「コンピュート」が新たな石油になる時代 / Ethlabs発足 など
#442 Bspeak! 2026年6月29日号
Ethlabsの発足
最近Ethereum財団(EF)から、優秀な研究者がどんどん辞めていましたが、その人たちは新しく自分たちで団体をたちあげたことを発表しました。
「Ethlabs」という組織で、ETHのトレジャリー企業であるBitmineやSharplinkがメインで資金を支援し、その他にも業界の人たちが寄付をしています。
EFの組織運営への批判が高まっていたなか、新しい組織が自発的に生まれてくるのはポジティブな話と思っています。またEFは人員削減を発表し、どんどんと縮小していく予定であることも明らかになったため、このEthlabsは、Ethereumの将来を支える役割を担う可能性もあります。
当面はステーブルコイン、トークン化RWA、オンチェーンファンド、AIコマースなどの分野で、とくに機関や企業が大規模にEthereumを利用するために必要な技術開発に注力するとしています。
4年サイクルについて
先週はクリプト市場が暴落し、BTC価格は今年の安値を更新しました。株式市場にひっぱられたのもありますし、Strategy社の影響もあります。
MSTRは30%下落し、STRCも$72ドルまで下がり(STRCは$100ドルが目標)、Strategy社は資金調達の手段が限られたなかで配当を支払わなければならず、BTCを大きく売るのではないかと市場は懸念しているようです。
また「4年サイクル」的には、底まであと3-5か月かかるともいわれています。
この4年サイクルは、一般的には「ビットコインの半減期」によって生まれるもの、という認識がありますが、「レバレッジの拡大と収縮」という説明もできます。
VCの資金、DeFiのローン、マイナーへの融資などで市場のレバレッジが高まり、価格が実態以上にあがり、弱気相場になるとだいたい1年ほどかけて市場全体のレバレッジが解消され、これを合わせると4年前後のサイクルになっているというものです。
今回の下落で、デリバティブ市場の建玉(Open Interest)はピークから50%以上減少し、DeFiローンの残高もかなり減っているため、かなりレバレッジが取り除かれていて、サイクルの底は近いように見えます。
多くの人はここからもう1回下げるはずと予測していますが、2025年のピーク時は過去のサイクルのピークほど上がらなかったため、底も以前のサイクルほど深くはならない可能性があります。
■ This Week in Crypto
1.Introducing Ornn Compute and Our $33M Seed Round
GPUコンピュート市場むけのインフラを開発するOrnnが、a16z cryptoがリードするシードラウンドで$33Mドルを調達しました。Galaxy Ventures、Nordstar、SV Angelなども参加しています。
このOrnnは、「GPUのコンピュート(計算力)」を、石油などと同じように「コモディティ」として扱う市場インフラを開発しています。
1800年代後半に、石炭、鉄、綿
1900年代 - 2000年代には、オイルとガス
2025年以降は、コンピュート(計算力)
という流れで、次は計算力が、成熟したコモデティ市場になるいう考えのもと、コンピュート価格インデックス「OCPI」を提供しています。また、複数の事業者のGPU容量を統合する「Ornn Compute」も発表しました。
現在のGPU市場では、価格の透明性が低いため、高額な契約や不透明な条件に縛られるケースが多くあるようですが、Ornnがやっているように、価格インデックス、リスクヘッジ手段、二次市場が整えば、こういった問題は解決され、GPU市場はいわゆるコモディティ市場に成熟します。
2.Orthogonal Is Betting the Agent Economy Needs Better Infrastructure, Not Just Better Models
Orthogonalは、Pantera Capitalがリードするシードラウンドで$4.3Mドルを調達しました。
AIエージェント・エコノミーが発展するには、モデルの性能だけでなく、「エージェント専用のインフラ」が必要であるとし、AIエージェント向けの「発見」「オーケストレーション」「決済」のインフラレイヤーを開発しています。
AIエージェントが必要なサービスを見つけ、複数のAPIを組み合わせ、支払いまで完了できるようにすることが目標です。
現在40以上のAPIと統合しており、今後は数千のサービスへ拡大する計画です。
3.a16z CSX-backed Cambrian raises $6 million seed to build blockchain data oracle network
ブロックチェーン向けデータインフラを開発するCambrianが、シードラウンドで$6Mドルを調達しました。
Franklin TempletonとPolychain Capitalが共同でリードし、Flow Traders、Selini Capital、Paper Venturesなども参加しました。
Cambrianは、機関やAIエージェント向けに、利回り、レンディング市場、その他アクティビティなど、オンチェーンデータを提供するAPIを開発しています。
収益モデルについては、SaaSとしてのサブスクリプションや、エンタープライズ契約、またx402のようなエージェント決済システムから収益を生み出す計画です。
現在はプライベートベータ段階ですが、将来的にはオラクルネットワークへ拡張する計画で、a16z cryptoの研究者と共同で設計されています。
4.Superstate co-founder raises $3.6 million pre-seed for Ground to help fintechs access onchain yield
Superstateの共同創業者が設立したGroundが、Bain Capital CryptoとParaFiが共同リードするプレシードラウンドで$3.6Mドルを調達しました。
Groundは、フィンテック企業や資産運用会社むけに、オンチェーン利回り商品を既存アプリに簡単に組み込めるAPIを開発しています。
独自にブロックチェーン統合を開発することなく、レンディング、ストラクチャード商品、リキッドステーキングなどの利回り戦略を提供できるようになります。
現在はAave、Morpho、Maple、Kaminoなどのプロトコルをサポートしており、Ethereum、Solana、L2ネットワーク上の利回り商品にアクセス可能です。
ビジネスモデルについては、利用量ベースのプラットフォーム手数料によって収益を得る計画です。
予測市場むけの取引ツールを開発するPolysightsが、$1.5Mドルを調達したことを発表しました。
YZi Labs S3、Maven11 Capital、Varys Capital、Contribution Capital、Edge Venturesなどが参加しています。
Polysightsは、予測市場向けのAI分析・執行プラットフォームです。データ分析と自動化ができ、トレーダーが(予測市場における)市場機会を発見できるようになります。
たとえば、アクティブな市場の集約、ウォレット活動の追跡、インサイダー取引の可能性があるパターンの検出、トップトレーダーの分析、AIによる市場インテリジェンスの提供などをします。
さらに、高度なツールや自動売買ワークフローもあるため、市場でのサインをすぐに予測市場での取引につなげることができます。
6.TurboFlow, aiming to be the ‘Kalshi of APAC,’ raises $6 million seed led by Pantera Capital
予測市場とパーペチュアル先物をのプラットフォームTurboFlowが、Pantera Capitalがリードするシードラウンドで$6Mドルを調達しました。Susquehanna CryptoとDigital Currency Group(DCG)も参加しています。
香港を拠点とするTurboFlowは、「APAC版Kalshi」を目指していて、アジア市場に特化した予測市場プラットフォームを開発しています。
KalshiやPolymarketは欧米市場で急速に成長していますが、アジアではまだ十分に普及していないと考えていて、ローカライズと地域密着型の戦略で市場開拓を進める方針です。
現在、ベータ版は6カ月以上運営されており、登録ユーザー数は1.5万人を超え、累計取引高は$19Bドルを突破しています。
7.Exclusive: Index Ventures, Union Square Ventures back trading app Fomo at $550 million valuation
トレーディングアプリFomoが、シリーズBで$75Mドルを調達しました。Index Venturesがラウンドをリードし、Union Square Venturesなどが参加しました。
Fomoは、複雑なオンチェーントレーディング体験をシンプルにすることを目的としていて、ユーザーが30秒以内に口座開設からトークン購入まで完了できる体験を目指しています。
またソーシャルの要素がけっこうあり、トレーダーのランキング、取引フィード、取引履歴をSNSで共有できる機能もあります。
今後は、株式やデリバティブなど、ブロックチェーン上で取引されるあらゆる金融資産へのゲートウェイになることを目指しています。
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