ティール・フェローシップ
今年もティールフェローシップに20名が選ばれました。ピーター・ティールの財団が実施しているもので、22歳以下の若者に「大学をドロップアウトすることを条件に、2年間で100,000ドルを支給し、起業を支援する」ものです。
クリプト分野でも過去に受賞者がいて、Ethereumを作ったときのVitalik Buterin氏が2014年に選ばれ、2018年に Polkadotの Robert Habermeier氏、その後Immutable の創業者や、Dark Forest の創業者が選ばれています。
今年はエネルギー生産、遺伝子、AIなどの広い分野で選ばれていますが、クリプトでは Succinct の創業者が選ばれています。
Succinctは、zkpを使った安全なブリッジを研究開発しています。IBCのアプローチを使って(検証するのが簡単な)証明を生成して、それを送信先チェーン側のライトクライアントが効率的に検証できるようにする、というものです。
テストネットでデモが出ているので、試してみると良いかもしれません。
■ Last Week in Crypto
1.Modular blockchain Dymension raises $6.7 million in private token round
モジュラー型ブロックチェーン「Dymension」が、$6.7Mドルを調達しました。Big Brain HoldingsとStratosがこのラウンドをリードして、Matchbox DAOなども参加しています。
Dymensionは、アプリ専用ブロックチェーン「RollApps」を、開発者が簡単に作れるようにするプラットフォームです。そしてEVMやCosmWasmと互換性を持ち、DAレイヤーにはCelestiaを活用しています。
構造をモジュラーに分解して見ると、
実行 → RollApps
セトルメントとコンセンサス → Dymension Hub
DA → Celestia
となります。
そのためDymension HubはL1で、RollAppsはL2、という見方もできます。そしてDymension Hubの部分がネットワークとなりトークンが利用されます(この部分にネットワーク効果をもちます)。
このようなモジュラー型の話は、先週のポッドキャストで話しているので、ぜひ聞いてみてください。
Dymensionは、今週2月15日にテストネットが開始され、今年のQ2にはインセンティブ付きのテストネット、Q3にはメインネットを予定しています。
Webacy は、$5Mドルを調達しました。投資家には、gmjp、Mozilla Ventures、Soma Capital、DG Daiwa Ventures、Quantstampなどが参加しています。
Webacyはセキュリティサービスで、以下のような機能を自分のアドレスに追加することができます。
ハッキングの際に、別のウォレットに資産を一括送信できる「パニックボタン」
リアルタイムでウォレット監視してメールなどに通知
キーやシードフレーズを紛失したときのバックアップ
死亡の際に、資産を指定したアドレスに送る「クリプト遺言」
現在のビジネスモデルはサブスク型で、年間$100ドル、もしくはNFTを買うと無料アクセス、となっています。
3.VRRB Labs raises pre-seed round at $20 million valuation as it builds its own Layer 1
新しいL1チェーンVRRB(発音はバーブ)は、$1.4Mドルを調達しました。Jump Crypto、Big Brain Holdings、Taureonが参加しています。
VRRBは、開発者に優しいブロックチェーンとして、プログラミング言語にとらわれないL1を開発していて、最初のベータテストネットは来月に予定されています。
4.Web3 music platform Vault raises $4 million Series A led by Placeholder VC
音楽プラットフォームVaultは、$4Mドルを調達しました。Placeholder VCがリードしています。
Vaultは以前Flickという「モバイルDiscordプラットフォーム」としてシード資金を調達した後、2021年にピボットし、Solana上で音楽NFTをリリースできるプラットフォームを開発しています。
Vaultは、ユーザがクリプトのことを知らなくても使えるUI/UXを開発しています。今後はサードパーティがVaultを利用できるように開放される予定です。
ちなみにSolanaエコシステムは、FTX事件で影響をうけたものの、非EVMエコシステムとして、他のL1とは違ったユニークなエコシステムができている印象です。モバイルなど新しいことにも取り組んでいて、今回のVaultのリード投資家であるPlaceholder VCも、Solanaをかなり積極的に支援し始めています。
5.Mino Games raises $15M to create Dimensionals Web3 game
Mino Gamesが、$15Mドルを調達しました。Standard Cryptoがリードし、Boost VC、Collab Currencyなどが参加しています。
Mino Gamesは、2011年に創業し、スマートフォンゲームの黎明期にa16zなどから調達しています。そして無料ゲームを何本も成功させています。
そして今回は Dimensionals というweb3ゲームを立ち上げるために調達しています。
「ポケモンとマーベルを足したようなもの」と説明されていますが、「Free-to-Own」のRPGゲームだそうです。つまりNFTを無料で配るタイプで、現在はホワイトリストへの応募をすることができます。
6.SPACE ID Closed $10M Strategic Round Led by Polychain Capital and dao5
分散型IDとしてのドメインを開発している SPACE ID は、$10Mドルを調達しました。Polychain Capitalとduo5がリードになっています。
SPACE IDは、ENSのように暗号通貨アドレスとして使える .bnbドメインを開始していて、現在184,000のユニークホルダーがいます。
また先週はArbitrum上のドメインである「ARB ID」との合併を発表し、近々.arbドメインの事前登録を開始する予定になっています。このようにクロスチェーンのドメインを今後もすすめていくようです。
7.Sam Altman’s Worldcoin targets sovereign funds for latest raise as OpenAI booms
Worldcoinが、昨年と同じ評価額($3Bドル)で最大$120Mドルの資金調達を考えているという記事です。関係筋によると、株式 + トークンのワラントによる調達の予定です。
Worldcoinについては以前Bspeak!でも書いていますが、「眼球をスキャンして暗号通貨を配布する」プロジェクトです。
話題のChatGPTの企業「OpenAI」を創業したSam Altman氏が、2020年に立ち上げたプロジェクトでもあります。
トークンが今年の前半にローンチ予定になっていて、世界中のできるだけ多くの人々に配布することを目標としています。
8.Bitkraft, Fabric Ventures lead $6.5 million round into web3 loyalty platform
Cub3(発音はキューブ)が$6.5Mドルを調達しました。BitkraftとFabric Venturesがリードで、CMT Digital、Red Beard Ventures、Geometry Labsなどが参加しています。
Cub3を使うと、ブランドがロイヤリティのプログラムを作って「ユーザの特定のアクションに、トークンで報酬を与える」ことができます。
例えば、ブランドに関するツイートや、TikTokに踊っている動画をアップロードするとトークンを渡す、などです。そしてトークンは、限定コンテンツや割引商品などの特典と交換することができます。
音楽分野で何度か利用されていて、今後はチャリティ、スポーツ、小売などでキャンペーンを予定しているそうです。
9.Sesame Labs raises $4.5M to help improve web3 marketing tools
Web3マーケティングのプラットフォームSesame Labsは、$4.5Mドルを調達しました。
Wing Venture CapitalとPatronのリードになっています。
web3プロジェクトがマーケティングのキャンペーンを管理できるツールで、web3用の広告や、顧客管理などをすることができます。
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☕ バックナンバー:
#268 Bspeak! 2023年2月6日号 zkロールアップ as a service
#267 Bspeak! 2023年1月30日号 AR + マイクロチップ + クリプト
#266 Bspeak! 2023年1月23日号 AIとweb3のゲームプラットフォーム
#265 Bspeak! 2023年1月16日号 新しい「クリエーター・トークン・コントラクト」でできること
#264 Bspeak! 2023年1月9日号 コミュニティ・ロイヤリティ
#263 Bspeak! 2023年1月2日号 2023年のEthereum・インフラ
以降もSubstackのアーカイブからご覧ください。