Substackのアプリ
このニュースレターを配信するのに利用しているSubstackですが、先週モバイルアプリが出ました。
普通に読むだけならメールソフトが最適と思いますが、クリプトは複数のニュースレターがあるため、いくつか読んでいるという場合はアプリも便利なのかもしれません。
※現在は iOS のアプリだけになっています。
■ Last Week in Crypto
1.Introducing Espresso Systems
スタンフォード大学の研究者たちが、Espresso(エスプレッソ☕)というプロジェクトを発表し、同時に$32Mドルの資金を調達したことも発表しました。
Greylock PartnersとElectric Capitalが主導し、Sequoia Capital、Blockchain Capital、Slow Ventures、Polychain Capital、Alameda Research、Coinbase Ventures、Gemini Frontier Fund、Paxos、Terraform Labsなどが参加しています。
Espressoの概要
Espressoは、プライバシー重視のブロックチェーンです。PoSのブロックチェーンですが、zkrollupの仕組みを使ってトランザクションを圧縮し、高い性能(つまり低い手数料)を目指します。
またCAPE(Configurable Asset Privacy for Ethereum)というスマートコントラクトアプリを使うことで、トークン作成者が「プライバシーの度合い」を設定できるようになります。
例えば、送信者と受信者のアドレス、所有権などの情報を、「公開する」「非公開にする」「選択した関係者のみ公開する」など設定することができます。
CAPEは当初、ERC20の作成とラッピング、NFTをサポートする予定になっています。
2.Pantera Leads $4M Seed Round for Streamlined Cross-Chain Bridge
クロスチェーンブリッジを開発するSolanaベースの「Swim Protocol」が$4Mドルを調達しました。Pantera Capitalがリードで、Coinbase,Alamedaなどが参加しています。
Swim は、異なるチェーン間でトークン(主にステーブルコイン)を移動するためのシステムです。Wormholeの上に構築されていますが、Wormholeよりも簡単に利用できるようにしています。
特徴
既存のWormholeのブリッジは少し手間がかかります。例えば、USTをWormhole経由でTerra → Solanaに送ると、Solanaで受け取るUSTは「ラップUST」になります。
エクスプローラにも 『wormhole wrapped UST』のように表示される別トークンになります。
これをDeFiで利用するには、大抵の場合は、アンラップしたり交換したりする必要がありますが、Swimを使ってブリッジをするとこのプロセスを省略することができます。
また、実施したブリッジのトランザクションが、今どの段階にあるのかが分かるようになっていて、かゆいところに手が届く仕様になっています。
現在はSolana、BNBチェーン、Ethereumがサポートされていますが、将来的にはAvalanche、Polygon、Terra、FantomなどWormholeがサポートする他チェーンも対応する予定になっています。
またプールのページを見ていると、BTCのブリッジやSwimUSDというステーブルコインもサポートされる予定なのが分かります。
3.WalletConnect raises 11M to build out the messaging layer for Web3
WalletConnectが$11Mドルを調達しました。
USVと1kxが共同リードで、Semantic、A Capital、Coinbase Ventures、Buckley Ventures、Zerionなどが参加しています。
WalletConnectは、ウォレットで利用できるメッセージングのプロトコルを2つ新たに開発していく予定になっています。
2つの新プロトコル
1つ目は、WalletConnectのウォレットがお互いにメッセージをやり取りできるようにするダイレクトメッセージングプロトコルを開発しています。
2つ目は、オフチェーン/オンチェーンイベントを、アプリがプッシュ通知できるプロトコルです。
そしてこれらはモバイルデバイスでも利用できるように開発されているそうです。
トークン
またWalletConnectは、分散化のために独自のトークンをローンチ予定になっています。上記のメッセージングネットワークが、遅延が少なくかつダウンタイムなく使えるようにトークンが利用されるということのようです。そしてWalletConnectのコードは、完全にオープンソースとなる予定です。
4.We collect NFTs, support their creators, and build around their communities.
NFTをキュレーションして集め、NFTコミュニティをサポートするNFTファンド『Curated』が$30M+の資金調達をしました。詳細の情報はありませんが、間もなくローンチをするとのことです。
LP(投資家)は以下のような多くの個人と、FTX, Dapper Labsのような企業が参加しています。
Curatedは、主に以下の2つのNFTを収集していく予定と発表しています。
文化的または歴史的な意義のあるNFT
NFTの新しいカテゴリーや将来性の高いクリエイター、コレクションのNFT
また、クリエイターの収集や支援以外にも、独自の実験をする予定とのことで、今後発表予定とされています。
気候データのための分散型ネットワーク『dClimate』が$3.5Mを調達しました。
CoinFundがリードで、Multicoin CapitalとRepublic Labsが参加しています。ネイティブトークンWTHRとの引き換えに調達になっています。
概要
世界の気候に関するデータは、標準化されていないため、信頼性のあるデータが少ないという課題があるそうです。そこでdClimateはオープンなマーケットプレイスを作って、インセンティブをつけて、データの提供側と利用者をマッチさせます。
天候デリバティブ
ちなみにこのdClimateは、Arbolという保険テック企業の創設者が提案したそうです。今後Arbol社は、dClimateのメイン顧客となり、dClimateのデータを天候デリバティブ商品に使う予定だそうです。
これはいわゆる予測市場というと分かりやすいかもしれません。天気デリバティブを使うことで、天気に左右されるビジネスがヘッジできるようになります。
例えば、除雪のサービスをしている企業が、暑い年は仕事が少なくなるため、リスクヘッジとして、「気温が0度以上の日が20日以上ならば補償される」という天候デリバティブを事前に購入しておく、みたいな具合です。
知り合いからこの前聞いたのですが、エンロン事件で有名なエンロン社は、天候デリバティブのデスクを立ち上げ、それが最も収益性の高いビジネスの一つだったそうです。
CoinFundの投資先
ちなみに今回はCoinFundが投資ラウンドをリードしていますが、CoinFundは、クリプトネイティブというよりは、クリプト外の課題に「P2Pネットワーク+トークンによるインセンティブで取り組む」というプロジェクトが好きのようです。
最近 Bspeak! で触れたプロジェクトでいうと、モビリティのネットワークDIMOや、帯域幅をトークン化してネット接続できるようにするGIANTなどがその例です。Heliumのような成功を想定しているのかと思います。
6.Building the future of decentralized computing and web3
サンフランシスコのファンド Bessemer Venture Partners が、クリプト領域に投資をするファンドを発表しました。規模は$250Mとなっています。
同社は、Shopify、LinkedIn、Pinterestなどにも投資をしてきた老舗ファンドですが、他の大型ファンドと同じようにクリプトに本格参入となります。
またBessemerは、Web3業界の創業者、クリエイター、オペレーターのコミュニティ『BessemerDAO』も立ち上げています。
VCがコミュニティをもったり、コミュニティと密に関わったりするケースはどんどん増えていくと思います。
Altered State Machine (ASM) は、シード資金を調達しました。
ワーナーミュージックグループ、Coinbase Ventures、Delphi Degital、FlamingoDAOなどが投資をしています。
Altered State Machineは、AIとメタバースのプロジェクトで、特にNFTにAIを活かしていくことを発表しています。
ASMプロトコルは、AIを所有したり訓練したりすると、$ASTOトークン報酬が得られるモデルになるようです。またガバナンスもDAOによって決められていく予定です。
8.Polychain Leads $6.85M Investment in ‘Curate-to-Earn’ Project
KurateDAOが、Polychain Capitalがリードで、$6.85Mドルのシード資金を調達しました。
KurateDAOは、Web3アプリのための、コミュニティがキュレーションするブロックチェーンベースのデータベースになっています。
またウェブサイトに『Curate to Earn』と書かれているように、情報をキュレーションすることで報酬を得られるようになっています。適切に情報を揃えるために、キュレーター、スカウト、ビューアーという3つの役割があり、それぞれにインセンティブが与えられます。
現在はEthereumで運営されていますが、マルチチェーンに拡大していく予定です。
9.Space Runners raises $10 million to build a blockchain-backed fashion metaverse
NFTやデジタル・ウェアラブルを創る Space Runners は、Pantera CapitalとPolychain Capitalが共同リードで$10Mドルを調達しました。
Space Runnersは、アーティストやブランドと協力して、ゲーム内アイテムをNFTとして作ります。これらのNFTは、現実世界のイベント参加などにも利用できるケースもあるそうです。
アバターに取り組むスタートアップがここのところ一気に増えてきていますが、「デジタル空間でのファッションが、現実世界と同じくらい重要」と考える人が一定数でてくるのは間違いないと思います。
10.All three units of Sequoia Capital join EthSign's $12 million funding round in first such deal
EthSignが$12Mドルを調達しました。Sequoia Capital、Amber Groupなどに加えて、日本メンバーの Next Web Capital や Miss Bitcoinさんも参加されています。
EthSignは2021年8月2日号でも触れていましたが、DocuSignのようなもので、クリプトウォレット経由でログインし、契約書に署名して管理することができます。
さらにSmart Agreementsという、自動実行される契約も計画しています。例えばフリーランスのエンジニアと契約をし、仕事が完了すると自動的に報酬が支払われる、というツールです。
記事によると、独自トークンを今後ローンチする予定になっています。
Cega Financeが、Dragonfly Capital、Pantera Capital、Coinbase Ventures、Alameda Research、Solana Venturesから$4.3Mドルを調達しました。
エキゾチック・オプション(特殊な条件を加えたオプション)をDeFiで実現するDeFiプロトコルで、豊崎さんという日本の方が共同設立者兼CEOのプロジェクトです。
12.DAO Creation Platform Upstream Raises $12.5M and Launches Publicly
誰でもDAOを立ち上げて運営できるノーコードのプラットフォーム『Upstream』は、$12.5Mドルを調達しました。同時に「Upstream Collectives」も一般公開しています。
Boldstart Venturesがリードし、Ibex Investors、Tiger Global、Vayner Fund、Fenbushi Capital、Panoramic Ventures、Alpaca VC、Human Ventures、 Blumberg Capital、The Medici Groupなどが参加しています。
13.It’s Time for a Unified Multi-Chain Ecosystem
マルチチェーンのブリッジを目指すSocketが、$5Mドルを調達しました。Framework Venturesがリードで、Coinbase Ventures等が参加しています。
数ヶ月前にMovr Networkとして始まり、Socketにブランド名を変更しました。ブリッジ、DEX、DEXアグリゲータを集約して、チェーン間の移動のための流動性レイヤーをすでにローンチしています。
また今回の発表と同時に、Socketを利用した最初のアプリ『Bungee』も発表しています。Bungeeは、チェーン間の移動するのにベストレートを繋げて実施してくれるブリッジです。
今月ニュースレター「Bspeak!」は、Lido にサポート頂きました🏝
Lido は、ETHをEthereum2.0にステーキングできるプロトコルです。
以下の『Subscribe』を押すと毎週月曜6:30に届きます。ご登録ください☕
ぜひシェアお願いします🎉🎉
☕ Twitter:@CoffeeTimesTW
☕ メール:thecoffeetimes871@gmail.com
☕ バックナンバー:
#220 Bspeak! 2022年3月7日号 Paradigm等から$15M調達し、新しい都市/クリプト国家をつくる『Praxis』とは
#219 Bspeak! 2022年2月28日号 Web3コンピューティング『Fluence』
#218 Bspeak! 2022年2月21日号 デジタルIDのプロジェクト『Verite』
#217 Bspeak! 2022年2月14日号 Web3ソーシャルグラフ『Lens Protocol』
#216 Bspeak! 2022年2月7日号 Squeethの『カニ戦略』
#215 Bspeak! 2022年1月31日号 Web3ソーシャルメディア『Solcial』インタビュー
#214 Bspeak! 2022年1月24日号 動いて稼ぐ『Move to Earn』
#213 Bspeak! 2022年1月17日号 ve(3,3) の『Fantomエコシステム配布』
#212 Bspeak! 2022年1月10日号 NFTとDAOとスポーツ
#211 Bspeak! 2022年1月3日号 Arbitrum上のステーブルコインSperax
#210 Bspeak! 2021年12月27日号 Ethereum2.0前の最終テストネット『Kintsugi』
以降もSubstackのアーカイブからご覧ください。