取引量が大幅に増加し、2019年12月から 「$50 million ドル → $400 million ドル以上」と、出来高を増やしています。しかし全ペアのうち3分2ペアはほとんど出来高がなく、今回のような多くの廃止を決定したようです。
NBAとの契約をトークン化したバスケットボール選手のSpencer Dinwiddie(#108 Bspeak! 2020年1月13日号で説明)は、レンディングサービスのCredとパートナーシップを発表し、NBAファンに暗号通貨レンディングを宣伝しています。上記のパートナーシップサイト経由で、Bitcoin、Litecoin、Ethereumなどに対して最大10%の利回りを得ることができます。
ユーザから見るとパートナーシップは、Credの通常の提供と変わりませんが、異なるのは、入り口がSpencer Dinwiddie氏のファンページに直接統合されていることと、Spencer Dinwiddie氏の取り分が、恵まれない若者に大学奨学金を提供するチャリティファンド(Dinwiddie Family Foundation)に貯まるという点です。
クリプトはある意味他の業界とは異なりアウトローなイメージがありますが、有名なアスリートはとても良い宣伝塔かもしれません。
7.Italian bank releases Bitcoin wallet despite coronavirus
イタリアのチャレンジャーバンク「Hype」はBitcoinの売買+ウォレット機能の追加を発表しました。ユーザ数は約100万人なので、それなりに良い影響があります。
似たようなことをしている他のチャレンジャーバンクとしてはZigluと、$5.5 billionドルの評価額を持つRevolutがありますが、今回のHypeは少し異なっています。
Hypeいわく、通常のクリプトウォレット同様に暗号通貨を管理でき、クリプトを購入/販売、他のウォレットに送受信もできます(他のチャレンジャーバンクはここまで機能がまだありません)。キーはユーザ、システム、企業が分割して3つあるようです。
現在、みなさんもご存知の通りイタリアは新型コロナウイルスで医療崩壊しつつあり、物理的な貨幣・紙幣に慎重になっているため、意外なところからキャッシュレス(およびクリプトにふれる機会)が増えるかもしれません。
8.Announcing the Launch of Hive Blockchain
Steemコミュニティのメンバーは、チェーンをフォークしHiveという新しいチェーンをローンチすることを発表しました。ネイティブHIVEトークン(およびHive Dollars)を既存のSteemアカウントにエアドロップします(現在、Tron Foundationが所有するSteemit社関連のアカウント以外)。新しいチェーンでは、Steemの採用しているオンチェーンのガバナンスもアップグレード予定で、ユーザーがガバナンス投票に参加できるようになるまで30日間トークンをロックするというルールに変更されます。
このHiveの発表以来、Steemのトークン価格は急上昇していますがエアドロップを得ようとするものなので、実行後に大幅に減少するはずです。
Steemは昔から使われているSNSですが、この分裂はTron財団とSteemコミュニティの間で進行中の戦いから生じてるようです。
Tronが先月Steemitを買収した後、Steemのwitness(バリデータ)は、Tronの新しく取得したSTEEMトークンからガバナンスの権利を削除することを投票しました。Tronは、これらのガバナンスの制限を覆すため調整したと伝えられています。そしてこのような集中化の懸念から、Steemコミュニティは新しいチェーンに移行する、ということのようです。HiveはSteemと下位互換性があるため、新しいチェーンには、Steemネットワークに以前に展開されたSteemitブログ投稿を含むすべてのデータが含まれます。
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