■ Last Week in Crypto
こちらのメルマガでも随時トピックにしている「Eth2への移行」に関するトピックですが、目標とされていた 584,224ETH(約3億5,000万ドル)以上がデポジット・コントラクトにロックされ、12月1日にフェーズ0としてローンチすることが決定しました。先週の強気市場に加えて、この目標達成のニュースによってETH価格は後押しされましたが、現状は落ち着いてきています。
執筆時点では800,000ETH以上がロックされています。したがってステーキングした人の年間の利回りは17.5%ほどとなっています。この数字は、今後ステーキングする人が増えるにつれ徐々に下がっていき、5-8%ほどに収束していくと思います。
Dune Analyticsでみると、現状は2411個のEthereumアドレスがデポジットをしています。Eth2のバリデータの数は、Tezos、Cosmos、Polkadot を含む他のPoSよりも多くなっています。
この移行が、最終段階フェーズ2まで完了すると、「シャーディング」と呼ばれるスケーリング手法で、1秒あたりに15トランザクション→数十万件までの性能アップを目指します。
2.Pickle & Yearn ferment co-operation dill | by Andre Cronje | yearn.finance | Nov, 2020 | Medium
DeFiのプロトコルYearn.FinanceとPickle Financeが統合されることになりました。Pickle.Financeが攻撃をうけ、$20M相当のDAIが流失した後の出来事になります。実際の統合は、現在開発中のYearn v2のローンチ時に予定されています。
詳細はまた今後公開されるようですが、統合が完了すると、DILLとCORNICHONという2つの新しいトークンも登場します。
1) DILL
Pickleをロックすると、DILLで追加報酬が分配されます。Pickleをロックする期間が長ければ長いほど、より多くのDILLを受け取ることができるようで、ロック期間は最短で1週間、最長で4年間と言われています。
2) CORNICHON
CORNICHONに関しては、上記のPickleへの攻撃でDAIを失った被害者にトークンが配布されることになっています。トークンは、攻撃時に残高があったアドレスに対して発行され、比例分配されます。
合併後、2つのプロトコルの総ロック価値(TVL)も統合されます。また合意の一環として、Pickleの開発者をYearn側に加わり、今後も利回り最適化のプロトコルを開発していきます。
元々Pickleの jarは、YearnのyVault フォークではあるので、比較的マージしやすいとは思いますが、DeFiにおける最初のM&A的な案件と言われています。今後もトークンの統合やプロトコルの統合というのがあるかもしれません。
※ここまで書いて保険プロトコルのCoverも、Yearnと合併する発表がありました(
Yearn & Cover merger)。もともとYearnは、yInsure の開発で Cover Protocol の開発者と協力していたようですが、2つのチームが1つのチームとして協力し、開発を最適化していくことになります。またガバナンスを集約するプロトコルPowerPoolも、今週Yearnエコシステムとのパートナーシップを発表しました。
Andre Cronje氏が「Deriswap」という新しいプロジェクトを発表しました。まだ利用はできませんが、DeFiの異なる取引種類(スワップ、オプション、ローン)を1つのプラットフォームに統合したものです。
ブログ記事では、「オプション、先物、ローンなどの取引を統合した資本効率の高い市場を可能にし、流動性提供者がエクスポージャー(投資のポジション)を維持し、追加の手数料や報酬を受け取れるようにします」と記載されています。
現状Deriswapは監査中になっていて、ローンチ日の詳細もまだ未定ですが、おそらく数週間で出てくると思います。
Andreのプロジェクトというだけで、流動性提供者やトークン購入者が集まるのはもやは恒例になっていますが、それを悪用し、フェイクのDeriswapのトークンが出てきたりしているようです。
4.Bixin, SNZ, FBG back layer-2 dex ZKSwap in $1.7 million angel round
ZKSwapが $1.7Mを調達しました。Ethereumのレイヤー2技術の ZK Rollup をベースに作られているトークン交換プロトコルです。より速く、ガス代を抑えて、トークンを交換することができると期待されています(見た目はほぼUniswapです)。
現状ZKSwapはテストネットRopsten上で試しことができ、インセンティブプログラムも発表されました。ガバナンストークンZKSが発行される予定で、テストネット利用度やバグ報告に基づいて配布されます。
ちなみに今回の投資ラウンドでは、中国で長年ビットコインのマイニングとウォレット提供しているBixinの投資部門、Bixin Capitalが主導しています。
Bixin Capitalは先月、DeFiのインフラ系プロジェクトに投資する新しいファンドを組成し、規模は$100Mドルにもなります。
最近では Three Arrows Capital と共にリード投資家として、zkpを利用したブロックチェーンMina Protocolに $2Mドルを投資していますし、Algorand、Nervos、Conflux、Certikなどインフラレイヤーにも積極的に投資をしています。
5.InsurAce — $1 Million Seed Funding Raised From Tier-1 Institutions | by InsurAce Protocol
DeFi保険プロトコルInsurAceが、$1Mドルを調達しました。参加投資家は、DeFiance Capital, Parafi Capital, Huobi DeFi Labs, Hashed, Signum Capital, Lunex Venturesです。
コントラクトへの攻撃で、大きな規模の資金が一気に引っこ抜かれるというケースに対応できる低手数料の保険と、保険付き投資プロダクトを提供する予定になっています。まだ詳細は明らかになっていませんが、近々流動性マイニングも予定されています。
保険市場はDeFiの拡大に伴って堅実に伸びていく領域で、DeFiプロトコル全体のロック価値が増えれば、それに連動するインデックスのように考えることもできます。過去にDeFi保険についていくつか書いているのでそちらもぜひ読んでみてください。
6.https://www.ft.com/content/cfe4ca11-139a-4d4e-8a65-b3be3a0166be
Financial Timesの報道ですが、Facebookが主導するLibra(ステーブルコインのプロジェクト)が、早ければ2021年1月にローンチされるかもしれないという記事です。
規制の関係から、当初想定されていた複数通貨のバスケットではなくなることは2020年4月から言われていましたが、今回の報道によるとドル価格にペグするステーブルコインからローンチされるようです(つまりUSDCやDAIのようなトークンと同様になります)。
スイスの金融規制機関FINMAの承認を待ってからローンチされ、他の通貨や複合通貨は、後日まだ今後でてくる可能性があります。Libra Associationは加盟企業が脱退したり、新規企業が参加したり、様々な変更を経て、現状は27社が協会のメンバーになっています。
またちょうど同じ先週に、国際決済銀行(BIS)がステーブルコインに関するワーキングペーパーが出されました。その中では、Libraのような民間の中央集権型のステーブルコインと分散型ステーブルコインの間に線を引き、LibraはFacebookのユーザー数億人によってすぐ利用される可能性があり、規制当局もすぐに適応する必要があること書いています。しかし公的機関がイノベーションを排除するものではない、としています。当局側も、デジタル決済システムやプログラム可能なお金を利用することで、ライセンスや登録要件を自動提供し、規制や監督に活用でき、全体のコストを削減する重要な機会である、とまとめています。
7.Coinbase CEO: Trump Administration May 'Rush Out' Burdensome Crypto Wallet Rules
米国財務省がウォレットを規制するかもしれないことを、CoinbaseのCEOがツイートしました。詳細はツイートを読むことをおすすめしますが、これが現実になると、Coinbaseのような金融機関が、自己ホスト型ウォレットに出金を送信する前に、情報を収集して所有者を確認することが必要になると言われています。アームストロング氏は、「このような規制は米国にとって長期的にマイナスの影響を及ぼす」としています。
8.Huobi Group and Filecoin Collaborate to Bring Incubation Center
Huobiが、Protocol Labsと共同で、Filecoinのエコシステムを支援するインキュベーションセンターを立ち上げました。Filecoin開発者や学術研究を支援するために、$10Mドルの資金を投資し、インキュベーションとコミュニティ作りも進めていくそうです。
ETHの強気市場に突入したことを示す8つの指標として、spencernoonがまとめているので、以下に書いていきます。
1) Ethereumのデイリーアクティブアドレスは50万ほどで、今年になって2倍近くになっている
2) Ethereumは、ビットコイン含めてすべての暗号通貨の上で支払われる手数料を凌駕している、他と比べて最も利用されているネットワークと定量的に見ることができる
3) 80Bのガスが日常的に使われている -- Ethereumブロックスペースの需要がかつてないほど高まっていることの証
4) $16 billion ドル以上のステーブルコインがEthereumで発行されており、今年に入ってから急激に大きくなっている -- クリプトベースのドルへの大きな需要の現れ
5) DeFiユーザーは100万人近くになり、年初から10倍に増加している -- Ethereumの最大のユースケースが急成長していることを示している
6) DeFiには総額 $14 billionドル以上の価値がロックされており、5つの異なるプロジェクトがそれぞれ $1 billion億ドル以上のTVL(ロックされた総価値)を持っている
7) 150,000 BTC($2.9 billionドル)ものBitcoinが Ethereumに持ち込まれている -- EthereumがBitcoinをはじめとするすべての資産の経済的空間になりつつある証
8) Ethereum上のDEXは、過去30日間で $20 billionドルの取引量を達成し、今年の合計は $86 billionドルに達した -- DEXがトップ取引所と競争できるというサイン
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以降もSubstackページからご覧ください。