■Last Week in Crypto(先週のニュース)
主に海外の記事や英語の論文について触れます。
1.https://medium.com/@andre_54855/building-in-defi-sucks-b8fdfda0ef58
DeFi攻撃が最近話題になっています。このbZxの攻撃トピックについては情報源がたくさんあるので、ここでは取り上げませんが、面白いことは考えたので、今週に行われる「やさしいDeFi」イベント(オンライン)でいくつか話す予定です。
またこのbZxの攻撃からまもなくして、ある個人がDeFiアプリCurveでBUSDのステーブルコインのトレードで$ 560K以上を失うということが起きました。取引のスリッページをコントラクトがチェックしなかったことが原因になっています。Curve Financeプロトコル開発者に怒っているコミュニティの人も多いですが、今年はこういった議論が盛んになりそうです。
Kollateralというフラッシュローンを簡単にするコントラクトがメインネットで稼働しました。まだ誰も知らないと思いますが、監査もされていない状態なので、気をつけてください笑
dydx と Aaveなど複数のフラッシュローン対応プールの流動性を集約して処理します。新しいプールができると追加され、常に流動性を高めるようにします。
上で言及したDeFiの攻撃はフラッシュローンにより価格操作(オラクルの操作)が容易になって起きたことなので、フラッシュローンがより増えることにより、他の人も触発されてより洗練された攻撃がでてくると思います。
3.South Korea passes one of the world’s first comprehensive cryptocurrency laws
韓国で、暗号通貨の取引・保有を法的に定義する法律を可決しました。韓国の金融規制当局が監督をし、取引所は報告する要件を守り、実名アカウントを持つ必要があります。韓国は、暗号通貨の投機市場が相対的にアクティブで、規制も最近は変化してきています。
ブロックチェーンのオラクルを提供する Provable Things は、異なるブロックチェーン間でトランザクションを可能にするための 「pToken」をローンチしました。pTokenを使うと、Ethereumのトークンを保持していない場合でも、Ethereum上のDappsにアクセスできます。
最初のpTokenは、「pBTC」で、Bitcoinと1対1でペグされ、いわゆるEthereum上のBitcoinトークンです。Bitcoin所有者が、簡単にDeFiへアクセスすることができます。特にどこかの機関の処理を経ずに、インスタントにBTCに戻すこともできます。
同様のプロジェクトを見ると、tBTCがERC20でEthereum上でBTCトークンを発行していますが、pBTCをよく見ていると、ERC20 の規格ではなく、ERC777として発行されます。wBTCや他のラップ系のクロスチェーンBTCと比べると、速くてガスコストも安いことを売りとし、流動性で勝負していくようです。
その他とのプロジェクトとの技術的、仕組み的な比較は以下の記事にまとまっています。
・wBTCやtBTCなど(担保&ラップ型)と比べて
・Syntheixなど(合成資産型)と比べて
https://medium.com/@provablethings/pbtc-synthetic-btc-how-do-they-compare-fff6225067f0
Ernst&Young(EY)は、Microsoftと共同で、『Baseline Protocol』という新しいイーサリアムベースのプロトコルを開発していると発表しました。Baselineの目的は、「Ethereumを使用して、企業が大規模なエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムと顧客関係管理(CRM)システムを調整できるようにすること」とのことです。この時、Ethereumは分散システムとインターフェイスを接続する、ミドルウェアのメッセージング機能として使われます。
上記ではかなり抽象的な説明ですが、具体的な最初のユースケースとしては、発注書とそれに関連するビジネスのフローをトークン化して、調達から支払までの流れを自動化したり改ざんできなくしたり、簡単にする予定です。
3月中にはにコードを(パブリックに)リリースする予定です。また、このプロジェクトは、開発を助言する技術運営委員会(TSC)を作り始めていて、ConsenSys、EY、Microsoftに加え、Splunk、MakerDAO、Chainlink、AMDなど12を超える有名どころの企業で構成されています。
以前から書いていますが、EYは、ゼロ知識証明(ZKP)技術を複数リリースしていてプライバシーの向上に貢献して、とてもアクティブです。長いスケールでみると、多くのトランザクションがプライバシー保護+パブリックチェーンで処理されていくように見えてきます。
6.ProgPoW: The Ethereum Community Speaks
ここ最近、『ProgPoW』の提案に Ethereumの開発者が投票した後、コミュニティの最優先事項として話題になりました。ProgPoWというのは、マイニングを分散化するために、高速の専用マイニングチップ(ASIC)でのマイニングをできなくすることを目的とした提案です。例をあげるとMoneroなどもASIC耐性のあるマイニングアルゴリズムに属します。
EthereumのProgPoW提案は、昨年8月にEIP-1057という名前でEthereumガバナンスに登場しています。当時は、Ethereum2.0がPoSを使用するため実装する必要がないと考えるEthereumコミュニティの人が多く、反対が大半になっていました。
逆に提案を支持する人は、PoSへの段階的な導入の手段として必要というスタンスです。
当時はそれ以上には、議論は進まず、そのままになっていたわけですが、先週、開発者が来年7月までにProgPoWの実装をスケジュールすることに投票したとき、一気にコミュニティの議論の中心となりました。
コア開発者の多くは、ProgPoWの提案を組み込んだ修正済みノードソフトウェアの実行しない(ProgPow反対)という明確なスタンスを示しています。ただ提案への反対も多く、BitcoinとBitcoin CashのSegwit2x論争とその後の分技を心配している人もでてきました。
例えばMakerDAOのCyrus Younessi氏などは、ネットワークの分技を起こさないように(特にDeFiプロトコル周辺の人などを含めて)、幅広い範囲でコンセンサスをとるべきと危険性を投げかけています。もし強行突破して分技してしまえば、例えばProgPowのないチェーンのほうが、DeFiにロックされている大量のコラテラル(担保)のポジションが清算されます。ETHとETC、BTCとBCHで見たように、分技の結果、時価総額が6:4になったら、担保資産の価格の許容量を下回り、一気に大量のポジションが強制的に清算されるからです。
そしてProgPoWの提案は当面は見送りになっていますが、初期の早い段階から議論とコンセンサスをとることが大事だと改めて感じます。またそれはどのチェーン(ネットワーク)でも同様です。
7.India’s Supreme Court Lifts Banking Ban on Crypto Exchanges
インド最高裁判所は、2018年4月のインド準備銀行の規制(インドの金融機関が取引所に銀行サービスを提供することを禁止)に反対しました。これまでインドの取引所は、シャットダウンするか移動するかを余儀なくされていましたが、今回の裁判所の内容で、14億人もの人(世界で2番目に多い人口)がクリプトにアクセスできるようになります。Binanceは2019年11月にインドの暗号取引所WazirXを買収していましたが、この判断もまた死角なしといったところです。
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