ETH San Francisco
今月の上旬に、過去最大の規模となるEthereum San Francisco Hackathonが開催されました。284個のプロジェクトが提出され、$300,000ドル以上の賞金が用意されました。
ここではファイナリストに選ばれた13プロジェクトについて書いていきます(13のうち今週は5つ、残りは来週分の載せる予定です)。
FuelScapeは、有名なMMORPGゲーム「RuneScape」に、Fuel VM(実行レイヤー)を連携させて、ゲームのアイテムをFuel上のNFTに変換するというアイデアです。
ウォレットとプレイヤー名に関連付けると、ゲーム内のアイテムがERC1151のトークンとして表示され、ゲームの状態とチェーン状態が、ゲームプレイ中にリアルタイムで同期されます。
電話番号 205-883-8339 にテキストメッセージを送ると、「Beep3r 」というオリジナルNFTがミントされるというものです。
そして Beep3r のNFTをもっていると、他のBeep3rの所有者にメッセージを流したり、他のウォレットアドレスにXMTPで暗号化されたDMを送ったりすることができます。
またBeep3rのNFT自体はダイナミックなNFTになっていて、送られた最新メッセージがNFTマーケットプレイス上でリアルタイムに表示されるようです。そのためメッセージをNFTで直接みることができるという遊び要素があります。
環境問題にとりくむweb3プロジェクト(ReFiといわれるカテゴリ)として、ToucanやKlimaなどがあり、カーボンクレジットをトークン化しています。しかしそれらの流動性はPolygonに集中してしまっています。
このMundoでは、CeloやOptimismなどのEVMチェーンからPolygonにあるカーボンクレジットを購入できるようにしています。(クロスチェーンのやり取りには、前にBspeak!で触れたHyperlaneというブリッジプロトコルを活用しています。)
また他にもカーボンクレジットを償却したら証明書が取得できる、などの機能もつけています。
DAOが、分散型フロントエンドを利用するためのツールです。デモでは、dappsをより分散的にアップデートするためのフレームワークが作られています。
流れは以下のような感じになっています。
まず、スパムを避けるためにWorldcoinで人間であることを認証する。認証されれば誰でもアップデートの提案をすることができる
提案された新しいバージョンはIPFS上にデプロイされ、ENSアドレスを使ってアクセスできる
そのあとDAOトークン保有者むけにスナップショットで投票が始まり、アップデートを受け入れるべきかどうかが決まる
投票は UMAの「Optimisticオラクル」を使ってオンチェーンで検証
投票が通れば、新しいバージョンのハッシュがオラクルに保存されて「ホワイトリスト入り」とラベル付けされ、それをDAOがデプロイする
もしホワイトリストに入ってないフロントエンドにアクセスした場合に、ブラウザエクステンションでユーザに知らせることができる
となります。
NFTコレクションのためのツールで、ほぼ匿名の投票をつかったマルチシグ(zkマルチシグ)をつくることができます。
これでNFT所有者は、匿名性を保ったままアップグレードを提案したり、投票したりすることができます。
■ Last Week in Crypto
1.Bain and 6th Man Ventures lead $4 million round for crypto privacy startup Nucleo
組織のためのプライバシーインフラ Nucleo が、$4Mドルのシード資金を調達しました。
Bain capital と 6th Man Venturesがリードし、Aztec Network、Aleo、Espresso Systemsなどプライバシー系のプロジェクトが参加しています。
ゼロ知識証明の技術で、プライバシーを保護したマルチシグを開発しています。
またプライベートマルチシグの他に、プライバシーを保ったままDeFiを利用したり資金調達をするため方法も開発中になっています。
2.Kalder Raises $3M to power Web3 Brand Loyalty – Mobilizing Communities
Web3ブランドロイヤリティーのプラットフォーム Kalder が、$3Mドルを調達しました。
投資家は、500 VC、Human Capital、INDIGO Fund、8VC、Soma Capitalなどが参加しています。
「NFTを立ち上げたが、次はどうするのか」となっているクリエーターやブランドが使えるプラットフォームです。
リリースによると、
段階的な NFT 会員制度
ブランド独自のリワード
貢献することで獲得できるクエスト
などの機能があり、NFTを使ってマーケティングに応用するためのプラットフォームになっています。
簡単にいえば、今度スターバックスがやろうとしているようなロイヤリティプログラムを、どのような企業も簡単にできるようにする、というプロダクトかと思います。
3.NFT utility platform Tropee raises $5 million led by Tioga Capital: Exclusive
NFTユーティリティ・プラットフォーム Tropee は、$5.1Mドルのシード資金を調達しました。
Tioga Capitalがリードになっています。
Tropeeは、NFTにユーティリティ(何かしらの使いみちや持っていることでの特典)を簡単につけることのできるプラットフォームです。
例えばNFTホルダーだけが見ることができる動画、限定のデジタル書籍、イベントなどの設定をすることができます。簡単に設定ができるので、けっこう便利だと思います。
4.Polkadot-based protocol t3rn raises $6.5 million: Exclusive
Polkadotベースで、クロスチェーン・トランザクションに取り組む t3rn が、$6.5Mドルを調達しました。
Polychainがリードし、Huobi Ventures、Figment Capital、Blockchange Ventures、Lemniscapなどが参加し、SAFTによる調達になっています。
t3rnは、Polkadotのエコシステム <> それ以外のエコシステムでの、クロスチェーンのトランザクションを促進するプロジェクトです。
トランザクションが失敗したら安全な状態に戻す「Fail Safe」という機能が組み込まれています。またオープンソース開発者が、自分のコードが実行されるたびに報酬を得ることができる予定になっています。
Polkadot上のパラチェーンとして開発中で、2023年のQ1にはメインネットでローンチ予定になっています。
5.Multichain DAO builder XDao closes token round at $50 million valuation
DAO作成を支援する XDao は、$2.3Mドルを調達しました。
投資家には、Panony、DWF Labs、Telos Foundation、Grizzly Capitalなどが参加しています。また過去には、Binance、Polygon、Optimism、Tronなどからグラントをうけとっています。
XDaoは、DAOの作成や、運営を簡単にするプラットフォームで、複数のチェーンや機能をサポートしています。
また作成されたDAOからDeFiプロトコルを直接つかうことができるため、そういう意味ではGnosis Safeのようなマルチシグのプロトコルにも近いです。
またXDaoは、コンサルをするサービスや、世界の法域でDAOの登録をするサービスも予定しています。
6.Cosmos-based DeFi protocol Onomy raises $10 million: Exclusive
CosmosベースのDeFiプロトコルOnomyは、$10Mドルを調達しました。
Bitfinex、GSR、Ava Labs、CMS Holdings、DWF Labsなどが参加して、将来のトークン(SAFT)による調達になっています。
Onomyは、簡単にクロスチェーンでステーブルコインを発行したり、貸したり、トレードするためのL1チェーンを開発しています。またOnexというDEXや、モバイルウォレットも開発しています。
これらを使って、最初は FX + DeFi に注力していくようです。メインネットはまもなくローンチされる予定で、ネイティブトークンNOMでガバナンスしていくDAOになる予定です。
7.Strategic Partnership Established With Across $10MM Success Token Sale
ブリッジのプロトコルである Across Protocol が$10Mドルを調達しました。Hack VC、Placeholder、Blockchain Capitalが参加しています。
普通の投資と違って、「Successトークン」という仕組みでの調達になっています。
この「Successトークン」はUMAプロトコルを利用していますが、AcrossとUMAは開発チームが同じなので、普及の意味でも Successトークン を利用して調達をしたのだと思います。
そんな理由もありますが、仕組みとしても良いものなので、少し書いていきます。
VCへのトークン販売はディスカウントすることが多々ありますが、コミュニティが不利になってしまいます。
このディスカウントの代わりに、「トークン購入とコールオプションがセットになったもの」をトークンとして渡すのがSuccessトークンです。オプションのほうはトークンが上昇した場合にのみ価値が発生するため、お互いのインセンティブをうまく調整することができます。
Acrossの例でいうと、AcrossDAOとしてはACXトークンをディスカウントして売らずに済むし、VCとしてはAcrossが成功したときにアップサイドを得ることができる、という形になります。
ACXトークン自体は、11月28日にローンチ予定になっています。
クリエーターやブランドのためのプラットフォーム Virtualness が $8Mドルのシード資金を調達しました。
Blockchange Venturesがリードし、Polygon Venturesなどが参加しています。
モバイルファーストのプラットフォームで、クリエーターやブランドが、ファンや顧客とやり取りすることのできるアプリを開発しています。
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