■ Last Week in Crypto
CoinList の創業者が Ecoというスタートアップに移ったことは#146 Bspeak! 2020年10月5日号でも触れましたが、そのEcoが大型の資金調達を実施しました。
a16z をリードとして、Founders Fund, Activant Capital, Slow Ventures, Coinbase Ventures, Tribe Capital, Valor Capital Groupなど大手VCを始めとして、100以上のファンドとエンジェルが参加し、$26 M を調達しました。前回は、Pantera Capital をリードに $8.5 M を調達しているので、合計 $35Mをこれまでに調達しています。
#146号では、Ecoに関しては以下のように書きました。
CoinListのCEOであるAndy Bromberg氏は、CoinListを辞退し、EcoというプロジェクトのCEOになりました。Uberの共同創業者ギャレット・キャンプ氏が、このプロジェクトを支援しています。Ecoは、銀行と同じように利子がつくウォレットアカウントを開設でき、ユーザーは給料の一部を自動でクリプト化し、2.5% ~ 5%の利息を得ることができます。また友達やお店にアプリから支払いができるなど、クリプトとフィンテックを横断するようなプロジェクトです。
そして今回明らかになったのは、預金に対して年間最大5%のキャッシュバックが得られ、AmazonやUberなどでのご利用ではさらに5%のキャッシュバックが受けられるそうです。
これは、金融取引における多くの関係者(銀行、クレジットカード、処理業者など)が徴収している手数料を排除することで実現する、とあります。
またEcoを使って、お金を貯める、使う、友達を紹介する等、何かをするたびに、ユーザはEcoポイントを得ることができます。そしてEcoのビジネスモデルは、「これらのポイントを時間をかけて少しでも有益なものにしていくこと」と記載があります。
ブログ記事を引用すると:
「Amexの役員がAmexポイントで、Chaseの従業員がChaseポイントで給料をもらっている世界を想像してみてください。彼らはどうすると思いますか?彼らはおそらく、(そのポイントの価値を高めるために)顧客のために正しいことをしようとすると思います。そして、その世界が広がったとしたらどうなるでしょうか。そして、その世界が拡大したとしたら、想像してみてください。ポイントシステムが全く新しい経済になるかもしれません。そうなったらどうなるでしょうか?また、AmexやChaseがそのようなことをすることの欠点は何か、どのようにして解決できるのだろうか?これらについては、近日中にご紹介したいと思います。」
最初は、米国のおそらく西海岸で利用可能となり徐々に拡大していくのだと思いますが、今年は多くの人が思っている以上に、米国の一般ユーザへのクリプト普及が速く進むと思います。CoinbaseのIPOによって注目を集め、BakktやEcoのようなコンシューマアプリが火付け役になるはずです。
2.Ethereum's 'EIP 1559' Fee Market Overhaul Greenlit for July
Ethereumの手数料についての改善案「EIP1559」が、7月予定しているアップグレードで実装することにコミュニティコールで合意に達したようです。EIP1559については、先週分を読んで頂ければ理解が進むと思いますが、ポジティブな話です。
これによってガス代が下がるというのは誤解で、EIP1559の主目的ではないので必ずしもスケーリングするとは限りませんが、使い勝手は良くなります。また基本手数料のETHはバーンされるので、マイナーの売り圧も減り、価格的にも上向きになると思います。
3.DAO Investing in NFTs Raises $1.3M From Crypto VCs - CoinDesk
NFT に投資をする DAO 「 Yield Guild Games(YGG)」は、Delphi Digital、Scalar Capital、BlockTower Capital、gumi Cryptos Capital、Ascensive Assets、Youbi Capitalから資金を調達しました。YGGは、投資家の資産をプールして、NFTに賭けて利益を得て、その収益を投資家と共有します。またゲームのプレイヤーを仮想世界に連れてきて、生計を立てるのを支援しながら、未来に投資することを目的としています。
投資したDelphi Digitalのパートナーは、「Yield Guild Games が何かと説明するならば、NFTのアグリゲーター、もしくは NFT にとっての YFI だ」とツイートしています。
さらに先週はNFTの話題がいくつも続きました。ローリングストーンによると、キングス・オブ・レオンはニューアルバム『When You See Yourself』をNFT形式でリリースし、ロックバンドとしては初の試みとなります。このNFTは、YellowHeartを通じて入手可能で、2週間の販売期間中は50ドルの価格で販売されます。YellowHeartではまた、18枚のユニークな「ゴールデン・チケット」を発行し、そのうち6枚はオークションにかけられる予定で、各ツアー中のキングス・オブ・レオンのコンサートの最前列4席を生涯保証するそうです。
またカナダの歌手であり、Elon Musk のパートナーでもあるGrimesは、デジタルアートワークで 20分以内に $5.8M を販売しました。これはNFTプラットフォームの「Nifty Gateway」で販売され、NFT販売による収益の一部は、二酸化炭素排出量の削減を目指す団体「Carbon180」に寄付されることになっています。
またこのNFTの盛り上がりの中、a16z cryptoのパートナー Chris Dixon氏も、NFTについてのブログ記事を出しました。アーティストの経済性を根本的に変えることで、「クリエイターがファンと直接収益化する傾向を加速させる」可能性があることを述べています。
その理由としてNFTが以下3つの方法を可能にするとしています。
中間業者を排除することを可能にする
広告ベースではなく、一般のファンよりも熱狂的な支援者から多くのお金を稼ぐことを可能にする(つまり、一般ウケをねらったり視聴数やページビューの「数字」を集めなくても、熱狂的なファンさえ獲得できれば、収益化することを可能にする、とも言えると思います。)
単なる顧客を、「所有者」にすることを可能にする
メタバース(仮想世界)、クリエーターエコノミー、どちらもデジタルの世界に希少性を保証するクリプトならではあり、大きな市場があります。
ちなみに仮想世界の土地が買われているのを見ると、仮想世界のビルボード(屋外広告)の交渉と支払いを可能にする方法が出てきても不思議ではないと感じます。
4.Introducting Gateway: the open, distributed ledger for cross-chain interest rate markets
Compound は2020年12月に独自チェーン「Compound Chain」を開発することを発表していますが、今回そのプロトタイプである「Gateway」というチェーンを発表しました。色々なチェーンにつながるL2のようなイメージなので、あるチェーンから、別のチェーンの担保に対して借り入れをすることができます。例えば、Polkadot上のDOTトークンを預けて、ETHを借りてEthereum上で自由に使う、というようなことができるようになります。
## Substrateベース
この Gateway(ゲートウェイ) は、Substrate を使ったブロックチェーンです。Substrateを使ったチェーンは、Polkadot上にパラチェーンとして接続することができますが、今のところGatewayがパラチェーンになるということは書かれていません。
フォークやダウンタイムを発生させずにアップグレードが可能な点や、コンセンサス・アルゴリズムの開発ではなく、アプリケーションのコードに集中できるようにするために、Substrateを選んだようです。
## 今後
今後数ヶ月間、コミュニティやバリデータとともに、コードを監査し、ストレステストを実施し、本番稼働を開始します。具体的には、Gateway を Ethereum上のCompoundプロトコルに接続し、Ethereum以外のブロックチェーンにも対応することになります。
5.Derivatives DEX Kine raises $7 million in round led by Alex Pack, Naval Ravikant
Kine Protocol を開発するチームが、Ethereum上でデリバティブのためのDEXをローンチするために、$7M を調達しました。
Dragonfly Capital の元パートナーであるAlexander Pack氏と、AngelListの共同創業者Naval Ravikant氏がリード投資家となって、OKEx、CMS Holdings、Spartan Capital、NGC などが参加しています。
3月中旬にもDEXがローンチされ、今年の第2四半期中には、取引システムをL2(ロールアップ)に移行する予定になっています。
6.Polkadot-based decentralized insurance protocol Tidal Finance raises $1.8 million in a token sale
Polkadotを利用したDeFi保険を開発する Tidal が、プライベートのセールで$1.8Mを調達しました。Tidal の概要は以前書いているので、そちらもご覧ください。
このラウンドは、Polkadotの共同創業者Robert Habermeier氏が創業したベンチャーキャピタルである Hypersphere Ventures のほか、Spartan Capital、Kenetic Capital、QCP Capitalなどが参加しています。
保険のマーケットプレイスで、ユーザーはDeFiプロトコルに対抗する保険を売買できるようになります。保険(カバー)を買うのは、攻撃など万が一のために保険をかけたい人です。反対に保険を売る側は、流動性を提供する人で、金利とTidal (TIL)トークンを得ることができます。そしてTidalは、このカバーの売り手から「取引手数料のわずかな割合」の受け取るというモデルになるようです。
Tidal はまた、Ethereum 2.0 など PoSのチェーンに対応した保険も計画していて、スラッシュのリスクに対する保険を購入することができるようになります。(ノードが何かの不具合などでダウンタイムを発生してしまったりなど、ネットワークを維持するための仕事をできなかったときに、ステーキングしているトークンが没収されることを一般的にスラッシュと言います)。今後はパブリックセールも計画していて、3月中旬にはテストネット、4月中旬にはメインネットがローンチ予定になっています。
またDeFi保険の話題でいうと、Unslashed という保険プロジェクトが $2M を調達しました。Lemniscap、P2P Capital、Bitscale Capital、ChainLayerなどが参加しています。
Unslashedは、ETH2.0ステーキングをサポートする Lido (Bspeak!148号参照)をカバーしたり、Techemy Capital などのクリプトファンドにカバーを提供しています。また主要なDeFiプロトコル(Uniswap、Compound、ParaSwap、Kyberなど)のカバーも利用可能になっています。
まだ保険の支払いが行われたことはありませんが、保険を出すべきかの論争が起きた際には、Ethereum上の論争解決のプロトコル「Kleros」が使われます。Klerosは分散型裁判所とも呼ばれるプロジェクトです。
7.UMA Airdrop Recipient Addresses.
以前、オンチェーン情報に連動する新しいエアドロップ手法について書きましたが、そのUMAエアドロップの対象が発表されました。このエアドロップは、UMAプロトコルを使った新しい仕組みで、それをUMA自身がまず実施するという形になります。
以下が対象になっています。
(a)UMAコミュニティ
投票済み、またはUMAを使った合成資産を発行済みアドレス - 120オプション
ウォレットに10ドル以上の$UMAを保持する - 60オプション
UMA Discord参加者トップ50 - 100オプション
各オプショントークンは、6 月末時点の UMA の TVL に応じて、0.1 UMA から 2 UMA で交換することができます。
(b).Yearn、Yam、Sushi、BadgerDAO、Balancer のガバナンス参加者
これは snapshot で行われたガバナンス投票に参加した場合に適用されます。この対象アドレスは、一律で90オプションまで配布されます。こちらのオプションについては、以下の表で交換レートが変動します。
例えば今くらいの価格(UMA=$25)を維持したとして、TVLが6月末時点で目標である $2000 Mを超えると、$4500 の価値のエアドロップになります。
試しに UMA を使って作られている合成資産と、そのためにロックされている価値は、以下に並べてみました。合計するとTVLは、$80 M 前後なので、目標達成には25倍になる必要があります。 uGASトークンについては以前書いていますが、このような合成資産を作るプロジェクトが、他にいくつ出てくるか次第かと思います。
目標達成しなくても、近づくほどに交換レートは高くなります。したがって既にトークンが流通しているプロジェクトでは、このようなオプション型のエアドロップは、コミュニティとプロジェクトのインセンティブを揃えるという意味で素晴らしいアプローチだと思います。
8.USV Leads Round in Matter Labs as Ethereum Scaling Wars Intensify - CoinDesk
Ethereumの「zkSync」を開発した Matter Labs は、Union Square Ventures(USV)がリードのシリーズAで資金調達をしました。金額は非公開になっています。
このラウンドには、Coinbase、Aave、Curve Finance、CoinGecko、Balancerなど、zkSync の実装を検討しているプロジェクトが参加し、またPlaceholder、1kx、Dragonfly Capital などのVCも参加しています。
Ethereumのスケーリングソリューション間の競争が激化する中ですが、Argentなど多くのウォレットが、zkSyncを統合している段階にあるそうです。またいくつかの取引所も、zkSyncを統合する可能性が高いと言われています。
9.Moola Raises $1.4m Seed Round.
Celoの上で、利回りを得ることのできるアプリ「Moola」は、$1.4 Mドルのシードラウンドを完了しました。
Polychain Capital、Flori、Davoa Capital、エンジェル投資家のNaval Ravikant、Casey Neistat、Jack Herrick、Josh Hannahなどが出資しています。YouTuber で有名な Casey Neistat の名前が入っているのに少し驚きました。
Moola はモバイル重視であることが特徴で、貯蓄者が利回りを得て、借り手が資金を借りることができます。まず CeloのステーブルコインであるcUSDと、ネイティブトークンであるCELOの所有者に、利回りを提供しています。
LazyLedger が $1.5 M のシード資金調達を完了しました。投資家は、Interchain Foundation、Binance Labs、Maven 11、KR1、Signature Ventures、Divergence Ventures、などが参加しています。
今回の資金で、今年末までにテストネットを、2022年末までにメインネットをローンチできる予定で、将来的に独自トークンを発行する予定になっています。
LazyLedger は、接続が容易なコンセンサス&データレイヤーを開発しています。コンセンサス部分をLazyLedgerに任せ、誰でも素早くブロックチェーンを立ち上げることができます。アプリケーションに特化したブロックチェーンを、AWSの仮想マシンを立ち上げるのと同じくらい簡単にデプロイできるようになることを目指しています。
LazyLedgerには、オンチェーンのスマートコントラクト環境がないため、すべての実行はOptimistic Rollupなどを使ってオフチェーンで行われます。コンセンサスとプログラム実行を分離することで、よりブロックチェーンをモジュール化することを目指します。
特徴をまとめると、
仮想マシンのような仮想実行環境を簡単に定義できる
各アプリは、LazyLedgerのコンセンサスのセキュリティを継承しながら、独自でプログラム実行レイヤーを持てる
メインチェーンのハードフォークがなくてもアプリケーションの更新が可能
となります。ここまで書いて思うのは、PolkadotでいうSubstrateが担う役割にとても似て見えます。
## インターチェーン財団との連携
LazyLedgerは、Cosmosのコア開発をしているInterchain Foundationと協力し、Cosmos SDK にOptimistic Rollupを導入するそうです。これによって、何かを作りたい開発者が、Tendermintを使ったPoSを新たに作るのでなく、コンセンサスにLazyLedgerを使用するブロックチェーンをCosmos SDKで構築できるようになります。
これにより、Cosmosのゾーン(チェーン)が、ブロックチェーン間通信(IBC)によって互換性をもち、LazyLedgerでシェアード・セキュリティを得ることができるようになります。
そう考えると、大枠的に Substrate + Polkadot と同じ利点になります。Polkadotのパラチェーンスロットが高価になってきていることを考えると、そこに需要がでてくるのかもしれません。
11.https://blockchain-core.com/recap-ama-bccore-with-parastate/
以前 Bspeak!で少し触れたParaStateですが、AMA(質疑応答)の記事が公開されました。
個人的にブリッジの技術やマーケットには注目していて、 ParaState もその分類で見ていますが、AMAは勉強になったので DeepL + 少し手直しした翻訳を共有します。
※ちなみにBspeak!でも3年前に、現在 Swingby のファウンダーである千賀さんにインタビューをして記事を載せたことがありますが、今後そういった企画をもっと実施していこうと思っています。
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Q1: 簡単に自己紹介をお願いします。
マルコ・チェンです。私は2016年からブロックチェーン技術のアーリーアダプターであり、ビットコインのマイナーです。ビジネスと金融の学位を持ち、スタンフォードの経済学やコンピュータサイエンスなどのプログラムにも積極的に参加しています。2018年には、たった月額20ドルのコストのノードで、libp2pとSSBプロトコルを使用し10,000人のチャットをリレーする分散型のMedium っぽいプロダクト 「Ticktack」 を作りました。このプロジェクトで、ブロックチェーン業界のインフラに深く飛び込んで学ぶことができました。その後、今日話しているプロジェクト「ParaState」をはじめました。
Q2. Parastateプロジェクトの概要を簡単に教えていただけますか?
ParaState は EthereumのサポートやツールをPolkadot のエコシステムにもっていくことを目的としています。今でも EVM アプリケーションとの下位互換性はありますが、さらに LLVM と WebAssembly の開発者コミュニティをPolkadotエコシステムに取り込むことで、Ethereumプロトコルの将来性を確保しています。次世代のWeb3アプリケーションのワンストップ開発プラットフォームとして最適になります。これが「ステロイド上のEthereum」という開発環境です。
Q3: アプリケーションと開発者にとって、EtheremとPolkadotの架け橋となる機能のようですが、どのように動作しますか?
ParaState のコアな技術・強みは、仮想マシンレベルにあって、Polkadotでは vm-pallet(VMパレット) と呼んでいます。仮想マシンは、ブロックチェーンのコアとなる部分であり、スマートコントラクトを実行するランタイム環境のことです。コンピュータ上のOS(オペレーション・システム)のようなものです。
EVM と EWASM(Ethereum favored WebAssembly)の両方をサポートしているのは、今のところ Polkdadot エコシステム内では、ParaState が唯一のプロジェクトです。これらの2つのインフラは、お互いに話をすることができ、同じアカウントシステムを共有しています。
Q4: ParaState は複数のプログラミング言語をつかって、Ethereum互換のスマートコントラクトを書ける、Polkadotで高速に動作させることができるとのことですが、コミュニティにとっての主な利点は何ですか?
コミュニティとは、開発者コミュニティのこととして話します。ParaState は、開発者がEthereumネイティブ言語(SolidityやFeなど)を使ってスマートコントラクトを書くことをサポートするだけでなく、LLVM標準をエコシステムに持ち込むことで、Rust、C/C++、Javaなどの20以上の一般的なプログラミング言語や、FacebookのMoveのようなドメイン固有の言語をサポートすることができます。これにより、より広範な開発者コミュニティを統一し、クロスチェーンソフトウェアのポータビリティ(移行のしやすさ)を高めることができます。
さらに、ParaState はすべてのEVMアプリケーションと下位互換性があります。これにより、Remix、Truffle、Infuraなど、現在Ethereum上でサポートされているすべてのツールが可能になり、ParaState上での開発を最初からサポートすることも可能です。これが ParaStateが、Ethereum <=> Polkadot間のアプリケーションと開発者のエコシステムの架け橋となるという理由です。
Q5: ParaState は現在のPolkadotと比べてどうですか?
この質問はParaStateが、Ethereum互換性を提供することを目的としている他のプロジェクトと比較してどうなのか、ということですよね?現在、私が知っているのは、Moonbeam、Plasm、Clover もEthereum互換性の提供を目指しています。これらのプロジェクトの中で、自分たちでゼロから仮想マシンパレットを構築しているのは ParaState だけです。
他のプロジェクトは、それぞれのパラチェーンに、EVMパレットを組み込んでいるだけです。このEVMパレット(Substrateフレームワークで実行できるようにするための修正版SputnikVM)はParityによって開発されています。もっというと、EWASMのサポート準備ができているのは、ParaStateだけです。
ただ、Moonbeam、Plasm、Clover などのプロジェクトや、競争相手というよりも協力者のようなものだと言った方がいいでしょう。ParaState は彼らのブロックチェーンにEWASMを統合するのを支援することができるので、彼らは高性能なランタイムインフラを手に入れることができ、ユーザー体験を向上させることができるので、ParaStateも同様に利益を得ることができます。
5年の開発期間を経ても、ブロックチェーン業界ではEVMがVMの市場シェアを独占しているようです。そこで私たちの主な目標は、EWASM のインフラを、十分に浸透させることです。EWASMは実は2019年のEthereum財団の公式ロードマップでした。私たちは社内の開発部隊によってそれを満たし、ETH2.0のロードマップを1年先取りしているだけなのです。
Q6:重要なトークンの質問ですが、トークンの配布計画を共有することができますか?またエコシステムにおいてトークンはどのような役割を果たすのでしょうか?
ネイティブのParaStateトークンはSTATEと名付けられています。STATEトークンは発行され、ネットワークをセキュアにするノードオペレータに配布され、トランザクション手数料(ガス)として要求されます。
STATEトークンは供給量が決まっています。そしてガスとしてネットワークに支払われ、一部がバーンされます。これにより、STATEの総供給量は、時間の経過とともに減少していきます。ParaState上に展開されたアプリケーションも、STATEガスから報酬を得ることになります。トークノミクスの最終版は、メインネット稼働の前に完成する予定です。
Q7:Parastate次期プラットフォームの開発で何が起こっているのか、現在のParastateロードマップなど、詳しく教えていただけますか?
Testnetは3月中にリリースされる予定ですが、理想的には3月の第一週目の終わり頃になると思います。
テストネットに参加してバグを発見したユーザーには報酬プログラムを用意しています。ご期待ください。
Q8: ParaStateの主要な競合他社はどこですか?
これについてはQ5で少し答えたと思いますが、もう一度話してみます。Ethereumは、5年の開発がされていて、まだ No1 のパブリック・ブロックチェーンですが、アプリケーションがそれにデプロイされても、パフォーマンスは限られていたり、安全ではないプログラミング言語で実行されています。では
どのように問題を解決するでしょうか?
1つ目のアプローチは、Solana(wormwholeブリッジ)、Near(レインボーブリッジ)、Polkadot(Snowfork/Interlay経由のブリッジ)のように、Ethereumからより高いパフォーマンスのチェーンにアセットを転送するためのブリッジを構築することです。このアプローチでは、新しいチェーン上でアプリケーションを構築するために新しいプログラミング言語を使用する開発者が依然として必要となるため、上記の問題を完全に解決することはできません。
2つ目のアプローチは、既存のEthereumアプリケーションにシームレスな互換性を提供することです。Moonbeam、Plasm、CloverはPolkadotエコシステム内のプロジェクトで、ここを目指しています。
では、ParaStateのアプローチはどのように違うのか?
既存のすべてのEthereumアプリケーションにシームレスな互換性を提供するためにEVMパレットをサポートする一方で、ParaStateは次世代のスマートコントラクト実装環境である EWASM(Ethereum favored WebAssembly)を開発者に提供しています。
このEVMとEWASMという2つのインフラは、ParaState上で互いに話をし、同じアカウントシステムを共有することが保証されています。これが ParaState が開発者コミュニティに提供する差別化要素であり、エンタープライズ標準のインフラの乗り換えを可能にし、Ethereumは新しい可能性を探求することができます。
もう一つのライバルは、Ethereum のレイヤー2のブロックチェーンかもしれません。そこで我々の価値提案が、どのようにレイヤー2のプロトコルよりも優れているかをこの記事にまとめました。
Q9: Web3財団から助成金や支援を受けたことがあるようですが、詳しい情報を教えてください。
Web3 Foundationから、Ethereum favored WebAssembly(EWASM)仮想マシンをPolkadotのエコシステムに導入するための助成金をいただきました。
仮想マシンは、パブリックブロックチェーンの重要なインフラです。これにより、一般のユーザーは、トラストレスなコードをスマートコントラクトの形でブロックチェーンプラットフォームに提出し、リソース消費に基づいてその実行の対価を支払うことができるようになります。
Ethereum favored WebAssembly(EWASM)仮想マシンは、来るべきEthereum 2.0プラットフォームで、支配的な仮想マシンになると考えられています。
Web3 Foundationの助成金を通じて、私たちは WebAssembly 仮想マシンである SSVM Ewasm パレットの拡張機能を作成します。これらの拡張機能により、SSVMは、Ewasm仕様に準拠したブロックチェーン仮想マシンとして機能し、SubstrateモジュールとしてSSVMをブートストラップしてロードするために必要なソフトウェアになります。
この SSVM-Ewasm Substrateモジュールにより、開発者はPolkadotエコシステム内でEthereumスマートコントラクトをデプロイして実行できるブロックチェーンを作成できるようになります。
つまり、EthereumエコシステムとPolkadotエコシステムの両方に付加価値を与えることになります。Ethereum開発者はアプリケーションをデプロイする際の選択肢が増え、Polkadotエコシステムは大規模なEthereum開発者やツールコミュニティの取り組みを直接活用できるようになります。
Q10: Go to Market戦略について教えてください。
普及にむけて、2つの大きなアプローチがあります。
1つ目は、自分たち自身で、Substrateブロックチェーンを構築することです。ParaState は独立したSubstrateブロックチェーンとして開発され、最初はパラスレッドを通じてPolkadotと相互作用することになります。
※パラスレッドはオークション参加してパラチェーンとしてPolkadotにつながるのでなく、ブロック単位でPolkadotにつながる方法です。
これは、安全性と経済性の両方から合理的にレイヤー1プロジェクトを立ち上げるにはどうすればよいか、という観点から生まれたものです。
もしあるプロジェクトが、パラチェーンのオークションに参加する際に、トークン報酬が少なく設定すると、DOTホルダーはDOTのステーキング報酬と比べてしまうため、DOTホルダーの支持を集めることができません。
このジレンマを解決するために、ParaStateは、まずパラスレッドを介してポルカドットと相互作用する独立したのブロックチェーンとしてローンチし、初期段階ではアプリケーション基盤をのせることに注力します。
ParaStateは、EVMとEWASMの両方に対応しているため、メインネットが稼働したら、流動性を持ち込むために、レンディングプロトコル、DEX、データフィードのオラクルなどのDeFiインフラを内蔵することができます。そしてParaStateネイティブトークンであるSTATEが、安定し適正な市場価格をみつけたら、パラチェーンのオークションに参加することができます。
2つ目のアプローチは、他のすべてのSubstrateブロックチェーンやEthereum互換性を提供するプロジェクトに対して、SSVMパレットのライセンスをオープンにすることです。
私たちの技術チームは、SSVM EWASM パレットを Substrate エコシステムに移植する Web3 助成金を達成するために努力しています。
私達は、Substrate エコシステム全体において、最初の利用可能な EWASM パレットになるでしょう。
Web3の公式データによると、独自のSubstructateブロックチェーンを構築するために開発中のプロジェクトは100以上あります。これらのプロジェクトはすべて、SSVMパレットをコアランタイムパレットとして統合するために当社のパートナーになることを歓迎しています。
このようなコラボレーションのために、私たちは pay-as-you-used(PAYU) ビジネスモデルを実装します。これは、SSVMパレットをその基盤となるブロックチェーンに統合したいと考えているプロジェクトは、先行の導入費用がかからないというモデルです。
我々は、SSVMパレットを介した各スマートコントラクトのトランザクションに対して、ライセンス料としてわずかな%のガス代を請求するだけです。パートナーは、ParaStateから高性能なランタイムインフラ/開発ツール/開発者コミュニティを得ることができます。
これらのライセンス料は、利用しているブロックチェーンのネイティブトークンで収集され、その集まったライセンス料をオープンマーケットで、自動で定期的にSTATEに変換します。
そのため、STATEの価値は、私たちのコア技術であるSSVMパレットが広く採用されたときに、色々なチェーンのトークンによって、買われることになります。
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#126 Bspeak! 2020年5月18日号 ETH2.0テストネットSchlesi / PoSの自主規制ガイドライン
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#124 Bspeak! 2020年5月4日号 ETHステーキングでKEEP報酬/UMAのInitial Uniswap Offereingの結果
#123 Bspeak! 2020年4月27日号 スマートコントラクトで10倍レバレッジのデリバティブを実現するdYdX / Coinbaseが提供するオラクル
#122 Bspeak! 2020年4月20日号 Opynプットオプションの使い方/ Binanceスマートチェーン発表/ Microsponsorsをつかった商取引(Part2)
#121 Bspeak! 2020年4月13日号 Microsponsorsを使った商取引(Part1) / シカゴDeFiアライアンス
#120 Bspeak! 2020年4月6日号 Makerの分散化に向けた最終ステップ
以降もSubstackページからご覧ください。