Nansen Connect
データ分析プラットフォームNansenが、「Nansen Connect」というメッセージングアプリのベータ版を公開しました。Nansenの有料ユーザーと、Bored Ape Yacht Club、Hashmasks、DoodlesなどのNFTホルダーにのみ開放されています。
Ethereumアドレスにメッセージを送れるだけでなく、DiscordのようにNFT所有者だけのグループに参加できたり、NFTの統計情報をみれたりできるようになる予定です。
a16zなどから$20Mを調達したWeb3向けメッセージングプロトコルXMTPや、Notifiなど、メッセージングに参入するところも増えてきました。
■ Last Week in Crypto
1.Decentralized science platform Molecule raises $13 million in seed funding
バイオ科学研究プロジェクトがDAOを通じて資金調達をすることができるプラットフォーム「Molecule」が、$13Mを調達しました。バイオテクノロジーのVCであるNorthpond Venturesがリードで、Backed VC、Shine Capital、Speedinvest、Balaji氏(元Coinbase CTO)などが参加しています。
DeSciについて
最近、分散型科学(DeSci)と呼ばれる分野のプロジェクトが少しずつ増えてきています。ちょうど先週日経新聞でも取り上げられていました。
DeSciとは、トークンやDAOなどを利用して、「科学的な研究の資金をクラウドファンディングで集めて、所有権も分散化し、民主化していく」というムーブメントと言えます。
今回資金調達をしたMoleculeも、DeSciを推し進めるプロジェクトです。創業者は「もしインスリンが糖尿病患者によって共同所有されて管理されたら、薬の値段や入手方法、コミュニティでの情報共有の形が変わる」と、例をあげています。
Moleculeのプラットフォーム
Moleculeは、研究者がプロジェクトの知的財産を、NFTとしてリストでき、資金調達ができるプラットフォームです。このNFTは、IP-NFTとして標準化されています。
現在は、ニューカッスル大学の分子老化に関する研究や、コペンハーゲン大学の長寿に関するプロジェクトが、資金調達を完了しています。
いまは資金調達のほとんどはVitaDAOというDeSci系のDAOから行われていますが、今後はMolecule自身がバイオテクノロジーDAOのためのアクセラレータを始め、$100,000ドルのシード投資をしていく予定になっています。
IP-NFTの仕組み
上で書いた IP-NFT は、知的財産の権利のためのNFTです。データへのアクセス制御としても利用できます。
バイオ科学の研究者がIP-NFTを利用することの利点は、早期に特許取得したり起業したりせずに、資金調達できることですが、患者などのホルダーと直接関わったり、他の研究者と協力できることも期待されています。
2.AR company Kaleidoco announces $7 million seed funding round
AR企業であるKaleidocoは、$7Mドルのシードラウンドの完了を発表しました。
投資家には、Animoca Brands、GameFi Ventures、Gemini、Jane Street、Adit Ventures、Merit Circle、Nexo、HexTrust、SuperChain Capital、The Seelig Groupが含まれています。
webサイトによると、複数のユーザーが同時にAR体験を見ることができるアプリケーションなどのツールを開発しているようです。
そして、ARを使ったインタラクティブなNFTであったり、ARを使った新しいブロックチェーンゲームが可能になる予定です。
3.Zero-knowledge proof startup zCloak Network raises $5.8 million
zCloak Networkは、$5.8Mドルを調達しました。
Coinbase Ventures、Jump Capital、Bixin Ventures、Matrixport Ventures、DFG、Sancus Ventures、KuCoin Ventures、Sanctor Capital、Hash Globalが投資をしています。
zCloak Networkは、「パブリックブロックチェーンに対してゼロ知識証明を提供するサービス」と自称しています。
ユーザーは、DeFi、ID、生体認証アプリなどを使うときに、個人データを共有することなく特定のことを証明することができるようになります。独自のオラクルサービスを使って、主要なブロックチェーンで利用できるようになる予定です。
4.Web 3 Service Provider ScienceMagic.Studios Raises $10.3M From Coinbase Ventures, DCG, Others
NFTとソーシャルトークンの作成とアドバイスを行うScienceMagic.Studiosが、$10.3Mドルを調達しました。
Liberty City Ventures、DCG、Coinbase Ventures、Noam Gottesman、Alan Howardから調達しています。
このScienceMagic.Studiosは、3社(ScienceMagicと、RealVisionの創業者、Delphi Digital)によるベンチャー企業です。NFTを検討している企業に対して、ブランディングからトークン作成まで支援します。
今回の資金調達は、ブランドがWeb3に進出してきている状況で事業拡大を狙うためで、特にファッションの有名ブランドが進出していることに注目しているそうです。
最近は多くのファンションブランドがNFTでなにかやりたい発表をしていて、例えばKanye WestのブランドがNFT進出を示唆する商標出願をしていますし、プラダもNFTを発表しています。
また先週、デジタルファッションのNFTスタートアップSKNUPSも、$3.5ドルを調達しました。同社はドルチェ&ガッバーナとの契約を発表し、デジタルファッションの収集品をオンラインゲームに導入するとしています。
5.Meta partners with Balenciaga, Prada, and Thom Browne and launches digital fashion marketplace
こちらもデジタルファッションの話題ですが、Meta(旧Facebook)はデジタルファッションのストアを立ち上げると発表しました。
同時に、3つのブランド(バレンシアガ、プラダ、トムブラウン)と提携し、ファッショナブルなアバターを販売するとも発表しています。
この機能は、今後数カ月のうちにInstagram、Facebook、Messengerに導入される予定になっています。
長期的な目標としては、「マーケットプレイスをクリエイターに開放して、新しい服をデザインできるようにする」こととマーク・ザッカーバーグが話しています。
6.Sequoia leads pre-seed funding round for crypto payments startup Nume
クリプト決済スタートアップであるNume Cryptoが、$2Mドルを調達しました。
Sequoia Capital Indiaがリードし、BeenextとWhiteboard Capitalが参加しました。Polygonの共同設立者Jaynti氏、元Coinbase CTOのBalaji氏など複数のエンジェル投資家も参加しています。
Nume Cryptoは、NumePayという決済プロセッサ(およびウォレット)を開発中です。ユーザはクリプトを入金することで、対応する企業で買い物できるようになる予定です。
Nume Protocolという独自のL2を作っていて、トランザクション手数料はほとんど0で利用でき、ETHとERC20トークンの支払いがサポートされます。今年のQ4にローンチ予定になっています。
7.’Stripe for NFTs’ NFTPort Raises $26M Series A
NFTインフラのスタートアップであるNFTPortは、Taavet+StenとAtomicoが共同リードで、$26Mドルを調達しました。またProtocol Labs、Polygonの共同設立者、Polkadotの共同設立者なども参加しています。
NFTPortは、NFTを使うアプリケーションをすぐに立ち上げられるよう支援するプロダクトです。NFTのためのAWSと説明されていて、すでにNifty Gateway と Protocol Labs などが利用しています。
データ、ミンティング、偽造検出のためのAPIが用意されていて、
データAPIは、EthereumやSolanaからNFTデータをとってくる
ミンティングAPIは、スマートコントラクトのコードを書かずにNFTスマートコントラクトを管理、カスタマイズできる
偽造検出APIは、NFTが以前に発行されたものでない(偽造でない)ことをチェックできる
という機能を持ちます。
無料でも利用できますが、多くAPIリクエストする場合は月額$49ドル、というビジネスモデルになっています。
Alchemyのようなweb2.5的なサービスですが、分散型のNFTプロトコルも計画しているそうです。
8.BitCraft developer Clockwork Labs raises $22M Series A led by a16z
MMORPGゲーム「BitCraft」を開発するClockwork Labsが、a16zをリードに$22Mドルを調達しました。過去の投資家にはUnity共同設立者などがいます。
BitCraftは、「多人数参加型コミュニティサンドボックス」と言われるゲームで、1つの世界の中で全プレイヤーが協力するゲームです。
建築したり、貿易したり、協力して新しい帝国を作ったりと、何をするかはプレイヤーの自由というコンセプトです。現在はプレアルファ版になっています。
9.Words With Friends Co-Founder Raises $46M for Web 3 Game Studio
Playful Studiosというゲーム会社が、新たにWeb3子会社「The Wildcard Alliance」を立ち上げ、$46Mドルを調達しました。
Paradigmがリードで、Griffin Gaming Partners、Polygon、Sabrina Hahnが参加しています。
最初のゲームは「Wildcard」で、Polygon上のカードゲームです。
プレイヤーが2チームに分かれて味方と協力しながら敵チームの本拠地を破壊した方が勝利というゲームで、かつ「ファンの前でライブで競うカードゲーム」でもあるそうです。
既存ゲーム分野の大手が、web3系ゲームに進出するケースも増えてきました。
10.Circle Announces a Fully-reserved, Euro-backed Stablecoin, Euro Coin (EUROC)
USDCの発行元であるCirclelは、ユーロのステーブルコインを発行することを発表しました。EUROCという名前で、6月30日から利用できるようになる予定です。
USDCと同じように、100%のEUROを担保に発行され、規制に準拠したステーブルコインになります。
プレスリリースによると、多くの取引所、DeFiプロトコル、カストディサービスが、ローンチ時にサポートするようです(Anchorage Digital、Binance.US、Bitstamp、Compound、Curve、CYBAVO、DFX、Fireblocks、FTX、Huobi Global、Ledger、MetaMask Institutional、Uniswap Protocol等)。
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